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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

社民党福島瑞穂代表による入管難民法改悪案に反対し、杉久武参院法務委員長への解任決議案に賛成する参院本会議での熱弁をご紹介します!

2023年06月02日 | 外国人の人権・人種差別反対・嫌中嫌韓反対

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 たまたま3日前から郷里兵庫県に出張してきており、昨日東京に帰る予定が大雨で新幹線が止まり、大阪なんばでもう一泊することを余儀なくされ、黒門市場近くのビジネスホテルに今日も立てこもっている宮武嶺です。

 皆様、いかがお過ごしですか?

 昔は日本はモンスーン気候の穏やかな四季のある国と習ったのに、地球温暖化のせいか、まるで亜熱帯の国のように何もかも激しい国になりましたね。

 全国各地で被害にあわれている皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 さて、そんな豪雨の中、昨日は健康保険証を廃止するという天下の悪法が成立しました。

 まさに不人気だったマイナンバーカードを普及させるため、国民の税金を湯水のように使ってマイナポイントをつけるという「アメ」と同時に使う「鞭」としての健康保険証廃止。

 今日も人権派ブログの先輩、我が「個人の尊厳」党首である村野瀬玲奈さんが怒りの投稿をされています。

 岸田文雄という人物がこうも危険な政治家だったとは、早くから警鐘を鳴らしていた私もここまでとは!という思いです。

自国維公が国民の医療アクセスという命綱を切る作業を本格化させた2023年6月2日。民主主義者にとって自国維公に殴られ始める屈辱の日。 #保険証廃止法案の成立に抗議します。

 

 

 しかし、まだ土俵際で成立するのを食い止めている悪法があります。

 その一つが入管難民法改悪案。

 わたくしが村野瀬さんと並んでリスペクトしている福島みずほ社民党党首が、Facebookに、立憲民主・社民を代表して入管難民法改悪案に反対し、安易にこれを採決しようとしている法務委員会・杉久武委員長への解任決議案に賛成された賛成討論全文(2023年6月2日 参院本会議にて)をアップされているのを発見。

 これが素晴らしい内容でしたので、リアルでも何度かお会いしたこともある福島さんにお願いして、こちらに転載させていただきます。

【ほっとけない】改憲と軍拡策動など右傾化が続く日本で、「小粒でもピリリと辛い」社民党の存在価値はますます高まっている。この夏、参院選で政党要件を賭けた戦いに挑む福島みずほさんと社民党を応援します。

 

 

 実は、立民の泉健太代表が日本一の悪党維新の会と手を切り元のまともな野党路線に戻るのが遅くて、岸田政権が今国会に提出した悪法案の数々が衆院ではほとんどスルーで可決され、参院に殺到する事態となりました。

 参院法務委員会でも、本当は不同意性交罪を新設するなどの大事な刑法改正法案を可決してもらわないといけないのに、全党一致している刑法改正案を先に処理すればいいものを、もめにもめている入管難民法のせいで、刑法改正案まで廃案になりそうになっています。

 そういった杉久委員長の不手際もあるのですが、何より外国人の人命を奪いかねない入管難民法改悪案について、福島さんが頭と足を使って集めてこられた数々の貴重な証拠で満載の解任賛成討論です。

 ぜひお読みください。

悪法ラッシュの岸田政権。原発の60年以上の運転を認めるGⅩ原発推進法成立、健康保険証を廃止してマイナンバーカードを強制にする法案が今日成立。防衛費増額の財源確保法案と入管難民法改悪案だけでも阻止だ!

難民を迫害を受ける母国に追い返して殺しかねない。国連報告者も抜本的見直しを勧告。入管難民法改悪案は絶対許されず廃案しかない。立憲民主党は妥協するな。

 

 

  まず、福島さんによるご自身の賛成討論に関するご説明です。

『参議院法務委員会で、入管法改悪法案の審議をしています。
与野党合意なく、職権で強引に採決を強行しようとした法務委員長の解任決議案を提出し、6月2日参議院本会議で、趣旨説明、討論が行われました。
私は、解任決議案について賛成の討論を行いました。
解任決議案は、否決されてしまいましたが、賛成討論を読んでいただくと、いま、参議院の法務委員会で何を問題にしているのかよくわかっていただけると思います。
ぜひ、読んでください。』
 
 
 
