稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

開館20周年記念品…

2014年03月29日 | 日記

平成26年3月29日(土)、晴天

この日は4月12日の圏央道稲敷東インターチェンジ開通を記念し、
イベントが行われました。

参加者された方にお配り致しました記念品の中に、
当館の開館20周年記念品が入っていたことに気付いた方も
おられるかと思います。

そうなんです、実は当館、今年の7月23日で開館20周年を迎えるのです!
当時は「東村」の資料館として開館いたしました。

今回は記念品の紹介と、資料館のなりたちについて
少しふれたいと思います。

当館が誕生するに至った過程を語るうえで、欠くことのできない
キーワードがあるのですが、それは「ふるさと創生一億円」です。

どこかで聞いたことがある方もおられるかもしれませんが、
日本全国津々浦々の市町村に一律一億円を交付して、
各自治体の創意工夫により地域振興を図ろう、という
取り組みでした。

当時の東村では、この使い道に関して村民にアンケートを取った結果、
最も多かったのは、「図書館が欲しい!」という回答だったそうです。

この結果を受けて、当時の成毛村長さんは自身も読書が好きだった
青少年時代を思い起こし、更に貧しい暮らしを改善しようと
した先人たちの鋭意努力と、愛すべき故郷の歴史と文化を
きちんと後世に遺すべきである、として「図書館」と
「歴史民俗資料館」の設置を決心したそうです。

そして、まず図書館が平成5年に開館し、その1年後の
平成6年7月23日(土)に、東村立歴史民俗資料館として、
当館が開館したのです。

話が長くなりましたが、今回、当館が作成いたしました、
開館20周年記念品の紹介です。



こちらは、稲敷市出身の第7代横綱・稲妻雷五郎の錦絵を
デザインした一筆箋(いっぴつせん)の表紙です。
横綱土俵入り姿と、花見の宴会の様子です。


同じ一筆箋の裏表紙は、着物姿と花火見物の宴会といった
デザインです!当時の横綱は、「江戸の三男」の一つに
数えられる、粋で鯔背(イナセ)な男の代表だったようですから、
稲妻の威勢の良さが感じられますね!


こちらは、一筆箋の表紙と同じデザインのクリアファイルです。


一筆箋は、普通の便箋の五分の一程度しか文章が書けません。
けれども、手紙に書くのが短い文章で良いので、手軽気軽に
直筆で書いて、相手に送ることができます。

一筆箋には、色々な館で色々なザインのものを作っており、
どのデザインを誰に送るか、など送る相手によって用紙を
変えたりする楽しみもあります。

そんな時に、「稲敷市」の資料館で作った「雷五郎」の
一筆箋があると、もっと楽しくなるかもしれませんね?

クリアファイルも、ちょっと大変なお仕事でも、
文書がこんなファイルに入って送られて来たら、
少し感動して、楽しくなるかもしれませんね?

これらの記念品は、順次今年度の当館のイベントなどで
配布する予定ですので、皆さん是非ゲット!してくださいね!


新収蔵庫が完成いたしました!

2014年03月28日 | 日記
2014年3月。

稲敷市立歴史民俗資料館では、
この度、新設収蔵庫が完成いたしました!

そこで、このブログにて少しご紹介いたしますね。


南西からのアングルです。
今回の収蔵庫は、鉄骨造り、屋根は折版ガルバリウム鋼板
の30分耐火構造、外壁はガルバリウム断熱サイディング張り
の防火構造で…


延べ床面積は298.89㎡です。


メインとなる収蔵庫の面積は、200.29㎡。
照明は、LEDで空調もあります。
床材は桜の無垢板で、腰壁は杉材を縦貼りとし、
埃が溜まりにくくしています。
また、天井は二重天井で、その間にはファンがあり、
一定以上の温度になると自動的にファンが廻ります。
棚は鉄骨の中量棚で、棚板には40mmの日本杉の板材が
使用されています。


内壁の天井・壁面には、「ニューヒューミライト」という、
湿度を調節する素材をふんだんに使用致しました。
この調湿建材、博物館等の展示ケース等によく使用される
素材ですが、今回は収蔵庫の壁の大部分をこれで
覆いました。腰壁は、調湿建材の保護の意味もあります。

この調湿性能のある建材を出来るだけ多く使用し、
限られた予算と関係法令の許容範囲内で、出来る限り
床面積、容積を大きく確保する、ということが、
この収蔵庫の設計時の主たるコンセプトでした。



収蔵庫には、その整理作業の為に「前室」が設けられますが、
新収蔵庫の前室は、95.64㎡あります。
資料館の本館には、作業に使えるスペースが僅かしかありません。
そのため作業スペース確保、というのも、今回の
収蔵庫の設計においては、とても重要なものでした。

こちらは、収蔵庫より天井が高く最大で約5.58mありますので
開放感と共にとても明るい室内になっています。
照明はもちろんLEDで、風通し用の高窓や金属網戸などを
設置してありますので、空調に頼らなくても、有る程度は
快適に過ごせるようエコに配慮しています。


前室から収蔵庫に通じる扉方向の写真です。
扉はエアロックまでは設置できませんでしたが、
頑丈重厚な鉄扉を設けています。


前室の給湯施設です。


作業用の流し台もあります。


今ではパソコンのネットワーク環境は仕事に欠かせません。
もちろんLAN回線も電話回線も通っています。
警備システムもバッチリなのですが、それはここでは
ナイショです。

稲敷市の4町村合併で、それぞれの旧町村の貴重な資料の
受け入れが困難な状況でしたが、新設1号収蔵庫の増設により
失われゆく故郷の資料を未来へ受け継いでゆくために、
一縷の望みが生まれました。

これからは、本館の機能と合わせて、資料館の果たすべき
役割のために役立ってくれることでしょう。
















植樹の枝打ちをおこないました!

