(2003年10月7日の阪神-巨人戦(甲子園)。星野監督から花束を贈られ涙する原監督)
2012年6月21日発売の週刊文春で球界を揺るがす記事が載るようです。
週刊文春の記事は私も当然まだ読んでいませんが、報じられているところによると、プロ野球巨人の原辰徳監督が、2006年8月に球界関係者と名乗る男性から連絡を受け、選手時代の1988年にある女性と関係があったとする、女性の日記のコピーを見せられ「これが表にでないように金がいる」と1億円を要求したというのです。
日記には巨人のほかの選手の名前もあったということです。
自身の女性問題に絡んで元暴力団員に1億円を支払ったと報じられることが明らかになった原監督は6月20日、練習を行った川崎市のジャイアンツ球場で
「このような状況になったことに対し、ファンのみなさまに心よりおわび申し上げたい」
と、騒ぎを招いたことを謝罪しました。
そして、1億円を支払ったことは「悩み抜いての苦渋の選択だった」と、原監督は以下のようにコメントを発表しました。
巨人原辰徳監督(53)が女性問題に絡み反社会的勢力に利益供与をしたと報じる記事が、21日発売の週刊文春に掲載されることを受け20日、巨人は同監督の「ファンの皆様へ」と題したコメントを発表した。
コメント全文は以下の通り。
1988年ごろ、私はある女性と関係を持ちました。女性とはまもなく連絡を断ちましたが、それから約18年後、監督に復帰して1年目の2006年 8月、プロ野球と関係ある人物から電話があり、『あなたの女性問題に関する日記がある。公になれば球界は大変なことになる。表に出ないよう私に任せてほし い』と言われました。
ゆすられていると思い、不安を感じた一方、私を助けてくれるのだとも解釈し、要求された現金を渡しました。悩んで悩んで悩み抜いての苦渋の選択でした。私の個人マネジャーとは『これで終わりにならない時には球団に相談し、警察に届け出よう』と話し合いました。
その後、動きはありませんでしたが、2009年、別の男から球団に電話があり、『女性問題のことを書いた日記が監督の手に渡ったはずだ。それを返 してほしい』ということでした。私は球団にすべてを打ち明けました。妻にもすぐに告白しました。一番傷つけてしまうのは妻だと思ったからでした。
電話をしてきた男は逮捕され、有罪になったと聞きました。私は一連のことが明らかになった時は、誤解を招かないためにも、自分の言葉で釈明しようと考えてきました。自ら心境をつづって、けじめをつけたいと思ってきました。
私個人の不徳の致すところであり、浅はかなことをしたと思っています。たくさんの選手を指導するプロ野球の監督という立場にある人間として、深く反省しています。ファンの皆様、大変申し訳ありませんでした。
読売巨人軍 原辰徳
原監督は男性が反社会的勢力であるとの認識ははなく、付き合いがあったこともないと釈明しています。また、読売巨人軍は、球団が警視庁に問い合わせたところ、2人組は暴力団員などではなかったとしており、文春を提訴するようですが、当然、週刊文春側は「記事には十分自信を持っている」とのコメントを出しました。
原監督。
2009年の第二回ワールドベースボールクラシックでは日本代表監督として王監督に続き、日本を世界一に導く。
通算8年の監督の間に、4度セ・リーグ優勝し、2度の日本一は、実は大監督落合博満と同じ偉業です。この二人で優勝を分け合うものですから、我がタイガースにはなかなかチャンスが来ません。
もちろん、読売巨人軍は金にあかして、他球団の4番とエースを根こそぎ持ってきてしまうのですから、今年のように独走するほうが当たり前な気もしますが、長嶋監督時代からそういう補強をしてきてもなかなか勝てないわけですよ。清原を象徴に4番が打てないわけです。ですから、きっちり結果を出している原監督は、決して凡庸な監督とは言えないはずです。
我々タイガースファンとしては、第一期政権の最後2003年に、セ・リーグ3位なのにナベツネに石もて追われたときに、冒頭の写真のように甲子園で星野監督から花束を渡されていたのが懐かしい思い出です。
憎っくきジャイアンツのはずなのに、あのさわやかな風貌で来られると、なぜかこちらも気合をそらされる原監督でした(最近は、しぶとくもずるくて渋い監督になってきていましたが)。
しかし、この期に及んで、以下のような2通目のコメントを同時に出さされて?しまい、すっかり男を下げました。
巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いでいます。たくさんの暴露が行われ、巨人軍関係者を混乱させ、選手、OBを苦しませています。私は監督という立場で心を痛めてきました。
