労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

特別条項発動

2024-06-01 11:38:47 | 36関連

先の働き方改革法で、特別条項が法定されました(労基法36条5項)。法制化されるまでは、限度基準に規定されているにとどまっていました。特別条項についての各種パンフレットが出回るに伴い、名称は一般条項とともに衆知されるようになりましたが、どうもその運用、発動のしかたが今一つあいまいになり、案内にかけるようなので、記事にしておきます。

協定

特別条項そのものの協定の仕方は、一般条項だけの「様式第9号(第16条第1項関係)」にかえて、「様式第9号の2(第16条第1項関係)」に記載し、事業所労働者過半数代表選出(過半数組織組合があるならその組合)との協定締結、労基署届け出、受付さえすれば発効手続き完了です。従前は協定届様式枠外空欄に適当に記載だったので、雲泥の差があります。

うち発動手続きのしかたは上記届け出様式の「限度時間を超えて労働させる場合における手続」欄に書けばよいことになっています(パンフ14ページ参照)。発動手続きの様態は前の記事にも載せましたが、大きく分けて労使間「協議」と、使用者から労側への「通告」のふた通り想定しています。どちらかを使って具体的手続きをしたためればよろしいでしょう。

発動

特別条項付きの協定届け出してあれば、それであとは一般条項の限度時間超えるたびに自動的に適用されるわけでなく、一般条項に定める限度時間、月なら45時間といった協定した時間を超過する前に、協定でとりきめた発動手続きを労使間で行わなければなりません。

超過してからの手続きでは、発動したことにならず、月(年)末までの時間外労働は32条他違反となります。特に年の限度枠は見過ごしにされやすいので、しっかり年累計時間数の把握管理が必要です。

その発動にあたっては従前からの通達に注意喚起されており、発動手続きしたことを書面に残すよう「その旨を(労基署に)届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があること。」としています。労基署にいつでも監督にはいられてもいいよう、開示できる整備をしておきたいものです。

(2024年6月1日投稿、2024年6月6日編集)

参考資料

協議書、通知書例(Q12)愛知労働局編

参考記事

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