>>>「革新・改革」で限界論を跳ね返す セブンイレブン- 「フィルムの巨人」コダック倒産の教訓
経営危機に陥っていたイーストマン・コダックは1月19日,米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨークの連邦地裁に申請したと発表した。約130年の歴史を誇るコダックは写真フィルムで一時代を築いた米国を代表する名門企業だが,デジタルカメラの普及など市場の変化への対応が遅れ,業績低迷から抜け出せなかった。
1880年創業のコダックは,1935年に35ミリフィルム「コダクローム」を発売。「フィルムの巨人」として長く世界に君臨した。75年には世界初のデジタルカメラを開発。だが,高収益のフィルム事業にこだわり,急速に普及したデジタルカメラへの対応で,ライバルの日本メーカーなどに大きく出遅れた。
▼問題の本質を追求し「革新・革新」を図る
富士フイルムホールディングス(HD)が事業構造改革を加速している。写真用フィルムでライバルだった米イーストマン・コダックは倒産と,明暗を分けている。富士フイルムは写真フィルムで00年には利益の3分の2を稼いでいた。だが,同年を境に年率25%減った。そこで自社の技術やノウハウの蓄積を生かし,予防・診断・治療という医療の3領域を網羅した『総合ヘルスケア企業』への構造転換を図った。
業績不振に直面し,主力の「フィルム事業」に固執することなく,問題の本質を追究し事業構造改革にまで踏み込んだ事で,コダックの二の舞を踏むことがなかった。
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いま,流通業界ではセブン-イレブンは一馬身抜け出し,ローソン,ファミリーマートとの差を確実に広げたと認識されている。同社独走の原動力は,富士フイルムと同様な「成功体験からの脱却」と,自社の強みを生かしての「革新」の経営にある。
セブンイレブン一号店の誕生は,1974年(昭和49年)。「開いてて良かった」 の長時間営業と特定地域への濃密なドミナント出店は,売り場面積35坪の小型店の弱さを補い,様々な革新を生み出してきた。かつてコンビニ業界が浴びた批判に,コンビニは売り場もバックヤードも狭くてモノが置けない。だから配送が多頻度になり,商品も歯ブラシ一本からと小分けで配送。そのためガソリンのムダと環境汚染を生みだしているというものがあった。
その批判の矢面に立ったトップ企業のセブンイレブンは,対症療法ではなく問題の本質を追究し,取り組んだのが共同配送。メーカー間の壁を越えて同じ商品ならば一緒に運ぶ仕組みだ。しかもドミナント(地域集中出店)が配送距離を,長時間営業が受け取り時間の柔軟性を生む効率性も明らかになった。
もったいないの廃棄ロス批判に応えた長鮮度商品の開発は,高齢者と働く女性の増加という社会構造変化のニーズに合致した。
こうしたセブンイレブンの革新の姿勢は,創業以来営々として築いてきたインフラの上に成り立ち,それが新たな成長の原動力になっている。
激流 2011年 11月号 [雑誌] | |
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▼11月号もくじ
特集
セブンイレブン・ジャパン
「近くて便利」で成長力復活
■コンビニ飽和論を跳ね返す変化対応企業の真骨頂
■インタビュー 井阪隆一社長
商品戦略 生活者の便利を40坪に凝縮
パスタ 大量生産と家庭の味を両立
海外戦略 10兆円構想が動き出す
カード戦略 ナナコ基軸に顧客を囲い込み
加盟店教育 笑顔とお辞儀で売り上げを変える
環境配慮型店舗 お客の省エネ意識も高める
移動販売 被災地のソーシャルビジネス
地域密着 スーパー代わりを実践
◎激流レポート
世界経済危機に増税の追い打ちで消費は一気に減速か
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「身の丈」を強みとする経営―縮小の時代に勝つ「新リージョナルマーケティング」 | |
小林 隆一 | |
日本経済新聞出版社 |
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堅実経営を貫き,長期にわたり成長を維持している小売業を凝視すると,ある共通性が浮かんできます。それは,性急な拡大発展を目指すことなく,マイペースを貫きながら,現状に満足することなく常に革新にとり組むみ,存在感を発揮するという経営姿勢を貫いている点です。本書ではこのような経営姿勢を「身の丈経営」と称して,縮小の時代の経営のあり方を考察しています。
▼バックナンバー
・「近くて便利」で限界論を跳ね返す セブンイレブン-鹿児島進出 4
・「近くて便利」で限界論を跳ね返す セブンイレブン-鹿児島進出 3
(2012-01-17 11:36:15 | 「身の丈」経営)
セブン&アイ・ホールディングスの...
(2012-01-16 00:02:11 | 「身の丈」経営)
セブン-イレブン・ジャパン(2010...