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「私の本棚2021.2.23」

2021-02-23 19:53:04 | 経営コンサルタント
  • 今日のおすすめ

 『日経大予測2021「これからの日本の論点」』

                                      (日本経済新聞社編 日経BP 日本経済新聞出版本部)

  • 2021年の「日本の論点」に注目してみよう(はじめに)

 新しい年のスタートの時期に当たり、新年のPESTに係る本をご紹介します。

 紹介本は毎年、日本経済新聞社から出版される恒例の本であり、表題の「2021『これからの日本の論点』」が出版されると、「もうそんな時期になったか」と思うと共に、私自身の「予測に漏れが無いか」、「新年のポイントは何か」に焦点を当てて読みます。ただし、残念なことに紹介本は2020年秋に執筆されており、2020年末から2021年始めにかけて起きた、米大統領選の不正投票疑惑の混乱から見えた問題点、EUと中国の投資協定の合意の背景、等の重要な情報に関する記述が欠けている点は留意する必要があります。

 2021年版は、「日本経済はこれからどうなる」「日本企業はこれからどうなる」「世界はこれからどうなる」の3Chapter、23項目に亘って日本経済新聞のベテランの専門記者23人が2021年の予測を提示したものです。

 23項目から引き出される2021年のキーワードは「VUCA(注)」と「分断」です。「VUCA」は日常的にあることですが、2021年の特に注目したいのは「分断」です。その「分断」について次項で見てみましょう。

 (注)「VUCA」とは「Volatility;変動性、Uncertainty;不確実性Complexity;

                複雑性、Ambiguity;両義性」の略です。

  • 2021年のキーワード「分断」とは

【分断の米国、新大統領の手腕が問われる「5つの危機」】

 2021年1月20日にバイデンが第46代大統領に就任しました。紹介本の記事は2020年11月3日の大統領選投票日の前に執筆されています。大統領選挙の不正疑惑、バイデンの周囲のエスタブリッシュメントの不正行為疑惑など、必ずしもメディアに現れない情報もあります。皆さん独自の情報源で真実を追求してください。いずれにしてもバイデン政権は不安定な「分断」の中でのスタートです。「米国の分断」のニュースから目を離せません。

 紹介本の記事にある「5つの危機」とは①コロナ・ウィルスの招いた「命の危機」②コロナ・ウィルスの招いた「経済の危機」③人種、格差、移民、利益相反などに基づく「社会の危機」④対中衝突、同盟の亀裂などの「国際秩序の危機」⑤メディアへの不信、選挙制度への不信などの「民主主義の危機」です。

 2021年は「5つの危機」から目を離せない年です。対応に注視していく必要があります。

【習近平政治が引き起こす米中分断の危機】

 紹介本の記事には、次のように記述されています。

 ◇2021年7月に中国共産党創設100周年を迎え、2022年秋には5年に一度の共産党大会が開かれます。この党大会に向け習政権は一層体制固めをする一方、中国経済の低迷、米中関係の破綻、インドなどの周辺国との対立などの課題への厳しい政権運営を迫られています。

 ◇米中分断については、「香港自治法」「ウィグル人権法」などを成立させた米国は、貿易、技術、人権、軍事などあらゆる場面で、中国との一層の対立を深めています。(最近では、2021年1月19日トランプ政権の最終日に中国のウィグル政策を「ジェノサイド〈集団殺害〉」認定をし、バイデン新政権も同意〈2021.1.20朝日デジタル〉。)

 ◇南シナ海情勢に関しては、2016年7月のオランダ・ハーグ仲裁裁判所の「中国の主張する境界線『九段線』を認めないとの裁定(フィリピンの提訴に対する裁定)」について、トランプ政権は2020年7月に「(裁定と同じく)中国は『完全に違法』」を表明、オーストリアも同調、英国も最新鋭空母を南シナ海への派遣を表明し米国との連携を目指しています。

 この様ななか、バイデン新大統領就任式に1979年の断交以来初めてとなる台湾駐米代表を正式に招待しました(2021.1.21日経電子版)。バイデン新政権はトランプの対中政策を継承の方向を示しており、「米中の分断」は続きます。2021年の注視するテーマです。

【戦後秩序が崩れた欧州、海図なき船出】

 紹介本の記事には、次のように記述されています。

 ◇2021年には、GDPで加盟国の16%を占めドイツに次ぐ大国である英国がEUを離脱し(‘2020.1.31離脱’‘2020.12.24FTA合意’‘2021年に実質離脱’)、EUの長年に亘る牽引役であった「EUの女王」ドイツのメルケル首相が引退する。これにより、EUの次の三つの理想主義に傷がつく恐れがある。①基本方針の「統合拡大」②多様性と国際協調を重視する「西洋の価値観」③独仏伊英4カ国が纏まってこそ発揮できる外交力。つまり、EUの理想主義・リーダーシップ・結束力の三本の矢が折れる衝撃を否定できない。

 ◇このような激変を迎えたEUは、新政権の米国、野心を隠さぬ中国・ロシアに対抗する存在を示せるのでしょうか。

 このような中、2020年12月30日に中国とEUは相互投資協定を結ぶことで大筋合意した。世界2位と3位の経済規模を持つ国と地域の結び付きが一段と強まる合意です。この合意には、中国政府による国有企業への補助金の透明性の確保、参入企業への技術の強制移転を禁止、合意に違反した場合は法的な責任を問える紛争解決メカニズムの設立、中国側の強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約の批准を目指すことの約束、を含んでおり今後の進展・実現が注目されます(2020.12.31日本経済新聞電子版)。

 この相互投資協定の意味するものは何でしょう。EUはBrexitの傷をカバーしようとしたのでしょうか。中国は本当に強制労働を禁じる国際労働機関(ILO)の関連条約を批准するのでしょうか。それほどに中国は追い込まれているのでしょうか。EUと米国との連携に於いて、この協定はどのような影響を持つのでしょうか。注視していきましょう。

【その他の注目する「日本の論点」】

  • 「四度目の挑戦、国際金融都市は実現できるか」
  • 「『見えない資産』、経営の一丁目一番地に」
  • 「『ジョブ型』は日本の会社を変えるか」
  • 「コロナ下で生まれる新しい消費と流通」
  • 「異形のグローバリゼーションとどう向き合うか」

といったところが私の注目点です。ご興味をお持ちの方は、紹介本をお読み下さい。

  • 2021年は不確実性の年(むすび)

2021年はどちらを向いても不確実性に溢れています。

 経営に係る私達は、不確実性の年にどう対処したらよいのでしょう。私見ですが、「スピーディーなメタ(表やメディアに必ずしも現れない事態の原因となっている真の事実)を含む情報の収集⇔分析⇔仮説⇔検証⇔課題の見極め⇔課題解決の実行」をしていく事でしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

http://sakai-gm.jp/index.html

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