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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

岸田首相は自分のコロナ感染を利用してアナログオンライン会見を選び、自分自身と統一教会との関係やコロナ全数把握放棄ばかりか、原発推進派の安倍元首相でもできなかった原発新増設を言ってしまった。

2022年08月27日 | ダメよダメダメ岸ダメ政権

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 岸田首相が2022年8月24日に岸田首相がオンラインのようなアナログのような変な形で発表した新型コロナの感染者の全数把握を諦める発表し、医療機関に対し感染者の氏名や生年月日などの詳細な報告を求めている全数把握について

「自治体の判断で、患者の届け出の範囲を、高齢者、入院を要する者、重症リスクがあり治療薬投与等が必要な方などに限定することを可能とする」

と述べ、全数把握を見直して、自治体の判断で報告の対象を高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにする方針を明らかにしました。

 これについてはうちのブログもさんざん批判しましたが、全国の自治体からも次々と批判の声が上がり、首都圏でもとうとう小池都知事に続いて他の3県すべてがも今の全数把握を変えないことを発表しました。

岸田首相の絶望的なアナログオンライン記者会見。コロナ感染者の全数把握について「自治体の判断で、患者の届け出の範囲を高齢者・重症リスクがある方などに限定することを可能とする」と内容も絶望的。

岸田首相は、コロナの実態を隠蔽し感染拡大を招く「全数把握」放棄を、どうして「自治体判断」にしたのか。それは全国一律にすると岩手・和歌山・島根など良心的な知事が従わないのが目に見えていたからだ

 

 

 このシュールな記者会見で、岸田首相はみずからと旧統一教会との関係について

「私自身は知りうるかぎり旧統一教会との関係はない」

 そして、週刊文春が報じた、熊本県の自分の後援会の会長が、旧統一教会の関連団体の議長を務めていた事実については

「後援会長は旧統一教会に関連しているという認識がなく、すでに議長を辞めたと聞いている」

と説明しました。

 説明しにくいことは、記者が質問しにくいオンラインでまとめて言ってしまう。

 岸田首相の卑怯でしたたかな本質が現れたアナログオンライン記者会見でした。

 

 

 さて、さらに同じ8月24日、岸田首相は総理大臣官邸で「GX=グリーントランスフォーメーション実行会議」を開き、岸田首相は例によってオンライン、そのほか西村経済産業大臣、経団連の十倉会長、連合の芳野会長などが参加しました。

 この中で、岸田首相は電力の需給がひっ迫する状況やエネルギー安全保障に対応するためと称して、これまでに再稼働した原発10基に加え、来年の夏以降、追加で7基の再稼働を目指す方針を確認しました。

 柏崎刈羽原発や東海第2原発などは地元判断が示されていないのに、先に政府が再稼働を明言してしまったわけですから、酷すぎます。

 

 さらに、安倍政権でも菅政権でも、これまで原発の新増設について「想定していない」としていましたが、岸田政権は中長期的には2050年のカーボンニュートラルの実現などに向けて、最長60年まで可能な原発の運転期間の延長のほか、今より「安全性や経済性が高い」次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしました。

 これでは福島原発事故の教訓が何も生かされていないどころか、原発推進派の故安倍晋三氏も真っ青な原発推進姿勢。

 まさに、岸田自民党が原子力ムラの復活の狼煙を上げた瞬間でした。

 

 

 これで、菅政権以来の脱炭素構想が実は原発推進のための口実でしかなかったことが明らかです。

 だって、他の先進国はカーボンニュートラルを実現するために再生可能エネルギーの活用を模索しているのに、日本だけいきなり原発を新増設するというのですよ?

 ロシアがウクライナ侵略をしてエネルギー供給が不安となっていること、コロナ爆発・安倍国葬・統一教会問題に世論の目が向いていることをすべて逆手にとって、平時に言い出したら袋叩き似合うような原発推進姿勢への大転換を言い出した岸田首相。

 岸田首相が温和に見えて危険な立法をし続けた小渕元首相のように危険だ、気をつけろと当初から言い続けてきた当ブログですが、これほど邪悪な宰相だとは思っていませんでした。

 もう、安倍国葬と統一教会問題で、岸田政権打倒を早期に実現するしかありません。

 

 

2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画で委員として策定にかかわった国際大学の橘川武郎教授でさえ

「新しい原発を建設するには10年や20年かかるので、今の電力危機の解消には間に合わず、電力需給のひっ迫と結び付けて原発の新増設の方針を示すのは卑怯で、論点をずらしている」

