アメリカでは、政党、政権からの宣伝費用でマスコミが政治的な独立性を担保できなくなっているといわれています。また、大手企業の買収によりマスコミが寡占化、系列化され、報道機関の使命が損なわれつつあるとも言われています。このようなことがアメリカの政治を堕落腐敗させています。機能しない2大政党制は年度予算の成立をさせず、国債依存度も極端になっています。また、前ブッシュ時のイラク侵略のように軍事攻撃、他国の軍事的威圧なども政権が独断専行しても批判もされず、泥沼のような政治状況が作り出されました。
マスコミが本来もっている情報開示、政治権力から独立し、監視する機能などを保持することは絶対に必要な条件です。過去においても旧日本軍が中国、アジアへの侵略を進める上で大勢翼賛体制をマスコミ自らが率先して果たした歴史は教訓としてわれわれが忘れてはならない出来事です。憲法が政治権力を縛る法律ですが、国民、世論が政治権力を監視し、その行き過ぎや、間違いを正す役割を使命として存在するのがマスコミではないかと思います。
そのマスコミが、大手企業、多国籍企業の広告宣伝費により、丸ごと買収されるような事態が先進工業国で進行しています。さらに、政治権力がマスコミの経営層人事に関与し、その支配を、人事を通じて行うなどは許してはならないことです。安倍、自民党政権が衆参多数を使って白紙委任を受けたかのような横暴で、独裁的な政治支配、マスコミ支配を行おうとすることを批判し、彼らのどす黒い意図をあきらかにする必要があります。
<社説>
政府はNHK経営委員5人の国会同意人事案を衆参両院に提示したが、新任4人はいずれも安倍晋三首相と近い(1人は再任)。経営委員会はNHKの最高意思決定機関で、執行部の上に位置して、事業計画や毎年度の予算を議決し、会長を任命する権限を持っている。
経営委員は12人。衆参両院の同意を得て、首相が任命する。選任にあたっては放送法で「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者」「各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮しなければならない」と定められている。任期は3年。委員長は委員が互選する。今回の人事案に挙がっている新任の4人は安倍カラーが濃い。哲学者の長谷川三千子さんは保守派の論客で、昨年9月の自民党総裁選で安倍首相を応援した。作家の百田尚樹さんもやはり総裁選で安倍首相を応援し、首相就任後に雑誌で対談して意気投合している。日本たばこ産業顧問の本田勝彦さんは首相が少年時代に家庭教師を務め、首相を囲む経済人の集まり「四季の会」のメンバーだ。中島尚正さんは海陽中等教育学校長だが、同校は首相のブレーン、JR東海会長の葛西敬之さんが設立に尽力した。
官房長官は「信頼し、評価している方にお願いするのはある意味では当然だ」と人事案が首相主導で練られたことを隠さなかった。安倍首相とNHKの間では、従軍慰安婦に関する番組(2001年1月放送)をめぐって、放送前日に首相(当時は官房副長官)がNHK幹部と面会し、「公平・公正にやってください」と要請したことが05年に発覚した。NHKと政治との関係について注目された事案だった。
また、今年6月に放送されたTBSの報道番組をめぐっては、公正さを欠いているとして、自民党が党幹部に対する取材や幹部の番組出演の拒否を表明し、翌日に解除する騒動があった。言論には言論で応じる民主主義のルールに反した対応だった。
政権のメディアに対する態度が問われるのはもちろんだが、NHK経営委員の選び方も議論する必要があるだろう。英国放送協会(BBC)も視聴者からの受信料収入で運営する公共放送だ。経営委員に当たるBBCトラスト委員は「文化・メディア・スポーツ省」に置かれた選考チームが公募する。NHK人事にも、政治介入を防ぐための厳格な仕組みが必要で、今後の課題だ。
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