労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

社会保険拡大適用・いくら余分に働けばいい?

2022-07-27 07:54:21 | 社会保険

2022年10月から、企業単位の(従業員数でなく)被保険者数101人以上(500人未満)事業者の勤め先が、社会保険拡大適用されます。通常の労働者の4分の3以上が被保険者対象だったのが、所定週20時間以上、所定8万8千円以上といったいくつかの条件を満たした短時間労働者も、社会保険対象となります。

時給1050円、週3日24時間勤務だと、保険料がいくら増えて手取りがいくら減るか計算してみます(残業、通勤手当なしとします)。まず月額賃金は

1050円×24時間×52週/年÷12=109,200円/月
厚生年金保険料 4等級(標準報酬月額110千円)10065円

健康保険は保険者により保険料率がことなります。そこで協会けんぽ(東京)を例に、

健康保険料 7等級(同) 介護保険なし 5395円  介護保険あり 6297円

カバーしようと賃金増える分、雇用保険料(3.5/1000)も増えますが、100円未満の世界ですのでこれは無視します。

(厚年)10065円+(健保・介護あり)6297円=16362円

これに対する源泉所得税は、控除する社会保険料が増えるので、被扶養者の有無にもより確実に減るとは言えないので、これも無視します。求まった保険料総額を時給で割ってみます。

16362円÷1050円=15.58時間

そうすると、月当たり15時間半余分に残業して働くか、週あたり半日(約4時間)余分に働く契約をして、もとの手取りを確保できる計算になるのでしょう。ただ、そうすると、3カ月平均をとる定時算定により、おそくとも来年9月(源泉は10月)2等級上の保険料適用となり、2300円ほど負担が増えます。4月~6月に支払を受ける賃金、言い換えると3月~5月の働きを残業なしにするか、来年9月からもう2時間強増やして、増える保険料をカバーするかでしょう。ただし半日余分に本年10月契約ならその契約をもとに資格取得時決定になります。

週24時間契約の方は、時給単価が異なっても、比例するので多少でこぼこがあっても15時間半が目安になります。

契約時間数が異なると

同じ時給者同一条件で週30時間未満における2時間刻みで計算してみした。

週契約時間(時間) 28 26 24 22 20
発生保険料(円)(a) 18742 17552 16362 14577 13090
余計時間(時間)
(a)÷1050円
17.8 16.7 15.5 13.8 12.4

20時間以上30時間未満の長短で、埋め合わせできる時間数が異なるようです。25時間も24時間と同じ等級に属するといったこともありますので、こういった傾向にある、というふうにとらえてください。

ここで前もってお断りした、「手当に通勤交通費が含まれる」、「時間外につく割増賃金」以外にも、資格取得時に従前からする残業時間をこみで算定に付される、年齢(保険ごとに加入が異なる)、保険者により異なる健康保険料率、雇用保険料(2022年10月からは保険料0.5/1000値上)、最低賃金の上昇、扶養家族の有無による源泉所得税の発生、働く配偶者のうける家族手当や税扶養の影響、といったもろもろの条件は考慮していません。

ちなみに月8万8千円ちょうどですと、健康保険料約4300円(協会けんぽ(東京))、厚生約8000円 計約12300円といったところ。40歳以上だとさらに介護保険700円プラスとなります。

(2022年7月27日投稿、2022年11月7日編集)

参考記事

協会けんぽ・都道府県別料額表

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