
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
本日、2015年4月10日の東京株式市場は取り引き開始直後から買い注文が出て、日経平均株価は取り引き時間中として、2000年4月17日以来15年ぶりに2万円の大台を回復しました。
テレビに、新聞に、興奮した報道が続いています。
ロイター 日経平均15年ぶり2万円回復、緩和マネー・株主還元の期待で
読売 日経平均株価、15年ぶり一時2万円台回復 2015年04月10日 13時23分
なにかと話題の菅官房長官も日経新聞ではこんな見出しになっています。
官房長官「よくここまで来た」 日経平均、一時2万円超
日本の全メディア挙げてのお祝い気分です。
確かに、株価が上がって悪いことは何もないと思いますが、それで恩恵を受けている人が本当はどれくらいいるのでしょうか。
たとえば、株式譲渡所得がある申告納税者を所得階級別に見ると、「所得1億円超」(全体の2・6%)の人たちが株式譲渡所得全体の67・6%を占めています。
また、以下にみるように、その富裕層の中でも超富裕層が大儲けしている構図ははっきりしています。
ソフトバンクのS氏とかファーストリテイリング(ユニクロ)のY氏とかイニシャルにしてもほとんど意味がないと思いますが(笑)。
株価バブルの一方で、2015年4月3日に厚労省が公表した「毎月勤労統計」(1月分確報 事務所規模5人以上)に衝撃的な事実がありました。
この統計は、本来なら2015年3月31日に発表しなければいけない統計でしたが、精査が必要な部分があるとして公表が延期されていました。その理由はこの数字のためだったのかもしれません。
国民生活にとって見逃せない重要な数値が速報値から下方修正されたのです。
それはなにかというと、2014年の所定内給与(基本給)で、3月3日の速報段階では前年比0.0%(月額24万1338円)と横ばいだったものが、確報ではマイナス0.4%に変わったのです。
要するに、2014年の基本給は、前年2013年より減ったことが確定したのです。
振り返ってみると、2014年の政府主導の「官製」春闘では、大企業が給与アップに動いたことばかりが報道されました。
しかし、実際には、日本全体の企業では基本給は下がっていたのです。特に勤労者=サラリーマンの7割が勤務する中小企業は、消費税増税や円安インフレの影響をモロに受け、賃下げするしかなかったことになります。
現金給与総額の推移を示す図(厚生労働省「毎月勤労統計調査」をもとに財経新聞編集部で作成
この厚労省の統計では、残業代を含む給与は0.3%増から0.1%減とプラスからマイナスに転落し、ボーナスを入れた給与総額は0.8%増から0.4%増に下方修正しました。
そして、物価は上昇していますから、その分を考慮に入れた実質賃金は22カ月連続マイナスとなりました。特に1月(確報)は2・3%減となり、下落幅が速報値より拡大しました。
つまり、安倍政権になってここ最近の2年間、日本人の実質賃金は下がり続けなのです。ひと月の例外もなく、連続で。
安倍政権は、トリクルダウンと言って、大企業の賃上げが消費を刺激し、その恩恵は中小企業にも波及すると主張していました。しかし、統計を見る限り、中小企業への波及効果は全くなかったことは明らかです。
恐ろしいことに、日本の会社員の平均年収は2013年は413万6千円で、23年前の1990年の425万2千円より名目でも減ってしまっています。そして、2014年は実質では2013年よりさらに減ったのです。
この厚労省の統計の同じ数字を日本経済新聞や産経新聞がどう報じたかというと、下の見出しです。確かに年末の賞与は増えたのですが、肝心の基本給が減ったことや、実質賃金が22か月も連続で減っていることを報じないで、客観報道と言えるのでしょうか。