と言っています。

岸田首相がオンライン会見で言いにくいことは全部まとめて言ってしまう卑怯さは、全数把握放棄を自治体任せにして丸投げしてしまうところにも表れていましたが、国のエネルギー政策の内容そのものも卑怯とは、岸田首相は驚くべき卑劣漢です。

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東京都 小池知事 全数把握は当面継続「見直しは混乱ないよう」

2022年8月26日 NHK

東京都の小池知事は8月26日の記者会見で、新型コロナの感染者の全数把握を当面、続ける考えを重ねて示したうえで、政府には制度を見直す場合は、現場に混乱がないようにすべきだと求めました。

新型コロナ対策をめぐり、政府は感染者の全数把握を見直し、自治体の判断で報告の対象を重症化リスクが高い人などに限定できるようにする方針を示したものの、東京都の小池知事は当面、これまでと同様の全数把握を続ける考えを示しています。

8月26日の記者会見で、小池知事は「最近は軽症や中等症から突然、亡くなる人が目立つ。重症者だけの部分では、軽症から突然亡くなる人を見逃してしまう。これまでも全数把握ができるよう検査キットの配布や発熱相談の工夫などをしていて、ここで変えるとかえって現場に混乱が生じることを危惧した」と述べ、重ねて全数把握を続ける考えを示しました。

また、全国一律での全数把握の見直しを求められた場合の対応について記者団から問われると、「政府には対策にあたっている現場に混乱を来さないようお願いしたい。使いやすくて安心できるデータを積み重ねられることを期待している」と述べました。

都内のクリニック 全数把握継続に一定の理解も

新型コロナウイルス感染者の全数把握をめぐり、東京都の小池知事が当面、見直さない考えを示したことについて、都内のクリニックからは、データの入力作業は大変だが、コロナ対策に生かすうえでデータは重要だとして、一定の理解を示す声が聞かれました。

東京 墨田区の「すみだ石橋クリニック」では、発熱外来を受診する患者は減少傾向にありますが、8月26日午前中にも4人の患者が陽性と診断され、スタッフが患者の情報を「HERーSYS」という国のシステムに入力しました。

全数把握では新型コロナ感染者全員のデータを入力する必要があり、このクリニックでも多いときで一日20人ほどの患者が陽性と診断され、作業に1時間以上かかることがあり、負担となっていました。

こうした全数把握について、政府は、都道府県の判断で、報告の対象を重症化リスクが高い人に限定できるようにする方針を決め、これに対し、東京都の小池知事は、都内では当面、見直さずに続ける考えを示しています。

クリニックの石橋励院長は、「統計データがなくなると、ウイルスの変異に気付くのが遅れ、現場の対策も後手に回る可能性があると心配していた。全数把握のためのデータ入力の作業は体力的にきついが、頭ではデータの重要性を理解しているので、このままでもしかたないと思う」と一定の理解を示していました。

政府の見直し方針に懸念の声も

新型コロナの感染者の「全数把握」を見直す方針について、都内の医療現場からは重症化リスクが低いとされる若い世代などが、自宅療養中に体調が悪化した場合把握できなくなるのではないかといった懸念の声があがっています。

7月下旬に新型コロナに感染して入院し、数日前に退院したばかりの20歳の女性です。

この女性は、感染が確認され、39度から40度の発熱が続いたものの入院できず、2週間ほど自宅療養を続けました。

しかし、病院でCT検査をしたところ肺炎が確認されたため、入院が決まりました。

女性は「感染前は若い世代は悪化しないと思っていたのですが、まさかこんなに悪化するとは思わず、コロナは怖いと思いました」と話していました。

女性が入院した東京 江戸川区の東京臨海病院では、入院患者の多くは高齢者ですが、50代以下の患者も2割程度いるということです。

山口朋禎副院長は「全数把握をやめれば医療機関の事務作業が減って負担は減ります。しかし、若い世代でも体調が悪化する人もいて、全数把握をやめるとこうした人たちの症状を把握できなくなる懸念があります」と指摘します。

さらに「『全数把握』は、入院患者を受け入れる病院としても国のシステムに患者のIDを入力すれば症状の経過など必要な情報が確認できるので病状の把握に有効です。東京都が全数把握を当面見直さないとしていることは、患者や病院にとってもよかったと思います」と話していました。

埼玉県 大野知事「感染状況の把握は全国統一で」

埼玉県の大野知事は、8月24日に発表したコメントで「感染状況の把握は自治体の判断に任せるのではなく、国の責任において全国統一で行うほうがよい」という考えを示しています。

