周平の『コトノハノハコ』

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小説第3弾『Extra Dream』~第1章~

2013年01月01日 | 小説
最初に言っておくが、この物語はフィクションである。
しかし、フィクションじゃなくなるかもしれない物語である。
フィクションであるか否かは、読者自身が30年後まで生きて、
その目で確かめていただく他に方法が無い。

時は西暦2043年。

日本の消費税は20%にまで引き上げられ、
生活苦を理由に自殺する者が相変わらず日々絶えない。
国会議事堂の前では、毎日のように減税を訴える大規模なデモが続いている。

それを見下ろすかのように聳え立つ、高さ1000メートルの電波塔「東京コスモツリー」。
これが2043年の東京の新たなシンボルになっている。
その「東京コスモツリー」の高さ900メートルの地点にある超特別展望台には、
過去にだけタイムスリップできるというタイムマシンがあるらしい。
2040年までに日本やアメリカなど6カ国がタイムマシンの製造に成功したのである。
つまり22世紀に誕生するであろう青い猫型ロボットの必要性はほぼ無くなったと言えるのである。
それに竹とんぼくらいの大きさのプロペラで空が飛べるだなんて、
この時代の暗く沈んでいる日本人は誰も信じてはいない。
ピンク色の密入国&不法侵入可能ドアも然りだ。

話は戻るが、日本が消費税を20%にまで引き上げた理由はタイムマシンの製造費なのではないかと、
疑問や反発の声も多い。
しかし、国民にとっても嬉しい話もある。
なんと毎月一人、東京都民に限り、応募者の中から抽選で選ばれた一人が、
タイムマシンで過去の自分の好きな時間に1週間だけタイムスリップできるというのだ。
そんな少ない確率に賭けて東京へ引っ越す馬鹿な人間も少なくはない。

そんな馬鹿な人間の中の一人が、そう、この物語の主人公「歩夢(あゆむ)」である。

(第2章へ続く)

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