こんなことがなぜ続くのか。清武さんのほかに、いったいだれがいるのか。
今回は、私のことで良かったと思っています。
巨人軍の低迷期に清武さんと会い、同じ釜の飯を食い、同じ目的に向かって、悔しい時も、うれしい時も本気で涙を流してきました。ファンに愛され、強くある巨人軍をめざし、リーグ3連覇、日本一も成し遂げました。
巨人軍を育て、守り、築いてきた偉大な先輩方がたくさんいられます。未来へ夢をつなぎ、巨人軍の発展を願っている方もたくさんいられます。清武さんもその一人だと信じます。
巨人軍の一員だったことを誇りとして、これからを歩んでください。
まだ間に合います。
原辰徳
原点―勝ち続ける組織作り [単行本]
原 辰徳 (著)
まだ間に合いますって、人のこと言っている場合か。これに対して清武英利氏からの反論コメントが出ました。
巨人は20日、21日発売の「週刊文春」に原監督の記事が掲載されることを受けて記者会見を開いた際、「ファンの皆様へ」「清武さんへ」と題する原監督の2通のメッセージを発表した。
また、巨人が記者会見したことや、原監督の2通メッセージが発表されたことを受けて、前巨人GMの清武英利氏は「原監督報道に関するコメント」を発表した。
以下は、清武氏が発表したコメント全文(原文まま)。
6月21日発売予定の週刊文春の記事について
2012年6月20日
清武英利
明日6月21日発売予定の週刊文春に「原監督、元組員に1億円」との見出しで記事が掲載されるとの報道が流れていますが、私はまだその記事を拝見していませんし、そもそもこうした記事について、コメントする立場にありません。
本日、読売巨人軍が記者会見を行い、原監督名義のメッセージ2通を発表したうちの一つに「清武さんへ」と題するメッセージがありましたので、このメッセージが原辰徳監督自らの意思に基づいて作られ、発表されたものであると仮定したうえで、以下のとおりお答えしたいと思います。
なお、読売巨人軍の上記会見は、読売新聞グループの、総力を挙げて私を潰そうという目的から、嘘を承知で展開している大キャンペーンの一環であ り、全ての論点をすり替え、読者や視聴者の目を反らそうという狙いの下に行われているものであることを指摘しておきたいと思います。
「原辰徳監督へ
原監督が作成したとされる『清武さんへ』と題するメッセージを拝読しました。『巨人軍の選手、OB、関係者を傷つける報道が相次いで』いることの 原因があたかも私にあるかのように『清武さんのほかに、いったい誰がいるのか』とコメントされたことについては、非常に残念でなりません。
私は、2004年8月13日に読売巨人軍の球団代表兼編成部長に就任した後、巨人軍の信頼回復と球団改革のため、微力ながら全身全霊を捧げてきました。原監督と は、2006年以降、短期的な勝利を常に求められ続けるフィールドマネージャーと長期的視点に立って編成・強化等を行うゼネラルマネージャーという立場の 違いを超えて、チームの勝利のために常に真剣に、誠実に、忌憚のない意見を交わしてきました。特に、2007年から3連覇を成し遂げ、常勝巨人軍の復活に 向けてともに努力したことは、私自身も誇りに思ってます。
今季の巨人軍は、原監督の采配はもちろんのこと、個々の選手やコーチ、そして、私がGM時代に創設した戦略室が全体として機能したことにより、交流戦優勝という華々しい成果を成し遂げられたことを、一巨人軍ファンに戻った今も心から喜んでいます。
私は、2011年11月11日に、既に確定していた2012年コーチ人事を渡邉会長が鶴の一声でひっくり返そうとしたという重大なコンプライアン ス違反問題等について、記者会見を行い、渡邉会長を告発しました。それは、コーチや将来コーチになるであろう選手らを守りたいという一心で行ったことであ り、今も最も訴えたいことです。同日の記者会見の際、私は原監督の名前には一言も触れていませんが、それも、現場で日々勝利に向けて戦っている監督や他のコーチ、選手らを巻き込みたくないという理由でした。しかし、翌日、渡邉会長が公表した反論談話で、原監督の名前が出てしまい、結果的に原監督を巻き込むことになったことは、私としても不本意でした。このことは、私からの同日付「渡辺恒雄・読売グループ本社代表取締役会長・主筆の談話について」と題するコメントの中でも言及させていただいたとおりです。