また、今後の対応について、「国の通知の内容や本県の現状、専門家の意見を踏まえ、速やかに対応を検討する」としています。

埼玉県は8月26日夜、医師や県の幹部らが参加する専門家会議を開くことにしていて、全数把握を見直すかどうかについても意見が交わされる見通しです。

千葉県 熊谷知事「『自治体の判断で』には驚いた」

千葉県の熊谷知事は、全数把握の見直しを評価する考えを示す一方、自治体の判断で報告の対象を高齢者や重症化リスクが高い人などに限定できるようにするとした国の方針については、「『自治体の判断で』というのは想定していなかったので、大変驚いた。自治体にゆだねるというのが適当でない場合も多々ある」と述べました。

また、「政府が責任を持って、新型コロナとの向き合い方をシフトしていくという方針を示し、対応していく必要がある。そう簡単には採用というわけにはいかず、周辺都県の状況も含めて慎重に検討したい」と述べました。

神奈川県 黒岩知事「このままでは見直しに乗れない」

神奈川県の黒岩知事は、国に見直しの詳細を確認したところ、課題が明らかになったとして、「このままでは乗れない」と述べました。

黒岩知事が懸念しているのは、神奈川県が独自に行っている自主療養の制度への影響です。

この制度は、重症化リスクの低い人が市販の抗原検査キットなどで陽性となった場合、自分でオンラインでシステムに登録すれば医療機関や保健所を通さずに自宅療養ができ、保険の請求などに必要な療養証明書も発行されます。

黒岩知事は8月26日、NHKの取材に応じ、「県が独自に行っている自主療養届け出制度が使えなくなることが分かった。制度設計が十分精査されていなかったと思わざるをえない」と述べ、今後、国に対して、見直しを求めたいとしています。

神奈川県は8月26日夜、緊急の対策会議を開き対応を決めることにしています。

専門家「フォローできる方法が必要」

新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しについて、国の専門家会合に参加している専門家は、見直した場合、軽症と判断した人の情報が保健所や自治体に届きにくくなり、病状の把握や食料支援などが難しくなる可能性があるため、フォローできる方法が必要だと指摘しました。

新型コロナ感染者の全数把握について、政府は、都道府県の判断で、報告の対象を重症化リスクが高い人に限定できるようにする方針を決めています。

これについて東京 北区の保健所の前田秀雄所長は「報告の対象を重症化リスクの高い人により重点的にしぼるように一部の自治体から要望があったので、その点では妥当だと思う」と述べました。

一方で、見直しに伴う課題について「軽症などの人が重症化する可能性もあるので、軽症と判断した人の情報が保健所や自治体に届きにくくなることには懸念を感じている。重症化リスクが高い人以外への対応について、国は感染者が相談できる体制を作るとしているが、自治体側に患者の情報がないと本人から病状を聞き取る場合、時間がかかって対応に遅れが出る可能性がある」と指摘しました。

さらに「軽症でも外出の自粛を求めるという国の方針が変わらないのであれば、食料支援などが必要だ。全数把握を見直すと、自治体がこうした人たちを把握するのが難しくなるので、フォローできる方法をしっかり考えなければならない」と述べました。

 

 

旧統一教会との関係をめぐり、岸田総理大臣は24日記者団に対し、みずからと教会との関係は重ねて否定したうえで、自民党の茂木幹事長とも協議し、党としてさらに踏み込んだ対応をとるよう指示する考えを示しました。

この中で岸田総理大臣は、みずからと旧統一教会との関係について「私自身は知りうるかぎり旧統一教会との関係はない」と述べ、重ねて否定しました。

そして、熊本県にあるみずからの後援会の会長が、旧統一教会の関連団体の議長を務めていたなどと「週刊文春」が報じたことについて「後援会長は旧統一教会に関連しているという認識がなく、すでに議長を辞めたと聞いている」と説明しました。

また、今後の対応について「自民党においては、社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たないことを党の組織統治の指針となる『ガバナンスコード』に盛り込み、チェック体制を強化すべく検討を進めているところだ」と述べました。

そのうえで「もう一段、踏み込んだ実効的な体制の整備をはじめ、国民の不信を払拭(ふっしょく)するための方策について、茂木幹事長とも協議し、必要な指示を行っていきたい」と述べました。

