徒然草庵 (別館)

人、木石にあらねば時にとりて物に感ずる事無きに非ず。
旅・舞台・ドラマ・映画・コンサート等の記録と感想がメインです。

鍵泥棒のメソッド 【黒版】東京千秋楽(ネタバレあり)

2014年06月01日 | 舞台


5月31日(土)…思えば11日(日)に『鍵メソ』初見で【黒版】を観てから、じつに3週間。
ついにこの日がやってきました。

BLACK 東京公演千秋楽!



舞台を観て思わず「終わらないで!」と叶わぬ願いを抱いたり、「どこまで変わり続けるんだろう」と思ったり。私の中で【黒】への愛情は観る度に上書きされておりました。

どんな舞台にも終わりがあるように、今日が最後です。

珍しく早めに劇場入りして、席(最上手8列目)で開演前のBGMを聴いていると、今や耳に馴染んだ曲の数々に既に「今日ヤバイな…」(^^; この3週間、睡眠時間やあらゆるムダを削って時間を作り、あるいは友人を誘って連日通ったいろんな出来事が走馬灯のように…

…な、わけないです!w感傷的になるのは、まだ早いwww
泣くのは明日の【白版】千秋楽が終わってからでもよかろう。

池袋の空をブルーインパルスが轟音と共に切り裂いてから約15分後。
BLACKチーム、東京最後の幕が上がりました!


☆★   ☆★


お芝居の2時間に関しては、もうこれ以上劇評めいたことは書きたくないのが本音です。今日は今までの集大成のように、何も考えずに好きな台詞、好きなシーン、好きな見どころを存分に堪能しました。これで最後なのに!やっぱり小ネタが変わっていたり、台詞が少しカットor追加or変更されていることに(前回から引き続き)気づきましたが、最後の最後まで、変化し続ける「生き物」としての舞台の姿を、今日も期待通りに見せてくれました。観客の反応も、これまでとはちょっと違うような。この日にしか来ない人、これまで何度も通ってきた人、いろんな客層が同じように目の前の舞台をそれぞれの流儀で楽しんでいました。

そして私が【黒版】を愛する一番大きな理由は、やはり阿部さん演じるコンドウの存在感と、醸し出す雰囲気です。春公演『あなたがそこにいればよかったのに』では、あのセルフレームの眼鏡と眉の上までフルにかかる重い前髪が表情を隠してしまって、私自身が森岡(=阿部さん)のお芝居を堪能するところまではとても至らなかったのですが、今回(映画版をさほど知らない状態で)これほどに舞台版コンドウのキャラ造形に心魅せられたのは、初日に観た【黒版】の素晴らしさに尽きる、とも思っています。(注:もちろん【白版】も大好きですよ!)そして眼差しと声が紡ぎだす柔らかで繊細かつ、怜悧さと鋭さも兼ね備えた情感豊かなお芝居。
例えば終盤のある場面で、香苗の背を見つめながら言葉を飲みこむコンドウの、こちらが息苦しくなるほどに切なく哀しみに満ちた眼差しと表情……ここは、私はいつも双眼鏡を片手に「このシーン良い…!」と唸っておりました。ひとりのキャラクターとしても、舞台の中の存在感も、これ以上ないほどに魅力的です。

カーテンコールは4回。←私はこれまでCBの舞台で「スタンディングオベーション」を見たことがないのですが、これは何か約束事でもあるのでしょうか。スタオベに値する、と思った素晴らしい出来の日でも、初日のご祝儀でも、ホントに誰も立たない…ちょっと勿体なかったり、ちょっと残念だったり。

カテコ挨拶でテンション上がりすぎて迷走する畑中さんw落ち着け!と何度心の中で叫びながら爆笑したことか。そこに安定感あるツッコミ(一部ボケ)を見せた西川さんと大内さんのお二人には特別賞を差し上げたい…!チーム?キャスト?私がツッコミたいポイント!で見事にすかさずツッコんで下さり、気分爽快&大爆笑でしたwお二人ともステキすぎますわwww

そして阿部さんの挨拶で私は不覚にも涙目に。

「現実に比べると舞台とは嘘で、登場人物も設定も装置も本物には決してならない。でも、舞台の上にいる人間たちの気持ちや心の揺れ動きだけは、役者の努力で限りなく本物になる。その本物の気持ちを、観た人に伝えたい、それが誰かの元気や明日の活力源になるなら役者としてこんなに嬉しいことはない」

ツイッター用に140字でまとめた彼の言葉です。でも、もっと言葉を尽くしていましたし、その声にはもっと深いものが込められていました。文字では伝えられない、上手く書き起こせなかった部分もあります。でも彼が語ったことは、まさに私が毎回この舞台から受け取ってたエネルギーでありメッセージで、それが大好きで何度も観に来たんだよ!とこちらからも伝えたいくらい、深く深く共感できるものでした。照れ隠しのように「これ、昨夜飲みながら考えてたんですけどね…」と最後に笑ってましたが、直後に客席から大きな拍手が!共感したお客様はいっぱいいらしたに違いないし、その舞台からのメッセージはちゃんと!客席にまっすぐ伝わってた!と信じています!


