徹底批判!! カジノ賭博合法化: 国民を食い物にする「カジノビジネス」の正体 | |
合同出版 |
カジノが「成長戦略」の切り札に!? 人の「負け」と「不幸」で儲ける「カジノビジネス」合法化を徹底批判!!
第1章 カジノ推進法案の問題点 第2章 カジノはほんとうに経済的効果をもたらすのか? 第3章 ギャンブル依存症という重篤な病第 4章 韓国・マカオ、カジノの街から見えること カジノ合法化法案全文/カジノ誘致自治体一覧つき
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FNNニュースによると、超党派のカジノ議連(国際観光産業振興議員連盟。IR議連)は、カジノを含む統合型リゾートを推進する、いわゆるIR法案の修正案について、2015年4月28日に国会に提出する方向で調整を続けているそうです。
修正案では、日本人のカジノ施設への入場に一定の規制を講じることなどが盛り込まれているのですが、カジノ議連は24日、党内に慎重派を抱える公明党に、修正案の内容を説明しました。
24日の会合では公明党からは、ギャンブル依存症の対策が進んでいない現状などについて質問が出て、議連側はシンガポールが導入している厳格な入場規制などの例を挙げて説明し、理解を求めたとのことです。
この説明を受けて、公明党観光立国推進委・遠山事務局長は
「議連側からは、IRの導入を契機とし、ギャンブル依存症対策を前進させたいという意見が表明された」
と述べています。
カジノ議連は、28日にも、与党内の手続きをふまえたうえで、法案を提出する考えで、公明党も法案の提出を容認する方向です。
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「本書は海外の先行するIR型カジノの経済的脆弱性と社会的コストの過剰についての冷静で精密な検証である。
これを読んでなおカジノ推進を言う人がいたら、その人が見ているのは現実ではなく、妄想である。」
実は、これもBLOGOSブロガーに、国際カジノ研究所所長で「日本で数少ないカジノの専門研究者」と自称する木曽崇という人がいて、私も一度論争を仕掛けられそうになったことがあります。
その方の「文科省がギャンブル依存教育の検討着手」に関するこぼれ話という記事を読んだばかりだったので、なおさら気が滅入りました。
木曽氏によると、今、日本でギャンブル依存症対策を熱心に議論している議員さんたちって多くがカジノ議連の方なんだそうです。
ちなみに以前書いたように、安倍総理、麻生副総理はカジノ合法化を目指すカジノ議連の最高顧問で、安倍政権の重鎮下村文科相は同議連の副会長です。
そして、カジノは安倍政権の成長戦略の柱であり、橋下維新の成長戦略の中心です。
大阪に対する「愛」がない橋下市長が安倍首相にカジノをおねだりした
橋下維新の会の国会デビューがカジノ合法化法案 安倍総理・麻生副総理はカジノ議連の最高顧問 世も末です
毎日新聞に経済無策でCランクと書かれた橋下徹市長と維新の会が、カジノ推進法案にのめり込む利権の実態
シンガポールの統合型リゾート施設(カジノ)を視察し、「成長戦略の目玉になる」などと発言した安倍首相=2014年5月30日
ところで、木曽氏の別の記事によると、維新の党の初鹿明博議員と下村博文文科相の間で4月22日の衆院文科委員会において以下のようなやり取りがあったそうです。
初鹿議員:
依存症の対策についてお伺いいたします。いま、統合型施設、いわゆるIR法案が審議に入るか入らないかということで、それに対してカジノが解禁をされて、反対をする人達は依存症が増えるのではないかという指摘がされているわけです。
