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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

国連人権高等弁務官「日本軍の性奴隷制度を生き抜いた慰安婦だけが、真の償いを受けたかどうかを決める」

2016年03月12日 | 「従軍慰安婦」=戦時性奴隷

 

 まったく、高等弁務官のおっしゃる通り、としか言いようがありませんが、またぞろ菅官房長官が猛反発しています。

 国連人権高等弁務官事務所というのは、世界各国における人権の保護と啓蒙を目的として活動する国際連合に属する組織の一つです。

 そして、高等弁務官には、国際連合の事務次長クラスが当てられ(事務総長に次ぐナンバー2)、国際連合人権理事会と協力しながら、国際連合機関における人権問題に関する活動を統率します。

 今のザイド・フセイン国連人権高等弁務官はヨルダンの王子なのですが、彼が2016年3月10日、国連人権理事会で世界各国の人権状況の年次報告を行いました。
Zeid.JPG
 
 
 この中でフセイン高等弁務官は、慰安婦問題に関する2015年12月の日韓合意について、さまざまな国連人権組織だけでなく、元「慰安婦」の女性たちからも

「疑問が投げ掛けられている」

と述べ、内容は不十分との見方を示しました。

 同高等弁務官は元「慰安婦」の方々を

「第2次大戦中の日本軍による性奴隷制度を生き抜いた女性ら」

と表現し、当局が元「慰安婦」に手を差し伸べることが重要で、

「国連の人権関係者はもとより、元慰安婦自身からも疑問が投げかけられたのは重大。結局、真の償いを受けたかどうかは彼女たちだけが決められる」

と指摘しました。

 

そう、「すべての」元慰安婦の方々の「名誉と尊厳の回復、心の傷の癒し」が大事なんです。

 

 

 元「慰安婦」の方々が職業選択の自由も、居住・移転の自由も奪われ、もちろんセックスを拒絶する自己決定権も奪われた「戦時性奴隷」であることは疑いの余地がありません。

日本軍「従軍慰安婦」制度に対する誤解を解き、問題点をわかりやすく解説する

「従軍慰安婦」は「慰安婦」ではなく、まさに「強制的な性的奴隷(enforced sex slaves)」だ

正式に名乗り出た唯一の「白人」「元慰安婦」生存者の証言

「従軍慰安婦」問題、強制性はあったー吉見義明教授・林博史教授が日本海外特派員協会で記者会見

元「従軍慰安婦」=戦時性奴隷の「私が証拠だ」は法律の世界では当然 金福童さんが特派員協会で会見

「従軍慰安婦」=戦時性奴隷2 歴史学会16団体7000人が日本軍による「慰安婦」強制連行に関する声明発表

 

 

 また、どんな犯罪でも事件でも、被害者の救済がその事後処理の真の目的であり(たとえば、交通事故を想起すればお分かりいただけると思う)

真の償いを受けたかどうかは彼女たちだけが決められる」

という高等弁務官の言葉は、きわめて普遍性が高いと言えるでしょう。

 私も日韓合意交渉の当初から

国家は個人の損害賠償請求権を放棄できない。日韓「従軍慰安婦」問題、解決間近か。

として

『この合意を、強制的に元「慰安婦」の方々に押し付けることはできないことを銘記すべきです。』

「従軍慰安婦問題」日韓政府最終合意。しかし道半ば。一番大切なのは元「慰安婦」の方々を癒すこと。

と書いてきました。

日本と合意してから元「慰安婦」の方々に会いに行く、韓国政府のボタンの掛け違いがはなはだしい。

安倍首相の「私たちの子や孫に謝罪し続ける宿命を背負わせるわけにはいかない」のピンボケと反省のなさ。

安倍首相の「少女像撤去が10億円拠出の条件」はすべてを台無しにする。日韓友好の最大の障害は安倍首相。

 

 

