【お知らせ】
“リトルパイン”ホームページが新調されました(^^)v
とっても素敵なページを作って頂いたので、また皆さん
も、見にいらして下さい♪
それと、今まで作って管理してくれてた、遠方に住む団員
には、「本当にありがと~♥お疲れ様でした♥」
(新ホームページ開設に辺り、旧ホームページは閉鎖と
なりますが、ご了承下さい。見に来て下さっていた皆様、
ありがとうございました<(_ _)>)
“リトルパイン新ホームページ”
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/performance.html
【お知らせ2♪】
他のページでもお知らせしましたが、
グーグル版“ワールド”を始動(・・・何故“始動”と言うか
・・・と言いますと、グーグル版も、グー版と同じ頃に開設
してたのですが、こちらに掛かりきりになってしまって、
全く動いていなかったのです^^;)
そちらのページでは、脚本以外にこちらと違う内容を・・・
と言うことで、公演の動画を少しずつではありますが、
順次ご覧頂こうかな・・・と、思っていますので、また、
こちらも覗きにいらして下さい<(_ _)>
(生声、聞きに来て下さいね~^^;)
“グーグル版ワールド♪”
http://ritorupain.blogspot.com/
ミュージカル人形劇団“リトルパイン”
代表 どら。
ルイ「それにしても腹減ったなぁ・・・」
アンソニー「・・・俺の為に、力を使い過ぎたんだろ?満月だとし
ても、傷の治りの早さから分かるよ。」
ルイ「(笑って。)あれ程、沢山の血を流されたんじゃね。」
エドワード「先に食事に行って来いよ。」
ルイ「ラッキー!(テラスの方へ行こうとする。)」
エドワード「ルイ!!」
ルイ「(振り返り。)何?」
エドワード「この家の人間には、手を出すんじゃないぞ。」
ルイ「了解!」
ルイ、テラスへ出て行く。と、鳥の羽ばたく音
が遠ざかる。
アンソニー「(笑って。)余程、腹を空かしてたんだな。」
エドワード「アンソニー・・・」
アンソニー「ん?」
エドワード「さっきはすまない・・・」
アンソニー「ああ・・・別に、たいしたことじゃないさ。何で奴らが
俺達を執拗に追い続けているのか・・・。ルイが知っ
たところで、何の得にもならないだろ?それなら知ら
なくていいんだよ・・・。」
エドワード「・・・そうだな・・・」
その時、ドアをノックする音。
2人、驚いたように顔を見合わせて、アンソニー
慌ててベットに潜り込む。
それを見届けてからエドワード、ゆっくりドアの
方へ。
エドワード「はい・・・。(ドアを少し開ける。)」
クララの声「あの・・・お嬢様に言われまして・・・。どうぞ。」
エドワード、クララから盆を受け取る。
エドワード「・・・ありがとう・・・。」
クララの声「失礼致します・・・。(ドアを閉める。)」
エドワード、困ったような面持ちで、受け取った
盆を持って、アンソニーの側へ近寄る。
エドワード「アンソニー・・・」
アンソニー「行ったか?」
エドワード「ああ。」
アンソニー「(起き上がる。)誰・・・?(エドワードの持っている盆
に気付いて。)・・・何だい、それは・・・?」
エドワード「(アンソニーの膝の上へ盆を置いて、被せてあった
布巾を取る。)ご親切に、夕食を提供してくれたよう
だ・・・。」
アンソニー「パンにスープに干し肉・・・こう言うものは、何年ぶり
だろう?(笑う。)」
エドワード「・・・悪いけど俺は・・・(横を向く。)」
アンソニー「全く・・・相変わらず偏食だな、おまえは。(笑う。)
ルイの奴に取って置いてやれよ。屹度、涙流して喜
ぶんじゃないか?」
エドワード「(思わず吹き出し、声を上げて笑う。)そうだな。」
アンソニー「(エドワードに釣られて笑う。)」
2人の笑い声残して、紗幕閉まる。
――――― 第 5 場 ―――――
紗幕前。村人達、アンソニーの噂話しを歌う。
“ねぇ ねぇ お聞きになった?
ねぇ ねぇ お聞きになった?
シャンドール家のお客人のこと
世にも稀な美男子が
漆黒の髪を風に靡かせ
透き通るような白い肌で
弁舌爽やか 会話は上手い
一旦彼に見詰められると
誰もが忽ちそのとりこ
ねぇ ねぇ お聞きになった?
シャンドール家に立ち寄った
貴公子のこと!!”
