1月31日(火)新潟県庁の教育委員会保健体育課に
『給食用食材の放射性物質検査に関する申し入れ』をしました。当初は、『さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト』でする予定だったのですが、県内各地で同じ思いで活動する方々が参加して下さることになり、『子どもたちを放射能から守る新潟県連絡会・準備会』としての申し入れとなりました。
県は、給食用食材の放射能測定のために、測定器を7台購入することを決め、そのうち1台が納入され1月26日(木)ようやく動き出しました。しかし、その内容は私たちの願いからはほど遠いものだったため、5つの質問と、7つの要望を持って、総勢10名(新潟市2名、南魚沼市2名、長岡市1名、上越市1名、十日町市2名、津南町2名)で、大雪の中を訪問しました。
質問事項/回答
1、検査器機について
●簡易式ガンマ線スペクトロメータとあるが、どこ製の何という機種か。/ドイツ製ベクトール社「LB2045」
●また、測定時間は1種に付きどれだけで、測定限界値はどれだけか。/15分で20Bq/㎏に設定している。30分で10Bq/㎏まで可能だが、時間に制約がある。
●6~7台を購入すると聞いているが、追加する予定はあるのか。/予算が7台分付いた。
2、検査対象について
●主食の米、毎日取る牛乳を検査対象から外したのは何故か。/県内産の米と牛乳は検査済み、検査するなら、厳密にゲルマニウム測定器が適当と思われる。
●過去に出荷制限がかけられた地域において生産されたものを中心とするのは何故か。/リスクが高いと考えられる。
●地産地消として進められている地元産の農作物については検査しないのか。/使用量が多いものは検査対象になりうる。特に対象からはずしていることはない。
3、検査頻度について
●県内各自治体での給食センターの食材の検査にかかる頻度はどのくらいになるか。/市町村の希望をとりまとめているところで今は回答できない。
●給食センター、自校調理、外部業者委託と給食は様々だが、同じ対応ができるのか。/納入業者から対応するので、できる。
●各地での頻度差をどうするのか。/頻度差はでてくる。
4、検査方法
●サンプル調査か、食材を丸ごとミキシングした丸ごと調査か。/この測定器(ガンマ線スペクロメータ)でやるのは、サンプル調査によるスクリーニング。スクリーニングで検出限界を超えたものは、ゲルマニウム半導体方式測定器の検査に出す。ミキシング調査については、現在考えていない。国のほうでミキシング調査を民間に委託する補助費を検討中。ミキシング調査では、食べたあとになる。食べる前に調査したい。
●サンプリングについては、誰が何に基づいてサンプルを選ぶのか。/県のホームページはみているか?みてほしい。そこにでている。出荷制限のあった地域の食材をサンプルに選ぶ。出荷制限のあった地域からのものがない場合は、使用頻度の高いものを選ぶ。現場のものが、その基準で選ぶ。出荷制限があった場合、即伝えているので、かつ、充分注意して食材を選ぶよう伝えているので、あまり、出荷制限のあった地域の食材は使われていないはず。
5、検査結果
●保護者への連絡はどのようになされるのか。/スクリーニングで出た参考値は報告しない。スクリーニングで検出限界を超えたものはゲルマニウム半導体方式で精査後その値を連絡する。県立学校の保護者には連絡する。県のホームページで各学校ごとに公表する。
●結果への対応は誰が何に基づいて決めるのか。/検出限界を超えたものは結果的に使用できない。
●対応は保護者へ連絡されるのか。/県のホームページで公表する。
要望事項/回答
1、給食食材から、汚染された地域の食材を排除すること。汚染状況の変化に対応し、また、食品の移行係数、加工食品の原料など多角的な視点からの選別をすること。/
出荷制限が出ると現場に伝えている。
2、検査器機の導入を希望する自治体、私立保育園、学校などへの購入費援助、地域の検査器機を使って検査を実施しようとする自治体、私立保育園、学校などへの検査費の援助をすること。/
県としては、測定機を整備し、市町村に無償で使ってもらうこととしている。