 これに対して、菅官房長官は

「国際社会の受け止め方と大きくかけ離れており、極めて遺憾だ」

「慰安婦問題については最終的かつ不可逆的に解決されたことを日韓の外務大臣で合意し、日韓両首脳が確認した」

「国連事務総長をはじめ、米国、英国なども歓迎している」

としていますが、日韓政府が合意したことや、他の国々がそれを歓迎したこととは別に、大事なのは被害者本人である元「慰安婦」の方々の気持ちだ、納得だと高等弁務官は言っているのです。

 なぜ、こういう人としての当然の人間の心の機微や、国際人道法の精神がうちの国の官房長官にだけはわからないのでしょうか。

日本会議の桜田議員が「慰安婦は職業としての売春婦」だったという発言を不問に付す菅官房長官は同罪。

 また、同じく国連の女性差別撤廃撤廃委員会で、外務省の杉山審議官が慰安婦の性奴隷性を否定しようとしましたが、国際的には全く無駄だということがまた明らかになりました。

 日本政府は恥の上塗りを続けることをやめるべきです。

杉山外務省審議官が国連の委員会で「慰安婦」強制連行はねつ造と主張するも、性奴隷でない説明はできず。

 

そもそも、国際的な認識とずれているのは日本の側。

 

 

いろんな意味で、少女像にはそのままでいて、ずっと見守ってもらっていた方がいい。

 

 

今回のフセイン氏の発言も、菅官房長官が反発したという記事から知って、調べたものです。

安倍政権のやっていることはまさにヤブ蛇だと思いませんか。

これからますます国際的に追い詰められていくでしょう。

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日本軍「慰安婦」制度とは何か (岩波ブックレット 784)
吉見義明
岩波書店

元日本軍「慰安婦」だった金学順さんが日本政府に謝罪と賠償を求めて名乗り出てから20年―「強制」ではなく「自由意志」だったとする声がいまだに多く聞 かれるのはなぜだろうか。「慰安婦」制度が軍によってつくられたことを、様々な史料を用いながら説明するとともに、被害者の名誉と尊厳の回復の必要性を訴える。

 

「慰安婦」・強制・性奴隷: あなたの疑問に答えます (Fight for Justice・ブックレット)
吉見 義明 (編集), 林 博史 (編集), 金 富子 (編集, 原著), 西野 瑠美子 (編集)
御茶の水書房

『朝日新聞』の誤報で日本軍「慰安婦」問題がねつ造されたの? 日本軍「慰安婦」は「公娼」だったの? 軍慰安所はどこの国にもあったの?23の問いについて、根拠を示しながら、明確に、わかりやすく解説します。「慰安婦」問題webサイトから生まれた決定版。歴史のねつ造にノー。緊急出版。


「慰安婦」問題 すべての疑問に答えます。
アクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam) (著)
合同出版

「慰安婦」問題ってなに? 軍は関与していなかったの? 強制連行はあったの? 証拠はあるの?
豊富な資料や証言をもとに、「慰安婦」問題を正しく読み解く。中学生から読める必携ガイドブック。

 

「慰安婦」・戦時性暴力の実態〈1〉日本・台湾・朝鮮編 (日本軍性奴隷制を裁く―2000年女性国際戦犯法廷の記録)
金 富子 (編集, 原著), 宋 連玉 (編集, 原著), VAWW‐NET Japan (編集)
緑風出版

本巻では、日本軍・国家システムおよび台湾・朝鮮の植民地支配との関係における「慰安婦」制度の加害構造を明らかにし、日本、台湾、朝鮮での個別のケースにおける加害の責任を検証する。被害の実態を中心に取り上げられてきた「慰安婦」問題を、加害の構造・実態に焦点をあてこれまでにない試みで分析する。

 

「慰安婦」・戦時性暴力の実態〈2〉中国・東南アジア・太平洋編 (日本軍性奴隷制を裁く―2000年女性国際戦犯法廷の記録)
西野 瑠美子 (編集), 林 博史 (編集), VAWW‐NET Japan (編集)
緑風出版

