こまちのさすけね亭

ひだまりを 拾って歩く お年寄り

2024年10月の映画

2024-10-31 | 映画
2024年10月もなかなか良い作品に出会えました。

邦画を2本挙げられるのが嬉しいです。


◎山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』(日本/2024)

主人公のカナを演じる河合優実がほとんどのシーンに出ています。

それで137分持たせられるのが驚異的。

長尺でしたがまだまだ観ていられそうでした。

万人受けはしないかもしれませんが、どちらかといえば映画好きに好まれそうな作品です。

双極性障害の疑いがある21歳の日常を描いているので、観ていてストレスになる部分もありますが、金子大地との演技合戦も見どころ。

私は双極性障害の人と接したことがありますが、言動がそっくりでした。


◎マルグレート・オリン監督『SONG OF EARTH』(ノルウェー/2023)

最上級の自然美!

ノルウェーの壮大な美しさに圧倒され心浄化される体験です。

おそらく、癒されすぎて寝ます!

氷河徒歩圏内の暮らしの厳しさも伝わってきます。

氷河の内部が思ったより水色で、ガリガリ君みたい、と思ってしまいました。

ヴィム・ヴェンダース感が強いので、好きな人にはおすすめのドキュメンタリーです。


◎安田淳一監督『侍タイムトリッパー』(日本/2023)

雷に打たれ、侍が現代の太秦撮影所にタイムトリップ。

前半は、テルマエ・ロマエ感のあるコメディーです。

生まれて初めて初めてショートケーキを食べたリアクションって難しそう……!

役者としての技量が試されます。

おもしろかったけれど、前半部分はもう少し突き抜けても良かったかも。

中盤以降は映画好きに刺さります。

丁寧に作られている作品で、こういう映画愛が込められた作品が話題になること自体が嬉しいことです。

役者たちが皆格好良くて個性的で、ひとりひとりに注目していただきたいです。

監督が何役もこなしていることが目に見えてわかるエンドロールが微笑ましいです。






2024年9月の映画

2024-10-08 | 映画
私は特に意識せずに何でも映画を観ますが、結果的に洋画が多くなります。

9月に鑑賞した作品は、珍しく邦画の方が多くなりました。

まだまだ邦画にはがんばってもらいたいですね。

今回も、9月に劇場で鑑賞した中からおすすめの作品をご紹介します。


◎アンダース・ウォルター監督『ぼくの家族と祖国の戦争』(2023、デンマーク)

1945年のデンマークが舞台です。

子供目線の作品ですが、子供向けではありません。

戦争の精神的な恐ろしさが描かれた作品です。

戦争に翻弄される子供たちの話はよくありますが、戦時下での子供同士の世界が描かれた作品はあまり観たことがありませんでした。

突如いじめが始まってしまったりするのが悲しかったです。

戦争により、身近なところから亀裂が生じて身内との関係も修復不可能になることもあります。

実戦だけが戦争ではありません。

静かに寄り添ってくれるような音楽も良かったです。


◎呉美保監督『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024、日本)

コーダである原作者の五十嵐大とその家族を描いた作品です。

キャスティングが素晴らしいです。

特に、本作はやはり吉沢亮!

様々な思いを抱えている演技がとても良かったです。

無駄に恋愛要素を入れたりせず、必要以上に感動的な流れにしない構成に好感が持てました。

お涙頂戴の大衆的な作品だったら、大が結婚して妻子を連れてUターンしてハッピーエンドなのでしょう。

それではやりすぎです。

あくまでひとつの家族を丁寧に描いた作品で、押し付けがましくないところが良かったです。


◎牛丸亮監督『クオリア』(2023、日本)

個人的に会話劇があまり得意ではないのですが、本作はとても楽しく観ることができました。

舞台作品を元にした作品であり、場面がほとんど変わらない純粋な会話劇とは異なるせいもあるでしょう。

鑑賞後に感想を語り合いたくなる、かなり見応えある作品でした。

人によって感想が異なると思います。

私は、清々しいラストシーンに感じました。

終盤で意外な告白があったので、それを踏まえてもう一度最初から観てみたいです。

観る者を良い意味で振り回す、佐々木心音の演技が素晴らしかったです。


2024年8月の映画

2024-09-07 | 映画
8月に鑑賞した作品はそれほど多くなかったですが、良い作品に出会えました。

精鋭の作品をご紹介します。


◎ヴィム・ヴェンダース監督『アンゼルム "傷ついた世界"の芸術家』(ドイツ、2023)