ただ、私はこの指摘自体は正しくないんだと思います。それよりも寧ろ、我が国は今、駅を降りたら誰でも歩いて行けるところにギャンブル場があるんですよ。国 はギャンブルと認めてませんが、パチンコ屋さんがどこにでもあります。そして現状、パチンコの依存症になっていて、いろんな問題を起こしていることも実際にあります。
パチンコだけじゃありません。公営競技の名の下に、競輪、競馬、競艇、誰でも入りやすい、しかもテレビでCMまでやっている。そして、子供まで連れて行け る。しかも未成年者が排除をされていなくて、パチンコ屋さんだって未成年者で入って、やっている人が実際に居る。
こういう状況にあって、それが野放図にさ れていて、依存症になった人たちの対策がされているかというと、それは全くされていない中でカジノが出来たからといって特別に急に依存症が増えるというこ とはなくて、寧ろ今いる依存症の人達に対してしっかりした対策を取る事の方が最優先ではないかなと思っているんですね。
厚生労働省の研究 班の調査によりますと、病的ギャンブラー、依存症にあたる人というのは、全国で536万人居るという事なんですよ。男性は8.7%で、女性は1.8%で成 人人口の4.8%くらいになるんですが、これは海外と比べると非常に高いんですね。アメリカで1.58%なんですよ。香港で1.8%、韓国で0.8%、最 近カジノを解禁したシンガポールでは0.7%というように、日本が非常に高くてですね、これは調査の仕方によって数字は変わってくるという事もあります が、要は何が言いたいかというと、日本は依存症の対策をきちんと取ってこなかった。特に予防について殆どやってこなかったという事に、私は一つの原因があ るのではないかなと思うんです。
(中略)
ですので、特に小、中、高校もそうなんですが、大学に入った年にですね、新入生に対して依存症の教育というのはキチンとやっておく必要があるんじゃないかと、非常に強く思うんです。大臣、どう思いますか?
下村文科相
下村大臣:
それは仰る通りだと思います。今後、今国会で議員立法でIR法案を審議になるのではないかと思いますが、その中で依存症問題というの は、同時に議論されるということの中で、ご指摘のように昨日今日の話ではなくて、我が国ではいろんな環境の中であるわけでありますけども、子供の頃から しっかりとしたギャンブル依存症についての学習、勉強する機会を設けるという事は重要なことだと思いますので、何らかの子供の教育の発達段階において適 時、適切な社会の変化に対応した学習をしっかり身に付けるということは学校教育の中でも必要な事だと思います。検討したいと思います。
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ギャンブル依存症対策を義務教育段階からやるのは大いに結構なことですが、上のやり取りを見てもわかるように、この人たちの発想は、カジノ解禁が先にあって、そのためにギャンブル依存症が増えるという批判をかわすために学校教育の話をしているのですから、本末転倒です。
検討を約束した下村文科相はカジノ議連の幹部。これではカジノが解禁になったらギャンブル依存症対策が空証文に終わったり、おざなりになったりするのは必至でしょう。少なくとも、子どもたちやギャンブル依存症者たちに寄り添った対策になるわけはないでしょう。
ところで、私の気が滅入ったのは、木曽氏の冒頭の記事に書いてあった、あるギャンブル依存症に取り組んでいるという市民団体の代表の方の次の一文です。
大阪府議会代表質問に!
本当に不思議なことなのですが、私たちの発信に対して、話を開いて下さったり、勉強会を開いて下さったり、人を紹介して下さったり、「一歩でも進めよう!」 と実際に動いて下さる方は、推進派、もしくは中立のお立場の方ばかりで、明確に反対、もしくは懸念を示されている皆さんとは、殆ど何も実現しないのが現実 なのです。これは一体どういうことなのでしょうか?