 
『社民党の福島みずほです。私は、立憲民主・社民を代表し、法務委員長・杉久武さんの解任決議案に賛成の討論を行います。
政府提出の入管法改悪法案は、天下の悪法です。そして、法務委員会の審議において、この法案の立法事実が完全に崩壊しました。また、ウィシュマさんの死亡の原因究明も、難民・入管行政のブラックボックスの解明も、緒についたばかりです。審議すればするほど、入管庁が極めて恣意的に難民認定をやっていることや、その審査手
続の杜撰さが明らかになってきています。真相究明はこれからではないですか。審議はまったく尽くされていません。
それにもかかわらず、与野党の合意がない中で、杉委員長が職権で審議の打ち切りと採決を決めたことは暴挙であり、中立・公正の立場で議事を司るべき委員長としては不適格だと断ぜざるを得ないのです。
以下、具体的に、解任決議案に賛成の理由を申し述べます。
 
 
 
まず、第1に、政府提案の入管法改悪法案が、希代の悪法であるにもかかわらず、審議打ち切りと採決を決めたことです。
そもそも、なぜ、多くの国民の反対で2年前に廃案になった法案とほぼ同じ法案が今国会に提出されているのですか。昨年11月、国連の自由権規約委員会から入管制度について改善するように勧告を受けながら、それが全く反映されていません。
日本の難民認定制度は、出入国管理行政を所管とする入管庁の中で行われており、独立した機関で行われておりません。
日本の難民認定率は、2021年でわずか0.7%です。例えば、カナダは、トルコ人について2021年の難民認定率は、97%です。日本はゼロです。日本がトルコ人の難民を認めたのは、裁判で国が敗訴した去年の1件だけです。
日本の難民認定制度は機能していません。
出入国管理を行う入管庁の職員が難民認定審査を行うのではなく、立憲民主・社民・日本共産党・れいわ新撰組・沖縄の風の4会派で議員立法で提出をした難民等保護法案のように、難民認定制度を入管制度から分離し、独立した第三者機関で行うべきです。
これまで入管が不認定処分を出し、裁判で国が敗訴して難民認定が認められたケースを見ると、カメルーンの人、コンゴの人のケースなど、捜査書類が存在していても本物かどうかわからないとして難民認定されなかったケースがあります。これだけの証明種類があるのに、なぜ法務省は難民認定しなかったのでしょうか。
重ねて言います。日本の難民制度は機能していません。そのことの徹底的な検証と、抜本的な改革が必要です。それがないままの採決などできません。
 
 
第2に、ウィシュマさんの死亡の原因究明がまったくなされていないままに法案が審議されていることや、難民調査官や難民審査参与員の問題、長期収容や入管施設内の医療体制の問題、送還忌避者の背景事情、入管が送還を促進し職員にノルマを課してきた問題、さらには、日本で生まれ、育っている子どもたちが強制送還や親との断絶の恐怖に日々脅えている問題など、改善されなければならない重大な問題が置き去りにされてしまっている中で、杉委員長が審議を打ち切る決定をしたことです。
2022年末、送還忌避者のうち、日本で育った18歳未満の者295人の者の家族について、政府案は何らの具体的解決策を明示していません。
難民審査参与員の問題も、参議院の審議を通じてその闇が明らかになってきたばかりです。参与員のほとんどの人たちも、参与員の制度の中に常設班と臨時班の2種類があることを知りませんでした。書面審議だけで迅速に処理する臨時班を設け処理をさせてきました。参与員制度の創設時から参与員を務めてきた柳瀬房子さんは、2021年2378件、2022年2231件を担当し、なんと全体の2割以上をやっています。111人いる参与員の中で全くケースを割り当てないられない人もいる中で、あまりに著しい偏りです。対面審査をせず、簡単かつ迅速に処理してよい事件の振り分けを入管庁自身がやり、それを臨時班が一案件あたりわずか6分で審査しているのですから、これが公平だとは到底、言えません。
 
 
 
 
 
参与員の柳瀬房子さんの2019年11月の専門部会の発言と2021年4月の衆議院法務委員会参考人質疑での発言から、柳瀬さんは1年半の間に500件の対面審査をやったことになります。5月30日の記者会見でそれが可能だと思うかと聞かれた齋藤法務大臣は、可能であると答えたにもかかわらず、夜になって言い間違えた、不可能だと訂正をしました。
そうなんです。不可能なんです。つまり、柳瀬房子さんの発言の信頼性を、齋藤大臣自身が否定したのです。2019年の難民・送還専門部会の第一回で、柳瀬房子さんは、難民申請する人たちの中に難民はほとんどいないと発言し、それが2回難民申請が認められなければ、送還停止効を外して強制送還すると言う結論を導いた根拠になっていました。その根拠が崩壊したのですから、もはや立法事実は存在しないことが明らかになったのです。
 
