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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

【橋下維新の会とハシズムの歴史を振り返る3】旧民主党をヒトラーの全権委任法以上と批判した橋下徹氏はその年「すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理」「選挙はある種の白紙委任」と言っていた

2022年01月30日 | 橋下維新の会とハシズム

ハシズム!─橋下維新を「当選会見」から読み解く

中島岳志 上野千鶴子
 

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 さて、このシリーズ連載もいよいよ本題、まず、橋下徹氏の選挙絶対主義、多数者支配型民主主義・多数決原理民主主義の危険性について述べます。

 2012年5月1日にこのブログで書いた

憲法記念日 自由と人権保障こそが民主主義の目的 橋下大阪市長の「決定できる民主主義」は危険だ

にご紹介した橋下氏の発言が今再び話題になっています。

 2012年2月12日付けの朝日新聞の記事から。

〈橋下徹・大阪市長に聞く〉選挙、ある種の白紙委任

「弁護士は委任契約書に書いてあることだけしかやってはいけないけれど、政治家はそうじゃない。

 すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理です。

 あんなに政策を具体的に並べて政治家の裁量の範囲を狭くしたら、政治なんかできないですよ。

 選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」

 

 

 選挙で勝てば白紙委任を受けたようなものだから、政治家は自由に行動できる。

 こんな暴言を吐いていた橋下氏が、旧民主党の野田政権が選挙公約にあげていなかった消費税増税を突然やろうとしたのに対して、

「今回の話は完全な白紙委任で、ヒトラーの全権委任法以上だ」

と批判しているのですから、ヒトラーを持ち出して他党を批判している点でも大ブーメランだと批判されています。

 しかしそれ以上に、橋下氏は選挙で勝ったら白紙委任だと自分で言い切った同じ年に、選挙公約になかったことをやろうとした旧民主党のことは白紙委任かよ!と批判しているんですから、この矛盾した言動は呆れるしかないわけで、二重にスキャンダラスだと思いませんか。

菅直人のヒトラー騒動について維新側がブーメランの可能性 - Togetter

 

 

 この橋下氏の、「選挙で勝ったら白紙委任を受けたのと同じ」という発言に対しては当時、読売新聞のドン渡邊恒雄氏から

「私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである」

と痛烈に批判されたことが掘り起こされています。

 ヒトラーがドイツ首相になると全権委任法を成立させ、これがファシズムの元凶になったので、橋下氏の白紙委任発言は

「これは非常に危険な兆候だと思う」

「この点は、はっきりと彼に説明を請うべきだろう」

と渡邊氏は2012年の文芸春秋4月号でいち早く批判したんですね。

 これを見ても、ヒトラーを独裁者批判に持ち出すのは大いにありなのがわかります。

読売渡辺会長が橋下市長発言に懸念 「『白紙委任』はヒトラーを想起」: J-CAST ニュース【全文表示】

 

 

 渡辺恒雄氏に続いて、私が2012年5月1日の憲法記念日に上記記事で書いたのは以下の通りの批判です。

「民主主義の目的は自由と人権を守るためにありますから、民意をできるだけ反映するようにしなければなりません。これを社会学的代表(法的には拘束されないが事実上は民意を反映した代表)などといいます。

 だからこそ、議員定数不均衡などもってのほかですし、死票が大量に出る小選挙区制ではなく民意を忠実に反映する比例代表制を中心にすべきです。」

 

この記事中で、わたくし、この画像を使っておりました!

この連載の1で、私は橋下氏をヒトラーになぞらえて批判したことはないと書きましたが、もう10年も前からやっておりましたWWW

謹んで撤回します(笑)

 

 

「代表者は、なにより立憲民主主義の目的である国民の自由と人権をできるだけ尊重するように努めなければなりません。

橋下市長は、大阪市職員に対する思想調査アンケートなどについて、政治活動への関与を問うアンケートの回答を強制された大阪市職員が市を提訴したことについて、橋下徹市長は2012年4月25日、報道陣に「裁判所で決まればいい。調査方法がやりすぎだったかどうかも、司法の判断が出る」と述べました。

しかし、まず、選挙で選ばれた代表者がなぜ権力を行使できるかというと国民と同質で人権侵害をしないだろうと期待されてのことなのです。人権侵害しても裁判所で決めればいい、のではなく、まず自分が過去の判例や学説にのっとり、人権侵害をしない義務があるのです。

