しろくまのいえ

しろくまのいえのまわりでおこるさまざまな出来事をつづってゆきます。

本)看取り先生の遺言(奥野修司)

2015-03-26 14:57:49 | 

肺癌専門医の岡部医師の仕事っぷりを書いた本です。
「抗がん剤は薬ではない!」「家で死んだほうが、いい!」
と、思いっきり現代の医療を正面からばっさりきってゆくかんじで
ある意味、爽快な感じがします。
抗がん剤においては、抗がん剤を扱っている看護師の流産の率が高いこと、
外来で化学療法をされている患者さんの場合、

岡部先生は現役時代は、肺癌の手術や抗がん剤治療をたくさんの患者さんにしたそうですが、
どんなに一生懸命、最先端の治療をしても、死んでゆく患者さんは安らかな死に方ではない。
「やっぱり家で死んだほうがいいんだ!と、自分も胃がん(肝臓転移)になりながらも
家で自然に看取ることを訴え続けた先生です。

岡部先生の活動されていた宮城県では、2010年がん患者在宅死亡率8.8%に対し、
12.1%、さらに地域を狭めて仙台市青葉区においては、18%の方が家で看取られているそうです。

本の中に、こんな一文があります。
「医療的にはなんに問題もないのに、怖いから入院させてほしいという家族がいます。
家族の不安をきちんと受け止められるシステムを作っておかないと、在宅死が増えて
いったとき、みんながつらい思いをすることになります。」


病院で死ぬほうが一般的なようになってしまった昨今ですが、
やはり人が死んでゆく様子、気配を知らないと「死んでしまったら大変だ!」
と、死にそうになると、救急車を呼んでしまうのだそうです。
昔は、おばあさん、おじいさんが障子の奥の間で、少しずつ弱ってゆく気配を
なんとなく感じつつ同じ屋根の下で暮らしていたので「人はこんな風に死んでゆくのだな…」
ということを肌で感じ、日常的にある風景としてとらえることができたのですね。

今は、お坊さんは「死んだら呼ぶもの」と、元気なうちはかかわりがなかったり、
元気にうちにお坊さんとかかわるなんて「縁起が悪い」と思われたりしているし、
お坊さんも人が死ぬ場面を見たことがない人も多いそうです。
たしかにお坊さんが好きか嫌いかでいうと、嫌いという印象が強いですが、
日本の文化の中には、本来、仏教というものが日常生活の中に普通にあったものなのですね。
だから、好きとか嫌いではなく、ないとおかしなものなのかもしれません。

「あの世」という言い方は、日本人ならではの感性、倫理だそうです。
本中に、武士道の話もでてきました。
「新渡戸稲造がベルギーの学者に「日本の宗教教育は?」と聞かれ、「ない」
と答えたら日本には倫理がないのかと問われた。それに答えるために書いたのが
「武士道」だそうだが、武士はそうであっても多くの庶民は、そうでなかっただろう。」
そのかわり
「お天道様がみている」とか「ご先祖様に申し訳ない」あるいは、
「死んだ親父におこられる」といった感覚が日本人の倫理を形成してきたのでないだろうか」

「日本人は「あの世」とつながっている死生観があるから「死ぬ」よりも
「逝く」という言葉が使われてきたのである」

なんだか、すごい勢いのある本でありながら、最後には岡部先生が癌でなくなられるという
とっても盛りだくさんの内容になっています。
でも、読んでよかった!医者も看護師も患者さんも、病気=病院という考え方が
変わってくるといいなぁと思いました。

本)日本人のお役目とは?

2015-03-26 14:03:51 | 
最近こういうことをテーマにしたの本が多くなってきた。
戦後70年…日本人の魂を骨抜きにした状態が今なのだな、と。
骨抜きにされてしまっても、DNAは残っています。
日本人らしく振舞う…ひとつひとつの物、行動、決まりなどの
意味をしっかり考えながら心をこめて行動したいものです。