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2024年1月30日に法制審議会の家族法部会が異例の多数決で強引にまとめた、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能にする民法改正要綱案。
当ブログは絶対反対の立場で、
『私も常に離婚案件を抱えている普通の弁護士ですが、私たち現場の一般弁護士の話をちゃんと聞いてくださいよ。
共同親権制度なんて機能するわけないんですから、圧倒的多数の弁護士が反対ですよ。』
と書いたのですが、弁護士専門の日本最大のサイト、弁護士ドットコムが共同親権に関するアンケートを取ってくれました。
回答者が251人ということで少なく感じられるかもしれませんが、1億人の有権者に対する世論調査が1000人程度で統計的に十分とされているのですから、4万人余りの弁護士に対するサンプルとしては十分です。
さて、さっそく結果ですが、要綱案について賛否を尋ねたところ、63.7%が「反対」、16.3%が「どちらかといえば反対」と回答し、ジャスト8割が否定的な見解を示しました。
「どちらかといえば賛成」、「賛成」と回答した計17.6%を大きく上回っていて、まさに
「圧倒的多数の弁護士が反対ですよ。」
という私の見立てが本当だったことがお分かりいただけると思います(「どちらともいえない」は2.4%)。
圧倒的に共同親権に対する反対者が多かったその理由を見てみると
「紛争が増大する。かつ紛争解決機関の拡充は見通せない」
「別居親の希望する面会交流の実現という目的を達成する手段は共同親権ではない」
「共同養育は、親権がなくても、協力できる関係性であればできるし実際にしている人はいる」
「進学等で協議がまとまらず子どもにしわ寄せがいくおそれが強い。離婚後も力関係を引きずる。百害あって一利無しの制度」
「当事者の現状や家庭裁判所のキャパシティを考えて現実的な内容ではない」
「DVや虐待への懸念が残る。また、本来は親権と面会交流とは別問題のはずなのに、共同親権が面会交流を強要する手段として用いられかねない」
「経験則上、DV加害者ほど、離婚後も関わりをもちたいために共同親権を主張する。被害者の救済にならない」
「子どもの進学や入院・手術等で親権者の一方が同意しない場合、子どもの将来に不利益になってしまう」
「共同親権について、弁護士でさえ「親子が会えないのはかわいそう」というように、面会(監護)と親権を混同している人がかなりいる。面会は、非親権者であっても家裁手続で解決する方法が今現実にある」
「共同親権ありきで討議されていて、高葛藤の夫婦における問題が置き去りにされている」
とさすが我が実務法曹たち、共同親権制度の問題点を鋭く突いています。
共同親権を求めてきたのは自民党の右派。彼らはそもそも夫から妻へのDVなど当たり前だと思っているだろう。
共同親権に賛成した2割弱の弁護士の理由は
「原則的には、その方がいいと思うから」
「国連から勧告があったから」
「離婚してもどちらも親であることに変わりはないので」
「子どもの福祉の視点から、共同親権を認めるのが合理的で、父親に子どもの養育に責任を持たせるべき」
と抽象的で、そもそも男女問題や離婚事件を扱っていないっぽいです。
唯一、夫婦関係調整事件の実務をちゃんとやっている弁護士は賛成ながら
「仕組みとしては賛成だが、運用が根付くのには相当な時間が必要になると思う」
と言っていますが、本当に共同親権なんて導入したら現場は大混乱で、運用が根付くところまで行きませんよ。
子どもの権利である養育費の取り決めをしないでも離婚できる、取り決めても養育費が実際に払われていないのが一番の問題。
岸田政権が今の通常国会でこれから法案を提出して成立を目指していることに関しても、法案提出前の議論は尽くされたかを尋ねたところ、
「尽くされていない」が77.7%で
「どちらともいえない(15.5%)」「尽くされた(6.8%)」
と回答した計22.3%を大きく上回りました。
議論が尽くされていないという弁護士の意見は
「そもそも制度が意味不明」
「訴訟などの紛争の現場実態を適切に捉えたものであるといえないから」
「実態を知らない、理念先行の議論しかなされていない」
「子どもの進学や入院・手術等で親権者の一方が同意しない場合、どうするのか議論が尽くされていない」
「虐待やモラハラ(精神的DV)などを家裁が認定することは困難であるという実態をわかっていない」
「共同親権の議論は知っていたが、業界内でも十分に議論や意見が尽くされることなく、気づいたら手続がここまで来ていたという印象で驚いている」
「海外は共同親権が原則であることを強調しているが、そこで起きている悲惨な事件や状況を無視している」
「共同親権になれば、非監護親である父に自覚が生まれて養育費を払うようになるとか、双方に権利が生じるので面会交流が円滑に進むとか、実態を全く無視した主張が報道されている」
とどれも納得のいくものです。
離婚の実態は離婚当事者と離婚を扱ってきた弁護士が一番よく知っています。
ちゃんと実態を調査して、我々専門家に聞いて、共同親権の法案は廃案にするべきです。
離婚当事者であるシングルマザーのほとんどが反対。
東京新聞 『共同親権に8割が否定的 子連れ離婚したひとり親調査 DVや虐待から「本当に逃げられなくなる」被害者の不安』より
離婚後の共同親権とは何か 子どもの視点から考える
右派はなぜ家族に介入したがるのか : 憲法24条と9条
私も上下とも署名しました!
