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(同じ富裕層のパパブッシュもお気に入りのロムニー候補)
オバマ大統領が、一般教書演説で富裕層への増税を誓った2012年1月25日(現地時間24日)、はからずも、共和党の「富裕」候補ロムニー氏が、この2年間で33億円も稼いでおきながら、所得の14%しか納税していなかったことが発覚しました。
まず、オバマ大統領は、アメリカ議会の上下両院の議員を前に一般教書演説を行いました。この中で、オバマ大統領 は、富裕層への増税を実現する決意を示したうえで、
「一握りの人が豊かになり、大部分の人々が苦しむ国になるのか、それとも誰もが公平な機会を与えられ、 公平な負担を担う社会を取り戻すのか、アメリカの価値観が問われている」
と述べ、国民の大半を占める中間層の努力が公平に報われる社会の実現を目指す方針を打ち出しました。そのうえで、国内の雇用を守るため、海外に拠点を移転する企業への課税を強化する方針も述べました。
富裕層への増税、海外移転を計る大企業への課税、いずれも格差が拡大する日本でも是非実行すべき政策ですね。野ダメ首相の所信表明演説とえらい違いです。
消費税増税で苦しむのは下のグラフのように明らかに低中所得層なのですから、日本でも取るべき道は富裕層への増税です。
消費税 | 所得税 | 法人税 | 三大税合計 | |
---|---|---|---|---|
1997年 | 7兆4644億 | 20兆7104億 | 13兆5004億 | 41兆6752億 |
1998年 | 8兆4235億 | 17兆4210億 | 12兆0210億 | 37兆8655億 |
出所:国税庁
橋本内閣の時代、1997年に3%%から5%に消費税をアップしたら、上記の表のように、かえって税収が減ってしまったわけですです。
消費税増税は中低所得層直撃 野田増税政権で致命傷を受ける日本 2012年早々に解散総選挙だ!
その一方で、ロムニー前マサチューセッツ州知事はほかの候補者から「所得を公開しないのはおかしい」との批判を受けて、同日、去年とおととしの個人所得を公開しました。
それによると、なんとロムニー氏の所得は、株式の配当や売買などでこの2年間で4300万ドル(日本円でおよそ33億円)に上り、しかも、ロムニー氏の納税額は所得の14%にとどまっていたのです。
アメリカの所得税の累進課税率の最高は35%。なのに、なぜ、14%の税金で済んでしまったのか。一つには、ロムニー氏が700万ドルも自分の宗教であるモルモン教に寄付して控除を受けていると言うことがわかりました。
さらにタックスヘイブ ン=租税回避地として知られるケイマン諸島などに資産を所有していたのです。アメリカ大統領候補としてこれは致命的でしょう。めちゃ、印象悪いよ。所得公開を求めてきたキングリッチ候補に徹底的に追及されるのは必至です。
バフェット氏にも怒られるで(笑)。
世界長者番付3位のバフェット氏も「甘えた富裕層に増税を」 日本の富裕層には所得税増税を
(少し前の統計で日本の相対貧困率は今では統計を取りだした1985年以来史上最悪の16・0%。つまり、日本の真ん中の所得の人の半分以下の所得しかない人が6人に1人なのです。一人暮らし世帯だと年間112万円以下です。当然、アメリカはその上を行っているから→「ウォール街を占拠せよ 全米でデモ広がる 「国難」東日本大震災に沈黙する日本の富裕層に富裕税の導入を!」)
ロムニー氏の低い納税率でわかる、日本にも通じる最も重要な問題は、アメリカでは、株式など投資による利益=キャピタルゲインに課せられる税率が15%と低く抑えられていることがあげられます。
ロムニー氏の所得も大半が株式などへの投資によるものだったため、税率が極端に低くなり、一般のアメリカ人以下になってしまいました。
では、日本は?
そう、何度もこのブログで書いてきたように、日本の株式譲渡税は現在10%!証券取引への優遇制度のためで、しかも総合課税ではなく、分離課税になっています。
ですから、今の所得税の最高課税率は40%とされていますが、実際には年間1~2億円の高額所得者は、所得税を、最高でも26・5%しか支払っていないのです。お金持ちになるほど、キャピタルゲインの比率が高いからです。
株式投資の比率が高ければ、税金が極端に安く上がる!ということです。
この分離課税を駆使することで、いま、所得100億円以上の人はかえって税率が減って税金14・2%しか払っていません!奇しくもロムニー候補と同じ税率!!