岸田首相の熊本県後援会長が記者会見

 
岸田総理大臣の熊本県の後援会の会長が、旧統一教会の関連団体の議長を務めていると報じられたことについて24日、記者会見を行いました。

この団体が旧統一教会と関係があるという認識はなかったとしたものの、誤解を招かないようにするとして議長の辞任届を提出したことを明らかにしました。

岸田総理大臣の熊本県にある後援会「熊本岸田会」の会長を務める崇城大学の中山峰男学長は、23日の「文春オンライン」で、自身が議長を務める「日韓トンネル推進熊本県民会議」が旧統一教会と関連する団体だと報じられました。

これを受けて中山学長は24日、熊本市内で記者会見を行い「団体が旧統一教会と関係があるという認識は全くなかった。記事を読んで非常にショックを受けている」と述べました。

そのうえで、旧統一教会について「非常に問題があると認識しており、少しでも関係があるとすればそういった誤解を招かないようにしないといけない」と述べ、23日、団体側に退会届と議長の辞任届を提出したことを明らかにしました。

中山学長によりますと、この団体は経営者などおよそ50人で構成されていて、11年前に熊本市の元市議会議員からの打診を受けて議長に就任し、先月まで年に1回、総会に出席し、あいさつをしてきたということです。

一方、後援会長を務める「熊本岸田会」は岸田総理大臣の実現を目指して設立されたということですが、中山学長は「団体に、自民党総裁選への協力をお願いしたことはない。旧統一教会の信者と会ったこともない」と述べ、後援会の活動に旧統一教会は関係していないという認識を示しました。

自民 二階元幹事長 “この人はいい 悪い そんな瞬時には”

自民党の二階元幹事長は、東京都内で講演し「『応援してやろう』という人がいたら『よろしくお願いします』と言うのは合言葉だ。『この人は、いい、悪い』と吟味すべきだと言われればそうだが、そんな瞬時に分かるわけがない。ただ、できるだけきちんと気を配るべきで、問題が起こった場合には見直していくことでいいのではないか」と述べました。

立民 泉代表「すべての所属議員を調査し 結果を公表すべき」

立憲民主党の泉代表は記者団に対し「今になってもう一段の調査というのはあまりに遅いし、国民の疑問に答えていない。自治体議員も含めて数多くの自民党議員がこれまで長く関係を続けてきたのは間違いないことで、もう逃げられない」と述べました。

そのうえで「岸田内閣では旧統一教会に関与している数多くの人が政務三役になり『旧統一教会内閣』と言われてもしかたがない状態だ。岸田総理大臣は真剣に調査体制を整えるべきで、当然、すべての党所属議員を調査し、結果を公表すべきだ」と述べました。

そして「立憲民主党としては政治とこういった団体の不透明な関係を明らかにする。さらに、被害者の救済を行っていく。この両面に取り組んでいきたい」と述べました。

立民 “所属の国会議員14人と旧統一教会との関わりが確認”

立憲民主党の会合で、西村幹事長は、これまでに所属する国会議員14人と旧統一教会との関わりが確認されたことを説明し、申告漏れがないよう引き続き対応してほしいと要望しました。

そのうえで「自民党との大きな違いは、われわれは党としてしっかりと調査を行い、公表していることだ。中身についても、現時点の調査結果だが、選挙の応援や支援はなく、会合でのあいさつなど具体的に体を運んで旧統一教会をバックアップしようとした動きはなかった」と述べました。
 
 
グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議で、首相公邸からオンラインで発言する岸田文雄首相(モニター画面)。左は西村康稔GX実行推進担当相=24日午後、首相官邸

グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議で、首相公邸からオンラインで発言する岸田文雄首相(モニター画面)。左は西村康稔GX実行推進担当相=24日午後、首相官邸