私たちは「反対のための道具として、ギャンブル依存症が利用されているのでは?」と感 じています。カジノ反対運動だけでは私たちは救われません。カジノの反対運動により、ギャンブル依存症対策推進の目がつぶれてしまわないよう、どうか私たちの願いや現実をせめて知って頂くチャンスを頂けないでしょうか?宜しくお願い致します。
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木曽氏はこの文章を受けて
「ギャンブル依存者による当事者団体から、こんな事を言われてしまうカジノ反対派ってのは一体、誰のために、どこに向かって「反対論」を打っているのか? 「批判のための批判」に始終する反対派の言動には、いささか疑問を持たざるを得ません。」
とコメントしているのですが、私は逆に、カジノ推進のために利用されているギャンブル依存症者たちとその支援団体が無残、という印象を受けました。
この団体がそもそも真面目なギャンブル依存症対策を考える団体なのか、ダミー団体なのかは調べようがなかったのですが、もし前者だとしたら、なおさら哀れです。
なぜなら、これはいわば、薬物依存症対策の団体が製薬会社とその議連を頼ったり、アルコール依存症患者の団体がビールやウィスキーを造っている酒造会社とその議連の動きをありがたがっているようなものだからです。
製薬会社は依存性のある安定剤や睡眠薬を欧米並みに規制するようなことは絶対に認めませんし、酒造会社もまた欧米並みにアルコールの宣伝を規制することなどは受け入れたりしません。
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維新の初鹿議員のように、日本にはパチンコ屋や競馬、競艇などがあってギャンブル依存症患者の数がべらぼうに多い実態をあげながら、
「カジノが出来たからといって特別に急に依存症が増えるということはなくて」
と、カジノ解禁の根拠に上げる人たちがやるギャンブル依存対策ってどんなものになるのでしょう。ギャンブル依存症者が多いのだから、話は既存のギャンブルをも制限すべきだ、ましてやカジノ解禁なんてとんでもない、という方向に行くのが普通でしょう。
カジノ利権などにまい進する人たちは、病気にまでなってしまっている被害者をも利用するのだ、利用されている人たちはそれを知ってか知らずかありがたがるものなのだと知って、暗澹たる気持ちになりました。
カジノ議連、カジノ法案の問題点については、同じBLOGOSブロガーの三田次郎氏の記事を参照のこと。
カジノ議連、カジノ法案は誰に利用されているのか
利用する方もされる方も、やりきれない感じですねえ。
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IR法案 超党派の議員連盟、28日に国会提出の方向で調整続ける
超党派の議員連盟は、カジノを含む統合型リゾートを推進する、いわゆるIR法案の修正案について、4月28日に国会に提出する方向で調整を続けている。
IR法案の修正案について、推進派の議員連盟は24日、党内に慎重派を抱える公明党に、修正案の内容を説明した。
修正案では、日本人のカジノ施設への入場に一定の規制を講じることなどが盛り込まれている。
公明党観光立国推進委・遠山事務局長は「議連側からは、IRの導入を契機とし、ギャンブル依存症対策を前進させたいという意見が表明された」と述べた。
24日の会合で公明党からは、ギャンブル依存症の対策が進んでいない現状などについて質問が出て、議連側は、シンガポールが導入している厳格な入場規制などの例を挙げ、説明し、理解を求めた。
議連は、28日にも、与党内の手続きをふまえたうえで、法案を提出する考えで、公明党も法案の提出を容認する方向。
安倍自民総裁:カジノ含むIR法案、臨時国会で成立目指す
6月25日(ブルームバーグ):安倍晋三首相は24日、ブルームバーグ・ニュースの単独インタビューで、カジノを含む特定複合観光施設(IR)を今後 の日本の成長戦略の目玉として検討していく考えを表明した。自民党議員らが議員立法で国会に提出したIR推進法案についても、同党総裁として次の臨時国会 での成立を目指す考えを示した。
