こまちのさすけね亭

ひだまりを 拾って歩く お年寄り

2025年1月の映画

2025-02-27 | 映画
2025年も元日から映画館へ赴きました。

今年も、良い作品とのたくさんの出会いがありそうな予感に胸がわくわくしています。

が、1月のおすすめ作品は……該当なし!

こういうこともあります。

2024年はだいぶ無理して多くの作品を鑑賞しましたが、体力や気力の低下を感じるようになりました。

今年は無理しないように……と少しペースを落とそうかと試みました。

すると、毎月の目標(劇場で月に10本以上鑑賞する)を達成できるかどうか、月末に焦ることになってしまいました。

なんとか帳尻を合わせて達成できましたが、やはり努力は必要なことがわかりました。

今年中にひとつの目標(映画1000本鑑賞)を達成できそうなので、とりあえずそこまではペースを保って鑑賞を続けるつもりです。


今回1本も紹介しないのもアレなので、俳優の
演技が良かった作品を紹介しておきます。


◎安達もじり監督『港に灯がともる』(2024/日本)

日々生きづらさを感じている在日コリアンの女性を富田望生が演じています。

全身全霊で様々な感情を熱演しています。

鬼気迫っていて圧倒される場面も。

エンドロールのときの何気ない台詞なしの演技がいちばん好きでした。

台詞なしでここまで繊細に表現できるのは本当に素晴らしいです。

観ていて優しい気持ちになれる作品でした。

これからも多くの作品に出てほしいです。

彼女ならどんな役でも演じられると思います。







2024年12月の映画

2025-01-26 | 映画
毎月10本は映画館で映画を観る!という目標を立てています。

2024年、達成できなかったのは、コロナに感染した7月だけでした。

12月は年末年始休暇があるし余裕だろうと思っていたら、リアルの予定が予想以上に立て込んでしまい、ギリギリ10本達成できました。

危なかった!

その中から、おすすめ作品をご紹介します。


◎トマ・カイエ監督『動物界』(2023/フランス)

近未来が舞台の、ファンタジーな世界観。

本来であればあまり得意ではない分野ですが、エンタメ性・見応え共に抜群でした。

フランス映画らしく「新生物」についての説明が必要最低限で、理屈っぽくなく独特な世界観を抵抗なく受け入れることができました。

無駄な描写がほとんどありません。

現代的な技術が存分に取り入れられているので、音楽もデジタルなアプローチになりそうなところ、予想に反して上品な感じが良かったです。

新生物は、異形のモノ好きにはもちろんおすすめですが、グロテスクさより造形が洗練されていて美しいです。

本作の素晴らしさの本質は、エミール役のポール・キルシェとフィクス役のトム・メルシエールの演技にあります。

新生物の表現には鬼気迫るものがありました。

ポール・キルシェは、『Winter boy』での主演も記憶に新しいですね。

難役をこなす素晴らしい役者です。

父親役のロマン・デュリスもナイスアシストでした。

アリ・アッバシ監督の『ボーダー 二つの世界』に共通点の多い作品でした。





2024年11月の映画

2024-12-30 | 映画
11月は、1本だけでしたが良作に出会えました。

◎藤井道人監督『正体』(2024/日本)

藤井監督の作品は最近イマイチ刺さらないものが続いていましたが、『正体』は久し振りに素晴らしかったです。

藤井監督らしい人間味のある描写が特長です。

尺のわりにキーパーソンが多いので、ひとりひとりのエピソードが駆け足気味で、スピーディーに物事が進みすぎる感は若干気になりました。

総合的にはとても見応えがあり、人の優しさに涙が出てきました。

大きな力にも個人で立ち向かうしかない現代の日本の問題が描かれており、やるせない気持ちになりました。

脚本が素晴らしいので、大袈裟な音楽や効果音でセンセーショナルにあおる必要はなかったように思います。

水産会社でカメラをぐるりと回す間に映像で説明をするシーンは秀逸です。

『青の帰り道』から注目していましたが、横浜流星さんの代表作になったと思います。

たくさんの人に観ていただきたい作品です。




2024年10月の映画

2024-10-31 | 映画
2024年10月もなかなか良い作品に出会えました。

邦画を2本挙げられるのが嬉しいです。


◎山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』(日本/2024)

