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黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

エンジェル・ビル #04

2006-03-20 13:36:25 | 東京 URBEX


ドラマ『傷だらけの天使』の舞台、
通称<エンジェル・ビル>の話です。

屋上へ出ると、昨日アップした
<世界空手道連盟士道館・代々木アクションクラブ>
の事務所と思われる部屋がありますが、
室内は完全に廃墟と化しています。



部屋横の細い通路を通り屋上の踊り場へ出てみると
かつての白壁は剥落し、
コンクリートと鉄筋が剥き出しになってはいるものの、
ドラマと同じペントハウスがあります。



改めて『傷だらけの天使』を見返してみて気が付いたのですが、
画像左寄りに写る階段の下の部屋は、
ドラマ撮影当時既に現状と同じ廃墟状態になっています。
ブロックタイルを張り込んだ屋上の床面は当時と変わらず、
湯船を外において入浴するシーンを思い出させてくれます。
辺りには椅子やギターが散乱しています。

  

ドラマでも萩原健一が屋上で椅子に座っているシーンが登場しますが、
その椅子ではありません。

いまでは屋上から周りを見回すと、
このビルより高いビルが周囲にいくつも見えますが、
当時は目の前にRC造のボッテリしたビルが一つ建っているだけです。
ロケ撮影が多いこのドラマは、
同時に70年代の東京のドキュメンタリー的な要素を、
多く含んでいると思います。

70年代・・・
まだテレビゲームが出る前の、
ゲームセンターといえばアーケードゲームが主流だった時代。
ロック喫茶でサントリー・ホワイトを飲みながら
レッド・ツェッペリンを聞いては、
部屋に帰ってかぐや姫の神田川を聞いていた時代。
ベルボトムと呼ばれたジーンズの裾に、
チロリアンテープを捲いていた時代。
養老の瀧や天狗が、新鮮な居酒屋チェーンだった時代。
新宿に高層ビルが建ち始まった時代。
SFに登場する、一家に一台コンピュータがある光景を見て、
そんな時代がくるのかぁ~?と笑っていた時代。
安保の惨敗が、浅間山荘事件をかわきりに
過激に歪んだ方向へ進みだした時代。
そしてドラマのオンエアされた年の1974.3.11
小野田さんがフィリピンの逃亡生活からから
30年ぶりに日本に帰還した時代。
そんな時代だったなと思い出します。

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■シリーズ:エンジェル・ビル■
・#01 傷だらけの天使とエンジェル・ビル
・#02 ビルの中へ1
・#03 ビルの中へ2
・#05 廃優-緑魔子と第七病棟
・#06 ペントハウスへ
・#07 思い出の場所がないということ
 



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