現金給与総額、1月確報は0.6%増 2カ月連続増 所定内0.2%増
日本経済新聞-2015/04/03
昨年の年末賞与は前年比1.9%増 6年ぶりプラスに、中小企業の好転が寄与
株価は上がっても、実質賃金は下がる。
このことを、日本国民はどう感じているのでしょうか。
内閣府が2015年3月21日発表した「社会意識に関する世論調査」(調査は2015年1月15日から2月1日に、全国の1万人を対象に面接方式で行い、6011人から回答)によると
「景気がよくなっている」
と答えた人は、1年前(前回調査)に比べて11.6ポイント減の10.4%でした。半減以下になってしまったのです。
これは、同じ質問を行った1998年12月以降の調査結果と比べると最大の下げ幅であり、日本国民からアベノミクスへの期待感が全くなくなってきているのは明らかです。
ちなみに、日本で「悪い方向に向かっている」分野はなにかという質問には、「国の財政」が39%と最多で、次いで「物価」の31.3%、3番目が「景気」の30.3%で前回の19.0%から大幅に増えてしまっています。つまり、経済方面がまるで駄目だとみんなわかっているんですよ。
いくら株価が上がっても、ほとんどの国民にとって「ご利益」は感じられないのです。
そんな中で行われる統一地方選挙。
国民はこのご祝儀株高のムードに乗って、また安倍政権を支持してしまうのでしょうか。
景気が悪い。生活が苦しい。ならば選挙で現政権にNOを突きつけるのは当然ではないですか。
そうしないでいて、支持票を入れたり、棄権したりしておいて、あとで文句を言う権利はないと思います。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
![]() |
アベノミクスの終焉 (岩波新書) |
服部茂幸 | |
岩波書店 |
アベノミクス批判最新刊。政府と日銀が紡ぐ「アベノミクスによって日本経済は回復しつつある」という「物語」。しかし,それは真実なのか.異次元緩和の始まりから一年がたった今,いくつもの「つまずき」を抱えたアベノミクスの実態が明らかになっている.政治のレトリックに惑わされることなく,客観的なデータにもとづき,警鐘を鳴らす。
![]() |
アベノミクス批判――四本の矢を折る |
伊東光晴 | |
岩波書店 |
アベノミクス批判最新刊。アベノミクスと称される一連の経済政策は果たして有効か。近時の株価上昇、円安はアベノミクスの恩恵か。第一、第二、第三の矢を順次検討し、いずれも長期不況からの脱却にはつながらないことを明らかにする。
追伸
株価上昇だけが注目される昨今、最近お知り合いになった優れた経営者の方のコラムを拝見したら、こんなことが書いてありました。
『色々な記事を読むと、株が、上がっているのにアベノミクスと安倍総理の罵倒で溢れている。
良く分からないよね、その精神性。
罵り尽くして、よしんばその影響で安倍総理が、退陣したとして溜飲は下がるけど根本的な問題は、何も解決しない。もう、何度も繰り返しているんじゃないか。
経済が全てとは云わないが何もしなかった民主党の政権より何かしているのだから、少なくとも是是非非で考えよう。
何でも、安倍がー、を専門用語ではアベガー症候群と言う。』
とっても残念な気がしました。別にこちらの精神性に問題があって、アベノミクスを批判しているのとは違うと思うのですが。
上位1%の人から見える株価上昇の風景と、99%が見ている実質賃金下落の現状。
どちらも事実なのですが、どちらが日本人の多くの人の利害に影響が大きいかと言えば、答えは明らかだと思います。
でも、見える景色が違うから、わかりあえないのだろうな。
安倍政権の大義なき法人税減税・外形標準課税拡大 賃上げには結びつかず、中小企業は倒産する
アベノミクスは失敗した1 GDP改定値:マイナス幅拡大の衝撃 黒田バズーカ→円安でも輸出は伸びない!