裁判で不法行為に基づく損害賠償が認められれば、支払われるのは大阪市民の血税です。

自分勝手な考えで人権侵害してもいいと考え、そのせいで被害者が生まれ、そしてまた市民の税金が使われることに痛痒を感じない橋下市長は何重もの意味で民主主義を曲解しているといえるでしょう。

その思考はまさに独裁者的です。」

 

「橋下維新の会は「決められる民主主義」を標榜し、「首相公選制」や「一院制」を唱えていますが、たとえば首相公選制は世界でどの国も採用していません。

三権分立を中心とする権力分立の考え方は世界中でとられていますが、これは権力の濫用を防ぎ、もって自由と人権を守るためです。権力同士の抑制と均衡によって権力の暴走を防ごうとしているのです。

たとえば一院制は一見物事がスムーズに決まってよさそうですが、今の衆参両議院のねじれ現象によって、民主党政権がしたい消費税増税などが思うに任せず、野田民主党政権の暴走が防がれているのは悪いことばかりではありません。衆議院と参議院が存在して政府が慎重な決定を迫られるのは良いことであることが多いのです。

こういう権力の抑制と均衡のシステムを統治上の自由主義というのですが、民主主義の目的が自由と人権保障にあり、自由主義が上位にあることも知らない橋下市長がまかり間違えば一回の選挙で内閣総理大臣になりかねない首相公選制など、極めて危険であることは明白だといえるでしょう。

今、求められているのは、むしろ国民の自由と権利を守ることを目的とする「熟慮断行」のはずです。言うことが次々と変わる「コロコロ王子」は要りません。」

 

 

 自由と民主主義が大事と言いますが、自由・人権こそが民主主義の目的であり、民主主義は人権保障のための手段に過ぎない。

 だから、個人の尊厳を最高価値とし、法の支配を貫徹する日本国憲法における民主主義の内容は、少数者の人権をも尊重する立憲民主主義でなくてならないのであって、多数者が絶対的に支配する多数決絶対型民主主義や多数者支配型民主主義であってはならないということなんです。

 橋下氏がいつも言うような、選挙で勝てば政治家は自由に行動できるだなんてとんでもない。

 国民代表だからこそ、政治家は常に人権を保障するための立法をして、政治を行わなければならない法的義務があるのです。

 このころから、立憲民主党と橋下維新の会が対立することは運命だったんですな、名前的に(笑)。

 

 さて、さらに今回の菅直人氏のヒトラーツイート論争で思うのは、ヒトラーがワイマール憲法に規定されていた国民投票などの直接民主制的制度を駆使して独裁政治を可能にしたことと、橋下維新の会が住民投票で大阪「都」構想をゴリ押ししようとしたことがそっくりだということでした。

 橋下氏が大阪維新の会を作った2010年ころ、自民党の末期政権と旧民主党政権は1年ごとに、安倍・福田・麻生・鳩山・菅直人・野田と政権がころころ変わり、衆参逆転のねじれ現象でなかなか物事が前に進まないというじれったさを国民が感じていました。

 そこに現れたのが、

「決められる政治」

を標榜する橋下維新の会で、橋下氏は同年の講演で

「今の政治に必要なのは独裁だ」

などと述べていたわけです。

 しかし、ヒトラーを見てもわかるように独裁的に「決められる政治」ほど危ないものはないのです。

 多数派と少数派が討論と妥協を辛抱強く続ける過程。

 それこそが民主主義の本質です。

全権委任法を成立させるようなヒトラーのナチスドイツと三国同盟を結んで全世界の民主主義社会を相手に世界大戦をした絶対的天皇制日本と、大日本帝国憲法への回帰をめざす安倍氏や橋下維新らを徹底的に批判するとき。

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こちらの記事は最近橋下批判が凄いkojitakenの日記さんから教えていただきました。

読売渡辺会長が橋下市長発言に懸念 「『白紙委任』はヒトラーを想起」

 

   読売新聞グループ本社の会長で主筆の、ナベツネこと渡辺恒雄氏(85)が、月刊誌「文藝春秋」最新号でほえている。橋下徹大阪市長の発言に対し「ヒトラーを想起」と懸念を示し、朝日新聞の「脱原発」主張を「亡国の政策」と断じている。

