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いま,島尾敏雄の『死の棘』(1977年),『「死の棘」日記』と梯(かけはし)久美子著『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』の3冊にはまっています。愛読の理由は,アガサクリスティ顔負けの,どんでん返しの連続にあります。
島尾敏雄の小説『死の棘』(1977年)は,日本文学大賞、読売文学賞、芸術選奨を受賞の私小説です。1990年には,松坂慶子,岸部一徳主演で映画化されています。"夫婦の絆とは何か,愛とは何かを追求した凄絶な人間記録”と高く評価されてきました。このうたい文句につられ,いささか危なっかし我が身を律する手本とすべく,『死の棘』(1977年),『「死の棘」日記』を読み始めました。
それが,昨年秋,梯(かけはし)久美子著が,『狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ』で,実は死の棘のストーリーは,”本を売るための夫婦間での作り事だった”,作家の島尾敏雄は,精神に異常をきたしていた,さらには仮面夫婦であったとの衝撃的な事実を綿密な資料分析と当事者へのインタビューに基づき,その内幕を明らか(暴き)にしています。
さび付き気味の我が頭では,『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』に書かれていること,そして事の真相とその意味するところを容易に理解出来ず,3冊の本を読み返しているところです。
(この稿,続く)
>>>夫婦とは,愛とは-『死の棘』島尾敏雄からの問いかけ 掲載記事一覧
・夫婦とは,愛とは何か-『死の棘』島尾敏雄からの問いかけ・2 (2017-5-12)
・夫婦とは,愛とは-『死の棘』島尾敏雄からの問いかけ・1 (2017-5-8)
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>>2016年10月~11月 島尾敏雄没後30年,「幻の日記」初公開 かごしま近代文学館
昨年11月で没後30年を迎えた作家・島尾敏雄(1917〜86年)の“幻の日記”を紹介する企画展が,2016年10月~11月に鹿児島市のかごしま近代文学館で開かれました。2年かけて修復を終えた7冊を初公開しました。その日記には,代表作「死の棘」で描いた,敏雄の女性問題など夫婦の葛藤へ至るまでの日々が記されています。
記録魔だった島尾は生涯日記をつけ,小説の題材にした。7冊は1952(昭和27)〜1954年,神戸から上京し執筆に励んでいた頃のもの。妻ミホさん(故人)が廃棄したとされていましたが,2010年に奄美市の自宅で遺族らが見つけたということです。
◆かごしま近代文学館・メルヘン館
梅崎春生,海音寺潮五郎,林芙美子,椋鳩十,島尾敏雄,向田邦子など,鹿児島にゆかりのある28人の作家を紹介する近代文学館と童話の主人公の人形を展示するメルヘン館を併設する。
住所:〒892-0853 鹿児島市城山町5-1 TEL.099-226-7771 FAX.099-227-2653
◆開館時間 9:30~18:00(入館は17:30まで) ◆休館日:火曜日(祝日の場合は翌日),12月29日~翌年1月1日
◆入館料 2館共通券 大人500円,小・中学生250円/単独券 大人300円
◆アクセス-鹿児島中央駅から
・市電:2系統鹿児島駅行き(約7分)→「朝日通」下車、徒歩7分
・東口バス乗り場 東4~6番より天文館、市役所方面行き(約9分)
→「金生町」下車、徒歩7分
・東口乗り場 東9番よりカゴシマシティビュー(約11分)
→「西郷銅像前」下車、徒歩3分
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死の棘 (新潮文庫) | |
思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?―ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。 |
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新潮社 |
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