直木賞の季節,向田さんを思い出す -今年は黒川博行さんの『破門』
今年の直木賞は,黒川博行さんの『破門』 (KADOKAWA)が受賞した。毎年,この時期になると向田邦子さんが頭に浮かぶ。1980年(昭和55年)に,短篇の連作『花の名前』『かわうそ』 『犬小屋』で第83回直木賞を受賞の向田さん。直木賞受賞の翌年8月,取材先の台湾で飛行機墜落事故で不慮の死を遂げられた。
世間を悲 しませた突然の事故であったが,予感させる不思議な出来事も報じられた。向田は6年前の乳がん手術以来、右手が動かないなど苦しんでいた。妹の向田和子さんが「どう せ死ぬなら飛行機が空中爆発という死に方をしたいわ」と言ったら、向田さんは「それが出来たら最高ね」と答えたという。それが現実のものとなってしまったのである。
向田さんがご健在であったら,黒川さんの『破門』に,どのようなコメントをよせられたであろううか・・・・。
|
|
向田さんは,小学生の頃,父の赴任で鹿児島市で数年を過ごした。この多感な時期に鹿児島の温暖な気候や地元の風習、文化、食べ物、家族や先生、同級生との間に様々な体験は,生涯の忘れ得ない思い出となったのである。
その気持ちは,代表作『父の詫び状』に書かれいる。そのモチーフは、鹿児島時代の家族団欒であると言われている。台湾での飛行機事故の直前には、雑誌の企画で鹿児島を訪問し、「故郷の山や河を持たない東京生れの私にとって、鹿児島はなつかしい「故郷もどき」なのであろう」とも語っている。
※かごしま近代文学館
>>> かごしま近代文学館 「向田邦子」展,常設展示
かごしま近代文学館(鹿児島市城山町)では,向田邦子さんの直筆原稿や、脚本、遺愛の品など全95点が展示されています。
展示室には、直筆の原稿や直木賞の受賞目録をはじめ、仕立ての良いコートやセンスの良い私物が並び、今日でも人気の高い「向田スタイル」の一端がうかがえる展示となっています。 常設展示「向田邦子の世界」では,ミニ企画「向田邦子のかばん」も開催中です。
入館料は、一般=300円、小・中学生=150円です。 開催時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。火曜・年末年始(12月29日~1月1日)休館。来年1月13日まで。
★,'*:..,.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~.
◆かごしま近代文学館・メルヘン館
海音寺潮五郎,林芙美子,椋鳩十,梅崎春生,島尾敏雄,向田邦子など,鹿児島にゆかりのある28人の作家を紹介する近代文学館と童話の主人公の人形を展示するメルヘン館。
〒892-0853 鹿児島市城山町5-1 TEL.099-226-7771 FAX.099-227-2653
◆開館時間 9:30~18:00(入館は17:30まで) ◆休館日:火曜日(祝日の場合は翌日),12月29日~翌年1月1日
◆入館料 2館共通券 大人500円,小・中学生250円/単独券 大人300円
◆アクセス-鹿児島中央駅から
・市電:2系統鹿児島駅行き(約7分)→「朝日通」下車、徒歩7分
・東口バス乗り場 東4~6番より天文館、市役所方面行き(約9分)
→「金生町」下車、徒歩7分
・東口乗り場 東9番よりカゴシマシティビュー(約11分)
→「西郷銅像前」下車、徒歩3分
>>>今年の直木賞は,黒川博行さんの「破門」が受賞
第151回となる今年の直木賞は,『破門 [ 黒川博行 』が選ばれた。 「破門」は、ヤクザと建設コンサルタントの「迷コンビ」によるハードボイルド小説のシリーズ五作目。映画製作の出資金を持ち逃げされた二人が、お金を取り戻そうと関西やマカオを奔走する。
選考委員の伊集院静さんは「弱者の魂を描いており、アメリカ映画のようなペーソスがある。大阪で三十年書き続けてきた執筆姿勢も評価された」と話した。
<くろかわ・ひろゆき> 1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大彫刻科卒。大阪府立高の美術教師を経て、83年「二度のお別れ」でデビュー。直木賞候補は2008年の「悪果」以来。
【楽天ブックスならいつでも送料無料】【第151回直木賞受賞作品】破門 [ 黒川博行 ]
価格:1,836円(税込、送料込)