法定労働時間の例外である変形労働時間では、時間外労働を
日 | その日の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその日の所定労働時間が8時間以下の日は法定労働時間の8時間を超えて働いた時間 | 法定休日労働を除く(以下同じ) |
週 | その週の所定労働時間を超えて働いた時間、ただしその週の所定労働時間が40時間以下の週は法定労働時間の週40時間を超えて働いた時間 | 日においてすでに時間外労働とした時間を除く |
変形期間 | 変形期間※における法定労働時間の総枠 ( = 暦日数※ × 40 ÷ 7))を超えて労働した時間 | 日、週においてすでに時間外労働とした時間を除く |
の3段階で把握します。
なお変形期間の総枠だけで時間外を判定することはできません。かならず、日、週、変形期間の3段階での判定に付します。週については就業規則に規定してなければ、暦に従い日曜に始まり土曜日で終わります。なお、法定休日とした日(0時から24時まで)の労働はこのカウントには入りません。
それでは具体的に数字をあげて見ていきましょう。(カッコ書きで週累計時間を記載していますが、週の時間外労働算出する計算過程をわかっていただけるように列記しました。)
所定労働時間 | 実労働時間 | 時間外労働の部分 | ||
日 | 週(週累計) | |||
1水 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (8:00) |
2木 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (16:00) |
3金 | 8:00 | 8:15 | 0:15 | (24:00) |
4土 | 休日 | 8:00 | 0:00 | 8:00 |
5日 | 休日 | 休日 | 0:00 | (0:00) |
6月 | 9:00 | 9:00 | 0:00 | (9:00) |
7火 | 9:00 | 9:00 | 0:00 | (18:00) |
8水 | 9:00 | 9:00 | 0:00 | (27:00) |
9木 | 9:00 | 9:00 | 0:00 | (36:00) |
10金 | 9:00 | 9:15 | 0:15 | (45:00) |
11土 | 休日 | 3:11 | 0:00 | 3:11 |
12日 | 休日 | 休日 | 0:00 | (0:00) |
13月 | 7:00 | 7:00 | 0:00 | (7:00) |
14火 | 7:00 | 7:00 | 0:00 | (14:00) |
15水 | 7:00 | 7:00 | 0:00 | (21:00) |
16木 | 7:00 | 7:15 | 0:00 | (28:15) |
17金 | 7:00 | 8:25 | 0:25 | (36:15) |
18土 | 休日 | 4:35 | 0:00 | 0:50(40:00) |
19日 | 休日 | 休日 | 0:00 | (0:00) |
20月 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (8:00) |
21火 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (16:00) |
22水 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (24:00) |
23木 | 8:00 | 8:00 | 0:00 | (32:00) |
24金 | 8:00 | 8:15 | 0:15 | (40:00) |
25土 | 休日 | 2:35 | 0:00 | 2:35 |
26日 | 休日 | 休日 | 0:00 | (0:00) |
27月 | 6:00 | 6:00 | 0:00 | (6:00) |
28火 | 6:00 | 6:00 | 0:00 | (12:00) |
29水 | 6:00 | 6:00 | 0:00 | (18:00) |
30木 | 6:00 | 6:00 | 0:00 | (24:00) |
31金 | 6:00 | 8:45 | 0:45 | (32:00) |
この月時間外合計 | 1:55 | 14:36 |
次に週ごとの数値を再掲してみましょう。
週の所定労働時間(a) | 週の法定総枠(b) | 実労働時間(c:日で時間外とした部分を除く) | 週における時間外(cーmax(a,b)) | |
第1週 | 24:00 | 22:51 | 32:00 | 8:00 |
第2週 | 45:00 | 40:00 | 48:11 | 3:11 |
第3週 | 35:00 | 40:00 | 40:50 | 0:50 |
第4週 | 40:00 | 40:00 | 42:35 | 2:35 |
第5週 | 30:00 | 34:17 | 32:00 | 0:00 |
計 | 14:36 |
週別に解説しましょう。7日未満の端数週となる第1週、第5週はこのあとで説明します。
次に端数週は、法定労働時間40時間をその端数週の暦日数でもとめた時間数に置き換えします。通常の労働時間制ですと、日、週の2段階ですが、変形労働時間制は変形期間ごとに清算しますので、同期間をまたぐ週はそれぞれに切り分けての計算となります。
この総実労働時間から、日、週で時間外とした時間を控除し、法定総枠との比較で、変形期間での時間外労働を求めます。
結果、この変形期間の総時間外労働:
【ご参考】
暦日数 | 計算値 | 時間:分 (分未満切り捨て) |
28日 | 160.000 | 160時間00分 |
29日 | 165.7143… | 165時間42分 |
30日 | 171.4286… | 171時間25分 |
31日 | 177.1429… | 177時間08分 |
暦日数 | 計算値 | 時間:分 (分未満切り捨て) |
1日 | 5.714… | 5時間42分 |
2日 | 11.428… | 11時間25分 |
3日 | 17.142… | 17時間08分 |
4日 | 22.857… | 22時間51分 |
5日 | 28.571… | 28時間34分 |
6日 | 34.285… | 34時間17分 |
7日 | 40.000 | 40時間00分 |
最後に、フレックスタイム制で認められている総労働時間のうち法定総枠(31日の月なら177時間8分)超えたところから時間外労働とするのを、1カ月単位、1年単位の変形労働時間制にあてはめるのは間違いです。上の例では、たまたま一致したにすぎません(197:31-177:08=20:23)。たとえば月間所定労働時間160時間の月に毎日こつこつ45分残業し時間175時間に達したとします。フレックス制ではなるほど時間外労働0分ですが、変形労働時間制では、日8時間超えの45分20日残業したので、15時間分の時間外労働が発生しています。