舞台はフィクション。それは事実です。
でも、その中でキラッと輝く「真実の一瞬」を見つけに、私は劇場に通うのです。


そして「フィクションの中の真実」とは、心を揺さぶられるほどにリアルな感情、それしかないとも思っています。楽しさや喜び、家族や仲間への愛情、使命感など、ポジティブな感情(白)だけではなく、時に心の奥底に押し込めた暗い欲望やコンプレックス、嫉妬、憎悪、怒りなど、ネガティブな感情(黒)でもあります。彼らがそれを舞台上で鮮やかに見せてくれるからこそ、観ている側の感情も「同じように解き放たれる」非日常の疑似体験になり、それが「いつもの日常」を、ひいては「先々へと続く人生の時間」に挑むエネルギーになっているのも、確かです。

阿部さんの言葉は(【黒版】初日もそうでしたが)そうした形にならない想いに、「こうだよね?」と明確な輪郭を与えてくれました。初日のあの言葉で始まり、この言葉で千秋楽が終わる。私の大好きな【黒版】に相応しい、素敵なラストでした!
※余談ですが以前ブログで「この公演後はしばらくお休みします」と告知されてました。いずれまたどこかの舞台でお目にかかるのを楽しみに♪


ああ、でもこれでキレイに終わってくれないのが「キャラメルボックス」(笑)←最近理解してきたw


畑中さんが千秋楽カテコ挨拶をめちゃめちゃ取り散らかしてボケ+ツッコミ+大爆笑の嵐になったのを、何とかこうして美しく阿部さんがシメようと努力したのに…最後、一生懸命さだけはてんこ盛りだけど核爆的破壊力でぜーーんぶブッ飛ばした安理ちゃん…恐るべき天然さ…可愛すぎるにも程がありますwww


座席でざざっと今日の感想をアンケート用紙に書いて、ロビーに出たのは20時半を過ぎたころ。この時間になってもロビーは通るのも一苦労なほどに人が溢れてて、しかもみんな一心不乱にアンケートに感想を書き綴っていました。ロビーに置かれたソファーだけじゃなくて、ある人は壁にもたれて書いていたり、またある人は私のように席で残って書いていたり…みんな、熱い!ものすごく真剣な顔でアンケートに書き込んでいる姿。それだけ誰もが心が揺さぶられたんだよね…と、温かい気持ちに。
誰もが「今見た芝居への想いを書きたくて仕方ない!」って熱気が満ち満ちていました。こんな光景、初めて見ました…これがキャラメルボックスのエネルギー。これが「本物の気持ちを受け取った人たちのレスポンス!」凄いな、と素直に感動した風景でした。(あのアンケート、役者さんたち皆いつ読むんだろう?毎回みっしり書いたけど、毎回それが謎だったりしました…w)


☆★   ☆★


今日は一人で心行くまで舞台の2時間やカテコの言葉を持ち帰り、余韻を味わいたかったので、急いで家に帰りました。暑い日でしたので、キリッと冷えた白ワインを飲んで一息!

「明日の白版千秋楽が終わったら、今回文字通り身体を張ってがんばった男優陣にシャンパン山ほど奢ってあげたいくらいだ…!」そう考えてから、「それ、お気に入りのホストにドンペリ入れるのと変わらんやないか!!」とセルフツッコミしてしまいました…(^^; 
確かにあの面々にズラリとスーツ姿で勢揃いされたら、ホストクラブができそうな感じですw( ̄▽ ̄*)w 実はおよそキャラメルボックスらしからぬ舞台だったと言うべきでしょうか?――否!既にカテコがその状態じゃないですか!!!(爆笑) いつから「ホストクラブ・キャラメルボックス」状態だったんだろう…そして私はいわゆる「通い詰めてお金落とす客」ですね、わかりますwww

でも「脱いでもすごい選手権」wも含めて!キャストの皆様全員に、心からの感謝をお伝えしたいと思います。←明日観てからまた改めて。

早くも6月の1日。14時、チームWHITEの最終公演…東京千秋楽です。
当然のことながら!手元には1枚チケットがあります。


最後まで見届ける義務が、私にはある!(笑)