原発新増設へ軌道修正 安定供給と脱炭素を両立―政府

 「再生可能エネルギーと原子力はGX(グリーントランスフォーメーション)を進める上で不可欠だ」。首相は24日のGX実行会議にオンラインで出席し、原発の必要性をこう力説。「次世代革新炉の開発・建設」と「運転期間の延長」を挙げ、「これらを将来にわたる選択肢として強化するため、検討を加速してほしい」と指示した。
 自民党は2011年の原発事故以降、原発推進の方向へ徐々にかじを切ってきたが、新増設や建て替えは踏み越えなかった「一線」だ。首相は先の通常国会でも「再稼働はしっかり進める」としつつ、新増設や建て替えは「現時点で想定していない」と明言していた。
 原発の運転期間は原則40年、最長60年とされ、現状のままなら原発はいずれなくなる。新増設や建て替え、運転期間の延長に踏み込めば、長期にわたり原発を使い続けることになる。新増設などは「エネルギー政策の大転換」(閣僚経験者)と言える。
 首相の判断を後押しするのが電力需給の逼迫(ひっぱく)とウクライナ危機だ。火力発電の休廃止や異常気象が重なり、国内では数年間、電力不足が見込まれる。今夏は老朽火力発電の稼働で乗り切ったが、ウクライナ危機の影響で原油市場は混乱しており、この手法は限界が指摘される。
 首相周辺は「GXに対応するためにも、エネルギー危機を乗り切るためにも、原発を最大限活用するしかない」と語る。首相は24日の会議で「足元の危機克服に万全を期す」と述べ、先に約束している今冬の原発9基の運転に加え、新たに7基の再稼働に全力を挙げる考えも明らかにした。
 一方、国民の間では脱原発を望む声も根強い。各党も自民党に比べ原発推進には慎重なのが実情だ。公明党は先の参院選の公約に「原発に依存しない社会を目指す」と明記。竹内譲政調会長は24日の記者会見で「方針転換は聞いていない。(国民の原発への)不信感を取り除くことが第一歩だ」とくぎを刺した。
 立憲民主党は党綱領に「原発ゼロ社会」を掲げる。同党閣僚経験者は「国民合意がない。勝手に決めていいわけがない」と述べ、国会で追及する考えを示した。同党内からは「旧統一教会問題を隠すための奇策」(ベテラン)とやゆする声も出ている。

 

 

 政府は24日に示した方針で、東京電力福島第一原発事故以降、原発の新増設を否定してきた原子力政策の大転換を狙う。既存原発も運転期間の再延長の検討や再稼働をさらに進める方針で、政府はウクライナ危機による電力需給の逼迫を理由に、原発活用に前のめりだ。だが、安全や安心の確保には大きな疑問があり、国民に理解されるかは分からない。(小野沢健太、増井のぞみ)

◆「次世代型原子炉」→技術が未確立

 「エネルギーの安定供給に向け、あらゆる選択肢を議論する。新増設も排除しない」。経済産業省の飯田祐二・経済産業政策局長は、24日に開かれた脱炭素政策を議論する「グリーン・トランスフォーメーション(GX)実行会議」を前にそう強調した。
 昨年10月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、原発の新増設には触れず、歴代首相も「現時点では想定していない」と繰り返し述べてきた。原発事故後の国民感情を意識し、踏み込むことを避けてきた。
 今回、新増設を検討するのは既存の原発ではなく、事故対策が改良された原発や小型原子炉などの次世代型。政府は安全性を重視するが、これらの次世代型の多くは海外で実証試験などの段階で、商業発電として確立したとは言いがたい。
 ある電力会社関係者は「既存原発の再稼働もままならない状況なのに、新型の原子炉を建設する余力はない。まずは今の原発の運転を重ね、技術力を戻すのが先だ」と首をかしげる。

◆運転期間延長→規制委は楽観せず

 福島事故後の2013年、原発の運転期間を原則40年と定め、1回に限り20年間延長できる法改正がされた。改正当初は「異例」とされた運転延長は、4基が原子力規制委員会から認可され、そのうち関西電力美浜3号機(福井県)が再稼働した。
 再延長を意味する60年超の運転となれば再び法改正が必要になる可能性も。規制委の更田豊志委員長は24日の記者会見で「技術的に詳細な議論が必要」。米国では80年の運転が認められているが、更田氏は「日本は地震が多く、海外に引きずられるべきではない」とくぎを刺した。

◆新たに7基再稼働→テロ対策、避難計画の不備が足かせに

 さらに、政府は、原発の新規制基準に適合したものの、再稼働にこぎつけていない5原発7基について来年夏から冬以降に再稼働させる目標を設定した。
 そのうち東電柏崎刈羽原発(新潟県)は、侵入検知器の故障を放置した問題で、規制委が昨年4月に事実上の運転禁止を命令。改善された状態と認められるまで命令は解除されず、その検査が続いたままだ。
 さらに、新潟県は独自の検証作業を再稼働に同意するかどうかの条件としており、作業終了は「見通せない」(県原子力安全対策課)。テロ対策の不備を受け、原発推進に前向きな自民党の県議からも「東電に運転してほしくない」との声が漏れ、不信感は根強い。
 日本原子力発電東海第二原発(茨城県)は、避難計画の策定が義務づけられる30キロ圏内に全国最多の90万人超が住み、計画作りが難航を極める。県のほかに策定できたのは、14市町村のうち5市町にとどまる。その上、水戸地裁は昨年3月、避難計画の実効性に問題があるとして運転差し止めを命じた。
 政府目標の1年余りのうちに、両原発が稼働できる可能性はほぼない。