 
 
 
 
法務省も、この柳瀬参与員の難民はほとんどいないと言う証言を何度も引用し、わが国の難民認定制度の現状を端的に表したものですと答弁を続けてきました。その前提事実が崩壊をしたのですから、政府案は廃案にするしかありません。
審議の中で、私は、法務省が、何度も何度も、参与員の言葉を引用し、難民申請をする人の中に、難民はほとんどいないと断言することに激しい怒りとショックを感じました。難民を保護すると言う観点があまりにないのです。
 
 
例えば、あるクルド人は、UNHCRから難民該当性があると認定されたにもかかわらず、入管によって難民認定が拒否され、トルコに強制送還されました。彼は迫害の恐怖から、ほどなくニュージーランドへ脱出し、難民認定され、現在はニュージーランドで市民権を持って暮らしています。UNHCRが難民と認定し、ニュージーランドでは保護されているのに、なぜこの日本では難民と認められなかったのでしょうか。
今年12月、ジュネーブで、グローバル難民フォーラムがあります。4年ごとに開かれるこのフォーラムの今年は日本が共同議長国です。ここで、日本は、「日本には難民はほとんどいません。クルド人で難民認定された人は1人しかいません。」と宣言をしたら、どれだけ多くの国々の人々は驚くでしょうか。議長国としてふさわしい、真に難民条約や国際人権諸条約に則った難民等保護法と入管法を作るべきです。この悪法を成立させることは絶対に許されません。
よう言うわ!
 
 
第3に、政府案では、日本の入管制度の根本的な問題である全件収容問題と無期限収容問題が解決されず、結局、収容にあたって司法的チェックが一切入らない問題や、期限の定めがなく、無期限に収容できる問題が放置されたまま、杉委員長が政府案の採決を決定したことは重大かつ深刻な問題であり、著しく中立性・公平性を欠く暴挙であることです。
難民認定・審査制度が国際基準に則り、専門性・透明性・中立性ある形で十分に機能しているのであれば、2回難民申請をして認められなければ3回目には送還すると言うこともあり得るかもしれません。しかし日本は、全く難民認定制度が機能していないのです。そんな中で、不認定となった難民の人を本国に送り返したら、命の危険が発生します。迫害や虐殺や拷問の危険が起こり得るのです。衆議院法務委員会で参考人は、政府案をこのまま採択することは死刑執行のボタンを押すようなものだと言いました。その通りです。
なぜ日本は、ミャンマーのカチンやロヒンギャ、クルド、スリランカなどの国々の人たちを難民と認めて保護しないのでしょうか。これらの方々は、送還すれば命の危険が発生します。
 
 
この事は命の問題です。命の危険が発生することについて、私たち国会議員は、市民社会はもっと真剣に考えなければなりません。死刑執行のボタンを押す共犯者となってはならないのです。
参議院の参考人質疑で25歳のクルド人のラマザンさんは、何回も難民申請をした家族が、この法律が施行になれば、トルコに送還をされ、特別在留許可を持っている彼は日本に居ることができるけれども、家族がバラバラになることを本当に恐れていました。多くの人たちが、この法案が成立したときのことを本当に恐れています。
 
 
杉委員長が問題なのは、入管法改悪法案の立法事実の前提事実が崩壊し、難民認定が杜撰で、問題があること、入管の収容施設の中が、死亡する人が出て、極めて非人道的であると言うことが明らかになっても、それに蓋をしたまま改善をしようとはせず、職権で審議を終局させて、法案を強硬に成立させようとしていることです。
外国人の命だと言わないでください。この国が、人の命を紙切れのように扱うと言う事は、次の瞬間、私たち日本人の命も紙切れのように扱われると言うことではないでしょうか。人々を安価な労働力としてしか見ないこの国の政治を変えなければなりません。
数多くの問題に目をつぶり、疑惑に蓋をするかのように採決を強行しようとした杉委員長には、委員長をお辞めいただくしかありません。
人がとして扱われる、そんな国を作ろうと議場にいる全ての皆さんに呼びかけて、私の解任決議案の賛成討論といたします。』

同じ参議院議員なのに何たる差!

