働き方改革関連法ノート

厚生労働省の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会や労働基準関係法制研究会などの議論に関する雑記帳

カスタマーハラスメント(カスハラ)定義(厚生労働省)

2024年12月26日 | パワハラ防止
労働政策審議会(労政審)雇用環境・均等分科会
本日(2024年12月26日)、厚生労働省の労働政策審議会(労政審=厚生労働大臣の諮問機関)雇用環境・均等分科会が開催されますが、議題は「女性活躍推進及びハラスメント対策」についてとされています。

労働政策審議会(労政審)雇用環境・均等分科会(厚生労働省サイト)

カスタマーハラスメント(カスハラ)定義
今日の雇用環境・均等分科会・資料は「女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(案)」となっていますが、その資料の中に「カスタマーハラスメント対策の強化」があり、「雇用管理上の措置義務の創設」および「カスタマーハラスメントの定義」が記載されています。

その「カスタマーハラスメントの定義」の箇所には、カスタマーハラスメント(カスハラ)定義は「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書」(2024年8月8日)において示されている考え方を踏まえ、次の3要素をいずれも満たすものとすると記載されています。

1 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含み、「施設利用者」とは、施設を利用する者をいい、施設の具体例としては、駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等が考えられるとのことです。また「利害関係者」は、顧客、取引先、施設利用者等の例示している者に限らず、様々な者が行為者として想定されることを意図するものであり、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民等、事実上の利害関係がある者も含むとのことです。

2 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
これは権利の濫用・逸脱に当たり、社会通念に照らして当該顧客等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、または手段・態様が相当でないものとされています。また「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については「言動の内容」および「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が必要であることとされていますが、事業者または労働者の側の不適切な対応が端緒となっている場合もあることにも留意する必要があることもとされています。そして「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の具体例としては性的な言動等が含まれ得ることともされています。

3 労働者の就業環境が害されること
労働者が身体的または精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味すること、また「平均的な労働者の感じ方」、すなわち「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であることとされています。そ言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ることとされています。

カスタマーハラスメント対策ガイドラインに記載すべき注意事項
カスタマーハラスメント対策ガイドライン(指針)において示すべき事項はカスタマーハラスメント定義と注意事項も記載すべきとあります。

まず「顧客等からのクレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわば『正当なクレーム』であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要があること」とされています。

またカスタマーハラスメント対策を講ずる際に「消費者法制により定められている消費者の権利等を阻害しないものでなければならないこと」や「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づく合理的配慮の提供義務を遵守する必要があること」は当然のことであるということです。

女性活躍の更なる推進及び職場におけるハラスメント防止対策の強化について(案)(PDF形式)

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