
これほど教育とはなんたるかを全く理解していない政治家も珍しい。
大阪「都」構想の住民投票に向けて、橋下市長や大阪維新の会は街頭演説などで、「現役世代への重点投資」を「改革実績」に挙げ、「平松市長のときから子ども教育予算を5倍、6倍にした」と、大阪市の資料を基にしたとするグラフを使って宣伝しています。
この2行だけで、普通の知性や理性の持ち主なら嘘だとわかります。
だって、教育予算が歳出の中で占める割合は非常に高いわけで、それを5倍にしたら一挙に財政が破たんする、というか5倍にするなんて絶対に不可能なことは国の予算を考えてもわかるはずです。いきなり文科省の予算だけ5倍にするなんてありえないでしょう?
でも、それを信じさせるのが橋下催眠商法の凄さなんでしょうね。
それにしても、橋下商法に大阪市の説明会や維新のタウンミーティングで初めて触れた人が騙されてしまうのは仕方ないのですが、ずっと橋下維新を支持している人たちがおかしいと気が付かないのは本当に不思議です。
まあ、そういう人たちだからずっとついて行っているのでしょうが。
以下、フジテレビと橋下市長に見る「詐欺にパネルは使いよう」 気を付けよう、ハシモトトオルとフジサンケイ。より
「大阪維新の会ができるまで、大阪市の教育予算てわずか六七億円ですよ」
「(小中学校は)お金がないといってクーラーつけてなくて、何をやったかというと平松さんはゴーヤとヘチマを植えたんですよ。それで涼しくしようとして」
「もう小学校、中学校、クーラーつけましたよ。中学校は全部ついています。小学校はあと一年で全部つきます。それだけで二〇〇億か三〇〇億ぐらいお金かかりました」
また、橋下は子供にタブレット端末を配ったことを自画自賛する。
「まあ見事に子供教育予算を五倍に増やしました。今まで大阪維新の会以前では本当にできなかった」
これも大嘘である。棒グラフに細工が施されているのは他のパネル同様だが、そもそも、平成二三年度の六七億円という数字が嘘なのだ。
平松市政が行なわれていた平成二三年度のこども青少年費は一六八七億円、教育費は九八〇億二二〇〇万円である。平成二六年度の橋下市政では、こども青少年費が一七一三億一九〇〇万円、教育費が八四五億五六〇〇万円。つまり、橋下は一〇八億四七〇〇万円も予算を削っているのである。維新のパネルは「塾代助成」などを恣意的に取り出して作成したものにすぎない。
ちなみに、橋下がクーラーをつけたというのも嘘らしい。前出の辻議員が言う。
「あれは平松市政のときに公明党の漆原良光議員が質疑をして補正予算をつけたんです」
二重、三重、四重に嘘をついているので、橋下本人も自分が何を言っているのかわからなくなってきたのではないか。

デンマークの直接現金支給額は1人当たり3万8000ユーロ程度と、1位のドイツと違ってOECDで最も低い国の1つです。
つまり、ドイツの少子化対策は、現金支給(税優遇含む)が政策の大半を占めていますが、デンマークは育児と仕事の両立ができる環境を整えることに重点を置き、保育所や学校などの施設拡充により多くの費用を投じているのです。
そこが両国の明暗が分かれたところなのに、橋下市政では塾代を補助して、小学校は統廃合し、保育料は値上げしてます。
そしてさらに、大阪「都」になったら市内の全保育所を民営化するというのです。
まさに暴挙。
これでは子どもの数が減るのは当たり前です。
こどもの日 安倍政権と子どもの減少数日本一の大阪維新はデンマークの少子化対策に学べ
2 しかも、塾代助成バウチャー制度は、お金を塾代にしか使えません。これでは、そもそもあまり意味のない現金支給がさらに意味が乏しいものになります。
なぜなら、各家庭が子育てするのに必要な費用はそれぞれ違うのに、これでは税金から支出したお金が塾代にしか使えないからです。
こういう予算は塾産業を潤す利権にはなっても、公費で賄うべき「教育費」を支出したとは言えません。
いみじくも教育予算と言いたいなら、同じお金を学校や保育所などの公教育にまわすべきなのです。
なお、橋下維新の会は統一地方選挙と大阪「都」構想住民投票があるということで、2015年度は歳出を大盤振る舞いする予算案を提出しています。歳入は3年ぶりに減少したのに、歳出は3年連続で増加させました。そして、教育予算が初めて平松市長時代より多くなりました。このあたりのやり口は伝統的な自民党のやり方そのままです。