安倍首相は5月30日にシンガポールのIRを視察したことに触れ、「観光振興や地域振興、産業振興に資することが大いに私は期待されると思った」と述べ、 「日本の成長戦略の大きな目玉の1つになり得る」と指摘した。同時に青少年の健全育成、依存症対策、犯罪防止対策についても「しっかりと検討を進めてい く」と述べた。
継続審議となったIR推進法案に関しては「既に審議がスタートした。次の臨時国会で、これは議員立法だが、成立を目指している」と説明した。
政府が24日閣議決定した成長戦略はIRについて「観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待される」と指摘。「その前提となる犯罪防止・治安維 持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なこと」から、「関係省庁において検討を進める」と記し ている。
安倍首相はインタビューで、2020年の東京五輪開催を「追い風」として、日本政府が年間の訪日外国人旅行者数2000万人を目指した取り組みを進めていることも紹介した。
東京五輪
IR推進法案は、国際観光産業振興議員連盟(IR議連、通称:カジノ議連)の細田博之会長(自民党幹事長代行)ら自民、日本維新の会、生活の党などの議員が昨年12月に提出。18日には衆院内閣委員会で審議入りし、次の国会で継続審議が決まっている。
自民党の同委メンバーは通常は秋に召集される臨時国会での成立を目指している。仮に同法案が成立すれば政府は1年以内に実施法を整備。その後、区域や業者 を決定して建設工事に入る。議連事務局長の萩生田光一自民党衆院議員は18日の衆院内閣委員会で、東京五輪までの開業に努力すべきだとの考えを示した。
地方自治体では、これまでに東京都、大阪府・市のほか、長崎県や北海道、沖縄県などが誘致への関心を示している。海外のカジノ運営業者では、世界最大の米 ラスベガス・サンズが、日本事務所を開設して1兆円を投資する準備があることを表明。ラスベガスのウィン・リゾーツやMGMリゾーツ・インターナショナル は、最終的に日本でのカジノ事業の新規株式公開(IPO)を目指すという。
大和証券の木野内栄治シニアストラテジストは電話インタビューで、安倍首相が自民党総裁として法案の成立を目指すと発言したのは「重い」として、「秋の臨時国会で通る可能性が極めて高い」と述べた。
【東京】安倍晋三首相は成長戦略の柱の1つとしてカジノに期待をかけているようだ。
3人の政府関係者によると、政府はカジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」を今月まとめる新たな成長戦略に盛り込む方針だという。
首相はこのところ、カジノの合法化を支持する意向を明確にしている。先月、シンガポールでカジノを視察した際には、IRが経済強化に向けた政府の取り組みに役立つと述べた。
政府は成長戦略の目標の1つとして、2020年までに日本を訪れる外国人旅行者数を年間2000万人に増やすことを挙げている(13年は1000万人)。推進派はカジノが外国人観光客の呼び込みに役立つと主張している。
政府高官の1人はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、「まだファイナライズ(最終決定)はされていないが、現段階ではIRを検討すると明記されている」 と述べた。
この高官によると、政府は当初、昨年発表した経済戦略「日本再興戦略」にカジノを盛り込むことを検討していた。しかし、閣僚の一部が国民の認知度が低く時期尚早と主張したため、発表直前に外されたという。
別の政府高官は「機は熟したということだろう」と述べた。
カジノ業界の関係者は政府がカジノリゾートの推進を明記すれば、関連の法整備に弾みがつくと期待している。
日本ではカジノ解禁を求める陳情活動が10年以上にわたって続いていたが、ここ数カ月で楽観論が広がった。日本でカジノが解禁されれば、マカオに次ぐ世界第2位の規模になるとみられている。
証券会社CLSAは日本でカジノが解禁されれば、売上高は400億ドル(約4兆円)に上ると予想している。昨年のラスベガスの売上高(65億ドル)の6倍以上だ。