今日はまだ実感湧きませんが、来週からものすごい『鍵メソ』ロスに陥りそうな予感もしつつ…。





≪追記1≫

この日の前説助手は、2年目の木村玲衣ちゃん。「欲しいものは身長です!要らないものは体重です!」で、ドッと沸く会場。そう、入り口でお話しした時に思ったのは「小っちゃくて可愛い~!v」日本人平均身長よりも通常5cmほど高い(※ヒールで底上げ)私ですが、多分目線はだいぶ下のほう・・・でも、舞台に立つ人は客席から見ると本当に大きく見えますよね。不思議なことです。

加藤さん「キャラメルボックスに入ってびっくりしたことは?」
玲衣ちゃん「俳優さんの実年齢が、意外に…(口ごもる)」
加藤さん「意外に?若い?(玲衣ちゃん、首を振る)…え、逆なの?!一番は誰?」
玲衣ちゃん「岡田達也さん!(笑)実は入団前、2~3年前ですけど、キャラメルの舞台で岡田達也さんを見て『わぁーカッコイイ!25歳くらいかなー?』って思ったんですよね(客席、大爆笑!)…そしたら入団して本当の歳をお聞きして…『えええ!?』(再度爆笑)」
加藤さん「そして楽屋での姿やなんかを見てイメージがガラガラ…と崩れていったわけだねw」←ヒドスw
玲衣ちゃん「そんなことはないですっ!!!ただ、皆さんそういう方が多くて」
加藤さん「うちの劇団は竜宮城と呼ばれてまして、入団すると年齢が止まる、というか若返っていくのもいますから~ハハハw …で、今日のパンフレットには岡田の配役が書いてありますから、BLACKで何の役か今のうちに確認しておいていただくと、見逃すことはないと思います!(客席爆笑!)」

うん。だから岡田監督様の登場時にいつもの倍くらいの勢いで大爆笑が起こったのはむしろ当然wwwただでさえ出オチなのに、あれはもう仕込み過ぎでしょ?!
そして白状すると、玲衣ちゃん…私も同じこと思ったから(さすがに逆算して20代はないと思ったけどネw)全然問題ないと思うよ~!さすがラクダの王子様w(爆)



≪追記2≫

大内さんからツッコミを受けた畑中さんのカテコ挨拶w

畑中さん「この公演ではBLACKキャストとWHITEチームという2つのバージョンがありまして…」
大内さん「ちょっと待て、キャストとチーム?」(爆笑)
畑中さん「えっ?は、ハイ!じゃもう一度…えーーーと、この公演ではBLACK…どっち?キャスト?チーム?」
大内さん「どっちでもいーんだよ!両方混ぜなきゃ!」(爆)
畑中さん「どっちが正しいの?」
大内さん「一応内部ではチームって呼んでるよね?」
畑中さん「えーと、それで…こっちは…(一瞬考える)WHITE!」 ←おい!www

↑ 全員、盛大にズッコケるw 大内さん頭抱えたそうな表情が可愛かった~~w

ニコ生放送の告知でも「どうやったら観られるか、はあそこにいるオジサンに終演後ロビーで聞いてください!」と丸投げし、さらに加藤さんが「ググってください!」西川さん(わざと2テンポくらい遅れて)「で、何をググれば…?」に、観客は抱腹絶倒。何というwww



≪追記3≫

安理ちゃんのカテコ挨拶は…すみません。笑い過ぎて&ちょっと私の「まとめ能力」の斜め上過ぎてwうまく書き残せません。あればっかりは、その場にいた人しかわかりませんよねw動詞が入れ変わるととんでもない意味になってしまった「皆さんといつも会っています!」当然の如くベテラン勢から「幽体離脱かよ」「何だそれ」と総ツッコミを受けてましたw

そして綾さんに「(舞い上がりすぎて)妙なステップ踏んでる。しかも指が上さしてるのにもう片方の手も硬直して下指してるw」と指摘され、さらには下手の端にいた岡田さんにまで「安理、いいか、落ち着け…!」と言われる始末。ただ、彼女の場合はホントに「言葉」よりも、あのキラキラした目と、全開の笑顔と、ボディーランゲージ(主にぶんぶん振り回される腕)が、「嬉しい!楽しい!HAPPY!」と私たちに訴えかけてくるようで、理屈抜きで分かるんですよね。たぶん日本語通じない外国人にも普通に言いたいこと分かる、あれは稀有な才能だと思います。そしていつも思うこと「カワイイにもほどがある」w別の意味で34には見えない香苗ちゃんでしたが、毎回「妹を見守るような気分で」観ておりました♪


☆★   ☆★