ところが中身を見てみると、予算案では、学習塾などの費用を助成する教育バウチャー(クーポン券)事業を拡充し、これまで大阪市内に住む生活保護や就学援助を受ける家庭の中学生約2万人が対象だったのを、今秋から約5万人にまで拡大し、事業費として25億400万円を計上しました。
さらに、タブレット端末を全小中学校に整備するなど、ICT(情報通信技術)活用の促進に38億6300万円を盛り込んでいます。これら2事業について、「半端ない予算額だが、ここは譲れない」として、予算の「柱」と位置付けていることを明らかにしました。
塾代といい、タブレットと言い、橋下市政ではとにかく外部の業者が儲かることだけが「教育予算」として拡充されるのです。
ちなみに、橋下氏が大阪市長になってから、下のような住民サービスがカットされているのですが、そのうち子育て・教育政策で見ると
1 保育料の軽減措置を見直して値上げ
2 学童保育事業補助金廃止
3 新婚世帯向け家賃補助新規募集停止
などがあります。
学童保育を減らすと言うのは、お父さんお母さんが働いていて家に帰っても両親がいない子たちなどの居場所がなくなってしまうことを意味していて、子育てに極めて重要な学童保育への補助金を廃止してしまうなんて言語道断なんです。
さらに学童保育とは別に、橋下市長は大阪の子達を育ててきた「子どもの家事業」も廃止してしまいました。
![]() |
断ち切らないで―小さき者を守り抜く「子どもの家」の挑戦 |
ふくろう出版 |
「子どもの家事業」とは、大阪市内29か所で実施されている放課後施策の一つで、現在利用している子どもは約1,900人。
経済的に有料サービスは受けられない家の子ども、不登校の子ども、特別支援学校に通っているけれど児童デイサービスには馴染まない子ども、クラブ活動が苦手で放課後の居場所がない子ども、中学生や高校生まで、利用する子どもは様々です。
0歳から18歳まで、小学生に限らず中高生でも幼児でも「いつでも誰でも行くことができる」それが「子どもの家事業」の特徴で、「学童保育」や「児童いきいき放課後事業」など、他の放課後施策と大きく異なる点といえます。
本書は、子どもの家事業の廃止案が出されたことを受け、「子どもの家事業」とは何なのか、どのような機能を果たしてきた事業なのかを問い直し、その意義を改めて見つめようとするものです。
橋下市長は小学校の統廃合も急速に進めており、小学校を統廃合した区には予算をつけるというとんでもないエサまでぶら下げています。
また、橋下市長が現場に押し付けた公募校長の不祥事は目を覆わんばかりです。そもそも、教育を知らない民間人を教育現場にいきなり持ってくる発想自体がナンセンスです。
「中身はポンコツばっかり『橋下チルドレン』不祥事一覧」全文 週刊新潮 2015/04/16日号
さらに、大阪「都」構想では大阪府全体で国公立大学が4校しかないのに、「二重行政」の象徴として大阪府立大学と大阪市立大学を統合して1つにしてしまうとしています。場所も全く違うのに、どこがかぶっているというのでしょうか。
大阪「都」構想の嘘4 神奈川県と「かぶる」(二重行政)から横浜市を解体する横浜市民おんのかいな?
そもそも、橋下維新の会が日の丸・君が代強制の教育基本条例を制定したり、教員いじめをしているせいで、大阪府の教員になりたいという学生が近隣府県の半分になってしまっています。良い人が来てくれないのですから、これでは大阪だけ教員の質が低下するでしょう。
実は原発事故直後の福島県を除き、橋下・松井府政になってから子どもの人口減少数がずっと全国一の大阪ですが、これではますます子供が産めない、子どもたちが笑えない大阪になっていくのは確実です。
こんな人たちの作る大阪「都」に、あなたなら住みたいですか。
大阪府知事時代に、本来の意味での教育予算をどんどん削ってしまった橋下氏。
「『子どもが笑う』 とは皆さんが笑うことではない」橋下大阪府知事が女子高生を泣かせたハシズム全開討論
人の心の機微がわからない人に、教育を語る資格なんてそもそもない。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
関連記事
「大阪都構想」の嘘1 住民投票可決でも大阪は「都」になれない。大阪「都」構想とはずばり大阪市の解体だ
大阪「都」構想の嘘2 二重行政解消の嘘1 大阪市を解体・廃止しても「財政効果なんて意味ない」程度
大阪市を解体→5つの特別区にすると、議員数・財源・権限が減って住民自治は村以下に! 「都」構想の嘘3
大阪「都」構想の嘘4 神奈川県と「かぶる」(二重行政)から横浜市を解体する横浜市民おんのかいな?
