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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

日本維新の会と連携をはかる野田佳彦元首相や泉健太代表との立憲民主党代表選に再び勝って、枝野幸男氏は立民・共産・れいわ・社民のまともな野党4党の共闘を再構築し、自公政権を打倒して政権交代を果たすべきだ

2024年09月01日 | 立憲民主党は維新と国民民主と手を切れ

2021年9月8日に市民連合から政策提言を受け取ったまともな野党の4党首。

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 うちのブログは何度も書いてきたように立憲民主党代表選では創立者の枝野幸男氏が勝利して返り咲くのが一番だと思っています。

(もし吉田晴美さんが立候補出来て勝つ見込みがあるのであれば、吉田さんが勝って枝野さんが支える形が理想的ですが、それは非常に可能性が乏しいので)。

 しかし、だからこそどうしてもこの時点で枝野氏に注文を付けておきたいことがあります。

 それは、枝野氏が時事通信との単独インタビューで

 ―集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法への考え方は。

という質問に対して

「現状の運用は全て個別的自衛権で説明される範囲だ。

 条文そのものが直接違憲であるかというと、現状の法律は基本的には問題ない。

 ただ前提となる(2014年7月の)閣議決定を放置すると拡大解釈されるリスクがあるため、対応しなければいけない。」

と答えた部分です。

 これは法律論として全く間違っている、弁護士にあるまじき発言です。

 2015年9月17日の参議院平和安全法制特別委員会でのいわゆる「安全保障関連法案」強行採決の場面。

安倍内閣の「安保法案」、内容も手続きもルールに則らなくて良いというのなら、この世は真っ暗闇だ。

 

 

安倍政権「核兵器の運搬も安保法制の法文上は後方支援として排除していない」「日本も核兵器を保有できる」

安倍首相が驚きの答弁。「米艦への攻撃の危険があれば、それだけで日本は存立危機状態になり、参戦できる」

 

 

 集団的自衛権とは、政府解釈によれば

「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」

です。

 第二次安倍政権以前は自公政府でさえ、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないとしてきました。

 これは内閣法制局の統一見解だったのですが、安倍晋三首相は2014年に集団的自衛権の行使を合憲であると言ってくれる内閣法制局長官を外部から持ってくるという反則技を使い、かつ閣議決定で集団的自衛権の行使も憲法9条の許容するところであると憲法解釈をいきなり変更してしまいました。

 その後、安倍政権は集団的自衛権の行使を認める安保法案を2015年に国会に提出して強行採決のうえ成立させてしまったわけですが、当時、枝野幸男氏も彼が属していた民主党もこぞってこの安保法制が違憲であると主張していました。

アベは辞めろ! 2015・8・30 写真と動画で見る戦争法案反対、35万人の記録。

 

枝野氏はこの民衆のパワーを侮らず、また裏切るな。

橋下市長が12万人集会に「たったあれだけの人数で国家の意思が決まるなんて民主主義の否定」と言う欺瞞

 

緊迫・安保法案】国会前デモ 枝野氏「集まっていただきありがとうございます」に参加者「お前のためじゃない」(1/2ページ) - 産経ニュース

安保法案強行採決直前の2015年9月16日に、民主党幹事長として国会前で安保法案反対演説をする枝野幸男氏。

「立憲主義と民主主義を守るためにこうして集まっていただいている。ありがとうございます」

「まともな国民の声がまともに通じる、まともな議会にしていくために私たちは最後までがんばります」

演説した。

【感涙!】NHK世論調査。「立憲主義を知っていた」が過半数!「立憲主義を重視すべきだ」が7割!

 

 

 ところが枝野氏は今になって、安保法制の

「現状の運用は全て個別的自衛権で説明される範囲」

 だから、安保法制の

「条文そのものが直接違憲であるかというと、現状の法律は基本的には問題ない。」

と言い出したのです。

 安保法制の条文は1文字たりとも変わっていないのに、現状の運用が憲法の範囲内で合憲だから、いきなり違憲だった法律の条文そのものまで合憲になるだなんてことはありえません。

 それに、安保法制の運用が個別的自衛権の範囲内にとどまっているのは、たまたま米軍が他国の軍隊から攻撃されて日本の自衛隊が米軍を助けるために参戦するという状況にならなかったからだけで、それは偶然、幸運だっただけなのです。