主人公のカナを演じる河合優実がほとんどのシーンに出ています。

それで137分持たせられるのが驚異的。

長尺でしたがまだまだ観ていられそうでした。

万人受けはしないかもしれませんが、どちらかといえば映画好きに好まれそうな作品です。

双極性障害の疑いがある21歳の日常を描いているので、観ていてストレスになる部分もありますが、金子大地との演技合戦も見どころ。

私は双極性障害の人と接したことがありますが、言動がそっくりでした。


◎マルグレート・オリン監督『SONG OF EARTH』(ノルウェー/2023)

最上級の自然美!

ノルウェーの壮大な美しさに圧倒され心浄化される体験です。

おそらく、癒されすぎて寝ます!

氷河徒歩圏内の暮らしの厳しさも伝わってきます。

氷河の内部が思ったより水色で、ガリガリ君みたい、と思ってしまいました。

ヴィム・ヴェンダース感が強いので、好きな人にはおすすめのドキュメンタリーです。


◎安田淳一監督『侍タイムトリッパー』(日本/2023)

雷に打たれ、侍が現代の太秦撮影所にタイムトリップ。

前半は、テルマエ・ロマエ感のあるコメディーです。

生まれて初めて初めてショートケーキを食べたリアクションって難しそう……!

役者としての技量が試されます。

おもしろかったけれど、前半部分はもう少し突き抜けても良かったかも。

中盤以降は映画好きに刺さります。

丁寧に作られている作品で、こういう映画愛が込められた作品が話題になること自体が嬉しいことです。

役者たちが皆格好良くて個性的で、ひとりひとりに注目していただきたいです。

監督が何役もこなしていることが目に見えてわかるエンドロールが微笑ましいです。






2024年9月の映画

2024-10-08 | 映画
私は特に意識せずに何でも映画を観ますが、結果的に洋画が多くなります。

9月に鑑賞した作品は、珍しく邦画の方が多くなりました。

まだまだ邦画にはがんばってもらいたいですね。

今回も、9月に劇場で鑑賞した中からおすすめの作品をご紹介します。


◎アンダース・ウォルター監督『ぼくの家族と祖国の戦争』(2023、デンマーク)

1945年のデンマークが舞台です。

子供目線の作品ですが、子供向けではありません。

戦争の精神的な恐ろしさが描かれた作品です。

戦争に翻弄される子供たちの話はよくありますが、戦時下での子供同士の世界が描かれた作品はあまり観たことがありませんでした。

突如いじめが始まってしまったりするのが悲しかったです。

戦争により、身近なところから亀裂が生じて身内との関係も修復不可能になることもあります。

実戦だけが戦争ではありません。

静かに寄り添ってくれるような音楽も良かったです。


◎呉美保監督『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024、日本)

コーダである原作者の五十嵐大とその家族を描いた作品です。

キャスティングが素晴らしいです。

特に、本作はやはり吉沢亮!

様々な思いを抱えている演技がとても良かったです。

無駄に恋愛要素を入れたりせず、必要以上に感動的な流れにしない構成に好感が持てました。

お涙頂戴の大衆的な作品だったら、大が結婚して妻子を連れてUターンしてハッピーエンドなのでしょう。

それではやりすぎです。

あくまでひとつの家族を丁寧に描いた作品で、押し付けがましくないところが良かったです。


◎牛丸亮監督『クオリア』(2023、日本)

個人的に会話劇があまり得意ではないのですが、本作はとても楽しく観ることができました。

舞台作品を元にした作品であり、場面がほとんど変わらない純粋な会話劇とは異なるせいもあるでしょう。

鑑賞後に感想を語り合いたくなる、かなり見応えある作品でした。

人によって感想が異なると思います。

私は、清々しいラストシーンに感じました。

終盤で意外な告白があったので、それを踏まえてもう一度最初から観てみたいです。

観る者を良い意味で振り回す、佐々木心音の演技が素晴らしかったです。