goo blog サービス終了のお知らせ 

“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

自民党改正草案の危うさ

2014年02月20日 07時00分00秒 | 臼蔵の呟き

戦後の政治の中でも、憲法改悪が現実の政治の舞台、国会などで現実的な可能性をもって論じられる状況は非常に危機であるように感じる。憲法は国の最高法規(憲法に抵触するあらゆる法律は作成できない)であると同時に、政治権力が憲法を無視して暴走することを縛る法規であるとの認識が、自民党議員、安部などないという点が大きな問題である。安倍、自民党靖国派は権力を縛る法規である点を知りながら、無視し、自らの政権運営に都合よく解釈し、平和憲法を実質的に無力化しようとの意図を露骨に打ち出している。このやり方はナチスが国会議事堂放火事件を契機とした緊急大統領令によるワイマール憲法の無力化に酷似している。

「ヒトラーは閣議にコミュニストと「法的考慮に左右されず決着をつける」ためとして、「国民と国家の保護のための大統領令」と「ドイツ国民への裏切りと反逆的策動に対する大統領令」の二つの緊急大統領令の発布を提議した。パーペンが「バイエルン州で反発を受けるかもしれない」と意見を述べたのみで、ほとんど修正される事無く閣議決定された。ヒンデンブルグ大統領(高齢で機能していなかった)も黙って承認し、国家防衛緊急令は即日、反逆防止緊急令は翌日公布された。これにより言論の自由や所有権は著しく制限され、政府は連邦各州の全権を掌握できるようになった。」

憲法がGHQによって押し付けられたとの理由をもとに、改悪しようと提起する安倍、自民党靖国派の真の狙いは、平和憲法の否定であり、9条の破棄であり、日本を戦争できる国家にすることにあることはあきらかである。自衛隊の創設、自衛隊の国軍化、軍事裁判・法廷の設置、集団的自衛権の容認、安全保障会議の設置、特定秘密保護法の制定、義務教育への道徳の導入、靖国参拝、侵略戦争の否認、慰安婦問題の国家関与の否定をあわせて考えれば、彼らが自民党が主張することのうそと、本音が非常に明確である。

<毎日新聞記事>

 毎日新聞朝刊で連載中の企画「憲法をよむ」を担当している。中学生の憲太君の質問に「先生」が答える形で、現行憲法と2012年に自民党が発表した憲法改正草案の内容を条文ごとに解説する。2月18日で46回を数えるが、各条文の意義や背景を知ると、私たちが今手にしている自由や権利が、昔から当たり前にあったものではないことに気付く。

 連載は昨年の憲法改正論議の高まりを受けて始めた。安倍晋三首相は12年末の就任後、憲法改正の手続きを定める第96条の先行改正に繰り返し意欲を示した。改正の賛否を問う国民投票を行うための「憲法改正の発議」に、衆参両院の3分の2以上の賛成を必要とした条件を緩めるという主張で、昨年5月の憲法記念日を前に賛否が交錯した。

 昨夏の参院選は、改憲勢力が3分の2以上を占めるかが一つの焦点だった。その鍵となった日本維新の会は当時の綱領で「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法」とした。今の憲法はそれほどまでにこき下ろされる内容なのか、各条文を通じて改めて考えたいと思った。

○現行憲法条文伝える戦争の強い反省

 記者になって12年目、恥ずかしながら第9条以外の条文とまともに向き合う機会はなかった。憲法の教科書を手に何人もの学者や弁護士らを訪ね、条文の背景や自民党草案への意見を聞いた。そうして憲法を学ぶ中で感じたことがあった。日本が敗戦に至る過程で、国家が国民の自由や権利を奪い、犠牲を強いたことへの反省が各条文に強く込められているということだ。

 特に基本的人権の尊重を定めた第3章で顕著だった。この章は全体の3分の1にあたる31の条文を使い、個別の権利や自由を一つ一つ丁寧に規定する。思想・良心の自由、信教の自由、言論・表現の自由……。第31条からは他国には例がないほど詳細に身柄を拘束する際の手続きなどを定め、身体の自由を保障している。

 戦前や戦中、言論は厳しく統制された。特定の主義や思想を理由に、手続きさえ踏まない不当な逮捕が相次ぎ、拷問死する人もいた。そうして構築された国家総動員体制の下、日本は戦争へと突き進んだ。だから第11条はこう宣言する。「この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」

○個人の自由・権利、簡単に制約懸念

 自民党改正草案はこの第3章に手を入れた。「すべて国民は、個人として尊重される」とした第13条。別々の個性を持った一人一人が大切にされるという憲法の根本理念を示した条文だが、自民党案は「個」を削除した。第36条の拷問の禁止では「絶対に」という言葉を消した。言論・表現の自由を定めた第21条では2項を新設して「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動」は認められないと、制約を明記した。

 昨年12月にインタビューした自民党の憲法改正推進本部長の船田元・衆院議員(当時は本部長代行)は、個人の権利が過度に制約されるという懸念に対し、「改正が原因で権利が過度に制約されるという事例が出てくれば、是正措置を取らざるを得ない。またもう一回憲法を直すという柔軟性は持つべきだ。ただ、今そこまで考えるのは早い」と答えた。私は、個人の自由や権利が戦前や戦中のように、権力によって簡単に制約されてしまう事態を恐れるが、そうした懸念は船田氏に伝わっていないように感じた。

 読者から届く手紙には、不安がつづられる。「戦中、『日本が負けるかも』と言ったら逮捕され、投獄されたのを目の当たりにしてきた。嘘(うそ)の教育、報道に信じ込まされる苦い体験の時代がまた来る」(兵庫県の82歳女性)。「自民党案を読んで、まず思ったのは日本国民が半世紀あまりをかけて育ててきた民主主義が壊されようとしているという恐怖心でした」(滋賀県の女性)

 昨年12月、神戸市であった自民党衆院議員と護憲派弁護士による討論集会に足を運んだ。憲法のあり方や自民党草案に対する両者の発言に、約200人の参加者からは拍手が湧き、会場は盛り上がった。自民党は今年、草案への理解を広げるため、全国で対話集会を開く。一方的に草案を宣伝するのではなく、護憲派も交え、市民の前で改正の是非を真正面から討論する場にしてほしい。そうした討論を通じ、戦後70年を前に、日本のあるべき姿を国民に考えてもらい、選んでもらう。それが、国民の厳粛な信託を受け、国政を担う者の責務だと思う。毎日新聞 2014年02月18日 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