2014年03月28日 | 日記
2014年2月21日。

資料館では、現在、新収蔵庫を建設中ですが、敷地の外周に
植樹されている桜樹の枝がこの建屋に干渉してしまっています。



このため「桜切る…」との例えはありますが、
IPM管理上も宜しくありませんので、「泣いて桜を斬る」の
心持ちで、資料館職員の皆で桜の枝打ちをおこないました。


高所作業なので、ヘルメット着用の上、収蔵庫建築作業用の
足場の上から枝を切ります。


桜の芽も少しずつ育っていますが、新収蔵庫の屋根や壁面を
腐食から守るために枝を切ります。


そして切り落とした桜の枝は拾い集めて…


本館隣の空きスペースに集めます。
切り落とした桜の枝は、草木染め講座の原材料として、
きちんと有効活用致します。

桜の花が咲くのは、まだまだ先になります。
今回、枝打ちで花を咲かすことのできなかった
蕾も、草木染めの色合いとして淡いピンク色を
表してくれることでしょう。

まだ花は咲いていませんでしたが…

散る桜 残る桜も 散る桜

ということで、私たちの心の中に留まることでしょう。



飛散防止フィルムとブラインドを設置しました!

2014年03月14日 | 日記
当館のエントランスを入りますと、
巨大な「千代の富士」関の優勝額がお出迎えを
してくれるのですが、その向かって右側には
高くそびえる明り取りのガラス窓が開放感を
演出しています。


近年では、この下のスペースを利用し、
小学生の「昔の道具」学習や、
「裂き織り教室」などが開かれています。

けれども、竜巻や台風などの自然の猛威も、
20年前の開館当時の設計概念で想定して
いなかったケースも見られるようになって
きました。

そこで、今回当館では、当該個所のガラス窓に
来館者・利用者の安全性対策といたしまして、
「飛散防止フィルム」の貼り付けと、
社会科学習や講座・教室でのスペース利用時に、
快適性向上のためブラインドを設置すること
にいたしました。


こちらが、フィルム貼り付け完了と
ブラインド設置時の画像です。
何も貼っていない時と比べ、少し反射具合が
変わりました。外から見ますと鏡面となって
います。


ブラインドを下した状態での画像です。
これで夏の強い日差しを防いで、講座や教室の
開催時も快適に過ごせそうです!

少しずつではありますが、館内の適正化を進め、
来館者、利用者の皆様が館内で心地良く過ごせ
ますよう、心配りに努めてゆきたいと思います。


県立歴史館の見学会を実施しました!

2014年03月07日 | 日記
2月22日(土)。

この日は、当館主催の県立歴史館見学会を実施いたしました。



水戸市の歴史館では、「常陸南北朝史―そして、動乱の中世へ―」
を開催しています。

「南北朝の動乱」と言えば、稲敷市におきましては、南朝方の
北畠親房がこの地に漂着し、「神宮寺城」と「阿波崎城」と
転戦して、つくば市に在る「小田城」へと移ったことは、
よく知られています。


(スナップ写真は許可を得て撮影しています)

まずは歴史館の展示担当者の講座を聞いてから、展示を
見ます。

この日は、残念ながら稲敷市関連の回ではなく、「結城合戦」
の回でしたが、歴史館の講堂に人が入りきれないほどの大盛況
でした。



今回の展示では、『烟田文書』(京都大学総合博物館蔵)から、
「烟田時幹軍忠状案」等が出陳されており、その中の建武4年11月
と建武5年10月のものには、「東条亀谷城」、「神宮寺城」、
「阿波崎城」の名称が見受けられました。

烟田時幹は、北朝方の佐竹義篤に従った鹿島氏一族の一人とされて
おり、上記の文書には「神宮寺城」や「阿波崎城」において、
「散々合戦致し切り捨てしめ訖(おわん)ぬ」や
「敵の処阿波崎城没落しめ訖ぬ」といった記述も見られます。

「神宮寺城」や「阿波崎城」で繰り広げられた戦いの激しかった
ことが窺えます。

また、展示では「十三塚」や「ほいほい地蔵」等、南朝方に味方
した郷土の人達の悲劇的な後日譚についても、丁寧に取り上げら
れていました。

「東条亀谷城」については、稲敷市羽賀説や稲敷市釜井説などが
あるようで、詳しいことは分かっていません。

また、「霞ヶ浦の海夫」の一つとして、「信太庄下条佐倉郷古渡津」
(現在の稲敷市信太古渡)などもクローズアップされ、円密院文書
なども展示されていました。

そして稲敷市関連作品としては、東条庄高田郷の鍛冶の祖と言われている
「来橘光定」の太刀が展示されています。
この作品は普段は見られないものなので、興味のある方は、
この機会に是非ご覧ください。