稲敷資料館日々抄

稲敷市立歴史民俗資料館の活動を広く周知し、文化財保護や資料館活動への理解を深めてもらうことを目的にしています。

特別展より、展示紹介①

2013年03月31日 | 日記

前回は、松田朝旭さんの人物像についてお話ししましたが、
今回からは展示内容を、テーマごとにご案内したいと思います。

今回の展示は、いくつかのテーマごとに展示をしています。

①『新利根村史』挿絵原画(30点)
②稲敷市内風景スケッチ画(10点)
③朝日新聞茨城版「学校のある風景」原画(24点)
④国内外の風景、人物等スケッチ(29点)
⑤油彩画「カンボジア・シリーズ」(6点)
⑥家族の肖像(12点)
⑦利根川お散歩スケッチ(17点)
⑧取手二高時代
⑨油彩画「春季二科展」出品作(4点)
⑩写真と寄稿文
⑪油彩画、二科展出品作を中心に(32点)

といったところです。


まず、エレベーターで2階に上がりますと、目の前には
色鮮やかな手拭いをつないだノレンが現われます。
これは取手二高が甲子園で優勝した時、支援者に記念として
渡された手拭いを文化祭の展示用に奥さんが縫い合わせ
たものです。もちろん、松田さんのデザインです。

壁面には、取手二高の甲子園初出場からの記念手拭いと
文化祭のポスターが掲げられています。



手前のケースには、PTA会誌や名簿、部活案内など、学校の
各種印刷物に松田さんが原画を提供したものが納められて
います。また、今週の一枚と題して教室に掲示したスケッチ
画のコピーなども展示しています。

それと、文化祭では甲子園の景色を松田さんが描き、
甲子園の砂を封入したシオリも作って配りました。

取手二高の甲子園優勝を絵画で遺した、というのも教員をして
おられた松田さんならではのテーマです。

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次に「新利根ノスタルジー」のイメージとなった、
『新利根村史』の挿絵原画です。
これらは昭和58、59年に刊行されたもので、当時の新利根村
の新旧の要素が入り混じった景観が窺えます。




こちらの壁面に展示されているのは、普段は「ふれあいセンター」
に掲額されているもので、今回の展示のためにお借りして、
見やすい位置に展示しています。


こちらも同じ『新利根村史』の挿絵原画ですが、こちらは
松田さんが保管しておられたもので、普段は見ることが
できないもので、今回が初公開になります。

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ウォールケースの中には、スケッチ画が展示されています。
稲敷市内の風景や国内外の風景、そして1978年より朝日新聞茨城版に
連載された「学校のある風景」の挿絵原画などが展示されています。

今回の展示には、新利根地区の根本、柴崎、太田小学校、東地区の
新東小学校、江戸崎地区の君賀小学校のスケッチ画が展示されています。
ご来館の折には、探してみて下さい。

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特別展、絶賛開催中!

2013年03月30日 | 日記

稲敷市立歴史民俗資料館では、3月22日より、
特別展「新利根ノスタルジー 松田朝旭 描き続ける日々」展
を開催しております。


今回は、稲敷市出身の洋画家、松田朝旭(まつだ・あさあき)さんの
60年余という画業から生み出された膨大な作品群の中から主要なものを
抽出して展示しています。

まず、はじめに松田さんをよく知らない、という方のために、
松田さんの略歴を御紹介したいと思います。

松田さんは、1935年3月30日、稲敷市須賀津生まれ。両親が
教員だったため、伊佐部、新川、中山と少年時代は稲敷市
市内を転居しました。


どちらかというと、運動が苦手で、絵を描くことが大好きな
大人しい子だったということです。


柴崎中学を卒業した後は、中山の自宅から竜ヶ崎一高まで
片道70分かけて自転車で通学したそうです。

この竜ヶ崎一高時代、2年生の時から美術部に入り、同校
出身の洋画家、服部正一郎の指導を受けます。

ご存知の方も多いかと思いますが、服部氏は、茨城県だけで
なく当時の日本洋画界の重鎮でした。

松田さんは、高校時代に出会った恩師に、一言では言い表せない
「憧れ」と「尊敬」を抱いたそうです。

その後、松田さんは、竜ヶ崎一高から茨城大学教育学部美術科
へ進みます。20歳頃、旧制中学時代、服部氏の友人でもあった父に
連れられ服部氏の元を訪れて弟子となり、それ以来、本格的に絵を
学んでいました。


