働き方改革関連法ノート

労働政策審議会(厚生労働大臣諮問機関)や厚生労働省労働基準局などが開催する検討会の資料・議事録に関する雑記帳

無給医問題に関する厚生労働省への要請文(全国医師ユニオン)

2019年07月26日 | 働き方改革
全国医師ユニオン(代表・植山直人)は、2019年7月16日に厚生労働大臣あてに「無給医に関して、労基署による全大学病院の緊急点検と厚労省による結果発表を求める」要請文に送付しました。

無給医に関して、労基署による全大学病院の緊急点検と厚労省による結果発表を求める

厚生労働大臣 根本匠殿
2019年 7 月16日
全国医師ユニオン代表 植山直人


2019年6月28日に、無給医に関する文科省の調査結果の発表があった。これによれば50大学病院2000人以上の無給医が存在する。無給医は労働者としての全ての権利をはく奪された存在であり、これを放置する管理者は許されるものではない。当初、文科省は無給医は存在しないと答えていたが、これだけの無給医が存在していたことは文科省の管理責任が問われるものである。

今回の調査は、労基法違反の当事者に回答を求めたものであり、その結果は氷山の一角にすぎない。また調査では、約3600人が研究や研鑽などの合理的理由があるとされているが、具体的な内容は大学の判断に任されており不透明のままである。さらに、約1300人は調査中とのことで、実態は明らかになっていない。しかも、今回の調査結果発表後に、無給医はいないとされた大学で働く医師が、自分は無給医であるとの声を上げている。

無給医問題は、最悪の労基法違反であり組織的な犯罪とも呼べるものである。働き方改革を進める厚労省にはこの問題を徹底的に調査し再発を防ぐ義務がある。厚労省は医師のみに過労死ラインの 2 倍の時間外労働を認める例外を作ろうとしているが、全く労務管理も健康管理もされない医師が多数存在するような現状を放置したまま、医師の例外規定を作ることなど許されない。

私たちは、以下の点を求めるものである。

1.厚労省による労基署への指導と労基署による点検結果の公表
労基署は定期的に大学に調査に入っていたが、無給医の存在を見逃してきた結果が今日の異常事態を招いている。このため、厚労省として労基署に対して大学病院への一斉点検を求め、その結果を公表すること。また、点検結果に基づき再発防止の指導を徹底すること。

2.労基署による全ての大学病院への一斉点検で必要となる項目及び指導
1 無給医の存在に関する数および実態の把握
2 雇用契約(労災保険の適用に必須)を結ばずに診療や研究に従事している医師の数の把握
3 健康保険医に入っていない医師の数の把握
4 最低賃金以下で働かされている医師の有無
5 労働時間の一部しか賃金を支払われていない医師の有無
6 初期研修医の給与を下回る医師の有無
7 客観的な時間管理の有無の把握と、7月1日厚労省通達に基づく労働時間管理の徹底
8 不払い残業代の実態の把握
9 他の医療機関等から派遣されている医師の労務管理の実態把握、派遣業法違反の有無
10 無給医が行った診療にもかかわらず、他の医師の名義を使った保険請求の有無
11 同一労働・同一賃金等の均等待遇に関する実態の把握
12 放射線被ばくをする診療にあたる全の医師が適切に放射線管理されているかの確認 (無給医で放射線バッチが渡されずに、診療業務に従事させられていたとの声が散見される)
13 上記で、違法があった場合の改善指導の徹底、なお悪質な管理者に対しては司法警察権限の行使(全国医師ユニオンホームページより)


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