 

 

政府は、電力の需給がひっ迫する状況やエネルギー安全保障に対応するため、来年の夏以降、原発7基の再稼働を追加で目指す方針を、24日開かれた脱炭素社会の実現に向けた会議で確認しました。
また、これまで原発の新増設について「想定していない」としていましたが、次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしました。

政府は24日、総理大臣官邸で「GX=グリーントランスフォーメーション実行会議」を開き、岸田総理大臣や西村経済産業大臣、それに経団連の十倉会長などが参加しました。

この中で、電力の需給がひっ迫する状況やエネルギー安全保障に対応するため、これまでに再稼働した原発10基に加え、来年の夏以降、追加で7基の再稼働を目指す方針を確認しました。

具体的には
▽福井県にある関西電力高浜原発の1号機と2号機
▽宮城県にある東北電力女川原発2号機
▽島根県にある中国電力島根原発2号機については
安全確保のための工事を行ったうえで再稼働を進めるほか

▽新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の6号機と7号機
▽茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発については
再稼働に向けた地元の理解を得るため、国が前面に立って対応することにしています。

そのうえで、中長期的には2050年のカーボンニュートラルの実現などに向けて、既存の原発を最大限活用するとしていて、現在、最長60年まで可能な原発の運転期間の延長のほか、今より安全性や経済性が高い次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしました。

政府は、これまで原発の新増設について「想定していない」としていましたが、具体的な方向性について、年内をめどにまとめることにしています。

岸田首相 次世代原子炉の開発や建設 年末までに検討を指示

 
会議の中で岸田総理大臣は「ロシアによるウクライナ侵略でエネルギーの需給構造に大きな地殻変動が起こっている中、電力需給ひっ迫という足元の危機克服のため、今後数年間を見据え、あらゆる政策を総動員して不測の事態に備えていく」と述べました。

そのうえで、原子力発電所をめぐる対応について「きょうの会議では、再稼働にむけた関係者の総力の結集、安全性の確保を大前提とした運転延長など原発の最大限の活用、次世代革新炉の開発建設など、今後も政治判断が必要な項目が示された。あらゆる方策について、年末に具体的な結論を出せるよう検討を加速してもらいたい」と述べ、次世代の原子炉の開発や建設などを年末までに検討するよう指示しました。

政府はこれまで、原発の新増設などは「想定していない」としていました。

また、LNG=液化天然ガスについて、事業者間で融通する枠組みの創設など、緊急時にも対応できる枠組みを検討し、早急に結論を出すよう指示しました。

原子力規制委 更田委員長「規制として要求レベル変えず」

会議で、来年の夏以降、すでに審査に合格している原発7基の再稼働を目指す方針を確認したことについて、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「すでに新しい規制基準に適合していると認められる原発が稼働するかどうかは、事業者がしっかりと工事を進めることや地元了解をもらう努力の問題で規制としては要求のレベルを変えることなく役割を果たすことに尽きる」と述べ、規制への影響はないという考えを示しました。

また、運転期間の延長については国会で議論するべきで、規制委員会が意見を述べる立場にないとしたうえで「技術的には運転期間に応じて劣化する設備もあれば、ケーブルやコンクリートなど運転にかかわらず劣化するものもあり、詳細な議論が必要だ。海外の事例はあるが、地震など置かれている状況も違い、すべての原発に対して一律に語ることはできないので個別に丁寧に見る必要がある」と述べました。

そのうえで、次世代の原子炉の開発や建設を検討することについては「今の規制基準はあくまで既存の原発のもので、新設や増設の計画が具体化されるのであれば、規制当局としては前もって新しい技術を規制できる準備をする必要がある。原子炉のタイプにもよるが規制のための基準を作るにはどれだけ頑張っても1年や1年半はかかる」と述べました。

西村経産相「あらゆる選択肢を排除することなく検討」

 
会議のあと、西村経済産業大臣は、記者団に対し「わが国のエネルギー安定供給を再構築するべく、あらゆる選択肢を確保していくことが極めて重要だ。こうした認識や観点から原子力についてもあらゆる選択肢を排除することなく検討していくことが必要だ」と述べました。

