トヨタ自動車販売店勤務男性がパワハラで精神疾患
毎日新聞は「神奈川県内のトヨタ自動車の販売店に勤めていた男性(当時38歳)が2019年に自殺し、藤沢労働基準監督署(神奈川県)が、上司からのパワーハラスメントでうつ病を患ったためとして労災認定していたことが分かった。遺族や代理人弁護士が東京都内で(2021年10月)20日、記者会見して明らかにした。認定は(2021年)6月22日付」と報じた。
代理人の永田亮弁護士によると、男性は04年に「トヨタカローラ横浜」(現・神奈川トヨタ自動車)に入社。藤沢市の店舗で営業を担当していた18年6月以降、男性店長から頻繁に叱責を受けた。他の社員の目の前で、大声で1時間以上叱られたほか「ばか野郎」などと言われた。19年2月ごろにうつ病を発症。その後も勤務を続けたが、同5月に自宅で自殺した。(毎日新聞デジタル版、2021年10月21日配信)
労働基準監督署調査で残業時間過少申告も判明
また、NEK NEWS WEBも「トヨタ自動車の販売店で働いていた30代の男性がおととし自殺したことについて、上司のパワーハラスメントが原因だったとして労災と認定されたことがわかりました」と報じた。
遺族や代理人の弁護士によりますと、男性は現在の「神奈川トヨタ自動車」、当時の「トヨタカローラ横浜」の藤沢市にある店舗で正社員として働き、営業を担当していましたが、おととし5月に自殺しました。
男性は亡くなる3か月前にうつ病を発症していて、労働基準監督署が調べた結果、職場の上司から、ほかの社員の前で「ばかやろう」などと頻繁に叱責され、1時間以上にわたることがあったとわかりました。
このため、男性の自殺は上司のパワーハラスメントが原因だったとして、ことし6月に労災と認定されました。
弁護士によりますと、労働基準監督署の調査で男性の時間外労働が1か月100時間を超えたり、残業時間を実際より少なく申告したケースがあったこともわかったということです。
また遺族によりますと、男性は新車購入の仮契約のキャンセルが相次いだ時に、上司から「売ってくるまで帰ってくるな。弁償しろ」などと言われ、悩んでいたということです。
会見した男性の両親は「なぜ息子が死ななければならなかったのか、その理由をどうしても知りたかった。会社は息子に謝罪し、会社としての体質を変えてほしいし、日本のすべての企業に、もっと働きやすい環境を作ってもらいたい」と話していました。(NHK NEWS WEB)
精神障害など労災認定基準にパワハラを追加
なお、厚生労働省は、昨年(2020年)「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知(2020年5月29日付)。
この改正は、昨年(2020年)6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、(2020年)5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント(パワハラ)」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しを行った。
今回のトヨタ自動車販売店に勤務していた男性の上司パワハラ起因の精神疾患による労災認定は、この基準に基づいて審査が行われた。
心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正概要(令和2年5月29日付け基発0529第1号)
1 改正の背景
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年12月に策定した「心理的負荷による精神障害 の認定基準について」に基づき労災認定を行っている。
このたび、令和2年6月から施行されるパワーハラスメント防止対策の法制化に伴い、職場における「パワーハラスメント」の定義が法律上規定されたことなどを踏まえ、令和2年5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を受けて、認定基準 別表1「業務による心理的負荷評価表」の改正を行った。
2 認定基準改正のポイント
(1)「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
・「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」を追加。
・「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加。
<強いストレスと評価される例>
上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
上司等による、人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が執拗に行われた場合
心理的負荷としては「中」程度の精神的攻撃等を受け、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
(2)評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
・「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正。
・パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせなどを評価する項目として位置づける。
<強いストレスと評価される例>
同僚等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合
同僚等から、人格や人間性を否定するような言動を執拗に受けた場合
