長期政権の功罪--成熟と老害のはざま--
このところ,ウシオ電機 牛尾治朗氏(89)の会長退任に見られるよう,長期に渡り経営の最前線に立ってきた80歳代の経営者の退任の報が相次いでいる。
「ハローキティ」などのキャラクターを生み出したサンリオは,創業者で92歳の辻信太郎社長が7月1日付で社長を退き,孫で31歳の辻朋邦氏が後任になると明らかにした。信太郎氏はその後も会長職にとどまるという。
大手芸能事務所のホリプロの創業者の堀威夫(たけお)氏(87)は,ファウンダー最高顧問を退任し,経営者の座から退く。
その一方,長期政権を続ける高齢の経営者も多い。その筆頭格が2020年1月末に90歳の誕生日を迎えたスズキの鈴木修会長である。60年以上にわたり経営の最前線に立ってきた自動車業界の「レジェンド」。「死ぬまで現役でやるんじゃないか。任せられる後継者が見当たらない」との辛辣な声も聞かれる。
鈴木修会長と同様に,長く陣頭指揮を執る企業とトップをリストアップしてみた。
・ライフコーポレーション代表取締役会長兼最高経営責任者の清水信次(94歳)
・サンリオ代表取締役社長の辻信太郎(93歳)
・信越化学工業の金川千尋会長は92歳
・公益財団法人稲盛財団の稲盛和夫理事長は88歳
・住友不動産の高島準司会長は88歳
・アークス代表取締役社長,ラルズ代表取締役会長の横山清氏は 85歳
・大日本印刷の北島義俊会長は85歳。
・キヤノンの御手洗冨士夫会長は83歳
・富士フイルムホールディングス(HD)の古森重隆会長は79歳
・山崎製パンの飯島延浩代表取締役社長は78歳
こうした事例から,長期政権の功罪--成熟と老害のはざま--を考えてみたい。