あとから制定された1か月単位以外の変形労働時間制(協定必須)との整合性?をとるために、元からあった1カ月単位の変形労働時間制にも、労使協定締結届け出(こちらは締結は任意、締結したなら届け出は義務)を付けたした制定経緯があるために、なんとも不思議な制度になっています。
正しくは、10人以上の事業場において
・就業規則
・労使協定
10人未満の事業場は上に加えて、
・就業規則にかわる書面
により導入可となります。それぞれ概観すると、
就業規則による場合、変形労働のルールを就業規則に規定し制定(あるいは変更)する手続き(※後述)で導入完結します。就業規則制定変更につき届け出手続き義務発生します。
労使協定による場合、締結届け出手続きのほか、上、就業規則の整備が必要です。どうしてかというと、労基法の労使協定は労働条件の定めではなく、使用者触法行為の免罰書面でしかなく、労働者を協定内容に従わせるには変形労働時間制による場合の労働条件を就業規則に盛らないといけないからです。変形で働いてもらう始業終業時刻、休憩時間、休日のありかたは、就業規則絶対記載事項でもあるからです。なお、労使協定による場合は、有効期限の定めが必要ですので、期限切れ前に再度協定締結するか、就業規則のみでも存続可能な様態にする必要があります。以上を見るに、一番柔軟なのは、協定によらない就業規則だけによる運用です。
最後に、就業規則にかわる書面による場合、制定周知で完結します。
※補足として、就業規則の制定(変更)は、形式要件としては周知意見書徴取、労基署届け出(10人以上事業所)ですが、労働者不利益変更にあたるので、実質要件である労働契約法に定めた変更手続きをとらないと有効になりません。
就業規則単独で一か月単位を導入できるのに、後付けで労使協定可としたために、それによる場合はなんとも盲腸的な手続きとなります。ただ他の変形労働時間制(ただし清算期間1カ月以内フレックス協定は締結だけで協定届け出不要)も協定と就業規則のペアであるのは同様なのですが、協定締結は必須の位置づけであり、導入(有効期限のあるものは存続させるの)に協定手続きにおいて常に労働者をかませるのです。そこが1カ月単位のと違うところです。
(2018年1月14日投稿、2024年10月26日編集)