エリーズ「ねぇ、知ってる?」
シャロン「この世の者と、思われないいい男なんでしょ?」
リチャード「どっかの国の貴族らしいぜ。」
オードリー「ねぇ、お母様!!そのお方が助けを求められたの
が、どうしてシャンドール家なの!?うちとは目と鼻
の先の、御隣同士だって言うのに!!」
マルガリーテ「屹度、森を抜けてこられたんでしょう。」
フィリップ「そうか・・・だから一番最初に目に付く明かりの点いた
家・・・即ち、シャンドール家に飛び込んだって言う訳か
・・・。」
オードリー「でなけりゃ、造りからして比べ物にならない立派な、
うちの方へお越しになる筈よね!!」
ミレーヌ「どっちが立派かなんて、見る人によるんじゃないの?」
フランツ「確かに、シャンドール邸も、オードリーの家も、立派な
建物には違いない。」
シャルル「(笑って。)そうそう、お母さんときたら、シャンドール
家と張り合いながら、どんどん家をでかくするものだか
ら・・・。」
マルガリーテ「シャルル!!私は昔から何があっても、シャンド
ール家に負けることだけは我慢がならないのよ
!!」
エリーズ「小母様は、何かシャンドール家に恨みが御有りなの
?」
マルガリーテ「人に言う程のことではないけれど・・・」
オードリー「本当。犬猿の仲のお母様と、幼友達のお隣の小父
様・・・。お母様が想いを寄せているのを知らずに、
隣村から奥様をお貰いになったのよね。(笑う。)」
マルガリーテ「オードリー!!私は何もあんな人に・・・!!何
も想いを寄せていたなんて・・・(しどろもどろに。)
」
オードリー「誤魔化さなくてもいいじゃない。」
ミレーヌ「まぁ・・・小母様にも、青春時代がおありだったのね。」
マルガリーテ「当たり前ですよ!」
みんな笑う。そこへ従者ハンスを従え、
村の有力者で弁護士のエドモンと、その妻
ヴィクトリア、腕を組んで登場。
エドモン「これはこれはみんな、楽しそうだな。」
クラウス「エドモン様。」
ヴィクトリア「御機嫌よう、みなさん。」
娘達口々に「こんにちは、奥様。」
みんな頭を下げる。
エドモン「何かいいことでもあったのかな?」
エリーズ「いいえ。マルガリーテ小母様の若き日のお話しを、伺
ってましたの。」
エドモン「ほう。それは楽しそうだな。」
マルガリーテ「いやですわ。」
ヴィクトリア「ところでみなさんは、シャンドール家のお客人のこ
とを、もうご存じかしら?」
シャロン「ええ、勿論ですわ!!今もマルガリーテ小母様のお
話しを伺う前に、噂してましたの。」
ミレーヌ「とっても美男子で貴公子だそうですね。」
ヴィクトリア「ええ。」
オードリー「一度、彼を見かけた者は、その美しさに目を奪われ
、話しをした者はその教養の高さに引き込まれると
か・・・。」
ヴィクトリア「とても社交的なお方のようですわね。」
エドモン「私達も是非一度、その者に会ってみたいと思っておる
のだが・・・如何せん、ここ暫くは裁判裁判で・・・。」
クラウス「何かあったんですか?」
エドモン「いや何・・・隣村のことなんだが、少し奇妙な事件が起
きておってな。」
フランツ「奇妙な・・・とは?」
エドモン「昨日まではピンピンしておった娘達が、あくる日には
丸で生気を吸われてしまったかのようにぐったりなって
いると言う・・・。初めは変な病気でも流行っているん
じゃないかと、騒ぎになったそうなんだが、その娘達も
数日後にはすっかりよくなり、何事もなかったように暮
らしているんだが、不思議なことにその娘達は、決まっ
て窓から忍び寄る黒い影を見たと証言するのだ。それ
で、警察当局の調べで、一人の薬売りが捕らえられ・・
・私はその男の弁護を引き受けているのだが・・・」
リチャード「その男が、薬を使って娘達に幻覚を見せたと?」
エドモン「ああ・・・。だが、その男の話しを聞く限りでは、幻覚を
見せる薬はあっても、そう一晩のうちに血の気がみん
な引いてしまうようなことになる薬などないと言うのだ
・・・。それに最大の問題点は、その男は足が悪いと
言うことだ。普通に歩くくらいには何の問題もないんだ
が・・・窓からしか入り込めないようなところへ、どうや
って忍び込むことができると言うんだ。全くもって不可
思議なことだよ・・・。と言う訳で、私はまた今から隣村
まで出掛けねばならないと言うことなのだ。」
ヴィクトリア「時間ができれば、是非うちで盛大にお茶会など、
催したいと思ってますの。そのお客人達が、まだ滞
在なさってればの話しですけど・・・。」
オスカー「大丈夫ですよ。まだ傷の方は、そう直ぐにはよくなら
ないだろうし。」
ヴィクトリア「そんなに大怪我をなさってたんですか?」
マルガリーテ「ええ。だけど驚く程回復が早くて、もう普通に歩く
くらいなら、平気なんだと聞きました。」
エドモン「ほう・・・」
ハンス「旦那様、そろそろ参りませんと・・・」
エドモン「ああ、そうだったな。(ヴィクトリアの方へ向いて。)で
は、行こうかね。」
ヴィクトリア「ええ。それでは皆さん、その節は是非いらして下さ
いね。」
エドモン、ヴィクトリア去る。ハンス、2人に続く。
村人達も其々続いて去る。
暗転。
――――― 第 6 場 ―――――
紗幕開く。と、舞台はシャンドール邸の居間。
ソファーに深々と身を沈め、長足をテーブルの
上へ無造作に投げ出したアンソニー。
隣にはエドワード、ゆったりと座る。
ルイは2人の側へ立っている。
アンソニー「それにしても、こんな無意味な時を過ごさなければ
ならないなんて・・・」
ルイ「(笑って。)俺は無意味だなんて、全然感じてないぜ。」
アンソニー「そりゃ、おまえは自由だからな。俺が好き勝手動け
るのは、日もどっぷりつかった真っ暗闇の中だけな
んて・・・。」
エドワード「仕方ないだろ?この屋敷の中だけでも、歩き回れる
んだ、感謝しろよ。」
アンソニー「(溜め息を吐く。)OK・・・」
ルイ「俺が色々と村の様子を教えてやっただろ?何時もみたい
に勘を働かせて想像しろよ。(笑う。)」
アンソニー「馬鹿!」
ルイ「(エドワードに向いて。)どうして外へ出ないんだ?」
エドワード「俺は人と交わるのは苦手だ・・・。」
ルイ「そんなこと言ってると老けるぜ。(笑う。)」
エドワード「好き勝手言ってろよ。俺はおまえとは違うんだ。」
アンソニー「俺のことなら気にしなくていいんだぜ。」
エドワード「馬鹿、本当に出たくないんだ・・・。行きたくなったら、
おまえに止められたって俺は行くさ。」
アンソニー「そうか。(微笑む。)ところで・・・2階の一番奥の部
