変形労働時間制のうち、1カ月単位と1年単位の違いを表にしてみました。利用形態として、(月)業務の特質(長夜勤等)や月周期での繁閑にあわせての利用が主、(年)盆暮れ休みを週6日制に振り替える利用が主となる。そのため、(月)は大企業の特定業務に限った利用、(年)は中小零細企業者がフルに労働日を確保したいといった傾向がみられます。
1カ月単位 | 1年単位 | |
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根拠条文 | 労働基準法32条の2 | 労働基準法32条の4 |
変形期間 | 2日以上1カ月以内 | 1カ月を超え1年以内 |
労使協定 | 任意、協定締結したら届け出 | 必須、締結が発効要件。締結した協定は要届け出 |
運用形態 | 就業規則またはそれに代わる書面(就業規則制定義務のない事業所) | 左に同じ |
所定労働日、労働時間の特定 | 月の全期間 | 原則全期間、最初のひと月だけ特定しておく例外運用あり※ |
日、週の労働時間の上限 | なし | 日10時間、週52時間 |
総労働日数の限度 | なし | 年280労働日以内 |
休日 | 週休制または変形週休制の範囲内 | 6連勤が最長(特定期間の例外あり)、いずれも週休制の範囲内 |
年少者保護 | ||
期間途中 | 規定なし | 途中加入離脱者への清算規定あり |
法定総枠 | 暦日数×40時間÷7日 | 左に同じ |
なお、年については3カ月以内の場合は上に述べた制約が解かれる場合がある(詳しくは 1年単位の変形労働時間制についてを参照)。時間外労働の把握に、変形期間枠での把握は、(月)はその月内に清算となるが、(年)は原則最終月においての清算となり、その月の日、週で生じた時間外とをあわせて、36協定枠内に収まらせないといけない。だからといって1年単位の変形労働時間制で、月ごとに時間外労働を把握して清算するのは間違いです。
(※)1か月単位の変形労働時間制であれば、勤務予定表はどんなにおそくとも初日の前日までに確定し、各労働者に通知すればよいです(期間到来前に確定通知してあればよく、何日前といった法令の定めはありません)。一方、1年単位であれば1か月以上の期間ごとに区分して、各期間ごとの労働日数、総労働時間を協定しておくことで、月ごとの勤務予定表をその月がめぐって来るまでに確定しておく例外運用がありますが、この1年単位の例外運用は労働者代表の承認をとりつけるだけでなく、その月初日の30日前に確定しておく必要があります。たとえば、1月1日開始の勤務カレンダーですと、30日前の12月1日には確定承認取り付ける必要があります。
(2021年6月15日投稿、2022年7月19日編集)