そのうえで、次世代の原子炉の開発や原発の運転期間の延長などについて「審議会の専門家の意見もいただき、与党とも連携しながら、結論を得ていきたい」と年内をめどに具体的な方向性を示す考えを示しました。

経団連 十倉会長「政府は前面に立って」

会議のあと、経団連の十倉会長は記者団に対し「原子力発電について前向きな姿勢が示された。原発の再稼働だけでなく、中長期的には運転期間の延長や次世代炉の開発についての発言もあったので心強く思っている。原子力発電は地元の理解を得たうえで進めるのが基本なので、ぜひ、政府は前面に立ってやってほしい」と述べました。

そのうえで次世代の原子炉の開発について「中長期の戦略をしっかり描いて、そこから逆算して必要なヒト、モノ、カネを投じる。そういうものをしっかり作っていただきたいと申し上げた」と述べ、官民が一体となって実用化に向けた戦略を描くことが重要だと強調しました。

再稼働目指す7基は

 
原子力発電所の再稼働は、東京電力福島第一原発の事故を教訓に策定された新たな規制基準にもとづいて原子力規制委員会が行う審査に合格することが前提で、これまでに九州電力、関西電力、四国電力の合わせて6原発10基が再稼働しています。

政府がこの10基に加えて再稼働を目指す方針の7基は
▽宮城県にある東北電力女川原発2号機
▽新潟県にある東京電力柏崎刈羽原発の6号機と7号機
▽茨城県にある日本原子力発電の東海第二原発
▽福井県にある関西電力高浜原発の1号機と2号機
▽島根県にある中国電力島根原発2号機です。

7基はいずれも、規制委員会の審査に合格しています。

このうち、高浜原発の2基について関西電力は、テロ対策に必要な施設の完成後に再稼働を計画していて、1号機が来年6月、2号機が来年7月を目指しています。

また、島根原発と女川原発は、安全対策工事を終える必要があり、島根原発2号機の再稼働は今年度中の工事完了後、女川原発2号機の再稼働は再来年2月の方針を、それぞれ示しています。
一方で、柏崎刈羽原発と東海第二原発は、地元からの同意が得られていない状況です。

加えて、柏崎刈羽原発は去年、テロ対策上の重大な不備が相次いで発覚し、原子力規制委員会による検査が現在も継続しているほか、東海第二原発は、安全対策工事を再来年9月に終える予定ですが、周辺自治体の避難計画の策定が終わっておらず、再稼働の時期が見通せない状況です。

原発の立地地域で見ると

すでに再稼働した10基はいずれも西日本にありますが、政府が今回、再稼働を目指すとした7基のうち4基は東日本に立地しています。

また、電力各社が示している計画が予定どおり進んだ場合、来年中にも再稼働するのは高浜原発と島根原発の合わせて3基となります。

エネルギー基本計画と原発新増設の議論

東京電力福島第一原子力発電所の事故後、政府は、エネルギー基本計画の中で原子力発電への依存度を可能な限り下げる方針を打ち出し、去年、閣議決定された第6次の基本計画でも「原発は安全性を最優先し再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減する」と明記しています。

エネルギー政策を所管する歴代の経済産業大臣は、原子力発電所の新規建設や増設、建て替えについて「想定していない」と繰り返し述べてきました。

一方で、去年閣議決定された第6次の基本計画では、温暖化対策めぐる議論を背景に「カーボンニュートラル実現に向けては、原子力を含むあらゆる選択肢を追求する」との方針を盛り込みました。

こうした中、経済産業省はことし4月から新たな技術を盛り込んだ原子炉を「革新炉」と位置づけ、原子力政策を議論する審議会に専門家などで構成するワーキンググループを設置。

ワーキンググループは先月、技術開発の目安を示した工程表の素案をまとめ、この中で、日本の原発をはじめとする「軽水炉」に新たな技術を反映させた「革新軽水炉」を開発し、2030年代に運転開始、海外で開発が進む「小型炉」や「高速炉」は、試験的な炉の運転を2040年代に始めるなどとしました。

この素案に対し、委員の専門家からは「安全性向上だけでなく、電力の安定供給にもつながる」とする声の一方で「議論が十分足りていない」といった指摘が相次ぎました。

また「『原発の新設や増設は想定しない』とする政府の方針と矛盾する点をどう整理するのか」とか「原発事故の影響で不安視する国民が少なくない中エネルギー情勢の理解を深める取り組みが必要だ」といった意見も出されていました。