屋だけは入るなって・・・」
エドワード「アンソニー、余計な好奇心を出して、この家の人間
の、機嫌を損ねるような真似だけはするなよ。」
ルイ「そうそう。近寄るなと言われている所には近寄らない・・・。
それで2週間を平穏無事に過ごして、この家ともおさらば
ってことさ。」
アンソニー「そうだな・・・」
エドワード「俺達がこれからも、何事もなく旅し続ける為には、少
しでも疑われるような行動は、慎むべきなんだ・・・。」
ルイ「(笑って。)一晩で大怪我が跡形もなく治って、元気になる
とか?」
エドワード「そう言うことだ・・・。ルイ、おまえも気を付けろよ。隣
村で騒ぎになりつつあるだろう・・・?人間が出来そう
にないことはするな。いいか?」
ルイ「了解!」
アンソニー「(笑って。)全くおまえは、何時も理路整然としている
よ。」
エドワード「アンソニー!冗談で言ってるんじゃないぜ。それで
なくても、ジェラールが後から俺達のことを、バラして
回る為に、二度と同じ所へは行けないと言うのに。」
アンソニー「分かってるよ。おまえの言ってることは何時も正しい
。おまえがいてくれて嬉しいよ。」
ルイ「俺もさ!(笑う。)」
エドワード「(呆れたように呟く。)・・・おまえ達は・・・」
アンソニー「(何かに気付いたように、テーブルの上から足を下
ろし、姿勢を正して座り直す。)誰か来る・・・」
ルイ「えー・・・?」
一時置いて、エリザベート、オードリー登場。
続いてマルガリーテ、ステラ、クレナ登場。
エリザベート「お加減は如何かしら?」
アンソニー「エリザベート。(立ち上がる。)もうご心配には及び
ません。ありがとう・・・。(微笑む。)」
女性達、憧れの眼差しでアンソニーを見詰める。
エリザベート「少し、ご一緒して宜しいかしら?」
エドワード「(小声でアンソニーに。)相変わらず宜しい勘で・・・」
アンソニー「(エドワードをチラッと見、直ぐにエリザベート達の方
へ向き直り、椅子を勧めるように。)どうぞ、マドモア
ゼル。僕達も丁度、退屈していた所ですよ。」
エドワード、立ち上がる。
ルイ「(クスクス笑って。)・・・僕?」
エドワード「ルイ!」
ルイ「(笑うのを止めて、きちんと立ち直す。)」
――――― “アンソニー”3へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
グーグル版“ワールド”、遅ればせながら始動させました^^;
脚本は変えようがありませんが、“余談”的なものは、また
こちらとは違った形にしようと思っていますので、合わせて
お楽しみ頂ければ嬉しいです♥
たまには覗きにいらしてみて下さいm(__)m
動画もあります(^^)v
http://ritorupain.blogspot.com/
どら。
http://www.geocities.jp/littlepine2005/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227
――――― 第 3 場 ―――――
紗幕開く。と、小高い丘の草むら。
(辺りは夕暮れ時の様子。)
チュー介、佇み静かに歌う。
“僕は何をしているんだろう・・・
こんなところで一人ぼっちに・・・
仲間もいない
味方もいない
大草原に一人放り出された
ちっぽけな僕・・・
誰も僕のことなど知らない・・・”
チュー介「父さん・・・」
チュー介、立ち尽くす。
その時、上手よりチュー吉、重そうに食料の
入った、買い物カゴを手に登場。
チュー吉「もう母さんは一体どれだけお使いを頼むんだよ・・・。
重いったらありゃしない・・・。よっ・・・。あれ・・・(チュー
介に気付く。)チュー介じゃないか。」
チュー介、チュー吉に気付くが、知らん顔して
下手へ行きかける。
チュー吉「おい!知らん顔して行くなよ!何してたんだよ、こん
なとこで。ひょっとして夕焼けを見てた?ここから見る
夕焼けって、綺麗だよなぁ・・・。僕も、この場所が大好
きなんだ!」
チュー介「・・・煩いんだよ・・・」
チュー吉「え?」
チュー介「煩いってんだよ!!僕は一人になりたいんだ!!」
チュー吉「何だよ!そんな言い方しなくてもいいだろ!折角、友
達になろうと思って・・・」
チュー介「友達なんていらないんだよ!!」
チュー吉「ああ、そうかい!!ふん!!何だよ!!そんな風に
突っ張った態度取ってると、その内学校で誰からも相
手にされなくなるぞ!!ふん!!ホントに・・・全く!!
」
チュー吉、下手方へ行きかけるが、何か
気になったように振り返る。
チュー吉「・・・おい・・・何でおまえ・・・そんな風に突っ張ってるん
だよ・・・」
チュー介「・・・突っ張ってなんか・・・いるもんか・・・」
音楽流れ、チュー介歌う。
“僕は突っ張ってる訳じゃない・・・
意気がってる訳でもない・・・
僕は僕なんだ
だから構うな
放っておいてくれ・・・”
チュー吉歌う。
“同じ仲間じゃないか
そんな風に壁を作って
他を寄せ付けない
そんな態度
放っとけない・・・”
チュー介歌う。
“勝手じゃないかそんなこと
僕がどうでも
関係ない・・・”
チュー吉「折角同じ学校に転校して来たんじゃないか。友達に
なろうよ!」
チュー介「友達・・・?ふざけるな!!」
チュー吉「ふざけてなんかないさ!だって折角知り合えたんじゃ
ないか。友達にならないと、勿体ないよ!」
チュー介「・・・勿体ない・・・?馬鹿じゃないか。」
チュー吉「馬鹿・・・?友達に向かって“馬鹿”って言ったら駄目
なんだぞ!!先生に教わらなかったのかい!?」
チュー介「・・・先生なんて知るもんか。」
チュー吉「知らない・・・って、学校の先生だよ!前の学校でも
いただろう?」
チュー介「・・・学校なんて行ったことない・・・」
チュー吉「・・・え?ホントに・・・?友達は・・・?」
チュー介「そんなのいるもんか!!」
チュー吉「じゃあ絶対、友達になろうよ!!」
チュー介「嫌だ!!」
チュー吉「そんなこと言わないでさ!折角、学校に来ることにな
ったんだから・・・。でも・・・如何して行き成り学校に・・・
?」
チュー介「・・・ばあちゃんが行けって言うから・・・」
チュー吉「ばあちゃん・・・?」
チュー介「・・・ばあちゃんが、僕ん家に来ることになって・・・」
チュー吉「ふうん・・・そうなんだ。君ん家は何処?」
チュー介「・・・学校の隣の赤い屋根・・・」
チュー吉「ジ―クん家!?」
チュー介「・・・ジ―ク・・・?」
チュー吉「うん!!僕ん家は、ジ―クん家の屋根裏なんだ!!