DV虐待加害者も共同親権者に? #ちょっと待って共同親権 法務省の審議会に慎重な議論を求めます!
#STOP共同親権 〜両親のハンコなしでは進学も治療も引越しもできない!実質的な離婚禁止制度〜
「共同親権の議論は知っていたが、業界内でも十分に議論や意見が尽くされることなく、気づいたら手続がここまで来ていたという印象で驚いている」
という先生がおられましたが、私も全く同じ感想を持ちましたね。
去年の秋にある全国紙の社会部記者にインタビューされたときに
「これ、どこから来たんですか?」
と尋ねたくらいです。
まあ、自民党右派なんですよね。
共同親権法案こそ日本会議と統一教会的な、戦前の家父長制への懐古趣味丸出しの父権重視からくる発想です。
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離婚後の「共同親権」を可能にする民法改正要綱案に懸念の声〈弁護士アンケート〉
法制審議会の家族法部会は1月30日、離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」を可能にする民法改正要綱案を委員の賛成多数で取りまとめました。
報道などによると、2月15日の法制審議会総会で要綱を決定し、法務大臣への答申を経て、政府が今国会に民法改正案を提出することになります。
弁護士ドットコムでは、会員弁護士に、要綱案についてのアンケートを実施し、251人から回答が寄せられました(実施期間:2月2日〜2月6日)。
要綱案について賛否を尋ねたところ、63.7%が「反対」、16.3%が「どちらかといえば反対」と回答し、8割が否定的な見解を示しました。
●要綱案とは?
今回の要綱案では、離婚後の協議で、単独親権か共同親権かを選択できるようになります。協議が合意に至らなかった場合、家庭裁判所が「子の利益」を踏まえ、どちらかを判断します。また、いったん合意したとしても、家庭裁判所の判断で親権者を変更することも可能です。
DVや虐待への懸念について、要綱案では、父や母が子どもの心身に悪影響を及ぼしたり、父母の一方が、もう一方から暴力や有害な言動を受ける恐れがあれば、家庭裁判所は単独親権を定めなければなりません。
●要綱案に8割が反対
アンケートでは要綱案の賛否について、63.7%が「反対」、16.3%が「どちらかといえば反対」と回答し、「どちらかといえば賛成」、「賛成」と回答した計17.6%を大きく上回りました。「どちらともいえない」は2.4%でした。
●賛否の理由
賛否の理由を尋ねたところ、以下の声が寄せられました。
【反対派の意見】「紛争が発生・拡大する」「DVや虐待への懸念が残る」
「紛争が増大する。かつ紛争解決機関の拡充は見通せない」
「別居親の希望する面会交流の実現という目的を達成する手段は共同親権ではない」
「共同養育は、親権がなくても、協力できる関係性であればできるし実際にしている人はいる」
「進学等で協議がまとまらず子どもにしわ寄せがいくおそれが強い。離婚後も力関係を引きずる。百害あって一利無しの制度」
「当事者の現状や家庭裁判所のキャパシティを考えて現実的な内容ではない」
「DVや虐待への懸念が残る。また、本来は親権と面会交流とは別問題のはずなのに、共同親権が面会交流を強要する手段として用いられかねない」
「経験則上、DV加害者ほど、離婚後も関わりをもちたいために共同親権を主張する。被害者の救済にならない」
「子どもの進学や入院・手術等で親権者の一方が同意しない場合、子どもの将来に不利益になってしまう」
「共同親権について、弁護士でさえ「親子が会えないのはかわいそう」というように、面会(監護)と親権を混同している人がかなりいる。面会は、非親権者であっても家裁手続で解決する方法が今現実にある」
「共同親権ありきで討議されていて、高葛藤の夫婦における問題が置き去りにされている」
【賛成派の意見】「原則的には、その方がいいと思うから」「国連から勧告があったから」
「原則的には、その方がいいと思うから」
「国連から勧告があったから」
「仕組みとしては賛成だが、運用が根付くのには相当な時間が必要になると思う」
「離婚してもどちらも親であることに変わりはないので」
「子どもの福祉の視点から、共同親権を認めるのが合理的で、父親に子どもの養育に責任を持たせるべき」
【どちらともいえない派の意見】「どちらの言い分も理解できるから」