本巻では、日本軍侵略の激しい被害を最も長い間被った中国と、集団虐殺・集団強かんが熾烈を極めた東南アジア・太平洋地域の、「慰安婦」・性暴力被害の証言を地道な調査で掘り起こし、その被害とそれに対する加害の実態を詳細に検証すると同時に、日本軍による占領地域での「慰安所」制度・性暴力の構造を考察した。

 

 

国連高官、日韓合意を批判 「元慰安婦から疑問の声」

 【ジュネーブ共同】国連のゼイド人権高等弁務官は10日、ジュネーブの国連欧州本部で開かれている国連人権理事会で、旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる昨年末の日本と韓国の合意について、国連の人権関係者だけでなく「元慰安婦自身から疑問の声が出ていることは非常に重大だ」と批判した。

 人権状況に関する年次報告の演説で述べた。ゼイド氏は慰安婦を「第二次大戦中の日本軍による性奴隷制度を生き延びた女性ら」と指摘。「当局が勇気と尊厳を備えた女性らに手を差し伸べるのが根本的に重要だ」と述べ、元慰安婦らに一層寄り添う姿勢を示すよう日韓両政府に促した。さらに「元慰安婦だけが、真の償いを受けたかどうかを判断できる」と付け加えた。

 菅義偉官房長官は11日の記者会見で「国際社会の受け止め方と大きく懸け離れており、極めて遺憾だ」と述べ、ゼイド氏に日本政府として抗議する考えも示した。

 拷問に関する特別報告者メンデス氏(アルゼンチン)ら国連の専門家グループも11日、慰安婦問題について声明を発表。「元慰安婦が長く待ち望んでいる謝罪はまだこれからだ」として、日韓合意に懸念を示した。声明も慰安婦を「性奴隷」と表現した。

 

日韓合意に疑問=償い判断は元慰安婦-人権弁務官

2016年03月11日 22時53分

【ベルリン時事】ザイド・フセイン国連人権高等弁務官は10日、国連人権理事会で世界各国の人権状況の年次報告を行い、慰安婦問題に関する昨年12月の日韓合意について、さまざまな国連人権組織だけでなく、元慰安婦からも「疑問が投げ掛けられている」と述べ、内容は不十分との見方を示した。

 高等弁務官は元慰安婦を「第2次大戦中の日本軍による性奴隷制度を生き抜いた女性ら」と表現。当局が元慰安婦に手を差し伸べることが重要で、「最終的に彼女たちだけが真の償いを受けたかどうかを判断できる」と指摘した。

 女性差別や賠償を扱う国連特別報告者らのグループは11日声明を出し、「被害者の望みが満たされず、傷が癒えないままであるうちは、この問題が解決されたとは見なされないことを日韓両政府は理解すべきだ」と強調。慰安婦問題の少女像については、歴史を刻んでいるだけでなく、「生存者が長らく正義を求めてきた」ことの象徴だとして撤去の可能性に懸念を示した。 【時事通信社】

 

日韓合意、国連演説で批判…人権高等弁務官

2016年03月11日 07時36分 読売新聞

 【ジュネーブ=笹沢教一】国連のザイド・フセイン人権高等弁務官は10日、スイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会で、慰安婦について、「先の大戦で日本軍による性奴隷制度を生き延びた人々」との表現で言及した。

 国連では同理事会とは別に、女子差別撤廃委員会で2月16日、杉山晋輔外務審議官が軍による強制連行は「確認できなかった」と否定する演説を行ったが、国連内で日本の主張が浸透していないことが明らかになった形だ。

 フセイン氏は同理事会の年次報告として演説した。「最終的かつ不可逆的に解決する」とした日韓合意について、「国連の人権関係者はもとより、元慰安婦自身からも疑問が投げかけられたのは重大。結局、真の償いを受けたかどうかは彼女たちだけが決められる」と述べた。

 