君は?」
チュー介「地下・・・」
チュー吉「同じ建物だなんて、近所じゃないか!!今まで全然
知らなかったなぁ。じゃあジ―クのこと、知ってる?」
チュー介「ジ―クって・・・」
チュー吉「とっても優しくって、毎日僕にビスケットを分けてくれ
るんだよ。」
チュー介「・・・ビスケット・・・?それ・・・何だよ・・・。」
チュー吉「ビスケットを知らないの!?」
チュー介「知らない・・・。」
チュー吉「ほら・・・これだよ・・・。(ポケットからひとかけのビスケ
ットを取り出し、チュー介へ差し出す。)」
チュー介「(ビスケットを受け取る。)」
チュー吉「食べてごらんよ!!とっても美味しいから!!」
チュー介「う・・・うん・・・(口へ放り込む。)」
チュー吉「ね!?美味しいだろ?」
チュー介「本当だ・・・。こんな美味しい食べ物があるなんて・・・」
チュー吉「だって、ジ―クは人間・・・」
チュー介「人間!?これ、人間の食べ物なの!?」
チュー吉「あ・・・うん。」
チュー介「こんなのいるもんか!!(手に残っていたビスケットを
放り投げ、口に残っていたビスケットを吐き出すように
。)」
チュー吉「ど・・・どうしたんだよ・・・。」
チュー介「僕、人間なんて大っ嫌いだ!!」
チュー吉「大っ嫌いって・・・ジ―クはすごくいい人間なんだよ。」
チュー介「人間に“いい奴”なんているもんか!!」
チュー吉「そんなことないよ!!」
音楽流れ、チュー介歌う。
“自分勝手に
好き放題生きる
恐ろしい生き物
それが人間” ※
チュー吉歌う。
“そんなことない人間だって
思い遣りに溢れて
僕達に優しく接する
食べ物を分けて
いつも気にかけてくれる
恐ろしい訳ない”
チュー介歌う。
“人間なんて 人間なんて
ただ恐ろしいだけ
人間なんて 人間なんて
みんながいなくなればいい!!”
チュー介「そしたら僕の父ちゃんも死なずに済んだんだ!!」
チュー吉「え・・・?」
チュー介「父ちゃんが人間に捕まって・・・弟や妹の面倒を見る
人がいなくなったから・・・だから・・・ばあちゃんが家へ
来た・・・!!」
チュー吉「お父さん・・・人間に捕まったの・・・?」
チュー介「・・・そうさ・・・」
チュー吉「ジ―クの家で・・・?」
チュー介「(頷く。)」
チュー吉「(少し考えるように。)・・・捜しに行こう!!」
チュー介「え・・・?」
チュー吉「ジ―クん家に捜しに行こうよ!!僕も一緒に行くから
さ!!」
チュー介「そんな・・・もう屹度、父ちゃんは・・・」
チュー吉「まだ生きてる!!ジ―クは僕達を殺したりしないよ!
!」
チュー介「・・・そんなこと・・・分かるもんか・・・」
チュー吉「分かるよ!!ジ―クはそんなことしない!!」
チュー介「父ちゃんを捕まえたのが・・・そのジ―クじゃないかも
知れないじゃないか・・・。」
チュー吉「でも行ってみようよ!!ちゃんと確かめもしないで、
疑うのはよくないだろ?」
チュー介「それは・・・」
音楽流れ、チュー吉歌う。
“行ってみよう
大切な者を捜しに
ほんの少しでも
望みがあるなら
それを見逃す手はないさ
だから行こう
危険があっても2人なら
屹度抜け出せる
どんなピンチも
ただの想像で
色々良くない思いに溢れて
下を向く
そんなの何の意味もないだろう
顔を上げるんだ!”
チュー介「チュー吉・・・」
チュー介が自分の名前を呼んだことに
少し驚いた面持ちで、でも嬉しそうに
チュー吉頷く。
“行けば分かるさ
何が真実か
今まで見えていなかった
気付かなかった大切なことも
屹度何もかもが見えてくる
だから行かないと
今この時を逃す手はないから!”
チュー介歌う。
“そうだね行こう
君の言う通り
もしかすると僕の思い違い・・・
一人勝手に下を向いて
前を見ないで勿体ない・・・
君がいるんだ
怖くはないさ
臆病を隠して突っ張ったって
屹度何も解決しない”
2人歌う。
“そうさだから行こう!!
2人手をつないで
まだ知らない未知の世界だけれど
屹度光は見えてくる筈!!”