「どちらの言い分も理解できるから」
「相応の養育費を支払う親(父)には、親権が認められるべきであると思います。しかし、例えば、精神的虐待を行っている場合のように、親権を否定すべき事由が、裁判手続で正当に認定されるのかという点に懸念があります」
●法案提出前の議論、8割が「尽くされていない」
政府が今国会での成立を目指していますが、法案提出前の議論は尽くされたかを尋ねたところ、「尽くされていない」が77.7%で、「どちらともいえない(15.5%)」、「尽くされた(6.8%)」と回答した計22.3%を大きく上回りました。
その理由についても尋ねています。
最も目立ったのは、現場の実態を考慮した上で、十分な議論がなされていないことへの疑問の声でした。
【尽くされていない派の意見】
「そもそも制度が意味不明」
「訴訟などの紛争の現場実態を適切に捉えたものであるといえないから」
「実態を知らない、理念先行の議論しかなされていない」
「子どもの進学や入院・手術等で親権者の一方が同意しない場合、どうするのか議論が尽くされていない」
「虐待やモラハラ(精神的DV)などを家裁が認定することは困難であるという実態をわかっていない」
「共同親権の議論は知っていたが、業界内でも十分に議論や意見が尽くされることなく、気づいたら手続がここまで来ていたという印象で驚いている」
「海外は共同親権が原則であることを強調しているが、そこで起きている悲惨な事件や状況を無視している」
「共同親権になれば、非監護親である父に自覚が生まれて養育費を払うようになるとか、双方に権利が生じるので面会交流が円滑に進むとか、実態を全く無視した主張が報道されている」
【尽くされた派の意見】
「長時間激論を交わしており、これ以上議論しても平行線」
「家族法研究会での検討、法制審議会家族法制部会での検討、パブリックコメントを経ています。共同親権の導入については2016年にも超党派から親子断絶防止法案が提出されており、かなり前から議論がされてきています。共同親権は子どもの権利条約で保障されている子どもの権利です(同条約3条1項・9条1項・9条3項・18条1項)。日本は子どもの権利条約を批准してから30年以上たっていることからも、十分議論する時間は過ぎたと思います」
●離婚の現場はどう変化するか
要綱案通りに共同親権が導入された場合、離婚当事者たちの現場はどう変化するかについて、自由記述で尋ねたところ、以下の声が寄せられました。
【紛争が長期化し、対立が深まる】
「従前の親権をどうするかという問題に加え、共同親権にするか単独親権にするかの争いも起き、紛争が長期化すると考えられる」
「例外的に単独親権を求める場合の親権争いが、いままで以上に先鋭化すると思います」
「紛争が悪化拡大する事案が増えると思われる」
【取り決めが細かくなる】
「共同親権の行使方法及び面会交流の取り決めが細かくなるように思います」
【トラブルにつながる】
「離婚後に接触する機会が増え、トラブルにつながる可能性がある」
「共同親権行使の名の下に非監護親から監護親へのいやがらせ等不当な攻撃が横行すると考えられる」
「共同親権を選択した後、子どもの生活や進路について意見が食い違い、紛争が頻発するのではないか」
「DV証明できない限り裁判で共同親権の判断がなされるようになり、支配下に置かれている一方が永遠に解放されなくなる。共同親権が円満に実施できる夫婦なら現状でも共同することができているはず」
【子どもにプラスになる】
「子どもの養育に共同していく意識が醸成され、子どもの福祉にプラスになっていくと思う」
【子どもにマイナスになる】
「子どもの保育園入園妨害など、子の福祉に反する状況の発生等」
「子を監護養育している親が進学や病気の際などに速やかに方針決定できず、子の福祉を害する」
【結婚や離婚を諦める人が増える】
「離婚のリスクを考えると、怖くて入籍できなくなると思う。事実婚が増えるのではないか」
「離婚後も婚姻時の力関係が持ち越される。DV被害者が離婚を諦める可能性もある」
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発起人は自民党の野田聖子元少子化担当相と立憲民主党の福山哲郎元幹事長。立民の枝野幸男前代表、共産党の小池晃書記局長らが出席した。
野田氏は会合で、共同親権導入の動きに「違和感」を表明。福山氏も「党派を超えて議論し、今の政府の流れに『慎重にやるべきではないか』と声を上げてほしい」と訴えた。
