人生フルスイング--がん闘病中の野球評論家・大島康徳氏の思い--
2017年2月にステージ4の大腸がんと肝臓への転移を公表し,がん闘病中の野球評論家・大島康徳氏(70)。ブログを通じて多くの人に「言葉は届けたい!」との熱い思いを吐露している。
24日夜にブログを更新し,退院したことを報告した。大島氏はたまった腹水を抜く治療のため,今月3日に入院し,6日に退院したが,その後,体調を崩し,17日に再入院していた。
妻のナオミさんが20日にブログを代筆し,「主人の在宅医療の準備を週明けから具体的に進めたいと思っています」と報告。21日のブログでは,肺にも転移していたことを告白していた。
そして「文字を打つのも大変と感じるときは(体調次第ですが)妻の助けを借りようと思います。言葉は届けたい!妻の手助けを受けても私の言葉は私の言葉受け取って下さい。」と心情を吐露している。
⇒⇒ 大島康徳公式ブログ 「この道」 https://ameblo.jp/ohshima-yasunori/
著者について:元プロ野球選手。中日ドラゴンズ(在籍:1969-1988)から日本ハムファイターズ(在籍:1988-1994)に移籍し、当時史上最年長の39歳11ヶ月で通算2000本安打達成。83年には、本塁打王を獲得。豪快にすくい上げるバッティングで本塁打を量産するスラッガーとして活躍。
日ハム退団後、同球団監督を経て現在プロ野球解説者を務める。2017年2月に大腸がんであることを公表し、闘病を続けている。
『がんでも人生フルスイング』(大島康徳著 2018年双葉社刊)より-------
大島氏は本書の冒頭で,2016年10月にステージ4の大腸がんとなり手術を受け肝臓に転移していることを告白している。そして,"余命宣告1年"を超えて彼が生き続けることができた理由として,「前向きな生き方」、「食事法」、「QOL」、「家族との向き合い方」が語られている。本書は、まさに「中高年のガン患者」とその家族に向けた教科書ともいえる有意義な書です。参考までに,目次の一部と,特に感銘を受けた〝「どう生きるか」「どう生きたが」”の項を抜粋します。たった一度の人生,「フルスイング」で燃焼!!!
目次--
第4章 がんが教えてくれた人との縁について
仕事復帰後の意識の変化
野球はライフワーク
仕事現場へ
家族の励みになった小林麻央さんという存在
星野仙一さん
別の世界、別の日常
第5章 家族
家族は第二の患者である、ということについて
妻と子供たちの会議
妻の涙
深夜の大騒動
息子たち
兄のこと
ご先祖様が応援してくれた
術後にフル?スイング
ちゃんと老夫婦になるんだからね
妻のプチ家出
67歳の誕生日
私は私らしく
第6章 闘病ではなく、共存でいいんじゃないか
本当にがんなんですか?
がんが悪さをしなければ
体の中にいてもらっても構わない
がんのイメージ
がんと向き合う
「どう生きるか」「どう生きたか」
「どう生きるか」「どう生きたが」-----p253-p255
私は「何年生きるか」より「どのように生きるか」だと思っています。さらに言えば最終的には「どう生きたか」だと思っています。私は今のままでいいのです。派手な暮らしをしたいなどとは思わないです。美味しいものを食べたいときに、それを買えるだけのお金があればいい。仕事はできる限り頑張って、今の家族との日常が送れればそれでいい。病気と向き合いながら、行けるところまで行こうと思っています。
お会いした方から「振る舞いが術後とは思えないですね」と、よく言われます。何日も全国を飛び回り、一人で泊まり、新幹線で長距離を移動して。というのは周囲から心配されますが、元気にこなしています。今もよく食べて、よく動いているので、周りには病人には見えないようです。
今も私の体の中にはがんが住んでいます。
私はがんを切り取って完全になくすことが目的である、「根治」までの道のりが厳しいのならば、そこまでしなくてもと思っています。
副作用もこの程度でいけるのであればこのままでいいのです。
やっかいな同居人ですが、こいつが私のところに転がり込んできたのも、それは運命と受け止めています。見えない先のことを考えすぎて、目の前の穏やかな日常がおかしくならない程度に淡々と治療を進めで行こうと考えています。
いつでも私らしく生きる。食べて飲んで笑って仕事をして、家族と楽しく暮らす。ときには喧嘩もしますが……。どこまでも、どんな道であろうと家族と共に前を向いて、顔を上げて歩んでいきたいと思っています。
最後に人生を振り返るとき、私は笑っていたい。
私はがんによってそのような思いに至ったのではありません。
これは本書にも書いてきた若いころからの様々な出来事や、生涯のパートナーである愛する妻と出会い、わんぱくな息子たちを育てる中で導き出した思いなのです。
本書で書いた病人らしくない私の生き方を通して皆さんが「生きるって、家族って、病気って、何だろう」 と考えていただければ、これほど嬉しいことはありません。
⇒⇒ 大島康徳公式ブログ 「この道」 https://ameblo.jp/ohshima-yasunori/