日本維新の会は梅村みずほ議員を党員資格停止処分にしたが、その理由は亡くなったウィシュマさんについて「詐病」「ハンガーストライキ」とデマ発言をしたからではなく、党の指示を聞かなかったからだった(呆)。

 

 

私も署名しました!

難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする、 入管法改悪に反対します!

 

 

快く転載をご承諾くださった福島瑞穂さん、ありがとうございました!

軍拡・原発・マイナンバー強制と、悪法ラッシュの歴史に悪い意味で残る今国会。

せめて、自国維公=地獄逝こうが、6月7日にも参院本会議で可決成立をもくろむ入管難民法改悪だけでも、成立を阻止して一矢報いたいものです。

それにしても帰りたい(笑)。

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 難民支援のNPO法人の名誉会長で難民審査参与員を務める柳瀬房子氏に審査が集中していた問題で、案件をほとんど依頼されない参与員がいることが分かった。立憲民主党などが29日に国会内で開いたヒアリングに参与員2人がオンラインで参加し、年間1〜3件しか配分されていないことを明らかにした。(池尾伸一)
 入管難民法改正案を審議している参院法務委員会では、柳瀬氏の審査担当数は2021年に全体の20%の1378件、22年は25%の1231件だったことが判明している。
 この日のヒアリングでは、21年12月に参与員に任命された小豆沢史絵弁護士が「月に2回は審査に対応できる」と説明したにもかかわらず「就任以来、実際に審査したのは5件だけ」と明かした。年間3.3件のペースになる。
 21年3月から参与員を務める入管問題の研究者が担当したのは3件で年間では1.3件のペースだった。
 参与員は現在111人で、難民不認定となった人の2次審査を行う。出入国在留管理庁(入管庁)は3人1組で審査にあたる「常設班」を34班組織し、月に数回集まって審査してもらっているが、小豆沢氏と研究者は常設班にも組み込まれていなかった。
 難民問題に詳しい高橋済弁護士は「入管庁が不認定の結論を出してくれる参与員ばかりに重点配分している」としている。
 案件が過少な参与員がいる理由について入管庁は本紙取材に「答えられない」(審判課)とした。
 柳瀬氏は21年の衆院参考人招致で「難民を認定したいと思っているのにほとんどみつけることができない」と発言。入管庁は発言を難民申請が乱用されていることの根拠として法改正の必要性を説明している。
 
 
 
 

佐藤 慧Kei Sato

長年、入管や難民審査の問題を見てきた人々でさえ、連日「驚愕」するような事実が、入管法政府案の審議を通して明らかになってきている。5月25日、参院法務委員会で、難民審査参与員の柳瀬房子氏の、2年分の審査件数が明らかとなった。

2021年:全件6741件のうち1378件(勤務日数34日)
2022年:全件4740件のうち1231件(勤務日数32日)
※勤務日数のうち一日は、審査をしない協議会

難民審査参与員は、法務大臣に指名され、入管の難民認定審査(一次審査)で不認定とされ、不服を申し立てた外国人の審査(二次審査)を担っている。

参与員が111名いるにも関わらず、柳瀬氏は2022年、全件の4分の1以上を担当している。極端な偏りも問題だが、「丁寧な審査」とは言えない件数がここで露わになった。

単純計算した場合、柳瀬氏は参与員として1日あたり40件もの難民審査をしていたことになり、たとえ1日の勤務時間(一期日)が8時間だったとしても、1件あたり「約12分」だ。だが、国会質疑などからも、参与員の勤務時間は4時間ほどだということが明らかになってきている。そうなると計算上、平均すれば一件わずか「6分」ということになる。

これだけでも驚きだが、他にも「不可解」な発言がある。

「1年半で500件対面審査」、当初は「可能」と大臣

【対面審査に関する柳瀬氏の発言】
(1)2019年11月 対面審査1500人(収容・送還に関する専門部会)
(2)2021年4月 対面審査2000人(衆院法務委員会)
=1年半で対面審査500人増…?