右から、恩師の故服部正一郎、兄弟子の片岡洋一氏、松田さん。
北海道スケッチ旅行の帰路、千歳空港ロビーにて。


在学中、水戸市内の土蔵を描いた《土蔵》で二科展初入選を
果たします。

大学卒業後は、教員となり、稲敷郡内の安中、河内中学校、
下妻一高、取手二高に赴任します。


安中中学校教員時代、体育祭での仮装行列の記念写真です。
ご本人もお気に入りの一枚です。


こちらは河内中学校で受持ちの教室がベニヤ板を打ち付けただけの
壁面だったため、生徒たちと一緒に陽明門の壁画でリフォームした写真。



下妻一高教員時代の下宿の様子。ここは下一美術部員と松田さんの
創作の場であり、交流の場でもありました。



松田さんが取手二高に赴任した1977年頃から、同校野球部は
甲子園に出場するようになりました。
そして、1984年には、桑田・清原をようするPL学園を下し、
全国制覇を遂げます。
松田さんも生徒の引率として、スタンドから声援を送りました。



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このように、松田さんは、美術教師と画家の二足の草鞋を
はいて活動されて来ましたが、1990年3月、55歳で教員を
退職し、その後は画家に専念して描き続ける日々を送られています。

松田さんは、早くから茨城県展や二科展で受賞を重ねます。
受賞歴は、県展では茨城県知事賞、市町村会長賞、永田賞、
中村彝(なかむらつね)賞など。二科展では、特選、50周年記念賞、会員努力賞など。

1985年に二科会会員となり、2000年には同会評議員となります。


左から、公益社団法人二科会理事長の田中良氏、大隈武夫氏、
松田さん。田中氏は同じ服部門下生の兄弟子でもあります。


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次回は展示風景をご紹介します!






額縁つくり講座をおこないました!

2013年03月18日 | 日記

3月17日(日)。

この日は、額縁つくり講座をおこないました。



講師は、鉾田新額堂の小村俊雄さんと奥さんの和子さんです。

小村さんご夫婦は、額縁つくり50年以上の大ベテランです。
小村さんは、ヨーロッパの美術関係の職人技術を研究されている
京都造形大学客員教授の青木芳昭さんと、技術の相互交換
をされており、日本の額縁職人のノウハウを教える代わりに
ヨーロッパの額縁職人のそれを青木さんから学んだそうです。



今回は、初めてなので難しいことはできません。
額縁の材料は、胡粉で下地塗りされたものを工房でカットして
もらいました。



まずは、額縁を組み立てる前に、四辺をヒモで結わえてガッチリ
と固定する「練習」です。



これが結構難しいんです!



講師の小村さんに手伝ってもらいながら、練習します。



次はボンドを塗ってくっつけます。ニカワやウルシを用いることもありますが、
今回は手軽な木工用ボンドです。



そして、練習した額縁結わえをおこなって…



釘を打ち込んで固定します。


ボンドが乾くまでの間、資料館で常設展示中の
小林巣居人の《水郷、六月》を見て、新額堂さんが
造った額縁を見学。

おまけとして、3月22日からオープンの松田朝旭さんの
展示を一足先にご覧いただきました。



奥さんの「箔押し」の実演です。この後、受講生のみなさんも箔箸で
箔を摘まんでみました。



小村さんは、装飾彫りの実演を見せてくれました。
手本もなしに彫っていましたが、仕上がりのイメージは
頭の中に出来あがっているそうです。




さて、ボンドが乾いたら塗装面をペーパーかけして磨きます。



段ボールで簡易塗装ブースを設置して、
まずは下地の白色塗装をおこないます。
みなさんエア・ブラシは初めてですが、がんばります!



続いて、シルバーグレイで塗ります。



吹き付け塗装が終わって、乾燥中です。



完成した皆さんの額縁を記念撮影!

どうです、中々イイでしょ?



特別展開催のおしらせです!

2013年03月12日 | 日記

このたび、稲敷市立歴史民俗資料館では、

特別展『新利根ノスタルジー 松田朝旭 描き続ける日々』展

を開催いたします。


松田朝旭(まつだ・あさあき)氏は、1935年3月、稲敷市須賀津生れの画家で、

少年期を市内の伊佐部、新川、中山で過ごされ、現在は取手市にお住まいです。

洋画家の服部正一郎に師事し、二科会会員、評議員として活躍され、

茨城県芸術祭美術展では、たびたび審査員もつとめています。

稲敷市との繋がりは出身地というだけでなく、

合併前の新利根村が1983・84年に出版した

『新利根村史(二)』『同(三)』では、数多くの挿絵を描いて

いただいているほか、新利根中学校の校章デザインの補作もされています。


今回の展示では、『新利根村史』に掲載された挿絵のスケッチ原画を

一挙29点展示いたします。

いずれも30年ほど前の新利根各所のスケッチで、「平井家住宅」

などは修復前の姿が描かれるなど、民俗・時代資料的価値もあるものです。


平井家住宅


逢善寺仁王門


長屋門(中山)