チュー吉「行こう!!」
チュー介「うん!!」
2人、下手へ走り去る。 ※2
紗幕閉まる。
――――― 第 4 場 ―――――
紗幕前。
音楽流れ、大人ネズミが入ったカゴ、
上がる。
大人ネズミ、悲し気に歌う。
“こんな檻に閉じ込められた
惨めな俺・・・
自分の行きたいとこにも行けず
愛しい家族にも会えないなんて・・・
こんな生き地獄
いつまで続くんだろう
それならいっそ・・・”
大人ネズミ「(カゴの中にあったビスケットを、一口かじる。)食べ
るものには困らないが・・・こんなカゴの中で、死ぬま
で暮らすのか・・・」
その時、2人の人間の足音が近付く。
(“トントントン・・・”)
カークの声「ほら・・・ほら見てよ、兄ちゃん!!」
ジ―クの声「わあーっ!!可愛いネズミじゃないか!!」
カークの声「でしょ!?兄ちゃんが言ってた通り、ビスケットを食
べるんだ、このネズミ!」
ジ―クの声「へぇ・・・。こいつなのかなぁ・・・僕がいつも置いてた
ビスケットの欠片を食べてたの・・・。おい・・・おまえ
が、僕の友達かい・・・?」
――――― “チュー吉くんの君は友だち・・・”
3へつづく ―――――
※ “人間”と言うものを、人間でないものから見た時に、
どういったように見えるのか・・・私は人間なので・・・^^;
本当のところはこの表現が正解かどうか分かりません。
が、春公演作品でも、同じような表現の歌詞がある・・・
と言うことは、私自身が、こんな風に見えているんであろう
・・・と自分の中に、固定観念があるんでしょうね(^_^;)
※2、お気付きの通り“人”ではなく“匹”が正解です^^;
が、今回“も”敢えて人間と同じ数え方“人”で書かせて
頂きますm(__)m
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(おまけフォト^^;)
東京にいる弟が、帰って来た時に、必ず泊まるホテルの
決まった部屋があります(^.^)
これは今日、その弟の部屋へ、夕食までの時間潰しに
立ち寄った時に、“ボ~ッ”と見ていた風景です^^;
毎回同じ風景なのですが、(同じ部屋なので当たり前で
すよね^^;)時間帯によって、見え方の違う風景、夜景
が、とっても綺麗だな・・・と♥飛行機の発着が、遠くに
見えて、飛行機好きの私には“堪らない”風景です(^^)
http://www.geocities.jp/littlepine2005/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227
今回の作品は、趣味的に書いたもの・・・と言うことで、
実は、自分好みの配役が付いています^^;
それ+登場人物の人数が、とっても多いのです(-_-;)
なので・・・今回は、〈登場人物〉の写真の掲載は致しま
せん(^_^;)あしからず、ご了承下さい<(_ _)>
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
〈主な登場人物〉
アンソニー ・・・ 吸血鬼ドラキュラ伯爵。本編の主人公。
リーザ ・・・ シャンドール家の前妻の娘。
エドワード ・・・ お供として、アンソニーに付いている。
ルイ ・・・ アンソニー、エドワードと一緒に旅している。
ミシェル ・・・ シャンドール家の後妻と主人の息子。
ジェラール ・・・ 吸血鬼達を、執拗に追う男。老医者。
ミハエル ・・・ ジェラールの助手。
エリザベート ・・・ 後妻の娘。長女。
その他
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
――――― 第 1 場 ―――――
音楽で幕が上がる。と、木々が茂り、小鳥達の
囀り、木漏れ日溢れる、見るからに爽やかな
奥深い森の風景。
若い男女が左右より登場、楽し気に手を取り合
いながら、歌い踊る。
男女が左右へ去ると、中央より長髪のアンソニー
ゆっくり登場。森の中を楽しむように踊る。
その面影は、黒い髪に透き通るような白い肌を
持ち、何故か赤い唇だけが一際目を引く。
その容姿は俗世の者と思われないよう。
と、その時、数発の銃声が辺りに響き渡り、一瞬
顔を強張らせたアンソニー、誰のものとも分から
ない“当たったぞー!!”の叫び声を残して、森
の奥へと消える。
紗幕閉まる。
――――― 第 2 場 ―――――
紗幕前。
上手より、慌てた感じのミハエル、ルドルフ走り
登場。続いてジェラール、銃を片手に幾分落ち
着いて登場。
ミハエル「一体何処へ行ったんだ!?」
ルドルフ「確かに、弾が当りましたよね!!」
ミハエル「当たり前だ!!あれだけ血痕が残ってるんだ、可なり
の傷を負ってるに違いない!!」
ジェラール「あいつらを、普通の人間と同じように考えるんじゃな
いぞ。」
ミハエル「先生・・・」
ジェラール「多分、あのくらいの傷、明日になれば跡形もなく、治
っている筈だ。」
ルドルフ「(笑う。)そんな・・・」
ミハエル「じゃあ一体・・・?」
ジェラール「本当にあいつらを殺そうとするなら、銀の杭を、その
胸に深く・・・深く突き刺すしかない。」
ミハエル「・・・銀の杭を・・・?」
ジェラール「そして、その杭を突き刺すのは・・・この私だ!!」
ルドルフ「でも・・・何で先生はそんなに・・・」
ジェラール「あいつとは、100年来の因縁の間柄だ・・・。」
ルドルフ「100年って・・・俺がまだ生まれるずっと前から・・・(
ハッとして。)あれ・・・?先生だって生まれていない・・・
」
ミハエル「そんなに昔から?けど先生、さっき言ってた、普通の
人間と思うだなんて一体・・・」
その時、数羽の鳥の飛び立つ音が
響き渡る。
