※マルミヤストア弥生店(大分県佐伯市) 出所:googlemapより
1月9日,大分県を中心に出店する食品スーパーのマルミヤストアと山口県最大の食品スーパーの丸久は,7月1日に経営統合すると発表した。持ち株会社「西日本リテール・パートナーズ」を山口県防府市に設立し,両社がその傘下に入る。持ち株会社の社長には丸久社長の田中康男氏,副社長にマルミヤ社長の池辺恭行氏が就任する。
経営統合によって店舗数は合わせて156店,売上高は1200億円,経常利益は43億円となる見込み。地域になじんだ看板を残すために持ち株会社形式を採用し,緩やかな連合を組織する。体力勝負の不毛な戦いを避け,地方スーパーで連合を作り,協調しながら,生き残りを図る。
九州の流通業界には,「弱々連合なので影響はない」という見方もある。だが,丸久もマルミヤストアも広島の有力スーパーイズミの資本が入っていることから,マルミヤストアと丸久の経営統合をイズミのM&A戦略の一つと見ると,九州の流通業界にとっては無視できない重大な出来事と言えよう。
◆丸久
丸久は, 「マルキュウ」や「アルク」など6つのスーパーを展開する山口県最大の食品スーパーで1954年創業。山口県のほか島根,広島,福岡の各県で合計94店舗を出店。2015年2月期の連結業績予想は売上高874億円,経常利益は39億円。
1993年前後から業績が落ち込み,一時は売り上げが400億円にまで縮小した。だが,社員の整理をすることなく社内改革を実行。1998年に食品スーパー「アルク」を出店し,そのモデル店舗を積極出店したこと,オール日本スーパーマーケット協会(ASl)を通じた社員教育に注力したことが奏功し立て直し成功,山口県内でトップシェアの食品スーパーとなっている。
経常利益100億円,そのための年商3000億円は生き残りのために必要という考え方で,経営統合の相手を探していた。今回の経営統合により,業績への影響を抑えつつ,店舗のスクラップ&ビルドを進めることができるようになり,マルミヤストア側から出店や開発の知恵を得たいという。
「丸久」は,去年10月に山口県東部で展開する「中央フード」を経営統合しており,今後は四国や九州など西日本全域に店舗網を拡大して,仕入れコストの削減などで競争力を高めたいとしている。
◆マルミヤ
マルミヤストアは,1972年に大分県佐伯市に第1号店を出店以来,大分を中心に宮崎,熊本,福岡に食品スーパー41店を出店する。1996年に福岡証券取引所に上場。2015年2月期の連結業績予想は375億4400万円,経常利益は3億9500万円。
大分県を中心に宮崎県,熊本県,福岡県に食品スーパーを41店舗展開している。九州はディスカウントストアやドラッグストアとの競争が激しいが,その中でマルミヤストアは青果業出身で生鮮に強みがあるが,惣菜にまだ伸びしろが見込める。今回の経営統合によって丸久から惣菜のノウハウを得たいとする。
参考資料:「激流」2015年3月号p69~p71
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┃★┃ 広島の有力スーパー「イズミ」,熊本の地場スーパー「広栄」を買収
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広島を拠点に,中国地方や北部九州で「ゆめタウン」など100店舗以上を展開するイズミ http://www.izumi.co.jp/ は,熊本市内でスーパー「エース」など4店舗を運営する広栄(熊本市)の全株を取得,子会社化した。
イズミは,大型施設「ゆめタウ ン」やスーパー「ゆめマート」を熊本県内に相次いで出店している。2012年には熊本市のスーパー「西紅」を買収している。また,今春,九州の中堅 スーパー、スーパー大栄(北九州市)と資本提携を結び,筆頭株主となっている。
*phote 「Big the Big エース城山店」 (google map ストリートビュー)
「ゆめモール柳川」,29店舗が出店