「収容・送還に関する専門部会」で柳瀬氏は委員を務めたが、この専門部会の提言が法案の基となっている。また、柳瀬氏は2021年4月の衆院法務委員会で、「難民をほとんど見つけることができない」と発言しており、これも今年の入管庁の資料に引用され、入管法政府案の「根拠」とされてきた。ただ、そこで柳瀬氏が主張した件数を踏まえると、1年半で対面審査が500人分も増えたことになる。

5月30日、この「1年半で500件の対面審査」について問われた齋藤法務大臣は、下記のように記者に答えている。

参与員としての事件処理数をそのとき、その都度お話になっているんだろうと思いますが、我々の審査の仕方は、事前に書類を送って見て頂くということをやっており、それを含めて処理数ということでありますので、一般論として申し上げれば、1年6ヵ月で500件の対面審査を行うということは「可能」だと思っています。

この返答がまず、衝撃だった。

仮に年間の勤務数が上記通り34日程度だったと仮定すると、2019年11月から2021年4月までの1年半、対面審査だけで1日あたり10件をこなすことになる。勤務時間4時間だったとすると、1件あたり20分強、通訳の時間を除けば、約10分ほどとなる可能性もあり、しかもこの時間内に他の参与員との「評議」まで行わなければならない。

2023年5月30日の法務大臣定例記者会見。

柳瀬氏の主張してきた件数、大臣自ら「不可能」と

ところが同日夜、法務省から「“可能”ではなく、“不可能”の言い間違いだった」と訂正の連絡があった。

動画にも残っているが、文脈をもう一度、見てみてほしい。「事前に書類を送っている」と、1年半500件の対面審査が「可能」である理由を説きながら、「本当は“不可能”と言いたかった」という“訂正”が果たしてまかり通るだろうか。
 
通常、入管の難民審査では、記憶違いなどであったとしても、発言の変遷は厳しく指摘される。一方、「大臣であれば無理のある訂正でも押し通せる」というのは、筋が通らないだろう。

上記は2023年5月16日~30日までの法務大臣会見にて、柳瀬難民審査参与員の問題に言及した部分である。この変遷を見れば、「言い間違い」というのがどれだけ無理のあることかわかるだろう。

ここで重要なのは、これまで擁護していたはずの、柳瀬氏が主張してきた審査件数を法務省自ら「不可能」と否定したことだ。つまり、「立法事実」が破綻したことに等しい。

現在審議中の入管法政府案では、審査で2度「不認定」となった申請者が、以後、強制送還の対象になり得てしまう内容が盛り込まれている。その法案内容の「根拠」となってきたのが、柳瀬氏の審査についての過去の発言だった。

専門部会での発言、衆院法務委員会での質疑、どちらも法案の根幹に関わるものだが、その内実が、「不可能」な件数を「可能」なように発言し、それを法務省・入管が追認してきた、ということであれば、法案としての体を、もはや成していないだろう。

重要なのは「保護されるべき人が保護されていない」現状

この日の夜、都内で現役参与員らが登壇する会見が開かれた。全国難民弁護団連絡会議代表の渡邉彰悟弁護士は、「1年半で500件の対面審査は到底不可能。(柳瀬氏が)事実と違うことを喋り、その内容を法案を推進する側が使っていた、ということだと思いますし、怒りを禁じえません」と語った。

2023年5月30日、参与員らが登壇した記者会見。

先述の通り、柳瀬氏は「難民をほとんど見つけることができない」と主張してきたが、同じく難民審査参与員を務める小川玲子さんはこう指摘する。

「(二次審査にも)難民の方々はいらっしゃるんです。保護されるべき人が保護されていないと私は思っていますし、誰をどのように保護する仕組みを作るのかを議論するべきであって、送還の話が先に出てくるのは順番が違うのではないでしょうか」

齋藤法務大臣は「立法事実は柳瀬氏の発言だけではない」としているが、ここで重要なのは、小川さんが指摘するように、「保護すべき者が保護される」制度になっているか否かだろう。

ちなみに審査件数について、これまで入管庁は、「集計していない」ことを理由に、飽くまでも柳瀬氏の「記憶に基づいた発言を重く受け止める」の一点張りだった。齋藤法務大臣も、柳瀬氏の「NPOの経験」「長年の参与員としての経験」を引き合いに出し、その発言の正当性を強調してきた。要は、「裏はとってないが信じろ」と繰り返してきたのだ。

しかし「信じろ」と言われたものが「不可能」と否定された今、その信憑性はどこにあるというのだろうか。

「まともな法治国家」であれば、現状のままでの審議は不可能なはずだ。時間をかけてでも、具体的な集計を共有し、徹底的に検証することが先決ではないだろうか。

2023年5月30日、有楽町・イトシア前の集会で、参加者のおひとりが配っていた小さなプラカード。

(2023.5.31 / 写真・文 安田菜津紀)