CLSAが今年2月に東京で開催した投資会議では、カジノリゾート運営会社のウィン・リゾーツ、ラスベガス・サンズ、MGMリゾーツ・インターナショナルの幹部が日本での高級カジノリゾートの建設に関心を示した。
超党派の議員連盟「国際観光産業振興議員連盟(IR連盟)」(会長:自民党の細田博之自民党幹事長代行)は22日に会期末を迎える通常国会でのIR推進法案の成立を期待していたが、政府は他の法案の審議を優先。IR推進法案の審議はまだ始まっていない。連立与党の公明党はカジノを容認することに完全には納得しておらず、自民党も法案成立を急ぐことには消極的だ。
当面の焦点は今週18日までにIR推進法案の審議が始まるかどうか。いったん審議入りすれば、今国会中に成立しなくても、秋の臨時国会で優先的に審議される。しかし、今週、審議入りできなければ、このシナリオは崩れる。
衆院内閣委員会の理事懇談会は17日に会合を開き、今国会中に審議入りするかどうかについて決定する。
2014年10月12日 23:02
カジノ議連、カジノ法案は誰に利用されているのか
(10/10 ロイター通信)
総勢135名もの国家議員を擁するIR議連が推進する「カジノ推進法案」が成立するのは時間の問題だとみられるが、この複雑な巨大利権の在り様を可能な限りわかりやすく書き出してみたい。
①虚像
IR議連がしばしば持ち出すカジノ収入の「年1.5兆円」は、アメリカ「シティ・グループ」が昨年8月に発表したレポート、東京・大阪・沖縄の3ヶ所にカジノができた場合の収入見積額年134億ドル~150億ドル、を根拠にしている。ただし、同レポートに書かれる収入の内訳は外国人客からの収入は約33億ドルに過ぎず、残りの8割近くは国内の客からの収入とされている。
この見積はかなり甘い。
シティは日本では1260万人のパチンコ愛好者が平均で23万円負けていることを参考に、カジノに年690万人の日本人が訪れ、一人につき17万負けると試算しているが、各駅前にネオンをきらめかせるパチンコと全国数か所しかないカジノではアクセスと敷居の高さがまるで違う。
外国人客のおとす33億ドルも甘い。
これは日本のカジノで年830万人もの外国人が遊び、400ドルを負けてくれてやと達成できる数字だが、訪日外国人が1千万強の日本では半数以上の観光客がギャンブルに入り浸る計算になる。
(因みにゴールドマン・サックスの見積もりも年1.5兆円だが、投資銀行のCLSAなどは日本全国12ヶ所で4兆円と試算している。)
※1
IR議連はカジノ単体の収入の他、飲食や宿泊への波及効果を期待しているが、これも甘い。
(例えば、大阪商大アミューズメント産業研究所の試算では大阪府の税収が83億1千万円とされている。)
2010年に発表されたアメリカ・ニューハンプシャー州の「ゲーミング調査委員会報告書」によると、カジノ周辺地域から購買力が奪われ、既存産業の淘汰と税収減をもたらす「カニバリゼーション」の発生が認められるとし、カジノを開業すれば周辺地域から40%から60%の「消費の置き換え」が起きると推計している。
※2
さて、こういった甘い見積もりを逆転させる手段がないことはない。
ターゲットを富裕中国人に絞る方法だ。
現状、世界大手の米系カジノ企業「ラスベガス・サンズ」や「ウィン・リゾーツ」はラスベガスに本社を置くものの、収益の約85%はマカオとシンガポールから上げている。
米国内ではカジノライセンスの乱発、オンラインカジノの隆盛により、カジノ市場が縮小する一方、アジア、特に富裕中国人をターゲットにしているマカオは絶好調で、カジノ全35軒の昨年の収入は日本円で約4.5兆円に達する。(一方、ラスベガスは約40軒で6000億円に過ぎない。)
彼らは日本を第二のマカオ、「ラスト・フロンティア」と見立て、参入の機会をうかがっている。
そして、彼らの参入とともにプロジェクト・ファイナンスなどで投資銀行が絡んでくるのも間違いない。
その投資銀行の試算を「経済効果」の根拠にしているIR議連はこのあたりの思惑を承知しているのか、どうか。
富裕中国人をターゲットにする商法は、しかし、思いがけないリスクを伴う。
②リスク
マカオやシンガポールのカジノの驚異的な収益は、中国本土から押し寄せる大口顧客による。大口顧客の定義は、例えばシンガポールのマリーナベイサンズではディポジット約8千万円、最低でもその2~3%を一晩で賭けること、としている。