アベノノミクスは失敗した2 実質賃金目減り、物価高、負担増で格差拡大。日本人は貧しくなっている。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
景気「悪い」急増、3割に=消費増税影響か-内閣府調査
内閣府が21日発表した「社会意識に関する世論調査」によると、「悪い方向に向かっている分野」(複数回答)として「景気」を挙げた人は、前年の19.0%から30.3%に大きく増加した。昨年4月には消費税率が8%に引き上げられており、内閣府政府広報室は「増税で個人消費が落ち込んだことなどが影響したのではないか」と分析している。
序盤から高額ベア容認=政府要請、円安後押し-主要企業の15年春闘
「良い方向に向かっている分野」(同)でも「景気」は前年の22.0%から10.4%に半減した。「悪い方向」では、最も高かった「国の財政」(39.0%)をはじめ、「物価」(31.3%)「地域格差」(29.6%)など、経済分野の項目が軒並み前年より増加した。
一方、「悪い方向」で「外交」を挙げた人は、前年の38.4%から25.2%にまで減少し、大きく改善した。「良い方向」でも「外交」は7.1%から9.6%に上昇した。懸案だった日中首脳会談が昨年11月に実現し、日中関係が最悪期を脱したことなどから、内閣府は「東アジア情勢の緊張が少し和らいだことが背景にある」との見方を示している。
調査は1月15日から2月1日にかけて、全国の成人男女1万人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は60.1%だった。
(時事通信2015/03/21-17:07)
内閣府はこのほど、「社会意識に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、現在の日本で悪い方向に向かっていると思う分野として「景気」を挙げた人は前回(2014年)比11.3ポイント増の30.3%となった。
同調査は、2015年1月15日~2月1日に個別面接方式にて行われ、20歳以上の日本国籍保有者6,011人から有効回答を得た。
現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思う分野は何かと尋ねたところ、「科学技術」が同5.0ポイン増の30.1%でトップ。以下、「医療・福祉」が同0.9ポイント減の26.7%、「防災」が同3.0ポイント増の21.3%、「治安」が同0.5ポイント減の18.9%と続いた。
一方、「景気」は同11.6ポイント減の10.4%と、前回(22.0%)の半分以下に減少した。
また、悪い方向に向かっていると思う分野を聞いたところ、「国の財政」が同6.2ポイント増の39.0%で最多。次いで、「物価」が同5.6ポイント増の31.3%、「景気」が同11.3ポイント増の30.3%、「地域格差」が同5.9ポイント増の29.6%、「雇用・労働条件」が同0.2ポイント減の27.8%となった。
都市規模別に見ると、「景気」を挙げた人は小都市で多かった。男女別では、「国の財政」「地域格差」は男性で、「物価」「景気」は女性で、それぞれ高くなっていた。
2月実質賃金は前年比‐2.0%、22カ月連続マイナス=毎月勤労統計
2014年末の年末賞与は前年比1.9%増と、2008年以来6年ぶりのプラスとなった。伸び率は2004年の同2.2%増以来の高い伸び。所得環境の好転をうかがわせる結果となった。
このうち所定内給与は前年比0.5%増と2カ月連続で増加した。正社員などフルタイムで働く一般労働者は前年比0.7%増、パートタイム労働者は同1.0%増だった。
所定外給与は前年比0.4%増。特別に支払われた給与は同3.0%増だった。
現金給与総額の前年比を就業形態別にみると、一般労働者は0.8%増。パートタイム労働者も0.8%増だった。
総実労働時間は前年同月と同水準だった。所定外労働時間は前年同月比0.7%減だった。
2月の毎月勤労統計は3月31日公表の予定だったが、「精査が必要な部分が見つかり、内容を点検することになった」として、発表が遅れていた。
詳細は以下のとおり。(前年比、%、▲はマイナス)
1月 2月速報
現金給与総額 +0.6 +0.5
所定内給与 +0.2 +0.5
所定外給与 +2.1 +0.4
特別に支払われた給与 +7.6 +3.0
実質賃金 ▲2.3 ▲2.0