2016.3.11 18:36 産経新聞

【慰安婦問題】
今度は国連人権高等弁務官が「性奴隷」表現使い批判 菅官房長官「極めて遺憾」と抗議

 菅義偉官房長官は11日の記者会見で、国連のザイド・フセイン人権高等弁務官が国連人権理事会での演説で、慰安婦について「先の大戦で日本軍による性奴隷制度を生き延びた人々」と述べた上、昨年末の日韓合意に批判的な発言をしたことについて「国際社会の受け止め方と大きくかけ離れており、極めて遺憾だ」と述べ、今後、外交ルートを通じて抗議する意向を明らかにした。

 菅氏は日韓合意に関し「慰安婦問題については最終的かつ不可逆的に解決されたことを日韓の外務大臣で合意し、日韓両首脳が確認した」と指摘した上で「国連事務総長をはじめ、米国、英国なども歓迎している」と反論した。

 

日韓合意に国連弁務官疑問、菅長官が強い不快感

2016年03月12日 09時59分 読売新聞

 菅官房長官は11日の記者会見で、国連のザイド・フセイン人権高等弁務官が慰安婦問題を巡る日韓合意に疑問を呈したことについて、「国際社会の受け止め方と大きくかけ離れている。極めて遺憾だ」と述べ、強い不快感を示した。

 フセイン氏に外交ルートで抗議することも明らかにした。フセイン氏は10日、国連人権理事会の演説で、日韓合意について「元慰安婦自身からも疑問が投げかけられたのは重大」などと述べた。

 

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28 コメント

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赦す赦さないは…。 (リベラ・メ(本物の))
2016-03-12 15:17:14
何事においても、「赦す赦さない」は「害を被った側」が「決断すること」であって、「害を加えた側」が「決断することでは無い」のです。「害を被った側が心底から納得」してこそ成し得るものだから、政府がとやかく言うことではありません。
返信する
Unknown (Unknown)
2016-03-12 23:20:51
その害とは?
返信する
真実が知りたい (mz-dog)
2016-03-13 08:19:56
中国大陸や東南アジアにおいて、現地の女性に対する性暴力は強烈で、証言者もいますね。
日本側にも。
そのような国においては、軍が全権を掌握しているわけで、なあ、なんでもありだったってことでしょう。
ひどい話です。

問題は、朝鮮半島でどうだったかです。
つまり、軍が全権を掌握している地域でない所。
併合されているわけですから日本の行政機構が機能している地域においてです。

僕は、慰安婦に対する官憲による「強制連行」はあったと思います。
官憲が主導しただけでなく、現地の「業者」への協力も含めて。

ただ、その規模は韓国・朝鮮が主張するような20万人・30万人とはとても考えられません。

それに、当時の朝鮮には巨大な売春組織が存在していましたから(戦後も残りましたよね)、いわゆる「慰安婦」の大半は職業的な人たちだったでしょう。

言ってみたら、わざわざ人目に付くような「強制連行」をしなくても、いくらでも慰安婦を供給することが出来たのですから。
「正当な手続き」で。

ただ、官憲というのは、特にファシズムの下では、対面を重んじる反面、ばれなかったら何でもしますから。

当然、汚い仕事もしていたことだと想像します。

だから朝鮮半島出身の「慰安婦」の多くは職業的な人たちで、その中には現地の業者や官憲の協力によって拉致されてきた人たちも含まれていた・・・ってあたりが真実ではないかと思っています。

むろん、朝鮮人・日本人を問わず、職業的な売春婦と言っても、借金のかたに親に売れた・・・ような人たちが大半でしょうし、その意味では戦争の、時代の被害者であるという点に変わりはありませんが。

いずれにせよ、「従軍慰安婦」20万人というのはあまりにも・・・・

仮に、「慰安婦」の5人に1人が拉致された人で、他の4人が職業的な人だったとしましょう。

じゃ、「慰安婦」の総計は100万人となります。

「従軍慰安婦」の内、およそ半数は日本人で残りの半数が朝鮮人だったということは、医療記録などで明らかですから、すると「従軍慰安婦」は総数200万人(^_^;

