ゼネラル・エレクトリック(GE)の伝説的CEOジャック・クエルチの信奉者は、GEの戦略はすべての事業で一位か二位になることだという(さもなければ撤退だ!)。
ゼネラルモーターズ(GM)のCEOダン・アカーソンは、「新生」GMを再上場させた日のインタビューで、GMがようやく負の遺産から解放され、競争する態勢が整ったといい、「最高の自動車が勝利しますように!」と言った。
日本では,精密小型モーターの開発・製造で世界一のシェアを持つ日本電産社長の社長,永守重信氏が,著書『「人を動かす人」になれ!― 』で,「一流,一番をめざすから人はついてくる」と永守イズムの一端を語っている。
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┗■ 一流,一番をめざすから人はついてくる
わたしは物心がついたときから、「一番以外はピリだ」と考えていた。学校の成績にしても喧嘩にしても人に負けるのが絶対にイヤだった。小学校時代は、いくら頑張ってもいい成績をつけてくれなかった相性の悪い先生がいたので首席ではなかったが、中学校はずっと首席で通した。遊びでも新撰組なら近藤勇以外に興味はなかったし、野球をするならエースで四番バッター、しかも監督をしなければ気が済まない。銭湯に行けば、履物は必ず一番の札の下駄箱に入れる。もし一番の札の下駄箱が空いていなければ、一番の上の棚に置いた。そこまで徹底して一番にこだわった。
それに関してはこんなエピソードもある。
わたしは高校に入学するとすぐに塾の経営をはじめた。といっても、自宅の六畳の部屋を改造し、机も自分でつくり、ガリ版でビラを刷って近所の小中学生に配ったところ意外に生徒が集まった。ピーク時には六〇名以上の生徒を数え、中学生相手にいっぱしの進路指導も行っていたが、そのときもこんな調子で指導した。
「君はどこの高校に入りたいんだ」と聞くと、たいていの生徒は「目標は、公立の○○高校です」と答える。わたしは即座に「そんな高校に無理して入っても、どうせどリになるだけや。もう少しレベルを落として××高校へ行け。そうしたら絶対一番になれる」と勧めた。生徒のなかには、この勧め通りにして自信をつけ、現在いいコースを歩んでいる者もいる。
つまり、自分だけが一番になればよいというのではなく、身近な人間にもわたしなりに考えた一番のなり方を指導した。高校時代は塾の経営に力を入れすぎて、トップの座からすべり落ちてしまったが、職業訓練大学校(現職業能力開発大学校) に入学してからは必死になって勉強した。そのおかげで、大学校はじまって以来という優秀な成績で卒業したが、いまだにこの記録は破られていない。
この「一番以外はピリだ」という姿勢は、企業経営においても貫き通している。製品については世界一の品質と精度でなければならないし、市場のシェアでも決して二位、三位に甘んじるようではいけない。セールスカ、マーケティングカにおいても同業他社に後れをとってはならないと考えている。もちろん、人材についても一流、一番をめざしている。
そのためには、わたしはあらゆる努力を惜しまないし、とことん謙虚にもなれる。こうした信念がなければ、人は動いてくれないし、また動かしてもいけないと思う。
* 『 「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる 』 永守重信 p16~17 三笠書房
「人を動かす人」になれ!―すぐやる、必ずやる、出来るまでやる | |
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