立民が公約発表 「所得底上げ」柱:参院選2019:中日新聞(CHUNICHI Web)

2019年参院選での立憲民主党の公約。

 

2019年4月22日、安保法廃止法案を国会提出した立憲民主党の枝野幸男代表、国民民主党の玉木代表、共産党の志位和夫委員長、自由党の小沢一郎代表。

「安保法案」反対集会とデモが日本にもたらした美しい果実。そして、自衛隊は事実上派兵できなくなった。

 

 

 安保法案が成立して安保法制ができた2015年も、今も、憲法9条では許されない集団的自衛権の行使ができるようになっている安保法制は違憲です。

 枝野氏は外交・防衛政策で立憲民主党が「非現実的」だと批判されるのを恐れて、安保法制の今の運用が合憲な個別的自衛権の範囲内だから条文まで合憲などという非論理的なことを言い出したのでしょう。

 しかし、立憲主義を貫けと何度も波状的に国会を包囲したあのパワーこそが立憲民主党の命名の由来ではないですか。

 今更、安保法制の条文に問題がないなどという辻褄の合わない嘘を言ってしまったら、良心的な無党派層や立憲民主党の支持者が納得しますか?

 喜びますか?

 そんなことはあり得ません。

砂川事件最高裁判決は集団的自衛権の行使が合憲である根拠にはならない。

 

砂川事件最高裁判決から40年後、高村副総裁(当時外相)も集団的自衛権の行使は憲法違反だと認めていた。

 

 

 ところで、枝野氏は5月25日の講演で、円安が続く為替市場について

「消費税を単純に減税したら日本の財政がパンクする」

「日本は放漫財政にはしませんと明確にしなければ、ハイパーインフレが起こりかねない。今減税するというのは絶対禁句だ」

などと言いましたが、これも自分は現実路線をとっています、政権担当能力がありますとアピールしなければいけないという強迫観念に負けて、かえって大げさで非現実的なことを言ってしまった例です。

他のまともな野党3党が消費税減税や廃止を公約にしているのに、2021年衆院選で消費税減税を公約にしたのは間違いだったとまで言ってしまったら、野党共闘が不可能になってしまう。

立憲民主党前代表の枝野幸男氏がまた衆院選での消費税減税公約を「政治的に間違いだったと反省している」。泉健太代表を引きずり降ろさないといけない時にトンチンカンなことを言うエダノンはしばらく休んどけ!

 

 

 この枝野氏のハイパーインフレ発言はれいわ新選組の山本太郎代表から8月30日に

「消費税5%にするとハイパーインフレになってしまうという経済感覚を持っている者は、政治家をやめた方がいい。

 へたしたら自民党のほうがまだましかもしれない」

と痛烈に批判されましたが、ここだけ切り取って取り上げれば山本氏の言い分に軍配が上がります。

(山本氏のこの記者会見には、野田氏と枝野氏を旧民主党の「過去の遺物」として同一視して自民党と変わらないなどとディスって、野党共闘をできなくしてしまうなどの大きな問題がありますが。)

 枝野氏が公約に掲げた消費税5%分に相当する給付付き税額控除は、実は内容によっては単純な5%分の消費税減税よりも所得の再分配効果が高く、優れた減税案だとは思いますが、消費税減税を頭から否定したら、消費税減税を公約にする共産・れいわ・社民との共闘が不可能になってしまいます。

前回の衆院選直前の2021年9月8日に、「市民連合」の関係者から政策提言を受け取る立憲民主党の枝野幸男代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島瑞穂党首、れいわ新選組の山本太郎代表=参院議員会館

参考記事 村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより 

「立憲民主党代表選挙では最もましな候補である枝野幸男の政策上の問題点、それは消費税減税の拒否。」

 

kojitakenの日記さんより

 

 

 枝野氏が時事通信のインタビューの中で言った次期衆院選での野党協力について

『地域ごとは歓迎だが、全国統一的な選挙協力という形で「他党に助けてもらわないと戦えないひ弱な政党だ」と思われるようなことはしない。』

と言った発言も共産党からの反発を招いていますが、これも自分が代表だった2021年の衆院選で立民が議席を減らした時以来の「立憲共産党」コールを過度に恐れた発言に見えます。