法制審議会(法相の諮問機関)の部会は、離婚後は父母一方の「単独親権」に限る現行法を見直し、父母が協議して選択できるようにする民法改正要綱案を1月にまとめた。父母が合意できなければ家庭裁判所が判断。DV(家庭内暴力)・虐待などが生じる恐れがあれば、家裁は単独親権と定めなければならないとした。
会合では法務省から要綱案の説明を聴取。議員からは「家裁が対応する保証がない」「DVの証拠を示すのは難しい」などの意見が続出した。離婚した当事者も出席。パスポート取得の同意が得られず、子が海外の修学旅行に参加できなくなるなどの懸念を伝えた。
2024年2月9日 18:00 日本経済新聞
自民党の野田聖子元総務相と立憲民主党の福山哲郎参院議員は9日、国会内で離婚後の共同親権の導入に関する勉強会を開いた。野田氏は「にわかに起きた共同親権(の議論)が進められるのに立法府の一員として違和感を覚える」と述べた。親権問題を巡り国会で十分に議論してこなかったとの認識を示した。
勉強会は超党派の国会議員が参加し、家庭内暴力を受け離婚した当事者らから意見を聞き取った。法制審議会(法相の諮問機関)は1月、離婚後の共同親権導入を柱とする民法の改正要綱案を了承した。政府は今国会に民法改正案を提出する見通しだ。
2024年2月10日(土) しんぶん赤旗
「共同親権」 懸念や反対
超党派勉強会で当事者
「親権のあり方勉強会」が9日、国会内で開かれ、日本共産党から小池晃書記局長と、仁比聡平参院議員が出席しました。会合では、離婚後も父母双方に子どもの親権を認める「共同親権」の導入を盛り込んだ要綱案を法制審議会の部会が了承したことを受け、当事者と法務省からヒアリングを行いました。政府は今国会に改定案を提出する方針です。
同省の担当者は、要綱案について、離婚後は父母のどちらかが親権を持つ現在の「単独親権」から、離婚後も父母双方に親権を認める「共同親権」が原則になると説明。父母の協議で共同親権か単独親権かを決めるとして、合意できない場合は家庭裁判所が判断するとしています。
元夫からのDV(配偶者間などの暴力)や子どもの虐待が原因で離婚した女性は、「離婚調停に4年もかかった。元夫は嫌がる子どもに面会を求めるなど、離婚後もDVや虐待が続いた」と涙ながらに証言。複数の当事者から、要綱案は、裁判所がDVだと認めた場合は「単独親権」を行使できるとしているが、立証するのは困難だとして「私たちから日常を奪わないでほしい」と制度導入に懸念や反対を表明しました。
小池氏は、「当事者の方々の話を聞き、深刻な問題があると痛感した。今回の『要綱案』では、“親が子を思い通りにする権利がある”かのような『親権』がそのまま使われている。日本共産党は、『共同親権』の拙速な導入ではなく、子どもの権利を中心に据えて、『親権』そのものを見直すべきだと考える」と述べました。
仁比氏は「子育てのあらゆる場面で裁判が繰り返される懸念がある。新たな人権侵害が起こってはならない」と指摘しました。
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右派が「単独親権は男性差別」みたいな無駄な論陣を張れば張るほど、あぁ、こいつらこそ弱男を蔑んでる本丸だなってのがより浮彫りになるだけでね
2019年の国連・児童の権利委員会の「共同監護を認めるために法改正せよ」という勧告は、画龍点睛を欠くと言うより明後日のほうを向いてるようですが、既存の法律でも共同監護は可能ですよね
「法的に可能でも実際に面会交流や共同監護が進んでないから勧告されるんだ」と右派なら言うでしょう
だけど連中は、面会交流や共同監護が「拒否」されたり「制限」される場合は親権が「単独」でも「共同」でも同じ、ってことには言及しませんよね
そして、ブログ主さんの仰る通り、そして、拙速な為にする「議論」だけで制度を作れば、迷惑するのは現場の実務家さんですよね。
なんとかカードもそうですが、どうしてこう問題・害だらけの制度を作ろうとするのか、理解できません…
(やはり、財界とカルト教団のせいか(それに8〇3もあるのかも?))
>暗黒大将軍さん
私は結婚とは縁のない1/3「引きこもり」状態ですが、私にも自分がインセルやミソジニーにならないくらいの自信はありますよ!(キッパリ)
インセルやミソジニーには、ジュディス・バトラー等の本は決して読む能力がないでしょうしね!(高笑)