 
 
 

入管難民法改正案の根拠となる参与員発言の疑わしさ 「虚偽としか言いようがない」

5/30(火) 7:03配信

週刊金曜日

 岸田文雄政権が今国会での成立をめざしている入管難民法改正案で、法務省がその必要性を示してきた根拠がここにきて大きく揺らいでいる。同省が与野党の国会議員に説明してきた「難民認定制度の現状」という資料で引用した、ある難民審査参与員の発言の信ぴょう性が疑わしくなっているのだ。

 この難民審査参与員は、NPO「難民を助ける会」の柳瀬房子名誉会長。難民審査参与員とは、法務大臣に指名された非常勤の国家公務員。難民認定されなかった外国人による不服申し立てを審査する役割を担っている。

 柳瀬氏は2021年4月21日、衆議院法務委員会に参考人として出席し、「参与員が、入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません」「難民の認定率が低いというのは、分母である申請者の中に難民がほとんどいないということを、皆様、ぜひご理解ください」などと発言。法務省はこの部分を資料に引用している。難民認定申請を繰り返す外国人を強制送還しても問題ない、との主張を裏付けるためだ。

 しかし、この柳瀬氏の認識は本当に正しいのか。

 そう疑わせるのは、2021年4月の参考人発言で挙げている「17年間で担当した案件は2000件以上になる」という案件の数の多さだ。

 さらに今年4月の『朝日新聞』では「難民認定すべきだとの意見書が出せたのは約4000件のうち6件にとどまる」と発言。差し引きすると、2021年からの2年間で約2000件。1年間で1000件を担当したことになる。

柳瀬房子氏の発言

 難民を支援する弁護士でつくる「全国難民弁護団連絡会議」(以下、全難連と略)は5月15日、「難民審査参与員の『難民はほとんどいない』発言は本当か」と題した記者会見を開いた。柳瀬氏の案件処理数が「われわれが経験していることとかなり乖離がある」ため、日本弁護士連合会推薦の難民審査参与員に緊急アンケートを実施し、その結果を明らかにしたのだ。

 2019年度から今年4月までの期間が任期に含まれている14人に質問。常時、不服申し立ての審査にあたっている10人の年間担当件数は平均で36・3件。最も多かったのが50件、最少は17件だった。柳瀬氏の1年間1000件とは大きく食い違っている。「17年で2000件」としても年平均117件となり、アンケート結果で示された平均件数の3倍以上の数字となる。

 全難連の渡邉彰悟代表は「年間1000件というのはありえない。それを対面審査でやっているというのであれば、虚偽としか言いようがない」と指摘。そのうえで「一部の(参与員の)発言を入管がとりあげ、資料をつくり、国会で説明しているというのは、自分たちの主張をとおすための一方的なもので、到底、公正で客観的なものとは言えない」と批判した。

 この問題について斎藤健法務大臣は5月12日の記者会見で「特定の難民審査参与員の事件処理件数等については統計をとっていないため、お答えすることは困難」と述べている。

 
 

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16 コメント

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この人はブレない (the hang man)
2023-06-03 17:51:20
いわゆるリベラル系でブレないのは福島瑞穂さんだけじゃないですか。

エセ保守がのさばり、社民党が風前の灯火になってしまった現状は本当に残念ですね。
返信する
Unknown (raymiyatake)
2023-06-03 18:27:02
どんどん小さくなっちゃうのには福島さんの責任もあるんでしょうけど、無くならないようにだけしてほしいですね〜

なんでドイツ社民党みたいなのがうちにはないのかなあ
返信する
【 日本人の良識に期待するしかない! 】 (三角四角)
2023-06-03 23:34:55
 日本人の為に働く政党か、外国人の為に働く政党かを良く見極めることが大事です。
 社民党が何方の政党か明らかです。

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、国政は、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する(日本国憲法 前文)。

 社民党が幾ら外国人の為に働いても、日本国民はその福利を享受することが出来ません!

