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あまり、注目されていないようですが、福島第1原子力発電所1号機で水素爆発を予防的に回避するため、窒素ガスを入れる作業が続いています。
1号機では3月12日、3号機は14日にいずれも格納容器から漏れたとみられる水素が爆発、原子炉建屋上部が破壊されましたが、今回は格納容器自体が危ない。
今回の作業が失敗して、水素爆発が起こると、鋼鉄製の格納容器が大破し、すさまじい放射性物質がまさに爆発的に大気中に拡散し続けることになります。
そうなれば、チェルノブイリ化といっていいでしょう。
現在、窒素注入で圧力が上がっており、上手く行っているようですが、息を呑むとはこのことです。
1号機の燃料棒7割が損傷、爆発防止へ窒素 福島第1
日本経済新聞 2011年4月6日
東京電力は6日、福島第1原子力発電所1号機の原子炉格納容器に窒素ガスを入れる準備を始めた。反応しにくい窒素で容器内を満たし、爆発を引き起こす危険のある水素の濃度を相対的に下げる狙い。燃料棒は冷却水から半分近く露出し、過熱して約7割が損傷、化学反応で水素が発生しやすくなっているという。爆発が起きれば大量の放射性物質が外に出る恐れがあり、対応を急ぐ。
外部の窒素発生装置から、燃料棒をしまってある圧力容器を覆う格納容器内に6000立方メートルの窒素を数日間かけて送り込む。格納容器には通常運転時には窒素が入っているが、建屋の天井を吹き飛ばした爆発で大部分が漏出したとみられる。
燃料棒を冷やす真水を炉内に入れているが、汚染水の漏出を招くため注入量を増やしにくくなっている。十分な冷却ができないと燃料棒の熱で水が蒸発、水蒸気が燃料棒を包む金属のジルコニウムと反応して水素が発生する危険が高まる。水が放射線で分解されて水素ができる場合もある。
水素濃度を相対的に下げるため、爆発の危険がない窒素の封入を急ぐ。窒素を入れると格納容器の圧力が高まる可能性もあるが、水素爆発のもたらすリスクに比べれば小さいと判断した。
1号機では格納容器の圧力、温度のデータから水蒸気が充満、水素爆発を起こす状態に達する可能性があるとみている。同社は6日、1号機の燃料棒の約7割が損傷しているとの試算結果も示した。検出した放射性物質の量から推計した。今後2、3号機にも窒素を入れることを検討する。
経済産業省原子力安全・保安院は6日夜、高濃度の放射性物質を含む汚染水が出ていた2号機付近のピット(立て坑)のひび割れ部分にゴム板を設置したと発表した。7日には取水口部分に横4メートル、縦8メートルの仕切り板7枚を挿入する。汚染水は6日午前に止まった後、出ていないという。
今、1~3号機の原子炉には水が注入されていますが、核燃料は半分程度水面から露出した状態です。かなり損傷していると見られますが、一番外側の燃料のさやの部分はジルコニウムという金属です。このジルコニウムが熱い水蒸気に触れると水素が発生します。
もうひとつが原子炉内の水です。この水に強い放射線が当たり続けると、水素と酸素に分解されるのです。この2か所から水素が出続けている可能性があります。この水素には爆発限界点というのがあって、濃度が4%以上になって、さらに酸素も5%以上あると爆発をおこす可能性が高まります。そこで事前に対策を取っておこうというわけです。
Q)1号機と3号機では以前、原子炉建屋が水素爆発で吹き飛んだのですが、これとの違いはあるのでしょうか?
水野解説委員:
重大性が全く違います。格納容器は鋼鉄製で、放射性物質を閉じ込める最後の砦と言われる。この格納容器が爆発してしまうと、放射性物質が常に大量に放出されることになるので、何としても守らなければなりません。
新聞、テレビの報道ニュース、また大学教授などの見解でも、「安全ですから冷静に、放射能物質で直接の健康被害がないので。」という、同様な調子のアナウンスメントした。
さて、私が、”冷静に考えると”以上のような政府、及び新聞、テレビなどの報道では、「原発による放射能の危険による避難圏」を、一方で行政処分の規制によって設定しながら、他方では「直接の健康被害がないので、冷静にしてください」というのは、どうも完全に矛盾している。
要するに、ダブル・スタンダード、すなわち二十基準だ!!このように、一般国民が原子炉の格納容器、燃料棒の燃焼状態を、実際に見れないからと言って、「危険ではないが、避難せよの行政処分」の場合に、「その想定を信じてはならない」ということに、ならざるを得ない。
なぜなら、政府、」東電その他誰一人も、こんも原発危機の”破壊された原子炉内へ」、立ち入って実際に破損実態を把握した人は、いないのですから。この原子炉の炉心核燃料棒溶融は、いずれ原子炉格納器を内部からメルトダウン(溶融現象)して、爆発するという想定外の事態が、正しいのではないだろうか?
これは、単なる風評の類ではなく、「冷静に観察すれば」それ以外に、選択の余地がないというものの見方です。これは、賭けではなく実際に危機に対処する唯一の方法です。
すなわち、政府、東電ら関係者らは、「原発は絶対安全だ」と言って、今まで国民を騙してきたが、その延長戦の続きを演じているに過ぎない。