 そもそも、枝野氏が泉健太代表や野田佳彦元首相よりも立民代表として最も優れている点は、日本維新の会との連携を絶対にしないであろう点です。

 しかし、立民が単独で自民を倒す実力はまだない以上、他のまともな野党との協力を自分から困難にするような発言はすべきではないです。

 超ベテラン政治家なんだだから、それくらい言わんでもわかっとうろうが(笑)。

緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説「安倍政権が不信任に足る7つの理由」

解説 上西 充子解説 田中 信一郎 | 2018/8/9
 
 
 
 
枝野幸男氏も立憲民主党も、創立の精神を思い出して数年前の輝きを取り戻せ。

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インタビューに応じる立憲民主党の枝野幸男前代表=8月28日、国会内

 立憲民主党代表選(9月7日告示、23日投開票)への立候補を表明した枝野幸男前代表(60)は時事通信のインタビューに応じ、次期衆院選で立民の単独過半数を目指す考えを示した。主なやりとりは以下の通り。

早期解散論、自民に強まる 総裁選、「刷新」へ期待感

 ―出馬を決めた理由は。

 自民党不信が大きいにもかかわらず、野党への期待感が必ずしも高まっていない。今の日本の危機をどう越えるか党内で議論するため、私が一つの選択肢を明確に掲げる責任がある。

 党内の誰かと比べて「自分が」という思いは全くない。自民の総裁候補と比較して(国民の支持を集める)自信があるから名乗りを上げた。

 ―「人間中心の経済」を掲げた。

 衆院選で掲げる国民へのメッセージだ。国民が政治に一番求めているのは、経済と暮らしを立ち直らせることだ。一人ひとりを大切にするから経済も成長する。日本を人を大事にする国にする。

 ―集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法への考え方は。

 現状の運用は全て個別的自衛権で説明される範囲だ。条文そのものが直接違憲であるかというと、現状の法律は基本的には問題ない。ただ前提となる(2014年7月の)閣議決定を放置すると拡大解釈されるリスクがあるため、対応しなければいけない。

 ―米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設や日米地位協定を見直すか。

 辺野古移設は軟弱地盤の問題もあり、目的達成自体に大きな疑念がある。見直しに向けた協議を丁寧にやれば前進の余地はある。日米地位協定も同じで、片務的すぎる。独立国としての気概をもって交渉をするべきだ。

 ―21年衆院選で共産党と「限定的な閣外からの協力」で合意した。

 それも含め、いかに野党がまとまるかばかりが注目された状況が、立民の見えにくさをつくってきた。責任の一端は私にもある。

 ―次期衆院選での野党協力は。

 地域ごと(の候補者調整)は歓迎だが、全国統一的な選挙協力という形で「他党に助けてもらわないと戦えないひ弱な政党だ」と思われるようなことはしない。

 ―単独過半数を目指すか。

 それは最大野党が常に求められる責任だ。今回だからではなく、常に目標はそこに置いておかなければいけない。今の候補者数と比例で十分に立民の力強さを示し得る土壌はある。

 ―国民民主党との関係は。

 共通の支持基盤(連合)に支えられている政党だ。相手の意向や立場を踏まえつつ、もっと支持者がやりやすいこと(歩み寄り)を模索する責任はある。

 

 

集団的自衛権行使容認閣議決定後10年を迎えるにあたって改めて違憲であることを確認する会長声明

2024年07月01日

東京弁護士会 会長 上田 智司

1 2014(平成26)年7月1日に、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定(以下「本閣議決定」という)が行われて、10年の歳月が流れようとしている。

同日、安倍内閣は、長年維持されてきた政府の憲法解釈を変更し、「我が国を取り巻く安全保障環境が激変した」として、「我が国と密接な関係にある他国が武力攻撃を受け」た場合に、我が国が直接武力攻撃を受けておらず、またそのおそれすらないにもかかわらず、日本が他国のために武力を行使することを可能としてしまったのである。本閣議決定にもとづいて、翌2015(平成27)年9月19日に参議院本会議で安保法制が成立したが、そこには、集団的自衛権の行使容認にとどまらず、住民保護における武器使用の容認、他国の戦闘行為に対する後方支援、武器等防護などの規定が含まれていた。これに対しては、日本弁護士連合会はもとより、当会を含む全国全ての単位弁護士会がその違憲性を指摘して、廃止を求める声明を発出した。