日本にも富裕税の導入を!年間所得100億円以上の富裕層は14%の税率でしか税金を支払っていない
上のグラフは、ブロゴスでも人気の国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ「すくらむ」さんからお借りしてきたもので、財政問題研究者の垣内亮さんが制作された「申告所得に対する税・社会保険料負担率」で、2007年の国税庁「申告所得税の実態」から作成されたものだそうです。
上のグラフを見ると、所得100億円を超える富裕層は、社会保険料の負担を加えても18.9%で、所得100万円の貧困層の20.2%よりも低くなっています。
また、垣内さんは2010年度分の有価証券報告書から、トヨタ自動車の豊田章男社長(年収3億4,083万円)とトヨタの正規労働者(平均給与727万円)の税・社会保険料負担率を計算してされたそうですが、その結果は、豊田社長が16.0%で、労働者は30.7%でした。
豊田社長の負担率は労働者の半分ほどです。それは、おかしすぎるだぎゃあ!?(方言、これであってる?)
だって、高所得者は累進課税で多めに税金を払い、それを経済的弱者に社会福祉で分配するというのが、現代立憲主義における福祉国家のありかたなのです。
日本ではその所得再分配がまるで上手く行っていないから、下のグラフのように、なんと所得を再分配した後、格差が広がるという世界で唯一のひどい国なんですよ。
アメリカのオバマ大統領もアフガン戦争をまだ続けていたり、とても手放しで誉めることは出来ませんが、健康保険制度の導入にトライしたり、富裕層への増税にチャレンジしたり、しぶとくチェンジに挑み続けているではないですか。
また、別に富裕層への増税と言っても、彼らをいじめるのが目的では全然ないんですから、1%の富裕層と99%の大多数の国民が共栄共存できる程度で十分なのです。
たとえば、彼らの有している純金融資産は下のグラフのように250兆円ですから、たった1%の富裕税で消費税1%と同じ2・5兆円の税収となるのです。所得税の累進課税率の引き上げとミックスすれば良いでしょう。
高所得・高資産の富裕層から得た財源を、うまく所得再分配すれば、遊休資産を活用することになるのですから、むしろ日本経済は活性化します。
それに引き替え、先の所信表明演説で、東日本大震災や福島原発事故のこともそこそこに、消費税増税のことばかり熱弁をふるった我が国の元首の情けないこと、腹立たしいこと。
大臣をとっかえひっかえするより、総理大臣を替えてしまったほうが良くないですか?
大金持ち以外の人が消費税増税に賛成しているのが信じられないと思われた方は
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ロムニー氏、納税申告書を公開 優遇税制使
用で反発必至
- 2012年01月25日 08:17
【1月25日 AFP】米大統領選の共和党候補指名を争うミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事は24日、2010年と11年の納税申告書をネット上で公開した。
レースの鍵を握るとされる31日のフロリダ(Florida)州での予備選を前に、最大のライバルであるニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)元下院議長らが、ベンチャー投資家として巨万の富を築いたロムニー氏に対し、納税申告書の公開を強く求めていた。ロムニー氏は、投資会社「ベイン・キャピタル(Bain Capital)」を経営していた15年間に高額収入を得る一方で、人員削減を行っていたとして非難されている。
納税申告書によると、年収は、10年が約2170万ドル(約16億8500万円)、11年が推定2090万ドル(約16億2300万円)。10年の納税 額は約300万ドル(約2億3300万円)で、年収に占める割合はわずか13.9%だった。これは、所得の最大35%が連邦税として差し引かれてしまう大 半のサラリーマンよりもはるかに低い税率だ。
この数字は、貧富の格差が広がり各地で「オキュパイ(占拠せよ)」運動にも発展した米国で、多くの国民にショックを与えることは否めず、混戦模様の指名争いにおいて思わぬ展開を呼ぶ可能性がある。
