10日ほど前,長野県上田市塩田地域のため池で,1羽のコウノトリが観察された,という新聞記事を目にした。このコウノトリは,兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷(さと)公園が放鳥した雄と中国大陸から飛来した雌の間に2011年5月に豊岡市内で生まれた雌だという。に日本海側にある豊岡から信州上田までは直線距離で約240キロメートル。この距離をたった一羽でやってきたコウノトリの生命力と冒険心には敬服である。
タイミングよく,先週,上田に出向く所用があったので,ついでにコウノトリに会いに塩田のため池に足を伸ばしてみた。だが,幸せを運ぶというコウノトリは,すでにお里帰りしたので会えなかった。「せっかく来たがコウノトリはいなかった。」,と当地に住む友人の安藤さんにボヤいた所,幸運にも写真マニアの彼がコウノトリを撮影していて,その写真を分けてもらった。彼の傑作,2枚をブログサイズに編集して掲載する。
撮影:上田市十人 安藤和義氏
奇しくも,上田と豊岡の両市は,江戸時代に上田城主仙石政明(せんごくまさあきら)と、豊岡市にあった出石(いずし)城の城主松平忠周(ただちか)が国替えで入れ替わったとう因縁がある。
*仙石 政明(せんごく まさあきら)は、信濃上田藩の第3代藩主、のち但馬出石藩の初代藩主。出石藩仙石家4代。
*松平 忠周(まつだいら ただちか)、または松平 忠徳(まつだいら ただのり)、は、伊賀守流藤井松平家3代。はじめ丹波亀山藩の第3代藩主、のち武蔵岩槻藩主、但馬出石藩主、信濃上田藩の初代藩主。幕府では側用人、京都所司代、老中を歴任した。
秋の上田城(上田市HP)
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phote: 2013/11/08 県立コウノトリの郷公園ライブカメラ http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/live_camera/index.php
◆ コウノトリ,10羽が鹿児島に飛来
国の特別天然記念物のコウノトリが10月下旬、鹿児島県南さつま市笠沙で2羽,南大隅町で8羽が餌を取っている姿が観察された。これほどの数が同時期に見られたのは珍しいという。なお,28日以降は確認できていない。
コウノトリの国内野生種は1971年に絶滅しており、現在は大陸からまれに少数が渡ってくる程度。観察されたのは識別用の足環(あしわ)をつけた個体がほとんどで、人工繁殖や放鳥に取り組んでいる兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市) http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/ から飛来したと思われる。
◆ コウノトリ
●学名: Ciconia boyciana(キコニア・ボイキアナ)
●翼開長: 200cm前後
●体重: 約4~5kg
●雌雄の区別: 一般にオスはメスより大きい
●餌生物: 肉食性で、ドジョウ、フナなどの魚類をはじめ、カエル、バッタなどの生きた小動物も餌とする。
●分布: 極東を中心に分布する。近縁種のシュバシコウは、ヨーロッパを中心に分布する。