前線において、兵士の数よりはるかに多くなりますよ。

まあ、憶測の域をでません。

日本側はもちろんですが、韓国側も「慰安婦は20万人で全員が強制された性奴隷」という立場に固執せず、客観的な調査ができないものですかね。

日韓共同で。

やるなら今しかないと思うのですけど。
後5年もすると、証言者がいなくなるでしょう。
双方共に。
返信する
mz-dogさんへ (Q太郎)
2016-03-13 13:59:47
>ただ、その規模は韓国・朝鮮が主張するような20万人・30万人とはとても考えられません。

「韓国人だけで20万人以上」という主張は行なっていないんじゃないですか?

>仮に、「慰安婦」の5人に1人が拉致された人で、他の4人が職業的な人だったとしましょう。

>じゃ、「慰安婦」の総計は100万人となります。

>「従軍慰安婦」の内、およそ半数は日本人で残りの半数が朝鮮人だったということは、医療記録などで明らかですから、すると「従軍慰安婦」は総数200万人(^_^;

上記のコメントでは、mz-dogさんは韓国側が「韓国人だけで20万人と主張している」と解釈されているようですが…

以下、グレンデール市の慰安婦像の碑文の一部です。

【1932年から1945年の間に、大日本帝国軍によって性奴隷となることを強要された20万人以上のアジアとオランダの女性(朝鮮、中国、台湾、日本、フィリピン、タイ、ベトナム、マレーシア、東チモール、インドネシアから連れられてきた)を記念して。】

「20万人以上」というのは「慰安婦の総数」つまり世界中の日本軍慰安婦の人数のことでしょう。

碑文の訳は以下のブログ「誰かの妄想」からコピペさせて頂きました。
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/touch/20150329/1427644468

慰安婦の総数が20万人以上というのは、日本の歴史学者による説「8万人~20万人」とも重なるので、それほど荒唐無稽な数字とも思えないです。

あと慰安婦の総数というのは延べ人数です。常時その人数がいたということではありません。
返信する
全文に目を通して (別視点)
2016-03-13 17:38:29
国連と聞くと安保理決議などの巨大な力をイメージしますが、直訳すると、いわば「連合国倶楽部」のようなもので、連合国の催す社交パーティーに、それ以外の国は常連ゲストとして呼ばれているようなものなのでしょう。
国連組織はあまりに多く、私には訳が分からないですが、軍事力が直接関わってくる安保理とその他の組織では大きく意味合いが異なると思います。安保理と比べるとそれ以外はせいぜいゲストが主催する余興程度のイメージです。
国連事務総長にしても所詮は事務方の一番エラい人な訳だし、この王子も人権理事会を手伝ったりする事務方のエラい人という感じがします。

ニュース報道ではどうしても自国についての発言内容だけを取り上げるので、「国連が日韓合意を批判した」と、さも大事のように騒ぎますが、ネットの公式ページで全文を簡単に読める時代なのですから、本来はマスゴミも全体像を伝えるべきなんでしょう。

フセイン王子の談話にざっと目を通しただけなので間違っているかもしれませんが、

イントロの後まず最初に来るのはやはり中東からヨーロッパへの難民問題への懸念。
ドイツやギリシャの受け入れ姿勢を評価しつつ、最近の状態を懸念しています。
トルコ、レバノン、ヨルダンに、シリアからの420万人に及ぶ難民があふれ、物資が不足している。
オーストリア、スロベニア、クロアチア、セルビア、マケドニア旧ユーゴは国境を閉鎖、その他チェコ、ハンガリー、スロバキア、ポーランドの圧力もあり、ギリシャには行き場を失った難民であふれていることを憂いています。

ここから、世界各国から選択して人権問題に言及。まずはやはり中東からで、"extremely concerned"と、強い言葉でトルコ国内の民族衝突やメディアへの言論弾圧を懸念しています(ヨルダン王子だからバイアスと受け取られたりして)。

