一続きの事件で10週に渡る最長の事件であると共に、
『名探偵コナン』の基本構造が完全崩壊した事件である。
「ミステリとして」壊れている事件は多かった。
「少年漫画として」壊れている事件も増えていた。
だがそれでも、江戸川コナンという人間の骨子は残されていた。
「自分の姿というアイデンティティを失った悲哀を背負っている」
「工藤新一に戻る際には激しい苦痛を伴い、死ぬ危険性もある」
「毛利蘭とは10年来の付き合いであり、現在は衣食住を共にしている」
「少しでも生きている痕跡を残せば、組織に身内もろとも皆殺しにされる」
これらの設定が、今回の事件に限って、まるきり影も形も無くしてしまっている。
『見えない悪魔に負けず嫌い』の展開を、
ロンドンで焼き直しするという目的ただ一つのために。
この事件を経た後では、『命がけの復活』の学園祭すらも、
馬鹿馬鹿しい茶番になってしまいかねない。
この作品からはもう、シリアス要素は失せてしまった。
そして終盤、恋愛を主題にしている作品としては、あまりにも中途半端な告白劇。
かくて、新一と蘭は、小五郎と英理と同じような関係になってしまった。
彼らの仲は、連載が終わるまで、何一つ変化しないだろう。
進みもせず破れもせずに、「カップル」という記号だけの関係が、半永久的に続くのだ。
それでは。また次回。
『名探偵コナン』の基本構造が完全崩壊した事件である。
「ミステリとして」壊れている事件は多かった。
「少年漫画として」壊れている事件も増えていた。
だがそれでも、江戸川コナンという人間の骨子は残されていた。
「自分の姿というアイデンティティを失った悲哀を背負っている」
「工藤新一に戻る際には激しい苦痛を伴い、死ぬ危険性もある」
「毛利蘭とは10年来の付き合いであり、現在は衣食住を共にしている」
「少しでも生きている痕跡を残せば、組織に身内もろとも皆殺しにされる」
これらの設定が、今回の事件に限って、まるきり影も形も無くしてしまっている。
『見えない悪魔に負けず嫌い』の展開を、
ロンドンで焼き直しするという目的ただ一つのために。
この事件を経た後では、『命がけの復活』の学園祭すらも、
馬鹿馬鹿しい茶番になってしまいかねない。
この作品からはもう、シリアス要素は失せてしまった。
そして終盤、恋愛を主題にしている作品としては、あまりにも中途半端な告白劇。
かくて、新一と蘭は、小五郎と英理と同じような関係になってしまった。
彼らの仲は、連載が終わるまで、何一つ変化しないだろう。
進みもせず破れもせずに、「カップル」という記号だけの関係が、半永久的に続くのだ。
それでは。また次回。