原発の新増設をめぐる課題は

福島第一原子力発電所の事故のあと、政府は「原子力発電の依存度を可能なかぎり低減する」とする一方、原子力発電を基盤となる電源という意味の「重要なベースロード電源」と位置づけています。

去年10月に閣議決定したエネルギー基本計画でも「原発は安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能なかぎり依存度を低減する」と明記しています。

そのうえで2030年度の電源構成では原子力を「20%から22%」としていて、これまでの計画の水準を据え置いています。

経済産業省によりますと、国内にある原発36基のうち、福島第一原発の事故のあと、再稼働したのは10基ですが「20%から22%」という電源構成を実現するには、20基以上の稼働が必要だということです。

また24日の会議で政府は、これまで「想定していない」としていた原発の新増設について、次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしました。

次世代の原子炉をめぐっては、安全性が向上するとされる「革新軽水炉」や、既存の原子炉より小型で、メンテナンスがしやすく建設コストも低いとされる「SMR」と呼ばれる小型炉などの実用化が経済界などから期待されています。

原発の在り方をめぐるさまざまな意見も踏まえ、政府は、具体的な方向性を年内をめどにまとめることにしています。

電力需給は “綱渡り” 続く

電力の需給は、老朽化した火力発電所の休止や廃止などでひっ迫した状況が続いています。

このため政府は、7年ぶりに全国で節電要請を行い、7月から9月までの3か月間、無理のない範囲で節電への協力を呼びかけています。

そのうえで、老朽化して運転を停止していた火力発電所を再稼働させるなどして、必要な供給力を確保しています。

この冬に向けては、さらに需給がひっ迫する状況が懸念されるとして、政府はこれまでに再稼働した原発10基のうち、最大で9基の稼働を進める方針です。

また、この夏と同様に休止中の火力発電所を再稼働させるほか、災害で停止した火力発電所の復旧を急ぐなどしています。

ただ、想定外のトラブルに見舞われた場合、一気に電力需給がひっ迫する綱渡りの状況は変わらず、私たちの暮らしや企業の活動に欠かせない電力の安定供給は引き続き大きな課題となっています。

国際大学 橘川教授「本気で取り組むのか疑問だ」

政府がこれまで「想定していない」としていた原発の新増設について、24日の会議で次世代の原子炉の開発や建設を検討することを明らかにしたことについて、去年、閣議決定された第6次エネルギー基本計画で委員として策定にかかわった国際大学の橘川武郎教授は「本気で取り組むのであれば、具体的なプランを明らかにする必要があり、どんな原子炉を誰がどこで作るかが重要だが、電力会社の動きもなく、政策転換とまで言えるかは、疑問だ」と述べました。

そのうえで、24日発表した背景については「世界的に見て、ドイツやベルギーなど短期的には原子力を使わないと乗り切れないとする国も出てきていて、タイミングを見計らっていたのではないか。今後どの程度反発が出るかなど反応を見ようと考えている可能性がある」と語りました。

また、この方針が電力需給のひっ迫への対応として示されたことについては、「新しい原発を建設するには10年や20年かかるので、今の電力危機の解消には間に合わず、電力需給のひっ迫と結び付けて原発の新増設の方針を示すのはひきょうで、論点をずらしている」と指摘しました。

原発に批判的な立場のNPO「政府が原発再稼働に前のめりに」

原発に批判的な立場から政策提言を行っているNPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は「事実上の方針転換で、唐突感が拭えない。原発の新増設や立て替えについての国民的な議論が全くされていない中でまだ具体性に乏しい次世代炉の建設を打ち出すのは政府が原発再稼働に前のめりになっていると強く感じた」と話しました。

そのうえで、来年の夏以降、原発7基の再稼働を追加で目指す方針については、「柏崎刈羽原発や東海第二原発では地元判断が示される前に政府が方針を示してしまい、順序が逆になっている。再稼働を進める前に地元も含めてしっかりとした議論が必要だ」と指摘しました。
 
 
 

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1 コメント

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Unknown (河内のおじいちゃん)
2022-08-27 17:37:49
コロナについて、あれだけ二類から五類に換えろと言っていた知事さん方。
全数報告をやめ、機関病院からの定点報告に変更になったのに、何を文句を言っているのでしょうか。
この点では希望の五類相当になっているじゃないですか。

自治体に責任を負わせられたので文句を言っているのかな。
まさか治療費を自己負担にすれば良いと思っているんじゃないでしょうね。
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