2 言うまでもなく、違憲の最たるものは、集団的自衛権の行使容認である。

我が国は、憲法前文及び9条において、徹底した恒久平和主義を定めており、政府も、自衛のための実力については、専守防衛・必要最小限度の実力に限定し、実力行使の要件については、1972年に、具体化する武力行使3要件が定められた。その要点は、①我が国に対する急迫不正の侵害(武力攻撃)が存在し、②これを排除するために他に適当な手段がない場合、③自衛のための必要最小限度の実力行使にとどめること、というものである。

そして、以後40年以上にわたり、歴代内閣は、集団的自衛権の行使は、我が国では、憲法9条に違反するものであり、現行憲法の下では認められない旨答弁して、この立場を堅持してきた。

しかし、安倍内閣は、上記のとおり、それまで長年に亘って積み重ねられてきた政府の憲法解釈を変更し、「我が国を取り巻く安全保障環境が激変した」として、第一要件に、「我が国と密接な関係にある他国が武力攻撃を受け」という文言を加えて、我が国が直接武力攻撃を受けておらず、またそのおそれすらないにもかかわらず、他国のために武力を行使することを可能とした。

これに対しては、歴代内閣法制局長官、最高裁判事、ほとんどの憲法学者が、違憲であり許されないと反対し、当会も反対声明を発出している。

そして、翌年成立した安保法制には、集団的自衛権行使のほかに派遣地の住民保護、武器等防護、後方支援等の任務及び武器使用を認める規定が定められているところ、これらも、紛争に事実上加担したり巻き込まれることになる危険性が強いと解されるため、戦争を放棄した憲法9条の趣旨に違反するものである。

3 内閣は閣議決定の前に、憲法学者が一人もおらず、全員が集団的自衛権 容認論者で占められていた私的諮問機関に諮問し、その後、集団的自衛権は違憲であるとしていた内閣法制局長官を更迭し、集団的自衛権容認論者を 新たな内閣法制局長官に抜擢している。

そして、衆議院では強行採決を行い、参議院の委員会では、議事録を書き換えるなど、およそ慎重に熟議したとはいえない非民主的な手続で強行されたものであり、憲法9条に反するだけでなく、憲法の基本原則である立憲 主義にも反し、憲法改正権者である国民の意思も権利も無視して成立させられたという点においても、極めて重大な問題を含むものであった。

国会での法案審議中の2015年8月には、10万人を超える人々が国会前に集結し、政府及び国会が横暴極まる方法によって憲法規範が破壊されることに抗議の声を上げたにもかかわらず、無視されて進められたことを、我々は忘れてはならない。

4 そして、その後の10年間に、政府は、安保法制に基づいて、武器等防護として米艦防護を何度も実施し、戦闘機に中距離巡航ミサイルを搭載できることを認め、ヘリ空母と称していた護衛艦「いずも」に垂直離着陸機F35Bを搭載できるように改造し、さらに防衛費を倍増し、安保関連三文書に おいて敵基地攻撃能力の保有を宣言し、防衛装備移転三原則の運用指針の変更によって多国間共同開発戦闘機の第三国輸出を可能とするなど、その「平和安全法制」の名に反する、緊張を高める武力増強政策を進行させている。

特に、尖閣諸島の領有問題で対立していた中国との間では、「台湾有事」などを意識した南西諸島の基地化を急速に進めるなどして緊張関係を高めているが、憲法の恒久平和主義との関係では、深刻に憂慮すべき事態である。

5 当会は、憲法が容認しない軍備増強や軍事同盟化に突き進むことなく、 憲法が定める武力によらない平和の実現を尊重することを強く求め、本閣議決定の違憲性を改めて確認し、これに強く反対すると共に、安保法制の廃止を求めるものである。

印刷用PDFはこちら(PDF:118KB)

 

 第2次安倍晋三内閣が憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定してから10年となった1日、元最高裁判所判事や元内閣法制局長官ら法律家が集まり、声を上げた。「それでも安保法制は違憲だ」。彼らが強い問題意識を持ち続けるのはなぜか。10年前の閣議決定は、日本の議会制民主主義に深い傷を与え、今も余波を広げていないか。(山田祐一郎、森本智之)

