今日のバイト先までの道のりは、やけに足取りが軽い。
それはそうだ。バイト先に20歳の女の子が新人アルバイトとして今日から入ってくるのだ。
僕は午前10時から午後5時か、午後11時から午前6時のどちらかのシフトになる事がほとんどだ。
昼間のシフトは大仏の頭のようなパーマをかけた原さんという背の低いおばちゃん、夜間のシフトは無口でいかにもゲームオタクっぽい1つ年下の大学4年生の中村君という男と一緒にレジに入る事が多い。
絶え間なくどうでもいい事を話しかけてくる大仏のおばちゃんも、会話の続かないゲームオタク(かどうかは不明だが)も、いずれも一緒には働きたくないタイプだ。
しかし先日、中村君の方から珍しく話しかけてきた。
「二瓶さん、あの… 僕…」
僕は大して興味は無いが「何? どうしたの?」と一応訊いてみた。
「僕、今日で最後なんですよ、このバイト。色々お世話になりました。」
「マジで!?何で?」
「いや、あの、おかげさまで就職が決まりまして…」
「あ、そうなんだ…」
この「あ、そうなんだ…」の「…」の部分に含まれる僕の気持ちを整理しておこう。
まずは、もうコイツと一緒に働かなくて済むという純粋な喜び。
そして、コイツの代わりにカワイイ女の子でも入ってくれないかな、という妄想。
そして何よりも、1つ年下のコイツの就職が決まり、23歳の僕はアルバイト人生が続くという現実を受け止めなければならない悲しさ。
「まぁ、頑張りなよ」
内心動揺しまくっている僕の口から何とか這い出た言葉がこれだった。
中村君がこの時、心の中で
「お前の方こそ良い歳してフラフラしてないで頑張れよ!」
と思っていたとしても僕は怒らないし、怒る資格もないであろう。
そして、その1週間後、妄想は現実となった。
20歳の女の子がアルバイトの面接を受けにきて、即採用になったのである。
彼女が面接を受けに店に入って来た時、そして面接が終わって店を出て行く時、僕はたまたま大仏頭の原さんとレジに入っていて、その子の顔をトータル15秒間くらいだけ見る事が出来た。
店を出て行く時には、レジに居る僕と原さんに軽く会釈をしていった。
すると案の定、デリカシーの「デ」の字も無い原さんが話しかけてきた。
「どうなの?二瓶君。あの子、二瓶君のタイプだったりするんじゃないの?え?」
たしかに以前、原さんには僕のタイプの女性の顔を話したことがあった。
「な、何言ってるんですかっ!そんな事ないですよ。ああいう顔とはちょっと違います。」
図星であった。
それはそうだ。バイト先に20歳の女の子が新人アルバイトとして今日から入ってくるのだ。
僕は午前10時から午後5時か、午後11時から午前6時のどちらかのシフトになる事がほとんどだ。
昼間のシフトは大仏の頭のようなパーマをかけた原さんという背の低いおばちゃん、夜間のシフトは無口でいかにもゲームオタクっぽい1つ年下の大学4年生の中村君という男と一緒にレジに入る事が多い。
絶え間なくどうでもいい事を話しかけてくる大仏のおばちゃんも、会話の続かないゲームオタク(かどうかは不明だが)も、いずれも一緒には働きたくないタイプだ。
しかし先日、中村君の方から珍しく話しかけてきた。
「二瓶さん、あの… 僕…」
僕は大して興味は無いが「何? どうしたの?」と一応訊いてみた。
「僕、今日で最後なんですよ、このバイト。色々お世話になりました。」
「マジで!?何で?」
「いや、あの、おかげさまで就職が決まりまして…」
「あ、そうなんだ…」
この「あ、そうなんだ…」の「…」の部分に含まれる僕の気持ちを整理しておこう。
まずは、もうコイツと一緒に働かなくて済むという純粋な喜び。
そして、コイツの代わりにカワイイ女の子でも入ってくれないかな、という妄想。
そして何よりも、1つ年下のコイツの就職が決まり、23歳の僕はアルバイト人生が続くという現実を受け止めなければならない悲しさ。
「まぁ、頑張りなよ」
内心動揺しまくっている僕の口から何とか這い出た言葉がこれだった。
中村君がこの時、心の中で
「お前の方こそ良い歳してフラフラしてないで頑張れよ!」
と思っていたとしても僕は怒らないし、怒る資格もないであろう。
そして、その1週間後、妄想は現実となった。
20歳の女の子がアルバイトの面接を受けにきて、即採用になったのである。
彼女が面接を受けに店に入って来た時、そして面接が終わって店を出て行く時、僕はたまたま大仏頭の原さんとレジに入っていて、その子の顔をトータル15秒間くらいだけ見る事が出来た。
店を出て行く時には、レジに居る僕と原さんに軽く会釈をしていった。
すると案の定、デリカシーの「デ」の字も無い原さんが話しかけてきた。
「どうなの?二瓶君。あの子、二瓶君のタイプだったりするんじゃないの?え?」
たしかに以前、原さんには僕のタイプの女性の顔を話したことがあった。
「な、何言ってるんですかっ!そんな事ないですよ。ああいう顔とはちょっと違います。」
図星であった。
第2章、読ませていただきました。
さっそく中村君が役目を終えクランクアップしましたか(笑
新人の女の子と二瓶君、これからどうなるのか展開が楽しみですね~!