毎日新聞は「神奈川県内のトヨタ自動車の販売店に勤めていた男性(当時38歳)が2019年に自殺し、藤沢労働基準監督署(神奈川県)が、上司からのパワーハラスメントでうつ病を患ったためとして労災認定していたことが分かった。遺族や代理人弁護士が東京都内で(2021年10月)20日、記者会見して明らかにした。認定は(2021年)6月22日付」と報じた。
代理人の永田亮弁護士によると、男性は04年に「トヨタカローラ横浜」(現・神奈川トヨタ自動車)に入社。藤沢市の店舗で営業を担当していた18年6月以降、男性店長から頻繁に叱責を受けた。他の社員の目の前で、大声で1時間以上叱られたほか「ばか野郎」などと言われた。19年2月ごろにうつ病を発症。その後も勤務を続けたが、同5月に自宅で自殺した。(毎日新聞デジタル版、2021年10月21日配信)
労働基準監督署調査で残業時間過少申告も判明
また、NEK NEWS WEBも「トヨタ自動車の販売店で働いていた30代の男性がおととし自殺したことについて、上司のパワーハラスメントが原因だったとして労災と認定されたことがわかりました」と報じた。
遺族や代理人の弁護士によりますと、男性は現在の「神奈川トヨタ自動車」、当時の「トヨタカローラ横浜」の藤沢市にある店舗で正社員として働き、営業を担当していましたが、おととし5月に自殺しました。
男性は亡くなる3か月前にうつ病を発症していて、労働基準監督署が調べた結果、職場の上司から、ほかの社員の前で「ばかやろう」などと頻繁に叱責され、1時間以上にわたることがあったとわかりました。
このため、男性の自殺は上司のパワーハラスメントが原因だったとして、ことし6月に労災と認定されました。
弁護士によりますと、労働基準監督署の調査で男性の時間外労働が1か月100時間を超えたり、残業時間を実際より少なく申告したケースがあったこともわかったということです。
また遺族によりますと、男性は新車購入の仮契約のキャンセルが相次いだ時に、上司から「売ってくるまで帰ってくるな。弁償しろ」などと言われ、悩んでいたということです。
会見した男性の両親は「なぜ息子が死ななければならなかったのか、その理由をどうしても知りたかった。会社は息子に謝罪し、会社としての体質を変えてほしいし、日本のすべての企業に、もっと働きやすい環境を作ってもらいたい」と話していました。(NHK NEWS WEB)
精神障害など労災認定基準にパワハラを追加
なお、厚生労働省は、昨年(2020年)「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知(2020年5月29日付)。
この改正は、昨年(2020年)6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、(2020年)5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント(パワハラ)」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しを行った。
今回のトヨタ自動車販売店に勤務していた男性の上司パワハラ起因の精神疾患による労災認定は、この基準に基づいて審査が行われた。
心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正概要(令和2年5月29日付け基発0529第1号)
1 改正の背景
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年12月に策定した「心理的負荷による精神障害 の認定基準について」に基づき労災認定を行っている。
このたび、令和2年6月から施行されるパワーハラスメント防止対策の法制化に伴い、職場における「パワーハラスメント」の定義が法律上規定されたことなどを踏まえ、令和2年5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を受けて、認定基準 別表1「業務による心理的負荷評価表」の改正を行った。
2 認定基準改正のポイント
(1)「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加
・「出来事の類型」に、「パワーハラスメント」を追加。
・「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」を「具体的出来事」に追加。
<強いストレスと評価される例>
上司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合
上司等から、暴行等の身体的攻撃を執拗に受けた場合
上司等による、人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない精神的攻撃が執拗に行われた場合
心理的負荷としては「中」程度の精神的攻撃等を受け、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった場合
(2)評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文言修正
・「具体的出来事」の「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の名称を「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた」に修正。
・パワーハラスメントに該当しない優越性のない同僚間の暴行やいじめ、嫌がらせなどを評価する項目として位置づける。
<強いストレスと評価される例>
同僚等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合
同僚等から、人格や人間性を否定するような言動を執拗に受けた場合