 日本国憲法前文に背く、政党は報いを受けるべきでしょう?
返信する
マスメディアは政府に徹底的に忖度 (ロハスな人)
2023-06-04 09:15:15
☆審議すればするほど、入管庁が極めて恣意的に難民認定をやっていることや、その審査手続の杜撰さが明らかになってきています。 BY福島みずほ氏 >

今回の件をリテラも『マスメディア批判』も含めて記事にされていますね。

『根拠はどうでもいいから今回の法制度をごり押しで強行したい』という政府の意図が見え見えであり、"マスメディアも全面協力"しているわけですね。(ため息)

https://lite-ra.com/2023/06/post-6280.html?fbclid=IwAR1cHOKPjGt0oD12QYhSVZJYjJsTglMf5XMxedoHKNdR_ZIzNwsKyoxmOg8
☆“難民見殺し”入管法改正案の根拠となった難民審査のデタラメが発覚! それでもマスコミは批判せず、強行採決を許すのか
2023.06.01 リテラ

◎ メディアは入管法改正案の問題点をなぜ報じない? デタラメだらけの反人権法案の強行採決許すな
 もはや立法事実が崩壊し、審議に耐えうる状態ではなく廃案にするほかない入管法改正案。少なくとも柳瀬氏の証人喚問は必須と言えるが、問題は、入管法改正案がテレビではほとんど大きく取り上げられていないということだ。

 実際、入管法改正案をめぐっては、5月21日に東京・渋谷で7000人が参加した大規模な反対デモがおこなわれたが、テレビのニュース番組はG7サミットの話題一色で、まったく報じられず。衆院で可決された際や日本維新の会の梅村みずほ参院議員による暴言問題については報じられたものの、法案そのものの問題点に踏み込んだ報道をおこなっているのはTBSの『報道特集』や『news23』くらいのもので、柳瀬氏の問題も『news23』は取り上げたものの、NHKの『ニュースウオッチ9』もテレビ朝日の『報道ステーション』もスルーしつづけている。また、30日の参院法務委員会では、またしても維新の鈴木宗男参院議員が「国益なくして人権なし」などと信じがたい暴言を吐いたが、もちろんそれも報じられていない。

 この入管法改正案は、国連人権理事会の専門家らも「国際人権基準を満たしていない」として日本政府に抜本的な見直しを勧告しており、国際社会に対し、反人道・反人権国家であると宣言するようなシロモノだ。しかも、立法事実が破綻するという事態になっているというのに、それさえもテレビは伝えようとしない。このままでは、本来難民として保護すべき対象の人々が、命の危険が待っている国に強制送還されてしまうかもしれないのに、である。

 重要な問題点を報じないまま、人を見殺しにしようという法案をこの国が押し通すことを、テレビはこのまま黙認するのか。本日6月1日の参院法務委員会での強行採決も危ぶまれているなか、問題を報じないメディアの姿勢にも注視する必要がある。
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某国共産党万歳? (時々拝見)
2023-06-04 15:13:35
某国共産党やら某国軍事政権やらの迫害を逃れてきた、民主主義の運動家、人権派弁護士、少数民族活動家は某国の元へ送り返そうって人もいるようです。主張してることは、某国共産党の利益になることばかり。

おまけ
ヤフーニュース等に、中国のリニアモーターカー関係のいい加減なニュースが流れる度、「静岡県知事が~」という人がウヨウヨと・・。何であれ、日本国内の分断は中国政府の希望通り。
ネトウヨ使うに、資金は要らぬ、ガセネタ一つ流しゃよい
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Unknown (Unknown)
2023-06-05 00:14:56
>日本人の為に働く政党か、外国人の為に働く政党かを良く見極めることが大事です。

笑いすぎて日頃鍛えている腹筋が痛くなってしまいました
今更、さざれ石がイワオ(『キン肉マン』の登場「超人」)となってカビが生えたような二項対立(笑)

私は、もし、憲法を改正するとしたら
「国民」の語を「すべて自然人」「人民」に(そう、GHQ案と同様に!)すべきだと思います。
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すごい (狸子)
2023-06-05 00:22:51
 福島議員の発言は内容の正当性はもちろんだが、明確な主張・論理的な文脈・わかりやすく力強い言葉の選択・どれをとっても素晴らしく、とても感動します。
 私は正直、政治的法的な教養があまりなくて、新聞の国会関係の記事も「難しい単語が多い」「よくわからない」と思ってしまうことも実は多いのですが、この発言は一読しただけでも非常によくわかり、同議員のすぐれた見識と知性に心うたれます。
 演説、発言のお手本のひとつと言えるのではないでしょうか。
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[入管法改正案は廃案にすべきである… が] (バードストライク)
2023-06-05 08:54:58
法案自体もひどいが、関連してありえない話が続々と。今まで2000人を調査した柳瀬参事員(相馬雪香設立の「難民を守る会」名誉会長)の意図は?