3、全ての食材の単品検査が難しい現状では、1食分の食材をミキサーにかけて丸ごと検査し、測定値を出す方法をとること。これにより、調理後の放射能値が分かります。単体では低く抑えられていても、混合して高くなる場合も考えられます。/
前日調査ではむずかしい。届けられる範囲の学校区などの納入業者から前日お昼までに送ってもらう。
4、各自治体、給食担当者の連絡体制を築き、放射能汚染に対する知識や、値を減らす調理方法などの周知徹底をはかること。/
昨年春から研修会を数回行っている。野菜など3回は流水で洗っている。米も精米し、よく洗っている。
5、不安をぬぐえない保護者に対しては、弁当、水筒などの持参を認めること。その判断のためにも、食材の産地を保護者に知らせること。/
文科省は7月と11月に通達を出し、そういった要望に対しては充分な説明と配慮をするよう指導している。保護者には出していない。保護者宛の通達でない。県は文科省の通達を市町村へ伝えている。食育の意味もあり給食が原則。十分な説明を受けても弁当を持参したいのを認めるなとは言っていない。各学校の判断で個別に対応。県としては学校の裁量を尊重する。
6、地場産の農作物については、土壌検査と、作物検査を実施し、地域に広く知らせること。これにより、学校外での食事の安全性も高まると思われます。/
昨年春から、県が1日8品目検査し、公表している。
7、しばらくの間は、山菜やきのこなど、県内産であっても、放射能が高い頻度で濃縮されていると考えられるものは、全品検査ができるまで食材から外すこと。/
山から直接給食に使用するものはないと考えている。
参加者からは、
1、検出限界をせめて10Bq/㎏まで下げて欲しい。
2、加工食品については、何も検査されていない。検査をお願いしたい。
3、保育園は、別組織なので、児童家庭課に今日の要望を伝えてもらいたい。
4、新潟市、各地区で検査をするものについて食材が重ならないよう調整してもらいたい。
との要望が出され、検討して頂くことになりました。
申し入れの後、話し合って、【子どもたちを放射能から守る新潟県連絡会】が発足しました。しばらくは、メーリングリストを作って、県内の情報を共有することとします。
希望者は小木曽までご連絡下さい。連絡先 kumasige@earth.ocn.ne.jp 小木曽茂子
参考資料:
提出 山下とも子(長岡市中沢4-342 ℡0258-34-6483 fax0258-34-6481)
(さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト共同代表)
●核戦争防止国際医師会議のHP(国際反核医師の会ドイツ支部HP)
http://www.ippnw.de/
の中の右側の欄の日の丸がみえるところフクシマ・ニュースレター
http://www.news.ippnw.de/index.php?id=80
その中のレポート
レポート「あらかじめ計算された放射線による死:EUと日本の食品放射能汚染制限値」(日本語)
http://www.strahlentelex.de/calculated-fatalities_jp.pdf
●ドイツ放射線防護協会:日本政府への勧告 (11/27)FoEJapan日本語訳
http://www.foejapan.org/energy/news/111206.html
●岩波書店 世界 2012.1 p88-95
ドイツ政府の委託による「安定したエネルギー供給のための倫理委員会」の2011年5月30日付け報告書『ドイツにおけるエネルギー転換―未来のための共同の仕事』の中心部分をなす第4章「いくつかの倫理的立場」の訳
●クレヨンハウス・ブックレット 002
食政策センタービジョン21代表 安田節子著
「わが子からはじまる食べものと放射能のはなし」
●WEBRONZA
原発稼働のため隠される低線量内部被曝の危険性―ICRP国際基準以下で小児がん倍増
NHK「追跡!真相ファイル『低線量被ばく 揺らぐ国際基準』」
『見えない恐怖放射線内部被曝』(旬報社)著者松井英介さんの講演
http://webronza.asahi.com/bloggers/2012010400002.html