2022年10月から、企業単位の(従業員数でなく)被保険者数101人以上(500人未満)事業者の勤め先が、社会保険拡大適用されます。通常の労働者の4分の3以上が被保険者対象だったのが、所定週20時間以上、所定8万8千円以上といったいくつかの条件を満たした短時間労働者も、社会保険対象となります。
時給1050円、週3日24時間勤務だと、保険料がいくら増えて手取りがいくら減るか計算してみます(残業、通勤手当なしとします)。まず月額賃金は
厚生年金保険料 4等級(標準報酬月額110千円)10065円 |
健康保険は保険者により保険料率がことなります。そこで協会けんぽ(東京)を例に、
健康保険料 7等級(同) 介護保険なし 5395円 介護保険あり 6297円 |
カバーしようと賃金増える分、雇用保険料(3.5/1000)も増えますが、100円未満の世界ですのでこれは無視します。
(厚年)10065円+(健保・介護あり)6297円=16362円 |
これに対する源泉所得税は、控除する社会保険料が増えるので、被扶養者の有無にもより確実に減るとは言えないので、これも無視します。求まった保険料総額を時給で割ってみます。
16362円÷1050円=15.58時間 |
そうすると、月当たり15時間半余分に残業して働くか、週あたり半日(約4時間)余分に働く契約をして、もとの手取りを確保できる計算になるのでしょう。ただ、そうすると、3カ月平均をとる定時算定により、おそくとも来年9月(源泉は10月)2等級上の保険料適用となり、2300円ほど負担が増えます。4月~6月に支払を受ける賃金、言い換えると3月~5月の働きを残業なしにするか、来年9月からもう2時間強増やして、増える保険料をカバーするかでしょう。ただし半日余分に本年10月契約ならその契約をもとに資格取得時決定になります。
週24時間契約の方は、時給単価が異なっても、比例するので多少でこぼこがあっても15時間半が目安になります。
契約時間数が異なると
同じ時給者同一条件で週30時間未満における2時間刻みで計算してみした。
週契約時間(時間) | 28 | 26 | 24 | 22 | 20 |
発生保険料(円)(a) | 18742 | 17552 | 16362 | 14577 | 13090 |
余計時間(時間) (a)÷1050円 |
17.8 | 16.7 | 15.5 | 13.8 | 12.4 |
20時間以上30時間未満の長短で、埋め合わせできる時間数が異なるようです。25時間も24時間と同じ等級に属するといったこともありますので、こういった傾向にある、というふうにとらえてください。
ここで前もってお断りした、「手当に通勤交通費が含まれる」、「時間外につく割増賃金」以外にも、資格取得時に従前からする残業時間をこみで算定に付される、年齢(保険ごとに加入が異なる)、保険者により異なる健康保険料率、雇用保険料(2022年10月からは保険料0.5/1000値上)、最低賃金の上昇、扶養家族の有無による源泉所得税の発生、働く配偶者のうける家族手当や税扶養の影響、といったもろもろの条件は考慮していません。
ちなみに月8万8千円ちょうどですと、健康保険料約4300円(協会けんぽ(東京))、厚生約8000円 計約12300円といったところ。40歳以上だとさらに介護保険700円プラスとなります。