児玉晃一弁護士のツイート
>「入管庁をプッシュすることはいくらでもする」
柳瀬氏が名誉会長を務める「難民を助ける会」の2021年決算。
当期収入額14億2350万円ほどの当期収入のうち、ジャパン・プラットフォーム経由のものを含め5億9000万円ほどが外務省からの公的資金。

金が目当てでした😩
いつのまにか変質していたんだ。
柳瀬氏が「(難民)該当者が見つからない」と発言した時、同会が「柳瀬の見解が即ち会の見解ということではありません」と弁解していたが、周りが誰も気づかなかったってあり得る?

あと入管施設の常勤医師(しかも女性)が勤務中に飲酒酩酊して診察していた、とか…
これも周りが気づかない、ってあり得る?


ところで記事本文中、
> 6月7日にも参院本会議で可決成立をもくろむ入管難民法改悪だけでも、成立を阻止して一矢報いたい
ってありますけど、岸田が成立させた悪法、正式名称は忘れたが
・防衛費倍増
・兵器製造の国産化に多額の予算をつける
・GX(原発推進、60年超え運転を認可)
・健康保険証廃止してマイナカードに置き換え
etc、 etc……

これらは諦めるんですか?
これらの法案への頑強な抵抗は見られない。
入管法改正案では各地でデモが行われ、杉並では7500人が参加したというのに。

たいして人権意識もない日本人が、(たしかにウィシュマさんの件は非道だが)こんなに外国人のために一日潰してデモに行くなんて変だなあ、と思っていたら…

これらのデモ、かなり動員がかかってました。
デモを行なうにあたって、主催者から「グラウンドルール」なるものが発表されたのですが、たとえば

> 入管法改悪反対0605大阪大街宣
@osaka_demo0520
#入管法改悪反対 #0520大阪デモ
みんなが安心してこのデモに参加するためのグラウンドルール🌈
①差別・ハラスメントは絶対に禁止
②見た目で他人の属性を決めつけない
③当事者の方への配慮を
④気を付けたい表現方法
⑤無理しない
⑥答えたくないことは答えない
⑦困ったらスタッフへ
⑧マスクの着用

何言ってんだかわかんない。
特に①、②。
一体、デモ参加者に何を尋ね、何を決めつけるっていうのか。
私も原発や安保法へのデモに行ったことはあるけど、参加者同士で会話なんてないですよ。
それにこういう政府の方針に反対するデモへの参加者って大概節度があり、他の参加者に対して不躾な質問をしたり、嫌がらせしたりなんかしません。
トランスジェンダーの参加に多分一般人が驚くであろうから、それへの牽制と口塞ぎじゃないかと思いました。

大阪、杉並、あと他の所でも、このグラウンドルールの強制はありました。
ためしにLGBT活動家のツイッターを見てみたら、誰も彼も全員、入管法改正案反対を激しく唱えたりリツイートしたりしてましたが、上記の国民生活に大きな影響を及ぼす法案についてはスルーです。

ますます怪しいLGBT団体、ますます嫌いになりました。
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Unknown (Unknown)
2023-06-06 13:00:47
バードストライク様

 デモを行うのに関連の団体を動員するのはふつうのことなのかなと想像いたしますが、そのルール、マスク着用以外は私も釈然としません。
 私はリベラル寄りを自認しておりますが、この種の団体の主張には到底賛同できないことが殆どです。何か大きなミソジニー的な悪意を感じます。
 ただし、LGBTのLGBまでは何の問題もないのではないかとも思うので、LGBT団体と包括して称することには疑問も残ります。
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Unknown (raymiyatake)
2023-06-06 14:00:54
狸子さん、ロハスさん、すみません

バードストライクさんの次の投稿も相変わらず差別的だったので、少なくとも性的少数者の人権や外国人の人権問題についてのバードさんのご投稿はしばらくアップを止めることにしました

プライドの高い方なのでひょっとしたら他の問題でも2度といらっしゃらないかもしれません

10年以上お世話になってきた大切なコメンテーターなので、断腸の思いですが、バードさんの反応がないのはそういうわけですので、ご理解くださいませ
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