※ http://www.izumi.co.jp/corp/news_release/pdf/2014/yanagawaopen.pdf
イズミ(広島市 102店舗) http://www.izumi.co.jp/ は,昨年9月,福岡県柳川市三橋町蒲船津地内34街区29画地にショッピングモール「ゆめモール柳川」を出店している。
約4万8千平方メートルの敷地に、建物7棟(延べ床面積約1万6千平方メートル)と駐車場(811台分)を設置。イズミが運営する食品スーパー「ゆめ マート」(延べ床面積約8500平方メートル)を核店舗に、家電量販店やカジュアル衣料品店、書籍、靴、喫茶、レストラン、ドラッグストアなど計29店舗 が出店する。
ゆめモール柳川は、西鉄柳川駅東側の区画整理地内に位置する商業ゾーンの中心施設。商圏人口 約78,000人 世帯数 約26,000世帯(5km圏内) と周辺5キロ圏内からの集客を見込んでいる。従業員420人のうち360人を地元採用。
◆イズミ 企業概要
本 社 所 在 地: 広島市東区二葉の里3丁目3番1号
資 本 金:196億1,385万円
設 立:1961年10月27日
従 業 員 数:正社員2,475名
パートタイマー:4,568名(1日8時間換算) 〔2013.2.28現在〕
店 舗 数: 102店舗(エクセル単独店舗14店舗含む)
店 舗 地 域 広島県、岡山県、山口県、島根県、福岡県、佐賀県、大分県、長崎県、熊本県、兵庫県、香川県、徳島県 他
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月刊激流 2015年 03 月号 [雑誌] | |
特集 オムニチャネル元年 ■早くも見えてきた最終勝者の条件 セブン&アイHD ・グループの総力を挙げた「小売りの最終形」が登場 ローソン ・協業先と店舗の融合で品揃えと受け渡しを強化 良品計画 ・顧客時間と向き合い「無印良品」の価値を高める キタムラ ・縮小市場の需要を掘り起こし,専門知識で店舗に呼び込む 丸井グループ ・パンプスのニーズをネットに集め,ものづくりの新ステージに到達 パルコ ・ウェブ接客の統合でショップ店員の創意工夫を引き出す イオン ・コト・モノ・ネット融合の体験重視で集客力を高める ユニーグループHD ・GMSの資産を生かし商品開発,販売の在り方を変える 三越伊勢丹HD ・最先端ファッションとボリュームゾーンの両輪を追求 松屋銀座 ・tabモールの品揃えを百貨店の接客力で売り込む Tポイント・ジャパン ・巨大プラットフォームで挑むO2Oマーケティング戦略 楽天 ・Rポイントカードで生み出すネットとリアルの相乗効果 特別企画 海外小売業のEC最新戦略 ■ 中国 O2O参戦企業が相次ぎオムニチャネル前夜の様相 ■ 米国 ウォルマートが挑む食品ピックアップの次世代モデル 激流レポート ・オムニチャネルにも影響か,水面下で進む特商法の改定 バイヤーズ・アイ 【 エース(北野エース)】―― 調味料 ―― 商品事業部 次長 小野 健 ・地域の食文化に密着した品揃えで,商品の魅力を打ち出す 話題店舗訪問 【ドレスエブリ (ウェディングドレス販売)】 ・業界の慣習を打ち破るセル専門のドレスショップ どうなった?話題の店舗その後 【フライングタイガーコペンハーゲン 表参道店】 ・人気は高いが品質はそれなりの不安を抱える ドラッグストア最前線レポート 【クスリのアオキ】 ・北関東,東海近畿目標未達に怒涛の安売り戦略を展開 流通トピックス ・本業も住宅も不振のヤマダ電機苦肉のオムニ戦略 ・業種の垣根崩壊を象徴する食を巡る「業際の戦い」 ・「西日本リテール・パートナーズ」大連合につながる大手の影 ・HD化不発,トップ交代で描くユニーグループの未来図 特別レポート ・企業経営の在り方を問い直す人手不足の深刻化 |
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