・高齢期に働くという意味を考えてみました。
・現役時代に働く目的は、自分や家族の生活の糧を得る、自分のやりたいことや希望を実現(自己実現)する、子供の教育費を得ることなどでしょう。
・高齢期になると、子供の教育費を得るという目的はなくなり、自己実現の目的も薄くなります。また生活の糧の目的は、高齢になったときの収入や貯蓄によって一人ひとり重要性が違うでしょう。一方で高齢期では新たに「生活の張り」という目的が加わります。
・働く目的は一人ひとり異なりますが、有償の仕事と無償の仕事に分けて考えるとよいと思います。
・有償の仕事の場合、お金をもらうことになりますから義務ができます。新たに仕事を見つけ続けることの難易の順と考えられる起業、再就職、シルバーセンターへの加入、再雇用についてみます。
○起業:今までの経験を活かして個人経営をしたり、社会貢献、たとえば高齢者のための配車サービスのためのNPOなどを立ち上げたりすることが考えられます。起業や運営のための資金、必要な知識や資格の獲得といった事前準備が必要であり、また経営に失敗するかもしれないというリスクもあります。
○再就職:高齢になると希望する職種、特に事務職などは見つけることが難しくなります。自身の希望と現実の折り合いをつけることが必要であることは念頭に置いておいたほうがよいでしょう。希望にこだわり過ぎるといたずらに時間が過ぎ再就職をあきらめざるを得なくなるおそれもあります。
○シルバー人材センターの会員になる:同センターは「会員の生きがいの充実や生活の安定、また、地域社会の発展や現役世代の下支えなどを推進すること」を目的とする都道府県知事の指定を受けた法人です。希望者(原則60歳以上)は同センターの会員となってセンターから請負、委任、または派遣の形で提供される業務を行うことになります。この他職業紹介もしています。センターの従業員ではないので、業務の対価は派遣の場合を除き分配金という形で受け取ることになります。業務は、月10日程度以内の業務(臨時的・短期的業務)か目安として週20時間を超えない業務(軽易な業務)となっています(出典:シルバー人材センターの適正就業ガイドライン 2016)。収入は保証されていませんが月8~10日働いて3~5万円程度、会員数は約70万人(ここ10年は減少傾向)となっています(出典:全国シルバー人材センター事業協会)。
○再雇用:会社員の場合、再雇用の形で同じ会社に勤めることができることもあります。問題は給与などの待遇が変わることもさることながら、特に管理職などから外れ以前の部下の指揮下に入る場合などは複雑な感情になることも覚悟しておく必要があります。
(続く)