また、松田氏は1982年より朝日新聞茨城版に連載された「学校のある風景」

にも挿絵を描かれており、その中には既に廃校となった学校や木造校舎などが

含まれています。これらのスケッチ原画も22点展示いたします。


上記の作品は、いずれも郷愁を感じるノスタルジックな作品となっております。



ちょっと面白いところですと、取手二高の教諭時代の1984年、

同校野球部が夏の甲子園で優勝した際のスタンドからのスケッチや

優勝旗なども。


そして、洋画家である松田氏がこれまで描き続けてきた油彩画の

大作も数多く展示いたします。

ヨーロッパの重厚感のある石造りの町並みや、カンボジアのアンコールワットの

存在感あふれる石仏など、二科展出品作を中心に40点余り。


四面菩薩(F130)


風車のある村(F120)

総展示数は140点を超える、見応えのある展示となっております。
(一部展示替えをおこないます)

会期は3月22日(金)~5月26日(日)となります。

休館日は月曜および祝日で、月曜が祝日の場合は翌日もお休みとなります。

また、3月29日(金)・4月26日(金)は館内整理のためお休みとさせていただきます。

水曜日は開館が11時からになります。


お誘い合わせの上、ぜひご来館ください。

資料館へGO!春のプレゼント情報です!

2013年03月07日 | 日記

3月7日(木)。

ここ数日ずいぶんと春めいて暖かくなってきました。
お出かけの計画を立てている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
でも、どこへ行こうかな…とお考えの方のために、


稲敷の資料館で、「資料館へGO!(ゴー)」のアイコトバを言って

企画展、特別展の招待券をゲットしよう!


と、今回はプレゼント企画を立ててみました。

まずはこちら


水戸市に所在の「茨城県立歴史館」にて3月20日(水・祝)まで開催されている

特別展『筑波山―神と仏の御座す山―』の招待券です。

こちらは、2枚一組で先着「三組様」へのプレゼントとなります。

茨城県南部にあって古代から信仰の対象とされてきた筑波山ですが、
今回の展示では古代から近代にかけての様々な資料によって
「霊峰 筑波山」の歴史を紹介しています。

その他にも歴史館では、旧水海道小学校本館に展示スペースが新設されたり
様々なイベントも開催されます。
ぜひこの機会にお出かけしてみてください。


次はこちら


栃木県壬生町に所在の「壬生町立歴史民俗資料館」で同じく
3月20日(水・祝)まで開催されている

企画展『壬生のサムライと日光の至宝―“NIKKOブランド”の開拓者―』

の鑑賞券です。
2枚一組で、こちらは先着「一組」にプレゼントいたします。

今回の企画展では明治から大正にかけての絵画や堆朱などの資料や、
それらを手掛けた芸術家を支援し「NIKKOブランドの開拓者」
と呼ばれた元壬生藩士の足跡を展示紹介しています。

少し遠方にはなりますが、常設展では日本最大級の家形埴輪や
壬生町が発祥の地だというかんぴょう栽培に関する資料など
のユニークな資料が展示されています。
また、隣接して壬生城址公園も整備されていますので休日を
過ごすのにはぴったりではないでしょうか。


●プレゼントのお申込み方法は、

必ず、稲敷市立歴史民俗資料館の開館時間内に、

受付窓口に来ていただき、

「資料館へGO!(ゴー)」のアイコトバを言ってください。

尚、プレゼントはお一人様お一つに限らせていただきます。

●それでは、プレゼント内容の確認です。


◎特別展『筑波山―神と仏の御座す山―』招待券
    2枚1組で、先着3名様
 
 会場:茨城県水戸市緑町2-1-15
    茨城県立歴史館
    

◎企画展『壬生のサムライと日光の至宝―“NIKKOブランド”の開拓者―』鑑賞券
    2枚1組で、先着1名様

 会場:栃木県下都賀郡壬生町本丸1-8-33
    壬生町立歴史民俗資料館


●このプレゼント企画は、平成25年3月9日(土)、午前9時よりスタートし、
プレゼントが無くなり次第終了いたします。    

みなさん、奮ってご参加ください!