日本最大の政令指定都市大阪市を解体・廃止すると、権限と財源がこんなに奪われる 大阪「都」構想の嘘5
大阪「都」構想の嘘6 特別区・一部事務組合・大阪府の3重行政のムダが凄い
![]() |
雇用・暮らし・教育の再生の道―大阪都構想・カジノからの転換 |
自治体研究社 |
本書は、橋下維新政治で破壊されてきた暮らし、教育、保育、文化を住民の手に取り戻し、市民共同の力で大阪の地域経済を雇用の安定で再生させる骨太の道をしめしています。
冨田 宏治、 森 裕之。関西学院大教授らによる大阪解体分析、最新刊。自治体研究社刊。
小学校統廃合したら予算優先 大阪市教委が方針
2015年4月28日13時49分 朝日新聞
大阪市教育委員会は28日、市立小学校のうち児童減少に伴う統合を進めた区や学校に、優先的な予算配分を検討する方針を示した。市教委の基準では市立小の約3割が統合対象にあたるといい、予算措置を設けて統合を促す狙いだ。
この日、首長と教育委員が教育行政について話し合う「総合教育会議」が開かれ、橋下徹市長は学校の適正配置を進めるよう要望。大森不二雄教育委員長が「統合に積極的に取り組む区や学校に、優先的に予算配分するルールを定めてはどうか」と提案した。夏ごろまでに具体的な計画を検討する。
市教委は2010年、市立小の統合基準を、全学年の児童が20人未満▽全学年が1学級▽全校児童120人未満などと定めた。292校のうち83校が対象。
橋下氏は「教育環境を整えるために学校の適正配置は必要。通常のやり方ではなかなか進んでおらず、大胆な案で実行してもらいたい」と話した。会議は改正地方教育行政法が今月施行されたことに伴い、大阪市では初めて開催された。
文部科学省は今年1月、公立小中学校の統廃合の考え方を記した手引を59年ぶりに改訂。小学校が1校6学級以下、中学校が1校3学級以下の場合、速やかに統廃合を検討するよう求めている。
2015.5.11 07:38
【大阪都構想】
都構想 20代女性、調査のたび「賛成」低下…男性は「賛否」拮抗
性別・年代別の大阪都構想の賛否
産経新聞社が3月から5月にかけて大阪市内の有権者を対象に3回実施した「大阪都構想」に関する世論調査で、20代女性は調査のたびごとに賛成の割合が低下し、今回は初回の半分以下にまで落ち込んだ。また、70歳以上の男女も反対が賛成を大きく上回った。子育てや、70歳以上が対象の優待乗車証「敬老パス」に象徴される高齢者福祉など、身近な行政サービスの先行き不透明感に対する不安を投影している可能性もある。
今回の調査で、都構想への賛否を性別でみると、男性が賛成45・1%、反対45・2%で拮抗(きっこう)しているが、女性は賛成34・2%に対して反対が過半数の50・3%に上った。
女性ほぼすべての年代が「反対」
年代別では、男性が30~50代で賛成が5割を超えた一方、女性は60代を除くすべての年代で反対が上回った。特に20代女性は、賛成の割合が初回(3月)の40・2%から2回目(4月)は27・6%に下がり、さらに今回は17・1%まで低下した。
都構想に反対する理由は「住民サービスが良くならないから」が2番目に多く、暮らしへの影響を見極めようとする有権者の姿勢も見てとれそうだ。
自民党支持層は…
また、支持政党別にみると、住民投票で否決を目指す自民党支持層のうち反対は53・3%、賛成が36・6%だった。前回の調査から反対が7・9ポイント減る一方、賛成が9・6ポイント増えた。
同様に否決を目標とする他党の支持層で反対と答えた人は、民主党93・6%、公明党78・0%、共産党85・5%で、いずれも3回の調査で最も高い割合となった。
住民投票の投開票を17日に控え、3党が順調に支持層に主張を浸透させているのに対し、自民党の取り組みの課題が浮き彫りになった格好だ。
一方、都構想を推進する維新の党の支持層の賛成は90・2%で、4月の前回調査から3・1ポイント減り、反対は3・7%で1・9ポイント増えた。3月の前々回調査で86・6%が賛成し、前回調査では93・3%へと伸ばしていたが、頭打ちの傾向も見て取れる。
「支持政党なし」の無党派層は反対が52・0%、賛成が28・0%だった。
また、分割される5つの特別区別でみると、前回調査で唯一賛成が上回った「北区」(北、都島、福島、淀川、東淀川区)を含め、すべての特別区で反対が賛成を上回った。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
しかし、厚顔無恥もここまで来ると本当にうすら寒い物を感じる。
”嘘もつき通せば本当になる”というが、彼の中では自分がついた嘘がいつの間にか本当の事になっているにだろう。
これ以上この男に権力が集まるのは、子供に銃を持たせるのと同じであり、絶対に見過ごす訳にはいかない。
○この「教育費を5倍にした」なんてのも、常識外の話ですよね。
○でも「教育は強制」ってのは乗せられる人も多いかも知れませんよ。子供にとって学校へ行くのは「義務」ですからね。
○その教育のやり方も多分に強制的ですよね。
○私、思うんですけど学校教育から可能な限り「強制性」を減らす必要があるんじゃないでしょうかね。
○科目を選択制にする、テストは止める、入学試験はやらない、卒業証書は出さない、不登校はうっちゃっておくなんてね。
○それと橋下の「強制」は「君が代」に絡んでいるので「統制」のニュアンスが濃厚ですね。そちらの方がコワイです。