ルドルフ「(思わず身を屈めて。)わぁっ!!コウモリだ!!」
ジェラール「(顔を強張らせて、空を見上げる。)また捜し直しだ
・・・。今日は・・・満月だな・・・。さぁ、行くぞ!!」
ジェラール、下手へ去る。ミハエル、ルドルフ、
ジェラールに続く。
――――― 第 3 場 ―――――
楽し気な音楽が流れる中、紗幕開く。
舞台は屋敷の中。手に其々洋服を持った
シャンドール家の娘達。長女エリザベート、
次女で双子のステラ、クレナ姉妹、陽気に
歌い踊る。
“見て見て何て素敵な色かしら
見て見て何て可愛い仕上がりかしら
屹度みんなが目を奪われるわ
屹度みんなが私に注目する
誰よりも一番綺麗で
誰よりも一番素晴らしい
見て頂戴
今度のお茶会では私が主役”
ソファーに腰を下ろして、3人の歌を聞いて
いた、3人の兄クリス、立ち上がる。
クリス「(首を傾げて。)そんなに一番がいいのかね。」
エリザベート「お兄様には分からなくってよ!!」
クリス「しかし、こんな小さな村の中じゃ、一番だろうが二番だろ
うが、たいして変わりはないと思うがね。(笑う。)」
クレナ「(溜め息を吐いて。)これだから男って・・・」
エリザベート「(ドレスを胸に抱いて。)何時もみんなの目を惹く
私は、その内国中の知れるところとなって、ある日
その噂を聞いた素敵な王子様が、私を尋ねて来て
くれるのよ!」
クリス「(笑う。)本気にそんなことを考えているのかい?」
エリザベート意地悪ね!」
その時、2階より末弟ミシェル、本を片手に
ゆっくり下りて来る。
ステラ「(ミシェルに気付いて。)あらミシェル、また読書してたの
?」
ミシェル「うん・・・」
クレナ「偶には私達と一緒に、お茶でもどう?」
エリザベート「お兄様は偶には読書でもなさったら?」
クリス「煩いな!(ミシェルに近寄って。)おまえ、この頃はあの
部屋へ行ってないだろうな?」
ステラ「・・・あの部屋って・・・?」
エリザベート「・・・まさか・・・黒い扉の・・・!?ミシェル、あなた
・・・」
ミシェル「行ってないよ・・・」
クリス「ならいいんだ。ちょっと聞いてみただけさ。」
ミシェル、上手へ去る。4人、暫くその方を
見ている。
クレナ「何だって、あの子・・・」
クリス「よく知らないが、以前、偶々あの部屋から出て来たミシェ
ルを見かけてね・・・。どうもみんなに隠れて、ちょくちょく
顔を出してたようなんだ。」
エリザベート「それで!?」
クリス「勿論、それからは決して近寄るなと、念押しはしておい
たんだが・・・」
ステラ「ならいいじゃない。本人も行ってないって言ってたんだし
・・・」
エリザベート「あなたって呑気でいいわね。お母様に知れたら事
よ!」
ステラ「私は来週のお茶会のことで、頭が一杯なの!」
その時、ドアの呼び鈴の音。
執事のヨハン、奥より登場し扉の方へ。
何時の間にか奥よりメイド、クララ登場、
娘達のドレスを仕舞ったり、用事をしている。
ヨハン「はい、どなたで?(扉を開ける。一時置いて。)あの・・・、
しかし・・・」
ルイの声「頼む!!怪我人がいるんだ!!一晩だけ・・・一晩
だけ休ませてくれれば、明日には出て行く!!」
ヨハン「・・・事情は分かりますが・・・何分、ご主人様はご旅行中
でして・・・」
ルイの声「頼む!!」
エリザベート、ヨハンの様子に気付いて
近寄る。
エリザベート「ヨハン、どなた?」
ヨハン「あ・・・お嬢様、それが・・・」
エリザベート「(扉の外を覗いて。)どちら様ですか?」
ルイの声「あ・・・突然すまない。旅行中に友人が怪我をして・・・
一晩だけでいいんだ、宿を!!」
エリザベート「そう言うことならどうぞ。お友達の方も。」
ルイの声「ありがとう!!」
ヨハン「お嬢様!!」
エリザベート「一晩くらい、いいじゃない。」
ルイ登場。続いてエドワードに抱かえられ、
ぐったりとしたアンソニー登場。
アンソニー「・・・すまない・・・」
エリザベート、クレナ、ステラ、思わずぼうっと
アンソニーに見惚れる。
ルイ「あの・・・何処へ・・」
エリザベート「(ハッとして。)あ・・・お2階へどうぞ!!お友達の
方、大分お悪いようですし、一晩だけと言わず、傷
が治るまで養生していらして下さいな。」
ヨハン「お嬢様!!」
エリザベート「お父様がお帰りになったら、私からお話しするわ!
!」
エドワード「いや・・・今晩だけで・・・」
エリザベート「いいえ。お見かけしたところ、一晩やそこらで良く
なるような傷とは思われませんし、そんな怪我人を
放り出すような真似はできませんわ。」
エドワードとルイ、そっと顔を見合わせる。
エドワード「・・・それじゃあ・・・」
エリザベート「(思わず嬉しそうに。)よかった!!ロベール!!」
奥より使用人ロベール登場。
ロベール「(エリザベートに近寄って。)はい!」
エリザベート「大切なお客様よ!2階の一番上等の客間に、ご
案内してさしあげて!!」
ロベール「分かりました。(エドワード達の方へ向いて。)こちらへ
どうぞ。」
エドワード、ルイ、アンソニー、ロベールに
付いて2階の方へ。
エリザベート「(思い出したように。)あ・・・!!先生をお呼びしま
しょうか?」
エドワード「いや!!・・・結構だ・・・」
エリザベート「(頷く。)それと!!2階の一番奥の・・・突き当たり
に見える黒い扉の部屋だけは、決して開けないで
下さい。(微笑んで。)後は、何処の部屋へ入られて
も構いませんわ。」
3人、ロベールに付いて、2階へ上がる。
ステラ「(4人が出て行くのを見計らって、エリザベートに駆け寄
る。)お姉様!!あの黒髪の怪我人、素敵なお方ね!!
(溜め息を吐く。)」
クレナ「本当ね!!この世の者とは思われない・・・。見た!?
