知らない人もいる,と言われたことがあるので注釈する。
当地では,地域内の児童らが連れ立って数名の登校班を組み高学年の子を中心に列をなして学校に行く。
私も1年の頃は吹雪の中を,まだ古い時代のマントを着た6年生の懐に守られて,吹雪の中を必死に登校していた。
さて,今の学区に住んでからしばらく,小学校にお世話になったが,その後も町内会の回覧板にて学校からのお便りを読み,色々と感じさせられてきた。
今回,表紙に書いてあった「見て見ぬふりをしない」というタイトルに,何か読むべきものを感じ,教職員の文章かと想像しながら目を通した。
それは,6年の女子児童のものだった[詳細は画像の作文へ]
雪の止んだ寒い朝,通学路に一台の車がはまっていて,一度やり過ごそうとしたが思い直し,他班の女子らしき児童たちと示し合わせ運転手に声をかけ車の後ろを押すことになった。
子供らの体力だけでは足りなかったが,他の車が通り過ぎる中を二人の男性が加勢してくれ,やがて男子の班の子も来てくれて,車はやっと脱出したそうだ。
そして人を助けた瞬間,二人の男性はさりげなく去っていった。
場面は終了したが,彼女は達成感とともに二人の男性への心象を「カッコイイ」と,そして今後も「見て見ぬふりをしない」と綴っている。
これを読んだ後の私は目頭が熱くなるとともに,たぶん十二歳の彼女こそが「カッコイイ!」と思えた(子というより孫になりうる世代ながら)
冷静に考えると,当地ではお互いに誰かを知らなくても,雪道で何かあれば「お互い様」として助け合うのが普通だ,特に男性は。
彼女は「これから」の感性で「過ぎ行く人」でなく「カッコイイ人」を見ていてくれたことが嬉しい。
そんな彼女を育てられる地域であることに誇りを思うし,今後も育てられる大勢の一員でありたいと思った。
なお,学校のコメントに「危険を伴う作業であるが」と一応の前置きをしながらも,良い児童の行いを学校関係者だけでなく地域社会へも知らせる姿勢があり,評価したいと思った。