ドイツのアーティスト、アンゼルム・キーファーの作品を紹介するドキュメンタリー。

⋯⋯らしいのですが、演技も入っているし、完全なドキュメンタリーではないように思いました。

美術館に行くのが好きな人におすすめです。

上品で穏やかな音楽が素晴らしくて、物理サントラがあれば欲しかったです。

3D上映でしたが、眼鏡に睫毛がバシバシ当たって邪魔だったし、3Dでなくても良かったのでは?と思いました。


◎ラン・ジェンロン監督『台北アフタースクール』(台湾、2023)

出だしこそ下ネタ全開のコメディー路線で後悔しかけましたが、多様性を含むいくつもの愛の物語にだんだん変わっていき、後半は切なくてずっと涙涙でした。

予備校時代以降の話も描かれているので、若者でなくても楽しめます。

吉川晃司の「モニカ」のカバー曲をレスリー・チャンが歌っています。

この作品の象徴、切ないです。

飯島愛ネタもあったり、日本リスペクトが嬉しいです。

監督の自叙伝らしく、先生との出会いは運命的だったのだということが伝わってきました。

ぜひ多くの人に観ていただきたい秀作です。


実は、どちらも鑑賞するかどうか直前まで迷っていました。

結果、観て大正解!

観てみないとわからないものですね。


2024年7月の映画

2024-08-19 | 映画
7月に劇場で鑑賞した作品は2桁に届きませんでした。

そして、特にこれといったおすすめ作品にも出会えませんでした。

こういうこともありますね。

前半は観たい作品が単純に少なく、後半はコロナに感染して家に籠った期間があったのが原因です。

舞台挨拶付き上映を予約していたのに、行けなくて悲しかったです。

せっかくなので、今月鑑賞した作品をすべて書き出してみます。


◎エドアルド・デ・アンデリス監督『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』(イタリア/ベルギー、2023)

◎マーク・マリオット監督『東京カウボーイ』(アメリカ、2023)

◎ピエロ・スキヴァザッパ監督『男女残酷物語/サソリ決戦』(イタリア、1969)

◎アレクサンダー・ペイン監督『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(アメリカ、2023)

◎飯島将史監督『プロミスト・ランド』(日本、2024)

◎天野大地監督『見知らぬ人の痛み』(日本、2022)

◎ワンウェーウ・ホンウィワット監督、ウェーウワン・ホンウィワット監督『ふたごのユーとミー』(タイ、2023)

◎ジョナサン・グレイザー監督『関心領域』(イギリス/ポーランド/アメリカ、2023)

◎クレール・ドニ監督『美しき仕事 4Kレストア版』(フランス、1999)


強いて言えば、『ふたごのユーとミー』はなかなか良かったですね。

懐かしさ漂う青春の夏休み的映画です。

タイ映画は何本か観たことがありますが、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』が最もお気に入りです。

ぜひご覧ください。



2024年6月の映画

2024-07-30 | 映画
もう6月どころか7月も終わってしまいますが、6月分がまだだったので今更ながら更新します。

6月に劇場で観て、気に入った作品をご紹介します。

たくさん観たはずなのに、おすすめは2本のみとなりました。

その分(?)どちらも素晴らしい作品なので、ぜひご覧ください。


◎入江悠監督『あんのこと』(日本、2023)

鬱映画との指摘もありますが、私はとても悲しい物語だと思いました。

実話ベースというのがより悲しい。

友人にすすめたら、実際に観て泣いてしまったと言っていました。

是枝裕和監督の『誰も知らない』と共通点のあるストーリーや描写です。

河合優実の鬼気迫る演技が見どころです。

佐藤二朗もリアルさが良かった。

早見あかり演じる役柄も憎たらしくて仕方なかったです。

ある登場人物の歌が聴けて嬉しいサプライズでした。

悲しいを通り越して悲惨な結末ですが、たくさんの方に観ていただきたい作品です。


◎ジョエル・ショーマカー監督『オペラ座の怪人』(アメリカ、2004)

劇場公開20周年を記念して、4Kデジタルリマスター版が公開されました。

私は4Kでは観ていませんが、それでも十分に傑作を味わうことができました。

歌唱シーンが多く、ミュージカル好きは満足できるはずです。

映像の利点を活かした演出が複数見られ、劇場版ならではの工夫に拍手!

141分と長いですが、まったく気になりません。

オペラシーンの衣装の華やかさ等、視覚的にも華やかで楽しいです。

一度の鑑賞では少々わかりにくい部分もあったので、何度でも鑑賞して理解を深めたいです。