物語は第3章へ突入し、これからどんどん盛り上がっていく予定ではいるが、
念のためここでもう一度、2043年にタイムマシンが完成している可能性は限りなくゼロに近い事をお伝えしておく。
タイムマシンの実現はおそらく永遠に難しいだろう。
過去には戻れない、過ぎた時間は取り戻せない。それが現実だ。
だから、この物語を読んでいるのは時間の無駄だと感じた読者は、今からでも間に合うので引き返して欲しい。
そうこう言っている間に馬鹿な歩夢は東京に到着してしまったようだ。
年老いた両親に「毎月必ずお金は送るから!」と言って実家を飛び出してきた。
そう、全ては30年前に戻り、昔の自分に会って、夢を諦めさせるために。
歩夢はさっそくマンスリーマンションを借り、アルバイトを探し始めた。
過去の経験を買ってもらえるだろうと、あちこちのコンビ二の面接を受けたが、さすがに52歳のオッサンはそう簡単には雇ってはもらえなかった。
「こうなったらダメ元であそこしかない!」
歩夢は30年前にアルバイトをしていた都内某所にあるコンビ二を探しに向かった。
そこそこ大きい通りにあるコンビ二だったし、潰れてはいないだろうと踏んだ。
辺りの様子はもちろん30年前とは大きく変わっていたが、そのコンビニだけは昔と変わらずにそこにあった。
「あのぉ… すみません。」
歩夢はレジの奥の方にいる同じくらいの歳の店長らしき男性に声をかけた。
「あのぉ、かなり昔にここで働いていた者なんですが、現在アルバイトは募集されていますか?」
すると、店長らしき男性は驚くべき言葉を返した。
「あなた… まさか歩夢君?」
「えっ?」
ビックリした歩夢は、すぐにその男性の左胸にある名札に目をやった。
「ま、まさか、二瓶君?」
「うん。いや~、久しぶりだね~。元気だった?」
「ま、まぁね。二瓶君、まさかここの店長になったの?
っていうか、ここであれからずっと働いてたの?」
「うん、そうだよ。さすがにこれだけ、この店だけに命を懸けて働いていれば店長ぐらいにはなれるさ。」
二瓶店長は笑いながらそう答えた。
それから何十分の時が流れただろう。
二人は他のお客さんも完全無視で話に花を咲かせた。
お互いまだ未婚である事や、当時もお互いモテなかった事や、二瓶の失恋話や、歩夢が当時頻繁に二瓶にシフトを代わって貰っていた事、
そして、歩夢が今さら東京へ戻ってきた理由を。
その翌日から歩夢は30年ぶりに、このコンビニで働き始めた。
東京都民の中から抽選でタイムマシンに乗れる一人に選ばれる、訪れるかどうかも分からないその日まで。
(第4章へ続く)
念のためここでもう一度、2043年にタイムマシンが完成している可能性は限りなくゼロに近い事をお伝えしておく。
タイムマシンの実現はおそらく永遠に難しいだろう。
過去には戻れない、過ぎた時間は取り戻せない。それが現実だ。
だから、この物語を読んでいるのは時間の無駄だと感じた読者は、今からでも間に合うので引き返して欲しい。
そうこう言っている間に馬鹿な歩夢は東京に到着してしまったようだ。
年老いた両親に「毎月必ずお金は送るから!」と言って実家を飛び出してきた。
そう、全ては30年前に戻り、昔の自分に会って、夢を諦めさせるために。
歩夢はさっそくマンスリーマンションを借り、アルバイトを探し始めた。
過去の経験を買ってもらえるだろうと、あちこちのコンビ二の面接を受けたが、さすがに52歳のオッサンはそう簡単には雇ってはもらえなかった。
「こうなったらダメ元であそこしかない!」
歩夢は30年前にアルバイトをしていた都内某所にあるコンビ二を探しに向かった。
そこそこ大きい通りにあるコンビ二だったし、潰れてはいないだろうと踏んだ。
辺りの様子はもちろん30年前とは大きく変わっていたが、そのコンビニだけは昔と変わらずにそこにあった。
「あのぉ… すみません。」
歩夢はレジの奥の方にいる同じくらいの歳の店長らしき男性に声をかけた。
「あのぉ、かなり昔にここで働いていた者なんですが、現在アルバイトは募集されていますか?」
すると、店長らしき男性は驚くべき言葉を返した。
「あなた… まさか歩夢君?」
「えっ?」
ビックリした歩夢は、すぐにその男性の左胸にある名札に目をやった。
「ま、まさか、二瓶君?」
「うん。いや~、久しぶりだね~。元気だった?」
「ま、まぁね。二瓶君、まさかここの店長になったの?
っていうか、ここであれからずっと働いてたの?」
「うん、そうだよ。さすがにこれだけ、この店だけに命を懸けて働いていれば店長ぐらいにはなれるさ。」
二瓶店長は笑いながらそう答えた。
それから何十分の時が流れただろう。
二人は他のお客さんも完全無視で話に花を咲かせた。
お互いまだ未婚である事や、当時もお互いモテなかった事や、二瓶の失恋話や、歩夢が当時頻繁に二瓶にシフトを代わって貰っていた事、
そして、歩夢が今さら東京へ戻ってきた理由を。
その翌日から歩夢は30年ぶりに、このコンビニで働き始めた。
東京都民の中から抽選でタイムマシンに乗れる一人に選ばれる、訪れるかどうかも分からないその日まで。
(第4章へ続く)
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