◆元最高裁判事は「国会で議論するべき問題を内閣がどんどん進めた」

 「本来、三権分立の原則がある中で、立法府である国会で議論するべき問題が、行政府である内閣によってどんどん進められてしまった」。1日、東京・霞が関の弁護士会館で開かれたシンポジウムで、元最高裁判事の浜田邦夫氏がこう問題点を指摘した。
 シンポジウムは第二東京弁護士会が主催。登壇した法律家らは2014年7月1日の閣議決定や、翌年成立の安全保障関連法が憲法に違反すると改めて訴えた。
 法案審議中の2015年9月、公述人として参加した参議院中央公聴会で浜田氏は「法案は違憲」と明言。さらに「いまはなき内閣法制局」と、合憲性のチェック機能を果たしていない法の番人を痛烈に批判した。シンポジウムでは当時を振り返り、「原稿なしで公聴会に臨んだ。そういう思いがあったので、言葉として出てきた。違憲であるという点ではいまも考えは変わらない」と述べた。
シンポジウムで発言する宮崎礼壹氏(左)=東京都千代田区で

シンポジウムで発言する宮崎礼壹氏(左)=東京都千代田区で

◆元内閣法制局長官は「憲法9条1項に反している」

 第1次安倍内閣時の2006年から民主党政権期の10年まで内閣法制局長官を務めた宮崎礼壹氏は、集団的自衛権の具体的な違憲性を指摘した。「憲法9条1項は、武力の行使は『国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と書かれている。国際紛争は他国の武力紛争に介入すること。集団的自衛権は明文に反する」と説明。さらに「集団的自衛権は憲法上許されない」とした1972年の政府答弁を挙げ「40年にわたる積み重ねがある解釈をひっくり返すことになる」。集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」のあいまいさも強調した。
横田基地に配備された米空軍の輸送機CV22オスプレイ(資料写真)

横田基地に配備された米空軍の輸送機CV22オスプレイ(資料写真)

 「本来、政府のやろうとしていることについて憲法に合致しているという理屈をこねるのが内閣法制局。『権力の犬』とも言われたが、それでも、だめなものはだめだ」と断言する宮崎氏の定年後、第2次安倍内閣で閣議決定された。

◆憲法学者は「いまの学生が教わるのは政府解釈」

 当時、学者や弁護士、元官僚らでつくる「国民安保法制懇」の委員として閣議決定に反対した慶応大の小林節名誉教授(憲法学)は「われわれは議論では負けていない。政治的に負けた」と振り返った。
 学習院大大学院の青井未帆教授(憲法学)は「集団的自衛権の行使容認にあたり、閣議決定で議論をスキップした結果、何が起こったか。この10年で、安全保障政策が意識的に憲法問題ではないものとして扱われている」と危機感を口にした。「いまの学生が学校で教えてもらうのが安保法における政府解釈であり、この世代が社会の中心になろうとしている。やるべき段階を踏まないで進める憲法無視であり、政治のあり方そのものに対する攻撃だ」
航空自衛隊のステルス戦闘機F35A(資料写真)

航空自衛隊のステルス戦闘機F35A(資料写真)

 その後、2022年の安全保障関連3文書改定により、敵基地攻撃能力の保有が認められた。「憲法論議自体がないがしろにされている」と青井氏は強調する。ターニングポイントは、安倍元首相が2013年、集団的自衛権に批判的だった山本庸幸内閣法制局長官を交代させたことだという。「10年がかりで種がまかれたものが刈り取られている」

◆違憲の訴えに各地の裁判所は「徹底して憲法判断を回避」

 2016年以降、司法の場で安保法の違憲性を問う動きが相次いだ。全国22カ所の裁判所で計25の訴訟が提起された。原告数は合計7000人以上。「安保法制違憲訴訟の会」の共同代表を務める伊藤真弁護士はシンポジウムで「本来は政治の力で改廃させるのが筋。だが、裁判所には違憲立法審査権があり、政治が行ったことの違憲性を指摘することができる。司法の役割を果たしてほしいという思いから訴訟を起こした」と説明した。
安保法制の違憲性を問う訴訟で、提訴のためプラカードを手に東京地裁に向かう原告ら=2016年4月、東京・霞が関で

