報道によると鹿児島市の中心市街地である天文館の中心部の地権者らが、大規模な複合施設を新たに整備することを目指して動き始めた,ということである。。新たな開発が検討されているのは、ファッションビル「タカプラ」などが建ち並ぶ電車通り沿いの「千日町1番街区」と、これに隣接する「天文館G3アーケード」沿いの「千日町4番街区」である。ここに,物販や飲食店のほか、ホテルやオフィスなどが入る大規模な複合施設を建設することがイメージされているという。
鹿児島市では,JR九州も鹿児島中央駅の駅ビル「アミュプラザ鹿児島」の別館を建設する方針を打ち出している。
アミュプラザ別館の建設はさておき,天文館の大規模複合施設の建設構想には,時代錯誤の感を持つ。
▼
郊外型商業施設の発展に加え,商圏人口の減少という状況にあって,「中心市街地の核といえば大型商業施設である」,さらには商業施設の充実で集客しにぎわいを創出する,というこれまでのやり方は,もはや通用したい。人の流れが若干変わるかもしれないが,所詮は小さなパイの奪い合いにすぎない。
高齢化の進行,加えて人口減少社会にあっては,鹿児島県,さらには熊本,宮崎県と連携していかに南九州エリアのパイを大きくするか-広域エリアで集客力を高める-といった視点からの取り組みが必要である。
市街地における商業施設が,にぎわい創出の源泉となり得ない事例として,JR大分駅前の商業ビルが病院として生まれ変わる顛末を紹介する。
ooita
◆事例-JR大分駅前に建つ「大分開発ビル」-商業ビルの継続を断念し,病院移転
JR大分駅前に建つ「大分開発ビル」(地下2階、地上12階建てで延べ床面積2万9600平方メートル) は,核テナントの大分パルコが2010年2月に1年後の撤退を表明して以来、跡地利用の行方が注目されていた。
ビルを所有する大分開発(大分市)は当初、新たなテナントを誘致して商業ビルとしての継続を目指したが、郊外型ショッピングセンターへの買い物客の流出などもあってテナント集めは難航。 商業テナントは3階までにして4~7階はオフィスにする案も模索しが,フロア改装などに必要な投資額に見合う賃料収入を得られる見通しが立たず,商業ビルとしての再開を断念した。
大分開発は自社による土地建物の活用もあきらめ,入札にかけた結果、地元の大手医療機関,大分中村病院(http://www.nakamura-hosp.or.jp/大分市 )が落札,ビル跡地での病院新築が決まった。計画では、2015年度に施設の核として大分中村病院が県庁近くの現在地から移転する。低層階は店舗スペースにする。大分中村病院は地元商店街の懸念にも配慮。病院だけでなく,ヘルスケア関連施設と商業施設も備えた複合ビルとする意向だという。
大分開発は大分駅周辺に24時間対応の総合病院がない点に加え、通院などで相当数の来街者が見込める。そして各種テナントの入居で地域活性化にもつながると判断したもようだ。
【送料無料】財界九州 2012年 10月号 | 財界九州 2012年 09月号 | |||||
・九州の商業/オフィスの拠点天神 ・「定住自立圏後送の先進地・九州」 |
・「医療経済」先進医療拠点化で地域に活力を呼び込め ・政令市が連携・交流を深め九州の発展を牽引したい |