こうした大口客からの収入がシンガポールのカジノでは半分以上、マカオでは7割に達するとみられる。※1
「世界のギャンブル市場で一人勝ちしているマカオは、その3分の2を大口客に頼っている」
(ブルームバーグ Vincy Chan 2013/6/10)
ここで、気を付けなければいけないのは、全ての大口客が毎晩200万円程度を負けるためにカジノに来ているわけではない、という点である。
一部の大口客の真の目的は、中国本土から海外へのマネーロンダリングだと言われる。
中国本土の大口客をカジノに引き込むためには「ジャンケット」という仲介専門業者を利用しなければならない。
「ジャンケット」は中国から富裕層を呼び込み、信用枠を与えて遊ばせる。
「ジャンケット」は大口客専門のVIPルームを取り仕切り、総ベット額の4割を手に入れる。
カジノ運営企業もここにはタッチできない。
米系のカジノ運営企業はマカオに参入当初、「ジャンケット」を排除しようとした。
だが、自前の営業では大口客は集まらず、負け分の回収もできないことから、結局「ジャンケット」を頼ることとなった。
「ジャンケット」のマネーロンダリングの手法はよく分かっていないが、チップと現金の交換をうまくごまかして、勝ち分を香港系の銀行に送金しているらしい。
日本のカジノが見込み通りに収益を上げるには、「ジャンケット」を頼って富裕中国人を引き込み、マネーロンダリングを黙認するか、国内の小金持ちにせっせと負けてもらう他に方法はない。
「ジャンケット」の導入は中国マフィアの侵入リスクを高めるし、国内客のギャンブラー化は依存症増加のリスクを高める。
カジノが実現された場合の現実的な可能性としては、韓国のケースが妥当するだろう。
韓国のカジノも中国各地に事務所を構え、中国富裕層の引き込みに力を入れたが、金融規制が緩く、中国語の通じるマカオやシンガポールには勝てずに、17軒のカジノは国内客向けの「江原」以外は閑古鳥が鳴いている。(昨年の収入は2450億円でその半分が「江原」。)
このように、日本のカジノが試算通りの収益を上げる可能性は決して高くはない。
③パチンコ・ホールの上場
優良企業であるパチンコ・ホールがこれまで日本で上場できなかったのは、パチンコの換金が合法ではなく、グレーゾーンとして扱われていたためだが、この「くびき」が外されれば、桁違いの上場益が見込める。
国内の3大ホールを支える三菱東京(マルハン)、みずほ(ダイナム)、三井住友(ガイア)、特に大手以外への融資も積極的で三菱東京の3倍以上、みずほの2倍の残高を有する三井住友には上場の利益が大きいとみられる。※3
安倍総理の幼少時の家庭教師役だった平沢勝栄氏は、その主導役で、警察庁の保安課長時代にパチンコ業界の最大利権であるプリペイドカード方式を導入するなど、業界との付き合いは長く、深い。
パチンコ・ホール「GION」などを経営する七洋物産は先代の吉本省治氏(韓国から帰化した在日社会の大物)の時代から安倍家の重要なスポンサーを務めている。
※4
米系カジノ運営会社に伍して日本のカジノへの参入を狙う(パチンコ台メーカーでもある)セガ・サミーの里見会長は、自民党が下野した当時から安倍晋三氏に接近しており、政権交代後も複数回は会合を持ったとされている。※4
さて、以上のように皮算用すればIR議連の活動により利益を得る人たち(カジノ企業、ジャンケット、マネロン中国人、投資銀行、銀行、パチンコ・ホール、政治家、天下り官僚)は多岐にわたる。
それに比べ、損をする人たちは一様だ。
カジノに足を踏み入れ、必ず負ける人たちである。
※1「亡国のカジノ解禁」出井康博(新潮45 9月号)
※2「成立に突き進むカジノ法案への疑問」鳥畑与一(ウェッジ 10月号)
※3(選択 2011年9月号)
※4(選択 2013年9月号)
政府は、理想だけで箱の中身スッカラカンな内容が多いので、はじめからやる気なしとおもいますよ。わたしたちは、安心して子を育てたいだけですから!
徳岡先生は多少過激ですが、混合もがんばってください。
森川先生含め応援しています。
国破れてカジノあり
道徳教育を始めた?という、自称剣道二段、完全無所属知事のケンサクじゃなくて、ケンシキ、あれば、聞いてみたいものです。たしか、前の知事はドウモト氏でした。