あの透き通るような肌!!」
エリザベート「いいこと!?抜け駆けはなしよ!!」
クリス「(肩を窄めて。)やれやれ・・・」
暗転。
――――― 第 4 場 ―――――
音楽でフェード・インする。と、アンソニー達が
通された客間。
アンソニー、ベットの上に横になっている。
エドワード、窓を開けると、もう暗くなっている
空には、満月が昇っているのが、窓の向こう
に見える。
エドワード「全く、今日のアンソニーは、彼には珍しく不用心だっ
たな・・・。」
ルイ「あんなに沢山、無駄な血を流してしまって勿体ない。(笑う
。)」
エドワード「笑いごとじゃないだろ?」
ルイ「それにしても、本当にしつこい奴らだな。何でジェラール
は、あんなにも俺達のことを?」
エドワード「・・・さぁ・・・」
ルイ「俺が君達の仲間に入った時には、もう何時も後ろにはあ
いつがいた・・・」
アンソニー「どうでもいいんじゃないか、そんなことは・・・」
エドワード「アンソニー!!」
アンソニー、ベットの上へ起き上がる。
ルイ「アンソニー!!」
エドワード、ルイ、アンソニーの側へ近寄る。
アンソニー「奴らが何処の誰で、何故俺達を執拗に追い回すの
か・・・別にどうでもいいことさ・・・。」
エドワード「・・・アンソニー・・・」
ルイ「そうだな。(笑う。)」
エドワード「ところで、もう体はいいのか?」
アンソニー「ああ。(ベットから立ち上がって、両腕を高く上げ、
元気だと言う風に見せる。)この通り!!もう今直ぐ
にでも立てるぞ。」
エドワード「(笑う。)そうか。だが、そう言う訳にもいかなくてな。」
アンソニー「ああ・・・俺の傷が治るまで、客人としてこの屋敷に
留まることにしたんだっけ・・・?」
ルイ「その通り!よく分かったな。」
アンソニー「朦朧としながらも、気は張ってたからね・・・。傷の酷
さも知られてしまったことだし、2週間くらいは大人し
くしてなけりゃいけないかもな?」
エドワード「そうだな・・・。大分逃げて来たから、そのくらいなら
平気だろう。だが、くれぐれも気を付けてくれよ。さっ
きまで死にそうな顔をしてた奴が、もうピンピンしてる
と分かったら、それこそ大騒ぎだ。」
アンソニー「(笑う。)OK。だが、俺にはちょっとばかり辛い忠告
だな。」
――――― “アンソニー”2へつづく ―――――
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(どら余談^^;)
そんなに直ぐに治るんなら、ちょっと木陰でも休んでいれば
いいのに・・・などと、色々と思うところがおありでしょうが・・・
“物語”の不思議・・・と言うことで、あまり深く考えずにお楽し
み頂ければいいかな・・・と思います(^_^;)
「入るべからず・・・」と言ったお話しも、昔から色んなお話し
に登場する、ありがちなキーワードとしてお読み下さい^^;
http://www.geocities.jp/littlepine2005/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227
――――― 第 14 場 ―――――
紗幕開く。
フェード・インする。と、舞台は小鳥達が囀り、
朝靄が立ちこめ、木漏れ日溢れる森の風景。
爽やかな朝の空気が漂う。
中央に佇むルグラン伯。側にルネ立つ。
ルネ「(心配そうに。)ルグラン様・・・。昨日から、大丈夫だから
安心しろと仰っていましたが・・・如何見たところで、剣の腕
では・・・あの・・・勝ち目はないのでは・・・。今のうちに謝っ
て許してもらった方が・・・」
ルグラン「煩い!!誰があんな野郎に頭を下げられると言うの
だ!!」
ルネ「でも・・・」
ルグラン「確かに、剣の腕だけでは悔しいが、おまえの言う通り
・・・今の私に勝ち目はあるまい・・・。だが・・・(ニヤリ
と笑う。)」
ルネ「ルグラン様・・・?」
ルグラン「多少、良心が痛まぬでもないが・・・」
ルネ「一体・・・」
ルグラン「(服の内ポケットから銃を取り出し、ルネの方へ差し出
す。)」
ルネ「こ・・・これは・・・(呆然と銃を見詰める。)」
ルグラン「・・・おまえも私が死ねば・・・困るだろう?」
ルネ「それは・・・」
ルグラン「私がもし、奴の刃の犠牲になりかけた時には、この銃
で躊躇わず、奴の胸を貫くのだ・・・!!」
ルネ「ま・・・まさか私に、これでフランチェスコ殿を撃て・・・と・・・
?」
ルグラン「その通りだ・・・。」
ルネ「しかし・・・」
ルグラン「愚図愚図言わずに早くし仕舞え!!(ルネの手に、銃
を握らす。)」
ルネ「(受け取った銃を見て。)・・・でも・・・」
ルグラン「やるしかないのだ、ルネ!!こちらがやらねば、やら
れるまで!!ゲームではない、真剣勝負の決闘に、
相子などないのだぞ!!」
ルネ「・・・(ルグランを見詰め、頷く。)・・・分かりました・・・。(銃
をポケットへ仕舞う。)」
ルグラン「やるか・・・やられるか・・・二者択一・・・。(ルネの肩へ
手を掛ける。)躊躇うな・・・。いいな!!」
ルネ「はい・・・!!その時は・・・」
そこへ上手よりフランチェスコ、ゆっくり登場。
ヴィクトール続く。
フランチェスコ立ち止まり、ルグラン伯を見据える。
ルグラン伯、視線に気付き、振り返りフランチェスコ
を認める。
ルグラン「やぁ、おはよう・・・。余りに遅いので、逃げ出したかと
思ったよ・・・。(笑う。)」
ヴィクトール「時間は丁度の筈だ・・・。」
ルグラン「さぁ、とっとと始めましょう。今日は午後からパンテー
ン公爵夫人のサロンに招かれているのでね・・・。」
ヴィクトール「丸でもう決着が付いているような仰りようですね
・・・。」
ルグラン「(笑って。)そう聞こえたのなら失礼・・・。」
ヴィクトール「ルグラン伯は、余程の必殺技か何かを取得され
たようだ。(笑う。)」
ルグラン「余計なお喋りはそれまでだ。さぁ、始めよう!!」
ヴィクトール「(フランチェスコに。)手加減せずに、さっさとかた
をつけて仕舞え。(フランチェスコの肩に手を掛け
る。)」
フランチェスコ、上着を脱いでヴィクトールに
手渡し、ルグラン伯を見据えたまま、ゆっくりと
前へ進み出る。
ルグラン「(笑いながら。)如何した。臆病神に舌を引っこ抜かれ
たか・・・?」
ヴィクトール「フランチェスコ・・・?」
フランチェスコ「おまえのような、人を人とも思わぬ身分を鼻に
かけた低俗な奴に、返事する舌は持ち合わせて
いないだけだ。」
ルグラン「(顔を強張らせて。)・・・何だと!?」
ヴィクトール「(2人の間に立ち、2人の顔を交互に見る。)ルール
はなし。時間はどちらか一方がギブアップするか・・・
死ぬまで無制限・・・。」
フランチェスコ、ルグラン伯、睨み合う。
ヴィクトール「(胸ポケットから、白いハンカチを取り出し掲げる。
ひと呼吸置いて。)始めろ!!(ハンカチを振り下
ろす。)」
緊迫した音楽が流れる。
ルグラン、剣を抜いてフランチェスコの方へ
向って構える。フランチェスコ、喧嘩の対戦
のように身構える。
2人、其々お互いを牽制しながら、ゆっくり
立ち位置逆に。
ルグラン「やあっ!!(剣を振り下ろす。)」
フランチェスコ、ルグランの剣を素早く
かわし、ルグランの腕を掴み組む。
ルグランが剣を振り回してかかって行く
のに対し、フランチェスコは剣を持った
まま、鞘から抜こうとせず、喧嘩の組み手
でかかろうとする。
ヴィクトール「フランチェスコ!!何してる!!早く、剣を抜け!
