労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

産前産後休業、育児休業

2017-10-15 08:52:16 | 育児介護

産前産後休業

産前産後休業は、出産予定日前6週(多胎14週)から休み始められる労働者の権利(いつから休み始めるかは妊婦労働者がきめる)、出産日翌日から産後休業が始まり8週までが休ませる使用者の義務となります。実際の出産日は産前休業日に含まれます。予定日通りに出産することはなく、早く生まれれば、それだけ産前休業は短くなり、遅く生まれればそれだけ産前休業は伸びます。育児休業のような入社1年未満労働者利用不可といったことはありません。なお産後6週を経過後、休業者が希望するのでしたら医師の意見をもらって軽易な作業につくことができます。

育児休業

希望すれば産後休業の終わる翌日から1歳(さらに半年、そして2歳まで)育児休業に入れます。男性労働者も配偶者の出産日から育児休業に入れます。そのためには、休業開始ひと月前に申し出が必要です(会社が制度設計するならひと月より短い期間前申し出を可能とすることも)。なお、勤続1年未満不可といった資格判定は申出日を基準にして判断します。

休業中の年次有給休暇

上のこれらの期間は法定の制度、労働者の就業義務を免除しますので、法定の年次有給休暇を取ることはできませんが、工夫すれば、産前6週の前に年次有給休暇をあてて早くから休業にはいればいいことになります。なお次期年休付与の8割出勤率算定で、産休育休とも出勤扱いとなります。これは法で保証しています。

休業中の賃金

年次有給休暇以外の休業期間を、有給にするか無給にするかは企業が独自に決められますので、特別休暇と称して有給(年休ではない)にするのは、一向に差し支えありません。無給がほとんどで、ある程度の期間を区切って有給にしているところもあるでしょう。産休中は健康保険(出産手当金)から、育休中は雇用保険(育児休業給付金)から賃金の補填があります。

育児休暇

育児休暇とまちがって呼びやすいですが、「育児休業」とは別に「子の看護休暇」があり、育児するためのスポットの休暇でなく、あくまで病気看護・予防接種といった目的のためのもので、育児の休暇ではありません。ただH29.10施行改正法では、育児のための休暇を設けることが、雇用主の努力義務となりました。

よく見かける質問

妊娠予定の労働者からする質問ですが、いつから産休育休をとれるか、勤め先となる入社1年内育休拒否とのかねあいです。

産前休業は出産予定日を基準として6週(多胎14週)前ですが、産後休業は実際の出産日の翌日から8週の休業開始です。 

出産予定日が今年の10月10日としましょう。産前休業をがいつから始められるか計算に迷うところがありますが、曜日を手掛かりに6週さかのぼってみるといいでしょう。

出産日は、産前休業の範囲にいれるというルールがあります。今年の10月10日は月曜でその日が産前休業の最終日、6週前の始まりは火曜日(「火曜に始まり月曜におわる週」と週を単位にしてとらえる)にあたり、8月30日火曜日が産前休業の開始日と見当がつきます。

産前休業 8月30日~
10月10日 
出産予定日 10月10日

次に、産後休業ですが、実際の出産日の翌日開始です。出産前の段階では、産後休業は予定ですので、10月10日出産予定日に対し、翌日11日(火)開始の8週後である12月5日(月)までが、出産前の段階での産後休業予定期間となります。ここでは予定日から2日遅れることの12日水曜日に出産となったとしましょう。

出産日 10月12日
産後休業 10月13日~
12月 7日 
出産予定日 10/10(月)産前休業開始日 8/30(火)
28 29 30 31 9/1
10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 10/1
10 11 12 13 14 15
実際の出産日 10/12(水)産後休業最終日 12/7(水)
10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 11/1
10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 12/1
10

翌10月13日(木)産後休業開始、「木曜にはじまり水曜の1週間」を単位に、8週後の水曜に終わるので、12月7日水曜日と見当がつきます。ちなみに、希望しての6週経過の職場復帰日は11月24日木曜日からです。軽作業してよいとのお医者さんの意見書を取り付けましょう。

育休の話にもどします。産後休業12月7日に終わるので、翌12月8日(木)から育休開始となります。

その1カ月前育休申出という会社のルールだとすると、おそくとも産休中の11月8日に申出なければなりませんが、入社がその1年以上前に入社(たとえば去年の11月8日入社)していれば、産後休と育休の合間をあけずにとれることになります。合間が空くなら年次有給休暇をあてさせてもらうか、欠勤となります。

(2017年10月15日投稿、2022年11月3日編集)

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