厚生労働省「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の初会合が本日(2019年12月17日)に開催されますが、議題は(1)精神障害の労災認定の基準について、(2)その他となっています。
第1回 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会における主要論点
論点「現行の労災認定基準を前提としたパワーハラスメントの定義等の明確化を踏まえた出来事類型等の明確化」
1 出来事の類型の追加の必要性について
2 具体的な出来事の追加・修正等について
3 平均的な心理的負荷の強度について
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」参集者名簿(五十音順)
阿部未央 山形大学人文社会科学部准教授
荒井 稔 日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院健康医学センター長
黒木宣夫 東邦大学名誉教授、勝田台メディカルクリニック院長
小山善子 石川産業保健総合支援センター所長、金城大学医療健康学部特任教授
品田充儀 前労働保険審査会会長
田中克俊 北里大学大学院産業精神保健学教授
西村健一郎 京都大学名誉教授
丸山総一郎 神戸親和女子大学発達教育学部教授
三柴丈典 近畿大学法学部教授
山口浩一郎 上智大学名誉教授
吉川 徹 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター統括研究員
精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会開催要綱
1 趣旨・目的
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年(2011年)12月に策定した 「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(以下「認定基準」という。)に基づき労災認定を行っているところであるが、精神障害に係る労災請求件数は、平成30年度(2018年度)には1,820件にのぼり、6年連続で過去最多を更新しており、今後も増加が見込まれる状況にある。
また、認定基準の策定以降、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変化する中、令和元年(2019年)6月にはパワーハラスメント対策が法制化されるなど、新たな社会情勢の変化も生じている。
このような状況を踏まえ、大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)が、 臨床精神医学者や労働者災害補償保険法等に精通した専門家に参集を求め、最新の医学的知見に基づき、専門的見地から認定基準について検討を行うこととする。
2 検討事項
(1) パワーハラスメント対策の法制化を踏まえた認定基準の検討
(2) 精神障害に関する最新の医学的知見等を踏まえた認定基準の検討
(3) その他
3 検討会の構成等
(1) 本検討会は、別紙の医学及び法学専門家を参集者とする。
(2) 本検討会には、座長をおき、検討会を統括する。
(3) 本検討会の座長は、参集者の互選により選出する。
(4) 本検討会には、必要に応じ、別紙参集者以外の関係領域の専門家の参集を依頼することができるものとする。また、必要に応じ、分科会を開催することができる。
4 その他
(1) 本検討会は、原則として公開とする。ただし、検討事項に個人情報等を含み、特定の個人の権利又は利益を害するおそれがあるときは非公開とする。
(2) 上記(1)ただし書きの場合において、本検討会に参集した者は、本検討会で知ることのできた秘密を漏らしてはならない。また、検討会終了後も同様とする。
(3) 本検討会の参集及び運営に関する庶務は、厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室で行う。
(4) 本要綱に定めるもののほか、本検討会に関し必要な事項は、本検討会において定める。
附則
本要綱は、令和元年(2019年)11月11日から施行する。
参考・加藤厚生労働大臣会見(2019年11月1日)
加藤厚生労働大臣は、2019年11月1日の会見において過労死労災認定基準(過労死ライン)およびパワハラを起因とする精神疾患(精神障害)による労災認定基準の見直しに関する有識者による検討会(有識者会議)の設置について記者の質問に対して次のように答えています。
加藤厚生労働大臣:今労災認定基準には脳、心臓疾患と精神障害の労災認定基準、これが二つあります。まず脳・心臓疾患の労災認定基準については、昨年度(2018年度)と本年度(2019年度)に医学的知見を収集させていただいております。それを踏まえて、令和2年度(2020年度)、来年度に有識者の検討会を設置して、労災認定基準これは全般にわたってご議論をいただきたいと。もう既に平成13年(2001年)に作成をされておりますからもう15年、20年たっているということであります。
それから精神障害の労災認定基準については、これは2つあります。1つはパワハラについて法制化され定義が明確化されて、指針等が今議論されているわけでありますけれども、本年中に有識者検討会議を設置して、検討を行う、これはパワハラから生ずる精神的な障害に対してであります。さらに全般については、来年に医学的知見等を収集し、それを踏まえて3年度(2021年度)に今度有識者検討会議を開いて検討を行うということにさせていただいているところであります。
検討の期間はまだ見極められませんが、前回の検討においてはおおむね1年間ぐらいの議論をしていただいて答えを出していただいたということでございます。そんなことも踏まえながら対応していかなければいけないと思っております。(厚生労働省ホームページより抜粋)
追記(2019年12月18日)
「厚生労働省は(12月)17日、うつ病などの精神障害の労災認定基準に関する専門家検討会の初会合を開催した。認定の要件となる、業務による強い心理的負荷にパワハラを明記する方向だ。被害者の申請が容易になり、労災を認定しやすくなるとみられる。認定基準の改正は、パワハラ防止に向けた法律や指針の整備を受けた対応。今後パワハラの要件などを詰め、来年6月以降に新基準を適用する。」(時事ドットコムより抜粋)
追記(2019年12月24日)
厚生労働省の労働政策審議会「雇用環境・均等分科会」(第24回)が2019年12月23日、中央労働委員会講堂で開催されました。
議題はパワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)案要綱(諮問)、セクハラ指針(職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)等の一部を改正する告示案要綱(諮問)でした。
パワハラ指針のパブリックコメントが過去に例のない1,139件も意見が寄せられましたが、パワハラ指針案の修正はありませんでした。ただし、答申案に労働者代表委員の意見が盛り込まれたこと、また藤澤雇用環境均等局長が「パブリックコメントは今後の参考に」と分科会の最後に挨拶しました。
パワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針)案(PDF)
第1回 精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会における主要論点
論点「現行の労災認定基準を前提としたパワーハラスメントの定義等の明確化を踏まえた出来事類型等の明確化」
1 出来事の類型の追加の必要性について
2 具体的な出来事の追加・修正等について
3 平均的な心理的負荷の強度について
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」参集者名簿(五十音順)
阿部未央 山形大学人文社会科学部准教授
荒井 稔 日本私立学校振興・共済事業団 東京臨海病院健康医学センター長
黒木宣夫 東邦大学名誉教授、勝田台メディカルクリニック院長
小山善子 石川産業保健総合支援センター所長、金城大学医療健康学部特任教授
品田充儀 前労働保険審査会会長
田中克俊 北里大学大学院産業精神保健学教授
西村健一郎 京都大学名誉教授
丸山総一郎 神戸親和女子大学発達教育学部教授
三柴丈典 近畿大学法学部教授
山口浩一郎 上智大学名誉教授
吉川 徹 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター統括研究員
精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会開催要綱
1 趣旨・目的
業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成23年(2011年)12月に策定した 「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(以下「認定基準」という。)に基づき労災認定を行っているところであるが、精神障害に係る労災請求件数は、平成30年度(2018年度)には1,820件にのぼり、6年連続で過去最多を更新しており、今後も増加が見込まれる状況にある。
また、認定基準の策定以降、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変化する中、令和元年(2019年)6月にはパワーハラスメント対策が法制化されるなど、新たな社会情勢の変化も生じている。
このような状況を踏まえ、大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)が、 臨床精神医学者や労働者災害補償保険法等に精通した専門家に参集を求め、最新の医学的知見に基づき、専門的見地から認定基準について検討を行うこととする。
2 検討事項
(1) パワーハラスメント対策の法制化を踏まえた認定基準の検討
(2) 精神障害に関する最新の医学的知見等を踏まえた認定基準の検討
(3) その他
3 検討会の構成等
(1) 本検討会は、別紙の医学及び法学専門家を参集者とする。
(2) 本検討会には、座長をおき、検討会を統括する。
(3) 本検討会の座長は、参集者の互選により選出する。
(4) 本検討会には、必要に応じ、別紙参集者以外の関係領域の専門家の参集を依頼することができるものとする。また、必要に応じ、分科会を開催することができる。
4 その他
(1) 本検討会は、原則として公開とする。ただし、検討事項に個人情報等を含み、特定の個人の権利又は利益を害するおそれがあるときは非公開とする。
(2) 上記(1)ただし書きの場合において、本検討会に参集した者は、本検討会で知ることのできた秘密を漏らしてはならない。また、検討会終了後も同様とする。
(3) 本検討会の参集及び運営に関する庶務は、厚生労働省労働基準局補償課職業病認定対策室で行う。
(4) 本要綱に定めるもののほか、本検討会に関し必要な事項は、本検討会において定める。
附則
本要綱は、令和元年(2019年)11月11日から施行する。
参考・加藤厚生労働大臣会見(2019年11月1日)
加藤厚生労働大臣は、2019年11月1日の会見において過労死労災認定基準(過労死ライン)およびパワハラを起因とする精神疾患(精神障害)による労災認定基準の見直しに関する有識者による検討会(有識者会議)の設置について記者の質問に対して次のように答えています。
加藤厚生労働大臣:今労災認定基準には脳、心臓疾患と精神障害の労災認定基準、これが二つあります。まず脳・心臓疾患の労災認定基準については、昨年度(2018年度)と本年度(2019年度)に医学的知見を収集させていただいております。それを踏まえて、令和2年度(2020年度)、来年度に有識者の検討会を設置して、労災認定基準これは全般にわたってご議論をいただきたいと。もう既に平成13年(2001年)に作成をされておりますからもう15年、20年たっているということであります。
それから精神障害の労災認定基準については、これは2つあります。1つはパワハラについて法制化され定義が明確化されて、指針等が今議論されているわけでありますけれども、本年中に有識者検討会議を設置して、検討を行う、これはパワハラから生ずる精神的な障害に対してであります。さらに全般については、来年に医学的知見等を収集し、それを踏まえて3年度(2021年度)に今度有識者検討会議を開いて検討を行うということにさせていただいているところであります。
検討の期間はまだ見極められませんが、前回の検討においてはおおむね1年間ぐらいの議論をしていただいて答えを出していただいたということでございます。そんなことも踏まえながら対応していかなければいけないと思っております。(厚生労働省ホームページより抜粋)
追記(2019年12月18日)
「厚生労働省は(12月)17日、うつ病などの精神障害の労災認定基準に関する専門家検討会の初会合を開催した。認定の要件となる、業務による強い心理的負荷にパワハラを明記する方向だ。被害者の申請が容易になり、労災を認定しやすくなるとみられる。認定基準の改正は、パワハラ防止に向けた法律や指針の整備を受けた対応。今後パワハラの要件などを詰め、来年6月以降に新基準を適用する。」(時事ドットコムより抜粋)
追記(2019年12月24日)
厚生労働省の労働政策審議会「雇用環境・均等分科会」(第24回)が2019年12月23日、中央労働委員会講堂で開催されました。
議題はパワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)案要綱(諮問)、セクハラ指針(職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針)等の一部を改正する告示案要綱(諮問)でした。
パワハラ指針のパブリックコメントが過去に例のない1,139件も意見が寄せられましたが、パワハラ指針案の修正はありませんでした。ただし、答申案に労働者代表委員の意見が盛り込まれたこと、また藤澤雇用環境均等局長が「パブリックコメントは今後の参考に」と分科会の最後に挨拶しました。
パワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用 管理上講ずべき措置等についての指針)案(PDF)