ロムニー氏は、23日に行われた討論会で、「成功を収めたことを謝罪する必要はない」と従来の主張を繰り返した。
米国はここ数十年で最悪の景気後退からまだ立ち直っておらず、失業率も8.5%に跳ね上がっている。このような状況の中、政府は高額所得者に有利とされる不均衡な税制の見直しを検討している。(c)AFP
ロムニー氏:ゴールドマンやゴールデン
の一流ファンドで分散投資
1月25日(ブルームバーグ):米大統領選挙の共和党の有力候補者、ロムニー前マサチューセッツ州知事が2010年に得た2160万ドル(約16億 8300万円)の収入には、ゴールドマン・サックス・グループやゴールデン・ゲート・キャピタルが運用する一流ファンドからの投資収益が含まれていた。最 も資金力のある米大統領選候補の一人であるロムニー氏がプライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社の経営で増やした資産をいかに分散投資してい るかが鮮明になった。
ロムニー陣営が24日公表した10年の納税申告書に よると、ロムニー夫妻のために設定された信託は、ゴールドマン・サックス米ドル・リキッド・リザーブズ・ファンドやゴールデン・ゲート・キャピタル・ファ ンドのほか、クレディ・スイス・グループが関与する債務担保証券(CDO)に投資していた。ロムニー氏は1999年にPE投資会社ベイン・キャピタルの トップから退いているものの、2008年にベインが設定した買収ファンドの株式も保有している。
当初は納税申告書の開示要請に抵抗していたロムニー氏が今回公表に踏み切ったことで、富裕層が一般の米国民には手が届かない投資商品から所得の大きな 部分を獲得している状況が浮き彫りになった。ロムニー陣営の弁護士、ベン・ギンズバーグ氏によると、同氏の調整済み総所得の3割以上はベインからの投資収 益の分配である成功報酬が占めた。成功報酬に課される税率は15%で、通常の所得の最高税率35%よりも低い。
キャピタルゲインの税率が低いのでこのような結果になっているだけです。ロムニーも与える印象が悪いので今まで公表していなかっただけのこと。違法行為が発覚したわけではありません。
しかし、確かにこれでは富裕層がより豊かになるだけのこと。所得税と資産税の差は縮めるべきではあると思いますが、低所得者層には何も触れていない。欲深いのは何も富裕層だけではない。税金を納めず網の目をくぐって福祉の恩恵を受けている低所得者層と不法移民に使われる税金の問題に触れないと、オバマの税制政策は片手落ちです。ま、この辺は日本には関係ないでしょうが。
努力して儲けた人(先祖の遺産で暮らしている人も含んで)が、何故に能力のない人に自分の富を分けることを強制されなければいいのでしょうか。
そんなことを認めたら、誰も努力しなくなるではないですか。
恵んでもらう側の人が、「あいつらだけ儲けるのは許せないからこっちに回せ」と堂々と物乞いできる神経を疑います。
人にお願いするには物の言い方があるとおもいます。
元から富を持つものがより多くの富を得るのです
そこに努力の多寡はさほど影響しません
さらに言うなら働いているかどうかも関係ありません
同じ資産を持つ人間が死ぬほど努力すれば他の同じ資産を持つ人間の2倍程度の給料を得ることはできるでしょうがね
ですが、より多くの富を持つ人間は遊んで暮らしていても5倍も10倍も富を得ることが出来ます
その遊んでいる人間は他人の上前を跳ねることで儲けています
直接人を雇っているわけではなくとも、勤め先の企業が別の企業に原材料の価格転嫁等で搾取しています
ですから努力して儲けたという認識そのものが失笑モノですよ
ロムニー氏は国の法律に基づいて正しく申告してるのが明らかになりましたよね。
富裕層の税率が14%で他と比較して低いという指摘だけなら分かりますが、ロムニー氏がけしからんという書き方はいかがなものでしょうか?
責められるのは税率の良し悪しであって、ロムニー氏ではありません。
富裕層が安泰に暮せる為の国作りに使われている税金を、不当に低い税率でしか収めず真面目に働く人を過労死するまでこき使う者こそが金の亡者です。
高度経済成長の時代は、松下幸之助のような大金持ちは収入の大半を税金として収めてました。
金持ちの税金が下がるとともに日本の経済は衰退していきました。
一番の問題は、競争原理などと言いながら、公平な競争が存在しない事です。