安保法制の違憲性を問う訴訟で、提訴のためプラカードを手に東京地裁に向かう原告ら=2016年4月、東京・霞が関で

 訴訟の最大の目的は、違憲判決を勝ち取り、憲法解釈を閣議決定前の状態に戻すことだ。「最高裁判決でなくても、下級審での判決理由の中で違憲性を指摘するだけでも重要な意味がある。全国各地の裁判官に判断を仰ぎ、司法の役割を果たしてもらおうと期待をかけた」と語った。
 これまで全ての訴訟で原告の訴えは退けられ、大半の判決は違憲かどうかの判断をしていない。伊藤氏は「各地の判決に共通するのは『法的に保護される権利や利益の侵害はない』『人格権が脅かされる戦争の危険性がない』という内容で、徹底して憲法判断を回避している。裁判官は安全保障に関して法律家としての役割を全く果たしていない」と司法の対応を批判する。
 それでも、問題提起を続ける必要性をこう強調する。「主権者の意思を無視した安保法が、専守防衛であるこの国の形を変えてしまった。そのことを国民が忘れていないと訴え続けないといけない」

◆国を左右する方針、次々と「閣議決定」で

 集団的自衛権の行使容認の他にも、この10年で国の行方を左右しかねない大きな問題が閣議決定で決められてきた。
 第2次安倍政権では、武器輸出を容認する「防衛装備品の移転三原則」(2014年)、岸田政権下でも安倍氏の国葬(2022年)、敵基地攻撃能力の保有を打ち出した安保3文書改定(2022年)、次期戦闘機の第三国輸出方針(2024年)などだ。
集団的自衛権の行使を容認する方向性を表明する安倍晋三首相(当時)=2014年5月15日、首相官邸で

集団的自衛権の行使を容認する方向性を表明する安倍晋三首相(当時)=2014年5月15日、首相官邸で

 山口大の纐纈( こうけつ ) 厚名誉教授(政治学)は「特に外交防衛の問題については、閣議決定が常態化した。バイパスを通るように、国会での議論がスルーされ、行政主導で政策が決まる。その起点が集団的自衛権の行使容認だった」と指摘する。その意図については、「きちんと議論して民意を読み込もうとすれば、時間はかかり、原案も修正することになる。閣議決定なら迅速に当初案通りに決めることができ、かつての日米安保改定期のような国民運動も回避できる。国防は相手国との関係もあり、政府にとってはこの方法が都合が良かったのだろう」とみる。
宜野湾市の住宅密集地に隣接する米海兵隊普天間基地(2019年撮影)

宜野湾市の住宅密集地に隣接する米海兵隊普天間基地(2019年撮影)

 沖縄国際大の前泊博盛教授(日米安保論)も「敵基地攻撃能力の問題や、『異次元の軍拡』と言われた大幅な防衛予算の増額も閣議決定で決まった。全てが閣議決定なら、議会はもういらないことになる。議会制民主主義の崩壊だ」と批判。その上で、「よらしむべし、知らしむべからず」の政府のこうした体質は、やはり国防や安全保障問題に顕著に表れると指摘する。
 沖縄では米兵が少女に暴行したとして3月に起訴されていたが、国は県に報告せず、報道により6月に初めて発覚した。沖縄県議選への悪影響を考慮して公表を控えたのでは、との疑念も広がっている。「知らせなければならないことが隠蔽(いんぺい)され、国民が主権者としての能力を剝奪されている。そういうことがまかり通るようになってしまった」と問題提起する。

◆「議論しない」「説明しない」自民党に定着

 議論しない、説明しない、という振る舞いは、閣議決定に限らず、さまざまな政治の場面で目立つようになった。例えば予算編成で、国会審議を経ず内閣が自由に使える予備費や基金が乱用されるようになった。批判的な質問をはぐらかす答弁は「ご飯論法」と呼ばれ国会審議で繰り返される。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「第2次安倍政権で、官邸の指示一つで全てが動くようになった結果、官邸が決めたことに批判したり注文を付けることがなくなった。議論不要論が自民党で定着し、議論する文化そのものが消えてしまった」と嘆く。

◆デスクメモ

 閣議決定は全員一致が原則だ。反対して罷免された閣僚もいる。「桜を見る会」を巡り「首相夫人は私人」という「これも?」と感じる閣議決定もあった。何かにつけて漂うのは、異論を封じ、数の力で押し切りを図る近年の政権の姿勢。民主主義が骨抜きになる危険が膨らんでいる。(北)
 