ベラルーシは政治犯を条件付きで解放した以外、人権状況進展無し
ポーランドは報道の自由とプライバシーの法制化が進みつつある
ウクライナは東地域、クリミアを含め人権監視中
ラトビアとエストニアは自国で生まれた外国人の子供に自動的に国籍を与える法制化したことを歓迎
ロシアでは自分たちの職員が締め出されそうな状況を懸念
ウズベキスタンは努力は認めるが虐待から言論弾圧まで様々な人権侵害の報告を受けている
シリアについては二段落割いて深い懸念を表明
イエメンの内戦にも二段落割いて内戦終結を望む
イラクは2014年に最低16000人の市民が殺害され、貧困の拡大など問題だらけ
リビアは暴力と人権侵害に完全に飲み込まれてしまった
エジプトは対テロ法案が人権侵害の懸念
バーレーンは若干改善したものの、政治犯や人権活動家が逮捕されまくり
パレスチナ問題にも他の倍くらいの長さで懸念

ここまでで半分。後半はアフリカ諸国から南北アメリカ、アジアへ

南スーダンは最悪
スーダンは何万人もの市民が土地を追われ、人権問題オンパレード
ブルンジはようやく独立系メディアが許されたが、未だに不当逮捕や行方不明者が多発
ボコハラム最悪
コンゴは民主化が後退し、不当逮捕などの弾圧が増加
中央アフリカへは平和的な大統領選挙が出来たことを祝福
ブルキナファソはクーデター失敗してよかったね

コロンビアはようやく戦乱が収まりの兆し
ホンジュラスはうちの職員の協力者が殺害されて人権侵害圧力を懸念
ベネズエラは政治対立深刻化、経済崩壊で人権の危機
ジカ熱ヤバい。妊婦や障碍児の人権どうなる?
話を広げて妊産婦の死亡率をどうにかしないと
ブラジルやアメリカでアフリカ系移民の差別深刻
アメリカはグアンタナモの虐待犯を罰せよ
カナダは優等生

ネパールは内戦でメチャメチャ
スリランカは内戦から立ち直って来たからネパールは見習え
タイは憲法草案が出て来たので人権に優しい民主化を期待
マレーシアは言論の自由度相変わらず小さい
中国は弁護士や活動家が逮捕されていることを懸念
イランは今後に期待

そして最後の最後でようやく日韓合意への言及。
他と違い、"concerned"や"worried"と言った懸念の言葉は出てきません。

ここまででもまだ3分の2で、

ここからは世界の持続的発展を目指す2030アジェンダへの、人権問題からの取り組みについて説明。
国連平和維持軍が中央アフリカでレイプや性的虐待を行っているという事件はとんでもないことなので、すぐにも止めさせたい。
でも、強調しておくけど、国連は自治組織じゃないから犯罪裁けないんだよね。だから参加各国が調査しろ(ここ、笑うところ?)。
さらにはLGBTの人権問題、死刑を頻繁に行う中国、イラク、イラン、パキスタン、サウジアラビア、アメリカに懸念(日本は執行数が少ないから言及無し)
後は俺たちこんなに頑張ってるんだからもっと予算増やせということを結構長々と話したあと、寄付してくれた人に感謝して終了。

さて、これでも日本人は日本のことだけ考えて、慰安婦問題で侃々諤々やっていればいいですかね。
人権派の皆さん、それがフセイン王子の伝えたかったメッセージですか?
返信する
mz-dogさんへ 続き (Q太郎)
2016-03-13 17:45:38
>それに、当時の朝鮮には巨大な売春組織が存在していましたから(戦後も残りましたよね)、いわゆる「慰安婦」の大半は職業的な人たちだったでしょう。