   一方、消費税増税に取り組んでいる野田佳彦首相は評価しており、首相に就任した日に2人が電話で交わした会話も紹介している。

見出しは「日本を蝕む大衆迎合政治」

読売新聞の渡辺会長の提言が文藝春秋4月号に載った。
読売新聞の渡辺会長の提言が文藝春秋4月号に載った。
 

   文藝春秋(2012年4月号)は、「日本をギリシアにせぬために 大新聞『船中八策』競作」の企画で、渡辺氏のほか産経新聞、毎日新聞の計3紙の論説委員長らの政策提言を載せた。ギリシャ債権危機を受け、日本の取るべき経済・社会保障政策の話が中心だ。

   渡辺氏の提言は8ページにわたり、見出しは「日本を蝕む大衆迎合政治」。政策提言にとどまらず、橋下市長や野田首相評にも話を広げ、朝日新聞の社論にもかみついている。

   渡辺氏は、政治の現状について、「残念ながら衆愚制の段階にあるのでは」と懸念を示し、低支持率の野田内閣と対比する形で「今、国民の人気を集めている」橋下市長を取り上げた。

   橋下市長が率いる大阪維新の会が3月10日、原案(レジュメ)を公表した次期衆院選向け政策集、「船中八策」(維新八策)については、賛否両論を述べている。「憲法改正の発議要件引き下げ」などは、「確かにいいことを言っている」。一方、教育改革などは「首を傾げたくなる部分が多い」としている。

   しかし、渡辺氏が「橋下氏についてもっとも危惧する」のは、「次のような発言だ」として、朝日新聞に載った橋下市長インタビュー(2月12日付)の一節を引用した。

橋下氏「独裁なんてなりようがない」

「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」

   渡辺氏は、この市長発言から「私が想起するのは、アドルフ・ヒトラーである」と述べ、第1次世界大戦敗戦後の閉塞感の中、ドイツで「忽然と登場」したヒトラーが、首相になると「全権委任法」を成立させ、「これがファシズムの元凶となった」と指摘した。

   さらに、「『白紙委任』という言葉が失言でないのだとすれば」と断った上で、「これは非常に危険な兆候だと思う」と懸念し、「この点は、はっきりと彼に説明を請うべきだろう」とした。

   ヒトラーを引き合いに橋下氏の「独裁」を心配する声は以前からある。

   例えば府知事時代の橋下氏は2011年1月4日の会見で質問を受け、「ヒトラーのときの状況と(現在とは)全く違う」として、軍事力や立法権を「僕が持っているわけではない」ことや、メディアによるチェックが当時より厳しいことなどから、「独裁なんてなりようがない」と答えていた。

   2012年3月12日夕現在、橋下市長のツイッターをみると、渡辺氏の提言記事に対する反応はみられない。

   橋下市長以外の現在の政治家では、渡辺氏は消費増税に意欲をみせる野田首相に触れている。

   自身の政治部記者時代の話として、鳩山一郎、池田勇人両元首相の勉強ぶりや「大衆に本当のことを伝えようとする」姿勢に触れつつ、「今の政治家で、傾聴すべきことを言う人はいなくなった」と嘆いた。小さな選挙区で過半数を得る必要がある「小選挙区制度によって(日本の国会議員は)完全に堕落した」とみている。

朝日新聞の「脱原発」に対し、「亡国の経済政策」

   しかし、野田首相については、「地味ではあるがポピュリズムに踊らされず、ブレない点は評価できる」と持ち上げている。

   「消費税はヨーロッパ並に20%前後まで上げなければ、財政は持たないというのが私の持論」という渡辺氏は、野田首相の消費増税に対する姿勢を買っている。

   2011年8月の民主党代表選直前、野田氏が文藝春秋で発表した原発再稼働へ取り組むことなどを盛り込んだ論文についても、「貴重な論文だ」とほめており、当時、その旨を伝えていたそうだ。すると、総理に就任した日に野田氏から電話がかかってきた。野田氏は、論文に書いたことは「必ず実行しますから」と話したという。そこで渡辺氏は、