 
 

山本太郎氏が酷評「終わったお祭り」立憲民主党代表選の顔ぶれ「過去の遺物みたいな人が…」

8/30(金) 14:11配信

日刊スポーツ

 れいわ新選組の山本太郎代表は30日、国会内で開いた不定例記者会見で、野党第1党の立憲民主党で行われる代表選(9月7日告示、23日投開票)に出馬が予定される顔ぶれについて「どちらかというと、過去の遺物みたいな人たちが手を上げてしまっている。残念ながら」と、酷評した。

 これまでに出馬表明しているのは枝野幸男前代表(60)と野田佳彦元首相(67)の2人で、民主党政権時代の幹部だったメンバー。山本氏は「過去の遺物というのは結局、自民党のコピーみたいなもの。自民党のややハト派が、集まったというような状況」と表現した上で、「今いちばんヤバいのは自民党。反社会的勢力で泥棒、強盗であるのが自民党」と、派閥裏金事件や現政権の経済政策を念頭に述べた上で「事実上、その下地をつくった過去の民主党時代の黒歴史的なものがありながら、その者たちがまた手を上げてしまっているのが非常に絶望的だなと思う」と、持論を口にした。

 れいわは消費税廃止を訴えている。山本氏は、現段階での消費減税に否定的な見解を示した枝野氏を念頭に「消費税5%にするとハイパーインフレになってしまうという経済感覚を持っている者は、政治家をやめた方がいい。へたしたら自民党のほうがまだましかもしれない」などとも指摘。「安倍総理は国会の所信表明で、消費税増税分の7割は借金返しに使ったと言っている。社会保障を支えるために必要ということにはならない」とも述べた上で「消費税をさらに拡大していくと予告するような人たちに、何を期待しろというのか。自民党総裁選と並んで期待できない。死人をよみがえらせるための終わったお祭りだ」と、私見をまじえながら厳しい口調で批判した。

 「自民党が日本を壊したことも間違いないが(立民の前身の)民主党も日本を壊したことは、間違いない」とも主張した。

 
 

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枝野氏、この肝心な時に…。(絶句) (ロハスな人)
2024-09-01 20:28:39
☆「目指す社会が違うのにガッチリと組むことは、我々が目指すものが見えにくくなるという状況を作ってしまったという意味では、ものすごく反省している」 >

前回が『共産党の協力がなかったらもっと惨敗していた』というのにこの『共産党に責任を押し付ける』あまりにも“恩知らず”かつ“恥知らず”の発言はなんなのでしょうね。

『消費税減税』を引っ込めたのが『マイナス30点』そして、今回の『共産党に責任を擦り付ける』発言が『マイナス50点』…どんどん評価が下がっていきますね。

それでも『やる気ゼロ』の『0点以上がつけようがない』ヘタレ泉代表や、『政権陥落の責任を回避』し、さらに『自民党に塩を送り続ける、マイナス100点の政治家』野田氏よりは遥かにマシです…マシですが…。

※代表選に枝野氏が勝ったら、即、『消費税』と『共産党との協力』に関して、『妄想を撤回』していただく必要がありそうです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/621bd7705225860d9802219530524b95c3c65243
☆立憲・枝野氏「ものすごく反省している」 前回衆院選の共産などとの選挙協力
9/1(日) FNNプライムオンライン

立憲民主党の代表選挙への立候補を表明している枝野幸男前代表は1日、地元・さいたま市で講演し、前回3年前の衆院選での共産党などとの選挙協力について、「ものすごく反省している」と述べた。

枝野氏は、2021年の衆院選で、代表として共産などとの選挙協力を進めたが、敗れて引責辞任している。

講演で枝野氏は、「3年前は、他党に助けてもらわないと選挙が戦えない、政権が取れないという弱っちい政党に我々は見られていた」と指摘。

そして、「目指す社会が違うのにガッチリと組むことは、我々が目指すものが見えにくくなるという状況を作ってしまったという意味では、ものすごく反省している」と振り返った。
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Unknown (津木野宇佐儀)
2024-09-02 01:23:41
本当は冒頭画像の左端の人の党に勢力を挽回して欲しいんですが…
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