遊郭のことですよね。仰る通り、植民地朝鮮にも公娼制度はありました。ですが、慰安婦の大半が元々娼婦だったという解釈は違うんではないでしょうか。

>言ってみたら、わざわざ人目に付くような「強制連行」をしなくても、いくらでも慰安婦を供給することが出来たのですから。「正当な手続き」で。

日本軍が慰安所および慰安婦制度を作った大きな目的の一つに「性病予防」があります。

元々の娼婦ならば性病にかかっている確率が高く、軍慰安婦としては不適格です。兵士が性病にかかれば、当然、戦力が落ちてしまいます。

以下、慰安婦の性病検査を命じられた麻生徹男軍医の意見書から引用します。

【彼女ら「皇軍兵士」の慰問使として朝鮮および北九州の各地より募集せられた連中であった. 興味あることには朝鮮婦人の方は年齢も若く肉体的にも無垢を思わせる者がたくさんいたが北九州関係の分は既往にその道の商売をしていた者が大部分で後者の中には鼠蹊径部に大きな切開の蹊瘢を有する者もしばしばあった。】

「朝鮮人女性には肉体的にも無垢を思わせる者がたくさんいた」「日本人女性は元々の娼婦が大部分だった」という主旨のことが書かれてあります。

「肉体的に無垢」とは「処女」かそれに近い状態と考えられますが、元々の娼婦に対してならこのような表現はしないでしょう。

以下、軍医の意見書の続きです。

【されば戦地へ送り込まれる娼婦は年若き者を必要とす。而して小官某地にて検徽中屡々見し如き両鼠蹊部に横痃手術の瘢痕を有し明らかに既往花柳病の烙印をおされし、アバズレ女の類は敢えて一考を与へたし。此れ皇軍将兵への贈り物として、実に如何はしき物(ママ)なればなり。】

元々の娼婦は花柳病(=性病)にかかっていることが多いから「皇軍将兵への贈り物として」ふさわしくない、ということが書かれています。

したがって、職業的な人(元々の娼婦)がいたから「いくらでも慰安婦を供給することが出来た」という解釈では、慰安婦制度の目的「性病予防」の観点が抜け落ちているんで違うということですね。

参考
http://blogs.yahoo.co.jp/kounodanwawomamoru/65390467.html
返信する
mz-dogさんへ (kei)
2016-03-13 17:52:30
>その意味では戦争の、時代の被害者であるという点に変わりはありませんが。

国が警察に対して違法行為を看過させる通牒を出していたので、人権侵害が増長したのです。戦争のせいでは有りますが、日本が起こした戦争ですし、時代は欧米に習って人権尊重の流れでしたが、引き戻したのも日本です。

証言からも解りますが、日本人慰安婦には元々職業としていた方が多く、朝鮮半島出身の「慰安婦」の多くは未成年者でもあり、素人が多かったのです。国が14歳以上25歳未満の女子を動員するよう命令を出しています。
しかし、元売春婦には人権侵害をしても良いということは無いので、強制使役かどうかの検証には関係は無いと思います。


返信する
mz-dogさんへ 続きの続き (Q太郎)
2016-03-13 18:23:42
>言ってみたら、わざわざ人目に付くような「強制連行」をしなくても、いくらでも慰安婦を供給することが出来たのですから。

人目に付くような「強制連行」は、難しかったかも知れませんね。

だけど「強制連行」といっても、朝鮮人慰安婦の場合は職業詐欺などの「騙し連れ」によって慰安婦にされたという人が大半です。このことは日本の歴史学者の説とも、韓国人元「慰安婦」の証言とも一致しています。

日本人の元「慰安婦」の中にも「朝鮮人慰安婦は私たちと違って騙されて連れて来られた人がほとんどだった」と証言する人がいます。

ちなみに暴力的な拉致(=略取)も騙し連れ(=誘拐)も法律では「略取・誘拐罪」と常にセットで呼ばれ、罪の重さは戦前の旧刑法でも現在の刑法でも変わりません。

あと、誤解している人が多いので書きますが、被害者が訴えているのはあくまで「強制売春」(=性暴力)のことです。「強制連行」のことではありません。

例え慰安所に連れて来られた経緯が暴力的な拉致だったとしても、慰安所に着いた時点で日本軍が解放してくれれば戦後何十年経った今まで問題になることはなかったでしょう。
返信する
なるほど・しかし・・・ (mz-dog)
2016-03-13 21:19:54
Q太郎さん
勉強不足ですみません(._.)