 「『それなら、僕はあんたを支持するよ』と伝えたものだ」

   野田氏が論文で触れた「原発再稼働」については、読売新聞は「再稼働を訴え続けている」。一方、朝日新聞は「高らかに『脱原発』を謳い上げ」ているとして、「これは亡国の経済政策である」と批判している。

   太陽熱などの再生可能エネルギーを徐々に増やそうという発想では、「何らかの理由でエネルギーの供給が止まれば、その瞬間、日本は滅びる」との危機感を持っているからだ。

   「実現できそうもない夢物語を語る」ことが、「パンとサーカスの政治」に力を貸すことになるのではないか、と疑問を投げかけ、「私はそれを憂うのである」と結んでいる。朝日新聞の報道姿勢を念頭に置いているようだ。

 

 

“ヒトラー投稿”波紋 橋下氏と蓮舫氏連続ツイート


1/27(木) 20:00配信 テレビ朝日系(ANN)

All Nippon NewsNetwork(ANN)

 菅直人元総理の“ヒトラー投稿”が波紋を広げています。橋下徹氏が「俺を巻き込むな」とツイートしました。

 渦中の立憲民主党・菅直人元総理が“応戦”に出ました。

 日本維新の会が抗議文を出したことを批判したのです。

 立憲民主党・菅直人元総理のツイッター:「『菅直人氏投稿維新が抗議文』の記事。しかし維新から私には何も言ってこない」

 そんななか、立憲の蓮舫議員が橋下徹氏の民主党政権への過去のヒトラー発言を取り上げました。

 立憲民主党・蓮舫議員のツイッター:「2012年6月、大阪維新の会代表の橋下氏は『今回の話は完全な白紙委任でヒトラーの全権委任法以上だ』と公然と政権批判をしていた」

 菅元総理に「橋下氏をはじめ」と、維新とともに「弁舌の巧みさではヒットラーを思い起こす」と名指しされた維新の元代表の橋下氏が蓮舫氏に反論。

 橋下徹氏のツイッター:「国会議員なんやから、もう少し国語力を高めなあかん。当時の民主党は消費税増税という大きな方向性すら選挙で問わずに増税したことを忘れたの?だから白紙委任・全権委任以上と批判したんだよ」

 すると、橋下氏の連続ツイートに、それぞれ蓮舫氏もツイート。

 立憲民主党・蓮舫議員のツイッター:「私が指摘したのは『白紙委任』と『全権委任以上』の間に『ヒトラー』を使っていたこと」

 橋下徹氏のツイッター:「法案を批判したわけで民主党の法人格全体をヒトラーに重ね合わせて侮辱したわけではない。政党間のバトルは私人として関知しないので好きなようにやってくれたらいいが、俺を巻き込まんでくれ」

 …と、思わぬ横やりも。

 舛添要一氏のツイッター:「抗議すべき対象は菅であり、立民という政党に抗議しても仕方ない。参院選前の政党間競争の思惑が見える低レベルのけんかだ」

 一方、国民民主党の玉木代表は、ヒトラー発言について聞かれると…。

 国民民主党・玉木雄一郎代表:「私の知る限り、そういうことを言うような見識のない議員は我が党にはいないと思っています」

 

 

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1 コメント

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Unknown (hkawai69)
2022-01-30 23:21:42
 世の中が乱れると支配層からは程遠い層の中から特異な人物が現れて政権を奪取するという事がしばしば起こっていますね。
 始皇帝の死後、後継者の胡亥が体制をブチ壊して国が乱れましたが、この時立ったのが項羽と劉邦。項羽は名門の出ですが、劉邦は破落戸。結局破落戸の劉邦が勝ち残って漢王朝を興しますね。明王朝を興した朱元璋は親兄弟も餓死した孤児。
 草履取りから天下取りを果たした豊臣秀吉、戦国時代ならではの大出世ですね。ナポレオンは兵士から皇帝。ヒトラーは一介の画学生から総統。
 さて橋下はイソ弁から府知事。総理大臣じゃないし、まだ歴史に名を残す程じゃありませんが、石原慎太郎は彼は総理大臣になるって予言してますね。でも今の日本、乱れてはいますが、天下大乱と言う程じゃないし、私は慎太郎の予言が成就しない方に掛けたいです。
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