所定外労働時間 +1.3 ▲0.7
常用雇用 +2.0 +2.1
一般 +1.1 +1.3
パート +3.9 +3.8
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
これ、原発事故の放射線やイスラム国の人質事件と同じように、ホンマかいな、と国民が疑問に思っても景気がよくなってんだから水差すな、という同調圧力として作用するんじゃないでしょうか。で皆が口をつぐみ、メディアも官邸の意向をソンタクし、景気回復したと流しつづけ、結果無抵抗のママ消費税UPということになりそうな気配です。
そもそも大新聞は消費税UPに賛成してるわけですから、こういう犯罪的な世論操作に手を貸しても屁とも思っていないのてわしょうけど。ま、その「功績」と引き換えに軽減税率の適用を手にしたいのかもしれません。
「働かざるもの食うべからずだ!」と言い捨てる人達
→憲法によって生存権が保障されているので、生活保護費を貰う【権利】があります。
俺たちは投票に行ったうえで文句を言っているのに、お前らは投票に行かずに文句を言うなんてズルいじゃないか。
「投票に行かざるもの文句を言うべからずだ!」と言い捨てる人達(rayさん含む)
→憲法によって言論の自由が保障されているので、政治に文句を言う権利があるんです。
特に【前者】を否定しながら【後者】を肯定する人は、事の本質を理解できていないと思います。
雇われている人の賃金なんて、むしろ下がってるようですね。
ギャンブルやギャンブルに似た行為など、労働に対する収入が多い場合、もっと課税するべきと思う件は置いといて…
アベシには
よっ!日本一の下げ賃男!
という賞賛が、雇用主らからあっていいんじゃないかと…。
賃上げの花が散る散る春の風
代案なき反対者ほど情けないものはない
由って、一般市民の「倫理観から来る意見」を縛るものでは有りません。
憲法の本質を御理解ください。
ブログ主が言いたいことは、「ズルイ」という感情論ではなくて、アベノミクスは一部の富裕層の資産を更に豊かにしただけで、経済に対する波及効果は無く、国内全体では悪い方に向かっているというデータ分析の結果を公述べているだけでしょう。
皆さんは、これで良いのですか?という問いかけです。
文章の主旨を正しく理解してください。
さて、あなたはこの数字の結果をどう思いますか?上記コメの書きぶりだと「ズルイけどOK」という評価に取れますが。
私は国民の1%しか良くならない政策は失敗だと思いますよ。
そんな専門用語があるとは知りませんでした。(笑)
それを言った経営者さんがネトウヨさんたちの仲間とは思いませんが、とにかく何でも安倍総理を擁護したい安倍総理への批判は許さないという盲目的とも見える安倍信者の方々の方がそれにふさわしい硬直した思考をお持ちのようですけどね。
具体的な個別の経済や労働雇用の問題、外交や安全保障など日本が抱える諸課題をどう考えるかというより安倍総理という個人を崇拝するという主体性放棄に見えてしまうのですけどね。
まあ、国家より特定個人を上位に置くような倒錯した風潮が強くなってその国家に災難を引き起こした例は歴史上いくらでもあります。
その経営者さんがアベノミクスを支持しているのは、確かにアベノミクスの恩恵を実感しておられるからであって盲目的
な安倍総理支持からではないと思います。
しかし、すべての経営者なり自営業者なり個人事業主が恩恵を実感できているわけではないでしょう。
また、一部大企業を除く多くの労働者に恩恵が行き渡ってはいないことは、このエントリー本文に挙げられた数字からも明らかですね。
このように本当に景気が回復しているのかどうかの議論は別としても、アベノミクスによって格差が拡大していることは事実です。
そして大問題は一部の資産家や経営者に潤いをもたらしている株高などが果たして持続的な景気回復や経済成長につながるのかどうかです。
経済活性化のための大規模金融緩和と言いますが、設備投資など実体経済にはカネは回らず株式投資などに回り、その結果としての株高ならばバブルに過ぎないものではないでしょうか?
歴史を振り返ってもバブルは必ず破裂し経済に大打撃を与えています。
もし将来バブル崩壊の後の大不況となった時に、日本政府や日銀に財政出動や金融緩和といった不況対策をする余力は残ってないことは明らかですね。
アベノミクスは最後のカードとして残しておくべきものを使い果たしている、そう思うのです。