しかしですね,ウキペディアからの引用です。

>1998年、国連に提出されたマクドゥーガル報告書で慰安婦総数は「20万人以上」と書かれた[609]。その数値の根拠は「1975年の荒舩清十郎自民党議員による声明」とされた[63

>1996年のクマラスワミ報告は、約20万人の朝鮮人女性が性奴隷にされたと北朝鮮と韓国が主張していることを掲載している。

>大韓民国国定教科書は数十万人の朝鮮女性が強制的に慰安婦にされ、650万人の朝鮮人が強制的に動員されたと記載されたが、李栄薫ソウル大教授は1940年当時の16歳から21歳の朝鮮女性は125万人で、20歳から40歳の朝鮮人男性は321万人であり、この数値は虚構であり、日帝被害が誇張されていると批判した[629][630][638]。

>2003年から米国の数千校で100万人以上の学生に使用されている歴史教科書『Tradition & Encounters:A Global Perspective on the Past』では、慰安婦の80%が朝鮮人で、最大で30万人もの14-20歳の女性たちを強制連行して性行為を強要し、性病に罹ると殺害され、終戦時には「隠蔽するために慰安婦たちを大量虐殺(ジェノサイド)した」と記載された[639]。


韓国政府としての正式な見解(いつどのような形で出したのか詳しく知らないんですが)では,確かに朝鮮半島だけではなく,慰安婦の総数として20万人ということだとは思います。
が,その辺,実際の使われ方として実にあいまいであるように思うのです。

ちなみに

keiさんのおっしゃっている
「国が14歳以上25歳未満の女子を動員するよう命令を出しています」というのは,女子挺身隊の募集に関することであって,いわゆる従軍慰安婦と同一ではないと思うのです。


なお,
>1940年当時の16歳から21歳の朝鮮女性は125万人(上記ウキペディア)

とすると,仮に10万人の朝鮮半島出身の女性が慰安婦にされたとして,該当人口の約1/10にあたります。

それだけの若い女性が街から消えていく・・・で,当時も戦後すぐの時期にも話題に上らないというのは,あまりに不自然ではないかなと僕は考えます。


日本の官憲が中国や東南アジアで性暴力の限りを尽くしたことは事実ですし,当然,朝鮮半島でも直接的な強制連行・拉致のみならず甘言や騙し連れ等が行われ,その事に日本の官憲が関与していたことは,違いなかろうと僕は思っています。

従って,被害者救済を目的に誠意を尽くした対応を日本政府がするべきだと思っています。

ただ,事実経過を見ていると,かなり誇張されているのではないなという印象はぬぐえないのです。

ちょっと,もっとくわしく調べてみます(._.)

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追伸 (mz-dog)
2016-03-13 22:09:42

追伸

ネットでいうと,こういうサイトがいくつかありますね。

http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213/p1

「私達は、朝鮮で従軍看護婦、女子挺身隊、女子勤労奉仕隊という名目で狩り出されたのです。だからまさか慰安婦になんかさせられるとは、誰も思っていなかった。外地へ輸送されてから、初めて慰安婦であることを聞かさた。」

それは真実だろうと思います。
ハイ。

僕が疑問に思っているのは,キーセンなど朝鮮に遊郭が多数存在している中で,職業的な朝鮮の女性が全く含まれていない等と考える方が,それはそれでむしろ不自然ではないか?

それと,だまして連れてきた主体は,朝鮮及び日本の業者であって,一部の日本の官憲がそれを手助けしたのか,それとも日本の官憲が主となって,いわば「騙し連れ」を行ったのか,主体はどっちなのか?

最後に,慰安婦の規模です。

その辺り,日本政府と韓国政府が真剣に調査すれば,今なら真実が明らかになると思うのですがね。
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