2012年3月15日付朝日新聞の契約金報道の後、渡邉会長や読売巨人軍は、私が読売巨人軍の内部文書を流出させたとする言動を行うなど、読売新 聞グループの総力を挙げた大キャンペーンを展開していますが、全くの事実無根であり、いいがかり以外の何ものでもありません。もちろん、明日週刊文春が掲 載するという記事についても、私は関知していません。
私は、今でも読売巨人軍の勝利と真の発展を心から願う一ファンです。
原監督におかれましては、渡邉会長や彼の付度族たちの言葉に惑わされず、巨人軍の勝利と真の発展に向けて今後も益々ご活躍されることを祈念して止みません。
2012年6月20日
清武英利」
以上
清武氏がこの文春記事にかかわっているかどうかはわかりません。しかし、確かに、原監督の2通目のコメントは男を下げました。だって、原さんのスキャンダルが問題なのであり、誰がリークしたかなんて関係ないんですから。
自分がしたことだけが問題で、そのことを正直に話して、謝罪し、そして責任を取ればいいのです。
原さんが地位にしがみつけば、より一層無残なことになりますから、巨人軍監督の地位を退いたらいい。しかし、その出処進退をどうするかはご自身で決められたらいいでしょう。
私が言いたいのは、なぜ、自分の醜聞を清武氏がリークしたのに決まっていると責めるようなコメントを出す必要があるのか、ということなのです。
それは、長嶋茂雄終身名誉監督(76)が、清武問題で何度も情けないコメントをさせられていることと同根なのでしょう。
巨人軍は、2011年11月18日、清武氏の球団代表解任にあたりとする長嶋茂雄の以下のような談話を発表しました。
「清武氏の言動はあまりにもひどい。戦前戦後を通じて巨人軍の歴史でこのようなことはなかった。解任は当然だ」
国民的人気がある長嶋氏をナベツネ読売巨人軍がいいように利用したといえるでしょう。しかし、利用されただけといって長嶋氏を弁護することができるのか。
また、その後の朝日新聞による巨人軍の契約金超過についての報道に対し、長嶋氏は
「選手たちの心の傷は相当に大きい。そう簡単には癒えないだろう」
「ルールを破ってはいない。記事には十何年も前の話もあり、こういう話が出ること自体がおかしい」
とコメントしたとされています。
この点、長嶋氏(私の亡父と同じ年生まれ)の最近の健康状態からすると、私の舌鋒は鈍るのですが、こと、プロ野球への愛情とそこからくる巨人軍批判では、私が足元にも及ばないkojitaken氏(ヤクルトファン、広島ファンは特に必見 実は私も氏と同じく星野監督大嫌い)の名記事はこう喝破します。
「ナベツネが西山太吉元記者の弁護側証人として、「報道の自由」や「知る権利」に関する主張を開陳したことは歴史的事実だ。しかし、こと読売球団の問題になると、ナベツネは朝日新聞に読売の内部情報を流したニュースソースの清武英利をターゲットに報復報道をする。そして、長嶋茂雄が「『誰が内部資料を渡したのか』と怒りをにじませた」と言ったというのも、ナベツネの意図に沿った発言なのだ。ナベツネはもちろん、その走狗たる長嶋の罪も重い。」
走狗。私もそう思いますねえ。長嶋氏は言語は不明瞭になられましたが、意思能力は十分おありなわけですから。
そう、今回、私が言いたいのは、原監督もナベツネの意図に思いきり沿った清武批判をしたことで、ご自分の輝かしい経歴に泥に泥を重ねて塗ったということなのです。
2003年にあれだけひどいことをされたんだから、そのまま王監督みたいに戻らかなったらよかったのに、巨人なんかに。
確かに、不倫も、口封じのお金の受け渡しも嫌な話です。1億円という額が異常で、それがもしも暴力団がらみということになったらなおさらです。しかし、最後まで意思のない操り人形であるところが、実に情けない。
私も、清武氏と同じく、「渡邉会長や彼の付度(そんたく)族たちの言葉に惑わされず」と思わずにはいられません。
敵ながら憎み切れなかった美丈夫で名監督の原辰徳。
その名を惜しみます。
そして、名選手を名選手のままに、名監督を名監督のままに終わらせないナベツネと読売巨人軍が心底嫌いです。
星野も落合も嫌いで原さんのほうが実は好き。
よろしかったら上下ともクリックして頂けると大変嬉しいです!
偽善的なものを感じていたのです。
原巨人軍監督のことも特別好きではありませんでした。 特に昨年のドラフトで身内エゴを出してきてからは(菅野獲得について)嫌いになりました。 人間、特にある分野で力のある人間が身内エゴを出してくると、途端に汚れがでてくると感じました。
そこにこの愛人問題です。 あきれました。やっぱりね、という気持ちもします。
原監督よりも、星野監督や落合氏のほうがよほど人間として正直な部分があると思います。