変形労働時間制における時間外労働は、日、週、変形期間の3段階で把握します。
日 | その日の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその日の所定労働時間が8時間以下の日は法定労働時間の8時間を超えて働いた時間 | 法定休日労働を除く(以下同じ) |
週 | その週の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその週の所定労働時間が40時間以下の週は法定労働時間の週40時間を超えて働いた時間 | 日においてすでに時間外労働とした時間を除く |
変形期間 | 変形期間※における法定労働時間の総枠 ( = 暦日数※ × 40 ÷ 7))を超えて労働した時間 | 日、週においてすでに時間外労働とした時間を除く |
この各段階ではみ出した時間が、時間外労働となります。
注意・(変形)週休制における法定休日労働は、このカウントにいれず、135%割増計算の時間に算入します。一方、法定外休日労働は上の労働時間に算入します。法定休日はいつかについては、別記事(法定休日とはいつか)に記載したので、ご参照ください。
※変形期間(暦日数):就業規則(労使協定)でさだめた期間
・1か月単位なら、2日~28日、月(28日~31日)
・1年単位なら、月を超え(29日~)、年(平年365日、閏年366日)以内の一定期間を変形期間とする。なお、1年単位における時間外労働は、日・週・年(変形期間)の3段階で把握するのであって、月ごとに把握することはありません。
週の起算については、次に述べるような特定をしていなければ、暦週の日曜にはじまり、土曜に終わる1週間です。ただし変形期間の第1週は1日(起算日)の曜日から土曜日まで、最終週は日曜日から末日まで、その週の端数日数でもとまる40時間を換算した総枠でもって、上の週40時間を読み替えたうえで、比較します(例:2日×40÷7=11.428時間を上の「週40時間」のところに置き換えて比較)。
これとは別に就業規則で次のように規定して週を把握することも可能です。すなわち毎月起算日から7日ごと、すなわち毎月1日起算なら1日~7日、8日~14日、15日~21日、22日~28日、そして29日から始まるそれぞれ1週間とする。この場合は、29日から末日までが、先に述べた端数週となります。この端数週が月末だけしかないため、曜日週でカウントする時間外労働時数と微妙に異なることがあります。なおこの場合でも、(変形)週休制の週の設定は動くことはありません。
このように、変形期間ごとに時間外労働を確定、清算します。
一方、変形労働時間制をとらない通常の法定労働時間における週において、賃金計算期間をまたいでも、第1週は前月の最終週の就労時数データ、たとえば法定休日を満たしたか、日の時間外としていない週累計労働時間といった、週間就労データをひきずってくることになります。同一週だからです。これに対し、変形労働時間制は、変形期間の末日で時間外労働を清算してしまうため、同一週でも次の変形期間の第1週は別週の扱いとし、7日ない週は端数週として扱います。
・変形労働時間制の時間外労働の把握2において、具体的に数字をあげて変形労働時間制における時間外労働の把握を説明しました。
(2017年10月15日投稿 2022年8月14日編集)