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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

南相馬市 原発の交付金辞退して被災者の生活保護費は打ち切り 優先順位を間違っている

2011年08月05日 | 生活保護と生存権


福島県南相馬市が新しい原発建設を拒否し、悪名高い電源三法交付金の交付を辞退したこと自体は素晴らしいことです(保安院のやらせを産んだ原発推進利権 自民党・経産省・財界・マスメディア・自治体の癒着の構造)。

 

しかし、同時に、同市は、被災者が義援金や東電の仮払い保証金を受け取ると収入があったとみなして、生活保護を打ち切ることはやめようとしないのです(被災者生活保護費打ち切り相次ぐ 被災地の生活保護費の全額国庫負担と生活保護制度改革の民主的な議論を!

 

こんな扱いは厚労省でさえ求めていませんし、東北三県の多くの市町村でもなされていない措置です。

義援金を収入認定すべきでないとする1961年の厚生事務次官通知があったように、東電の仮払金も慰謝料的な性質で、収入認定すべきでないのです。厚労省は5月2日に義援金と仮払金について、福島県は6月20日に義援金について、基本的に収入に含めないとする通知を出しています(福島県ナイスジョブ!義援金は収入とみなさず生活再建の経費扱い 生活保護運用を弾力化!!


震災前に405だった保護世帯が、義援金等の受け取りを理由に219も打ち切られ、生活保護世帯が半分未満になってしまったのは、南相馬市全体で福祉切り捨てで意思統一がされていると見るべきです。市の福祉行政全体が誤りを犯しているといわざるをえません。

南相馬市は本当の意味で今回の震災と原発事故を重く受け止めているのでしょうか。市民の痛みを分かち合っていると言えるのでしょうか。

本当に原発事故の怖さがわかっているならこういう事態も避けるべきでした(福島原発事故 内部被曝の恐怖31 南相馬市農家が放射性セシウム規制値6倍超の放射能汚染牛市場に出荷!


 

脱原発の立場から南相馬市の交付金自体を英断と持ち上げる向きが多いのですが、一番生活に困っている世帯を切り捨てるのでは、とても手放しで賞賛する気になれません。

南相馬市ではこういうことも起こっています(南相馬市の93歳の女性 原発事故悲観して自殺 「さようなら 私はお墓にひなんします ごめんなさい」)。


パフォーマンスより本当の市民目線の政治を。

あえて、流れに棹さし、南相馬市に再度の決断を求めるものです。

 

 

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 東日本大震災の被災者が受け取った義援金や東京電力の仮払補償金を収入とみなして生活保護が打ち切られている問題で、福島県南相馬市が停止か廃止にしたケースが219世帯に上っていることが22日分かった。日本弁護士連合会が市職員への聞き取りなどを行い、同日公表した。

 日弁連によると、同市内で震災前に生活保護を受けていたのは405世帯。県は6月21日、義援金の第1次配分を収入とは認定しないと発表したが、県が事務を担当しているのは町村部のみで、市については独自判断としており、打ち切りが続いたという。

 生活保護は受給者に収入があれば減額や打ち切り対象になるが、厚生労働省は震災後、義援金などを通常の生活を取り戻すために使う場合は、必要額を収入から除外すると自治体に通知した。

 会見した竹下義樹弁護士は「受給者に十分な説明を行わないまま打ち切りにしたケースが目立つ。福祉行政そのものが誤りを犯している」と指摘。同市社会福祉課は「個々の案件について再検討していきたい」としている。【蓬田正志】

毎日新聞 2011年7月23日 東京朝刊

 

 

南相馬市、新原発の交付金辞退へ 住民の安全を優先

 朝日新聞 2011年8月4日3時1分

 東北電力の原発新規立地計画がある福島県南相馬市は、この計画に関連する「電源三法交付金」の受け取りを、今年度から辞退する方針を固めた。原発の見返りに自治体財政を潤してきた交付金だが、東京電力福島第一原発の事故で、自治体の判断にも変化が生じている。交付金よりも住民の安全を優先させた被災自治体の判断は、全国に広がる可能性がある。

 電源三法交付金は、発電所の立地計画や建設が進む自治体に配分される。南相馬市が辞退するのは、この交付金の一つで、建設計画のある自治体に交付される「電源立地等初期対策交付金」。東北電の計画では、同市と浪江町の境で、浪江・小高原発の2021年度運転開始をめざしている。南相馬市は1986年度から、交付金を受けている。昨年度は約5千万円で、これまでの累計は約5億円にのぼる。

 交付金の対象自治体は例年5月と10月に、国に交付申請する。南相馬市は、東日本大震災の影響で5月分を申請していないが、10月も申請しない方針だ。

 桜井勝延市長は、朝日新聞の取材に「今回の原発事故を受け、将来的にも住民を脅かす原発を認めない。交付金を申請しないことで、新規立地に反対する市の立場を明確にできる」と説明している。



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3 コメント

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この問題は政府の本件政策が正常に機能していない不幸に由来する、悲しい! (cafe難問だらその通り)
2011-08-05 10:40:35
 電源三法の交付金に限らず、国の交付金は当然ながら、財政法第9条2項全て良好で効率の高い国有財産管理規定に基づいて、地方公共団体の都道府県、市町村が交付を受け、公共団体法人の歳入一部に繰入れれて、歳出の支出となるものですから、その手続きに重大明白な瑕疵が生じている場合、違法無効を免れない。
 すなわち、その交付金自体が、あくまでも合法的であって、違法の事実、及び違法不当の財務会計行為を、許容されないので従来は、その取り扱いについて不問とされてきたものに対し、福島原発事故被曝の安全性を検証すれば、一目瞭然の現在も核燃料溶融メルトダウンで、未だに収束していない原子炉を、設置するために、地方公共団体の第一号法定受託事務となって、その交付金対象の財産管理に責任が持てないというのは、地方自治体の首長として止むを得ない選択肢であろうと、思われます。
 この問題と交差する社会政策上の被災者生活保護費支給の打ち切りなどは、こうした課題のテーマとなって、必ず登場する一種の避け難い手続きだから、法整備を必要とするという、指摘は確かに正しい。
 厚生労働省は、「人の心」を持った対応に務めるべきでしょう。
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保護打ち切り (オーガ)
2011-08-30 23:53:05
福島県須賀川市に住んでいて現在は生活保護ほを受けています。

やはり受給はストップされました。

生活保護は国の財源で義援金は善意のお金。
ところが義援金が無くなったら再開してやるとの事。

こんな無駄な使い方をされているなら募金活動は中止して欲しいです。
最低でも自分はこんな使い方をされる為に募金したワケじゃない。
返信する
お気持ちは万分の一もわかりませんが (ray)
2011-08-31 12:27:05
本当に腹立たしいことですね。

そもそも義援金がこれほど被災者の方々になかなか届かないものだとは思いませんでした。

いろいろとままならない中、ストレスが溜まると思いますが、なんとか心安らかにお過ごしください。
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