!」
フランチェスコ、その声に思わず剣に手を
かけるが、一瞬躊躇う。と、その一瞬を
突いて、ルグラン、フランチェスコに向かって
剣を振り下ろす。
音楽止まり、一瞬、舞台上は全て静止し、一枚
の絵のよう。フランチェスコ、顔を強張らせ、剣
を落とす。
その時、上手よりジェシカ走り登場。
ジェシカ「フランチェスコ!!」
フランチェスコ、その声にゆっくりジェシカ
を見、微笑んで倒れる。
ジェシカ「フランチェスコ!!(フランチェスコに駆け寄り、その
胸に抱き起こす。)」
ヴィクトール「(呆然と。)フランチェスコ・・・」
ジェシカ「(涙が溢れる。)フランチェスコ・・・。確りして・・・。」
フランチェスコ「(溜め息を吐いて。)・・・おまえの・・・お陰で・・・
蛮人にならずに・・・済んだ・・・(ジェシカを見詰め
る。)」
ジェシカ「フランチェスコ・・・(泣く。)」
フランチェスコ「(手を差し伸べ、ジェシカの頬に触れる。)泣くな
・・・おまえには・・・笑顔が一番・・・相応しい・・・。
また・・・会お・・・う・・・(亡くなる。)」
ジェシカ「・・・フランチェスコ・・・」
ルグラン「・・・やった・・・やった!!(大声で笑う。)遂にやった
ぞ!!私だけの力で、遂にあいつを倒した!!遂に
勝ったんだ!!(笑う。)」
ジェシカ「・・・(フランチェスコの頬を、そっと撫でる。)・・・勝った
・・・?誰が・・・勝ったと認めるの・・・?誰が勝ったと
認めるの!?(ルグランに向かって叫ぶ。)」
ルグラン、ジェシカの叫び声に、呆然と
ジェシカを見詰める。
ジェシカ「たとえ勝ったと認められても・・・勝ったから如何だと
言うの!?そのことが、どれ程大切なことなの・・・!?
(涙を堪えるように。)何故・・・人は剣を持つの・・・?
決して・・・剣は・・・幸せを運んではこない・・・。なのに
・・・何故・・・人々は・・・お互いを・・・傷付ける為に・・・
こんなもの・・・(フランチェスコの落とした剣を手に取り、
鞘から抜き、ルグランの方へ指し示す。)この剣が運ん
できたものは一体何!?あなたにとっての幸せ!?
優越感!?満足感!?充実感!?(剣を置く。)何故
・・・フランチェスコは・・・そんなつまらないことの為に
・・・命を落とさなければならなかったのよ・・・。あなた
は二度とフランチェスコに勝てない!!フランチェスコ
・・・(再びそっとフランチェスコの頬を撫でる。)・・・剣
を抜かなかったあなたは・・・勇気ある・・・本当の騎士
だったわ・・・。最後まで・・・。(フランチェスコに口付け
る。)」
ヴィクトール「フランチェスコー!!(叫ぶ。)」
フランチェスコの名を叫ぶヴィクトール。
呆然と佇むルグラン伯。
愛しそうにフランチェスコを何時までも
その胸に抱き締めるジェシカ。
音楽、盛り上がって。 ※
――――― 幕 ―――――
※ この後に、某歌劇団的にスモーク流れる中、
フランチェスコ、セリ上がりジェシカとデュエットダンス
・・・などと言った場面を、付け足そうと思っていました
が・・・^^;敢えて、ここで終わりにしたいと思います。
続きは好きにご想像してお楽しみ下さい♥
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
さて、それではここで次回掲載作品の紹介をしておきたい
と思います(^^)v
次回は、とっても珍しいのですが、まだ舞台脚本を書かせ
てもらう以前に、趣味的に書いていた作品から1作・・・♥
題材的にはバンパイア物・・・と言うことで、何度かご紹介
した作品の中にもありましたが、今回の作品は、“より”
らしい作品で、尤も某歌劇団に影響を受けた、よって、
登場人物も矢鱈と多い・・・、でも“私ワールド”満杯の・・・
一番シンプルで分かりやすいお話しではないかな・・・と、
思います^^;
それでは、次回“アンソニー”お楽しみに・・・♥
読み直してみて・・・登場人物の多さに、誰が誰だか分か
らなくなることが度々ありました・・・(^_^;)
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